FFに変わり急成長するファストカジュアルとは何か?(商業界 新飲食店経営2015年6月号)
現在日本マクドナルドは、昨年夏に発生した、中国におけるチキンナゲットの工場の杜撰な管理と,今年になって日本の複数の店舗で発生した食品に異物混入の問題で極端な不振に陥っている。同時に世界最大規模の外食チェーンである米国本社も不振に陥っている。
そのトップ企業のマクドナルドが苦しんでいる間隙を縫って米国・欧州・東南アジアなどから、外食企業が進出ラッシュだ。
米国ファストフード2位のYumブランド傘下のタコベル(メキシカン Taco Bell現在は世界に6000を超える店舗を持つ。)は「牛角」のエリアフランチャイズ運営や「とりでん」などを手がける外食企業のアスラポート・ダイニングと提携し4月21日に渋谷に1号店を開店。
西海岸で人気の大型ハンバーガーチェーンのカールス・ジュニアは他業界のミツウロコと提携し2015年夏頃に1号店開店予定だ。
また、スターバックスの日本側パートナーで,持ち株をスターバックスに全部売却し1000億円ほどの巨額の資金を持つ超優良企業のサザビー・リーグ(ファッション企業)は、最近米国で上場し人気沸騰のニューヨークのグルメ・バーガーのシェイク・シャックと提携し2016年11月に開業。
セブンイレブンの100円コーヒーや、郊外型珈琲のコメダ珈琲などの郊外型珈琲店で人気が出ている珈琲業界では、サードウエイブのブルーボトルコーヒーがすでに2号店を開き大繁盛である。その人気を見てブルックリンのゴリラ珈琲など珈琲業態が続々と参入しつつある。
高級なベーカリーやドーナツ、パンケーキ業態も外食中堅のWDIはニューヨークのブランドサラベスを女性の集まるエリアに展開し大人気だ。
参入組は玉石混合だが、大きな特徴は,タコベル以外はファスト・フードではなく,ファスト・カジュアルという業態であることだ。タコベルはファスト・フードであるが、不振のハンバーガー業態と比べ元気なのが特徴だ。ファスト・カジュアルを説明しよう。
不振の米国大手のマクドナルド・コーポレーションの最大の課題は、健康的な食材が売り物のファストカジュアルFast-casualチェーンの チポトリChipotle Mexican Grill(メキシコ料理)、UMAMI BURGER(西海岸のグルメバーガー)、フィブ・ガイズFive Guy’s(全国展開のグルメバーガー)、社Shake Shack, Panera Bred等との戦いだ。それらのチェーンが提供する健康的な食品と格好の良い店舗イメージに負けているのだ。
ファスト・カジュアルFast-casualとは、ファースト・フードよりも、大人にターゲットを合わせたメニューで、客単価は6ドルから9ドルの間だ。ファスト・フードで提供しないアルコールも提供する。そして、よりアップスケールな内外装デザインを採用している。サービスはセミセルフサービスで、注文してお金を払ってから客席につき、料理は後から運ばれる。現在の消費者はより良い品質や鮮度の高い料理を求めており、注文後調理をしてくれるなら多少の時間は待つ。Fast-Casualの料理は、ベーカリーカフェ、ハンバーガー、スープサラダ、イタリアン、アジアン、メキシカン、ベーカリー、HMRまで幅広い。
日本にはこの業態は少ないが、緑MOS、丸亀製麺、ブロンコ・ビリーなどが近い。緑MOSは1998年に米国にまだファスト・カジュアルと言う言葉がない頃に、米国のデザイン会社などを使い、米国で繁盛しているファスト・カジュアル業態を研究し独自に業態を作り上げた。
米国ファスト・カジュアルFast-Casualの代表的な企業は以下の通りだ。
Chipotle メキシカン.
http://www.chipotle.com/
Panera Bread, ベーカリーカフェ
http://www.panerabread.com/
Fuddruckers, ハンバーガー
http://www.fuddruckers.com/
Boston Market, HMR、いわゆるお総菜
http://www.boston-market.com/
Pei Wei 中華
Baja Fresh メキシカン
http://www.bajafresh.com/
Shake Shack
https://www.shakeshack.com/
UMAMI BURGER
http://www.umamiburger.com/
Chick-Fil-A
http://www.chick-fil-a.com/
Five Guy’s
http://www.fiveguys.com/
Shake Shack,
https://www.shakeshack.com/
(1)アメリカ外食の新潮流Fast-Casualの動向 を見てみよう
米国でFast-Casualと言う業態が注目されている。現地の専門家、シカゴのレストラン業界人、専門誌Nation’s Restaurant Newsのデーター、外食専門コンサルタント会社NPD社のデーターを元に、その定義と業界の動向を分析し、業種別の動向を見ていこう。
セブンイレブンの100円コーヒーや、郊外型珈琲のコメダ珈琲などの郊外型珈琲店で人気が出ている珈琲業界では、サードウエイブのブルーボトルコーヒーがすでに2号店を開き大繁盛である。その人気を見てブルックリンのゴリラ珈琲など珈琲業態が続々と参入しつつある。
高級なベーカリーやドーナツ、パンケーキ業態も外食中堅のWDIはニューヨークのブランドサラベスを女性の集まるエリアに展開し大人気だ。
参入組は玉石混合だが、大きな特徴は,タコベル以外はファスト・フードではなく,ファスト・カジュアルという業態であることだ。タコベルはファスト・フードであるが、不振のハンバーガー業態と比べ元気なのが特徴だ。ファスト・カジュアルを説明しよう。
不振の米国大手のマクドナルド・コーポレーションの最大の課題は、健康的な食材が売り物のファストカジュアルFast-casualチェーンの チポトリChipotle Mexican Grill(メキシコ料理)、UMAMI BURGER(西海岸のグルメバーガー)、フィブ・ガイズFive Guy’s(全国展開のグルメバーガー)、社Shake Shack, Panera Bred等との戦いだ。それらのチェーンが提供する健康的な食品と格好の良い店舗イメージに負けているのだ。
ファスト・カジュアルFast-casualとは、ファースト・フードよりも、大人にターゲットを合わせたメニューで、客単価は6ドルから9ドルの間だ。ファスト・フードで提供しないアルコールも提供する。そして、よりアップスケールな内外装デザインを採用している。サービスはセミセルフサービスで、注文してお金を払ってから客席につき、料理は後から運ばれる。現在の消費者はより良い品質や鮮度の高い料理を求めており、注文後調理をしてくれるなら多少の時間は待つ。Fast-Casualの料理は、ベーカリーカフェ、ハンバーガー、スープサラダ、イタリアン、アジアン、メキシカン、ベーカリー、HMRまで幅広い。
日本にはこの業態は少ないが、緑MOS、丸亀製麺、ブロンコ・ビリーなどが近い。緑MOSは1998年に米国にまだファスト・カジュアルと言う言葉がない頃に、米国のデザイン会社などを使い、米国で繁盛しているファスト・カジュアル業態を研究し独自に業態を作り上げた。
1)Fast-Casual の売り上げ動向(NPD社のレポート)
2001年11月の売上の伸び率は昨年度が23%に対して、2%と低下している。しかし、店舗数の増加は継続している。2002年9月にはfast-casualの店舗数は16%増加し、1年前の6591店舗から7651店舗に増加している。業態としては良いのだが、景気の影響とチェーンによっては苦戦していると思われる。
Fast-Casualのカテゴリーの昨年度年商は5ビリオンドルになっているが、外食売上の2%を占めているにすぎない。しかし、外食全体の売上は2002年で4.5%の成長に対して、今後5年間で年間15~20%伸びると予想されており、成長率が高い。
このカテゴリーが注目されるのは食の動向に敏感で所得の高い人たちが多く利用されていると言うことである。以下の表のように、18才から34才の年齢層の支持率が圧倒的に高く、顧客の平均的な年収も75000ドルと比較的に高いのが特徴である。
年齢層 FAST CASUAL QSR
MIDSCALE CASUAL DINING
Under 18 15% 22% 15% 17%
18 – 34 37% 30% 22% 29%
35 – 49 28% 28% 28% 27%
50 – 64 14% 13% 21% 17%
65 & over 6% 6% 14% 11%
Source: NPDFoodworld?
2)Fast-Casualのメニューと店舗コンセプト
ファーストフードよりも、大人にターゲットを合わせたメニューであり、客単価は6ドルから9ドルの間である。そして、よりアップスケールな内外装デザインを採用している。サービスはセミセルフサービスで、注文してお金を払ってから客席につき、料理は後から運ばれる。人々はより良い品質や鮮度の高い料理を求めており、注文後調理をしてくれるなら多少の時間は待つ。Fast-Casualの料理は、ベーカリーカフェ、ハンバーガー、スープサラダ、イタリアン、アジアン、メキシカン、ベーカリー、HMRまでも含んでいる。
3)Fast-casualの起源
このカテゴリーの創始者は1982にレストランコンセプト作りの天才 Phil Romanoが開業した、Fuddruckersだと言われている。Phil Romanoは経営から離れたが、現在もチェーン展開を継続しており、200店舗近い直営店とフランチャイズ店を展開している。氏は大人気のイタリアンの、マカロニグリルと、お惣菜のイーチーズと言う大繁盛コンセプトも開発している。
マクドナルドやバーガーキングなどのハンバーガーチェーンは冷凍の食材を使って、調理工程を見せていないことに注目し、全ての素材を生から作り上げ、その調理工程を見せるようにして大人気を得た。客単価7.50ドル。10種類のトッピングを選べることができる。ハンバーガーの売上比率は65%と高く、1店舗平均年商は1.5ミリオンドルに達する。
ファドラッカースのコンセプトは調理工程を全部見せると言うことだ。マクドナルドやバーガーキング、KFCなどのファストフードの厨房は客から見えないようにしている。そのため、客は冷凍食品を電子レンジで温めているだけだろうと思っている。しかも、食品添加物や油脂、塩分、カロリーが多いと言う不信感も抱いている。その不信感を払拭するのがオープンキッチンの目的なのだ。オープンキッチンというと通常はカウンターからキッチンが見えるだけなのだが、ロマーノ氏のコンセプトは360度の角度から見えるようにしようと言うものだ。
黄色い看板がかかっている入り口を入ると、左側にブッチャーがある。肉を塊から挽肉にする工程を見せ、出来上がった巨大なハンバーガーパティをトレイに並べている。ブッチャーの横には畑から取れたてのように新鮮なレタスやトマトが並べられている。入り口右側にはハンバーガー用のバンズをスクラッチで粉から焼いて、焼き立ての香りの良いバンズを並べている。入り口正面にはハンバーガーを焼くキッチンが広がっている。キッチン左手のレジで自分の好きなハンバーガーを注文する。ファドラッカースは肉のサイズは1/3ポンド(148g)から1ポンド(453g)までの大きさを選べる。1ポンドのハンバーガーは約7ドルもする。マクドナルドのように作り置きをしないので注文後、5~10分ほどかかる。ハンバーガーの渡し口からはキッチンでハンバーガーを焼いているのが丸見えなので、どんな風に焼き上げているのかを見ていると飽きが来ない。
出来上がると名前を呼んでくれる。出来上がったハンバーガーにはケチャップや野菜は付いていない。ケチャップ、マスタード、マヨネーズ、野菜などのコンディメントは、コンディメントバーで好きなだけ選べるのだ。つまり自分好みのハンバーガーを作り上げることができるのだ。
食生活の傾向として牛肉消費が減少の一途であったが、アトキンスダイエットという低炭水化物ダイエットの影響で、牛肉消費量が増加に転じている。特にステーキやハンバーガーは人気を回復している。
http://www.fuddruckers.com/
4)大手ファーストフードのFast-Casualへの対応
Fast-Casualのメニューコンセプトの特徴を大きく物語っているのが、メキシカン料理のBaja Fresh(バハ フレッシュ) http://www.bajafresh.com/ だ。メキシカン料理のお店はおいしいのだが店舗の内装があか抜けなかったり、薄汚かったりする。そこで、Baja Freshは白と黒、グリーンをテーマカラーにした明るい内装にし、清潔さを全面的に打ち出した。店内の中央にあるカウンターの後ろは厨房だが、カウンターに並ぶ客からは調理行程が全部見えるようにしている。カウンターの下がり壁には、
FOOD CANNOT BE MADE AT MICROWAVE SPEED
当店は注文後、生の材料から丁寧に造り上げるので、少々時間がかかります。調理済みの食材を電子レンジで温めるだけのファーストフードとは違いますよ。
NO CAN OPENER
当店の食材は缶詰などの保存食料品を使わず、すべて生の素材です。ソースもすべて店内で生の素材から造り上げます。
NO FREEZERS
ファーストフードのように冷凍食材は使わず、生の食材から調理します。
NO LARD
動物性油脂を使わないので、健康的です。
NO MSG
うまみ調味料などのごまかしを使わず、自然のうまみを組み合わせておいしい味を実現します。(米国ではうまみ調味料を摂取すると赤面や、動悸が高くなったり、発汗する、等のアレルギー症状を訴える人がおり、うまみ調味料をいやがる傾向がある。)
と言う標語を誇らしげに掲げている。カウンターに並び、厨房を見たら、奥のグリルでトマトとピーマンを焼いている。何の料理かと聞いたら、メキシコ料理に欠かせないサルサソースを生の素材から作っているところだという。大変説得力のある標語と、デモンストレーションだ。
これらの標語は実はチェーン展開を成し遂げたファーストフード業界が抱えている消費者からの批判である。Fast-Casual業態は一見ファーストフードと同じようなセルフサービスであるが、食材を生の状態から健康や安全に留意して丁寧に造り上げていると言うことを全面に打ち出す、差別化作戦なのだ。
売上が低迷しているファーストフード業界大手はこの動きに注目し、具体的な対策を打ち出した。Fast-casual は資金も人材もノウハウも不足しており、成長に必要な投資先や提携相手が必要である。そこで、大手ファーストフードチェーンはその成長ノウハウを自社のチェーンに取り入れるために、資本提携や買収を仕掛けた。その結果多くのFast-Casualのチェーン店は大手外食チェーンの傘下に入っている。
<1>Jack in the Box(西海岸のハンバーガーチェーン)
Qdoba メキシカンチェーン
直営28店、フランチャイズ店58店
今後15の直営と45のフランチャイズ店を開く予定。
5年間で600~700店舗を開店し、8年以内には1000店開店予測
Jack in the Box社は45ミリオンドルで買収
<2>McDonald’s
Chipotle メキシカンチェーン
マクドナルドの傘下に入り200店舗を展開している。
Boston Market
鶏の丸焼き等の鮮度の高い料理をテイクアウトできるようにして、一世を風靡したが、食品スーパーの競合に敗れ会社更生法を申請し、マクドナルド傘下に入った
Pret A Manger
イギリスでチェーン展開したフレッシュサンドイッチチェーンで、狂牛病
に苦しんだヨーロッパマクドナルド社が注目し、33%を出資した。買収総額は35~50ミリオンドル。現在ニューヨークを中心に13店舗開店。
<3>Wendy’s
Baja Fresh
メキシカンチェーンで、200店舗展開。2002年に272ミリオンで買収。
Caf? Express
カフェのチェーンで、Houston本社
Pasta Pomodoro
San Franciscoを中心に展開しているイタリアンパスタチェーン
<4>Yum Brands(もとトライコン、KFC、ピザハット、タコベル等の親会社)
テレビ料理番組の人気者Martin Yan 氏と提携し、アジア料理店を展開予定。
その他、カリフォルニアのPasta Bravo と提携
5)数多くある、ファスト・カジュアルの業態分析
(1)有名シェフが経営するカジュアルレストランや高級レストランのメニューを絞り込んだ業態
(2)有名シェフのブランドを使い、企業化した業態
(3)チェーンレストランまたは、経験者がマーケットリサーチの結果作り上げた新業態
(4)大手チェーンがファスト・フードやカジュアルレストランで人気の商品を研究し作り上げた業態
等に分かれる。
初期のファスト・カジュアルである(1)の業態で有名なのはウオルフギャング・パック・エクスプレスだ。経営者のWolfgang Puck(ウオルフギャング・パック)氏はフレンチの有名調理人で、フランス修行時代は日本の有名シェフ、石鍋裕さんや熊谷喜八さんと一緒に働いていた。その後、米国西海岸のLAに渡り、フランス料理のお店を開業しようと思ったが、当時の米国はすでにフレンチの時代は終わり、サンフランシスコ対岸の学生街バークレーにあるシェパニーズ http://www.chezpanisse.com/ のようにフレンチをベースにカリフォルニアの新鮮な野菜や魚介類を組み合わせた、ニューアメリカンが人気を呼んでいた。そこで、ウオルフギャング・パック氏はイタリアンをベースに新鮮なカリフォルニアの野菜と海産物を組み合わせたスパーゴを開店した。次にカリフォルニアの多民族(特に東南アジア系の)にあわせ、カリフォルニアスタイルの中華料理店シノワ・オン・メインを開業、その新鮮で素晴らしいサービスのお店は大成功をおさめた。そして、パック氏は米国で開催されたサミットなどのシェフを努めるなど米国のトップシェフの座を獲得した。
その名声を背景に、氏の名前を付けた、パスタとピザを中心としたカジュアル業態のウオルフギャング・パック・カフェを開発した。オープンキッチンの中央には石釜を設置し、その石釜の周囲等にパック氏の奥さんのBarbara Lazaroff氏(有名なインテリアデザイナー)がデザインした、原色のカラフルなタイルを張りつめ、店内の内装はその色とコーディネートした新鮮なイメージのお店で、LA名物として全米で大人気となった。
次の開発はファースト・カジュアル業態のウオルフギャング・パック・エクスプレスだった。ピザとパスタ、そして調理済みのお持ち帰り惣菜などを組あわせたセルフサービス店舗で、LA空港やサンフランシスコダウンタウンのメーシーズ百貨店などに開業し、大成功をおさめた。その他、氏の名声を元に冷凍食品を製造販売する会社を設立するなど、会社の仕事の拡大を続けた。
しかし、数年前にファースト・カジュアルタイプのイタリアンチェーンを買収してから、その業績にかげりが出てきた。
2003年9月15日付けのニュースによるとWolfgang Puck’s casual-restaurant company, Wolfgang Puck Worldwide (以下WPW社と省略)が, 数店舗を閉店するか、業態変更をすると伝えてきた。
会社の創始者であるパック氏はカフェ業態の見直しと、買収したワシントン州に本部を構えるCucina! Cucina! Inc. の14店舗の見直し又は売却を検討し、ファースト・カジュアル業態に専念する。WPW社は25店のエキスプレスと15店のフルサービスの ウオルフギャング・パック・カフェ、21店舗のCucina! Cucina!を展開をしているが、複数の業態を抱えるのは難しいという結論に達したようだ。
すでに、2001年にはWPW社は冷凍食品部門を20ミリオンドルでコナグラ社に売却し、2001年末には業界の専門家をスカウト、ファースト・カジュアル業態のエキスプレスに集中する予定だ。エキスプレス1店舗の平均年商は1.8ミリオンドルにのぼり、収益性が高く、フランチャイズ化により2007年までに300店を開店する計画だ。しかし、業界筋は300店舗ものフランチャイズチェーン展開を行うにはかなりの資金力が必要であり、大幅な資本力の増加が迫られると見ている。
LA空港などのウオルフギャング・パック・エクスプレスは賑わっていたが、LA最大規模のサウスコースト・プラザ・ショッピングモールのウオルフギャング・パック・カフェは目の前に開店したローストビーフの名店、ローリーズの新しいファースト・カジュアル業態のカーバースに完全に負け、閑散としていた。
パック氏のようにブランドのある有名シェフであっても複数の業態を展開するのは難しく、大手チェーン傘下に入りファーストカジュアル業態に専念するか、パック氏の一番の強みである高級レストランビジネスに専念するか、の選択を迫られていると言うのが、厳しい米国外食業界の実状なのだ。
6)大手ファスト・フードの対応
2001年9月11日のテロ以降不振の米国外食業界にやっと回復の兆しが見え、て2003年6月29日の週から5週連続で増加して回復していたが、2009年のリーマンショックでまた不振に陥りだした。その要因は大手チェーン�レストランのマーケティングの強化によるものだ。
大手チェーンのマクドナルド、バーガーキング、KFCなどの大手ファストフードチェーンは、マーケティング活動を強化する際に、ファスト・カジュアルの台頭を重視した。大手ファストフード各社はファスト・カジュアル企業に出資したり、子会社にして、そのノウハウをメニュー開発に取り入れだした。
その結果、米国マクドナルド社の2003年10月22日の投資者向けの発表によると、健康志向に対応した新メニューのミール�サイズ�サラダが好調で、アメリカ国内のセールスの低下に歯止めがかかり、第3四半期の売上が12%向上した。
新商品のサラダ成功でホット一息ついたマクドナルド社だが、本当の回復にはほど遠いのが実状だ。コスト削減やサービス提供時間の短縮を目指して、メイド・フォー・ユーと言う食材別の保温保管システムを開発したが、それが品質を低下させ、同時に、ピーク時の提供時間を長くすると言う大問題を抱えてしまったからだ。
マクドナルド社は提供時間が速い、特にドライブスルーの提供時間が速いと言うのが売り物であった。しかし、メイド・フォー・ユーシステムの失敗とQSCに対する管理の甘さが、オペレーションを低下させ、米国ファーストフード業界で最も重要なドライブスルーでの評判を落としてしまった。
QSR Magazine誌は毎年、ファーストフードチェーンのドライブスルーサービスを採点している。調査は4月から6月の売上の安定した時期を選び、ランチタイムの11時から2時半、ディナータイムの4時から7時に計測する。対象企業は25のチェーンだ。調査内容はサービングタイム、正確さ(品忘れ、間違い)、メニューボードの見やすさ、スピーカーの聞きやすさ、等で総合評価する。
総合評価のトップ10位の順位は
1 Chick-fil-A
2 Taco Bell
3 Wendy’s
4 Burger King
5 El Pollo Loco
5 Jack in the Box
7 Taco John’s
8 Arby’s
9 KFC
10 Checkers
11 Whataburger
12 McDonald’s
となっている。
マクドナルドは総合で昨年4位だったのが最近はは何と12位まで下落している。その大きな原因は、正確さ(商品の取りそろえ間違い)の評価が19位と大幅に低下してしまったことだ。これは従業員教育に重大な欠陥があったと言うことで、今後大幅なオペレーションの見直しが必要となるだろう。
さて、ドライブスルーサービス総合順位で昨年まではウエンディーズが首位だったが、ウエンディーズ社もやや低下し、総合3位となっているが、平均サービングタイムは117秒で1年前に比べ10秒短縮し、他チェーンよりも30秒速くダントツの首位だ。その成果はドライブスルーの売上が全体の65%を占めるまでになっていることで伺えるだろう。
ウエンディーズ社もファースト・カジュアルで急成長しているバハ・フレッシュを買収しているが、その成績を見てみよう。
ウエンディーズ社の第3四半期は売上が大幅に伸びている。同時期に、直営及びフランチャイズ店舗が138店舗新規開店したからだ。内訳は68店舗のウエンディーズ、56 店舗のティム・ホートン(ドーナツ業態)、14店のバハ・フレッシュ(メキシカンのファースト・カジュアル業態)。ウエンディーズ直営店の第3四半期の既存店売上は0.5% アップ、ウエンディーズフランチャイズ店は0.9%アップだ。新商品のホームスタイル・チキン・ストリップスが好調で売上に貢献した模様だ。
ティム・ホートンはカナダで5.5%アップ、国内で6.8% アップと本体より好調だ。新鮮なコーヒーとメイプル・ピーカン・デニッシュの販売促進を9月に行い、それが大変好調だったからだ。
しかし、肝心のファスト・カジュアル業態のバハ・フレッシュは4.1%の売上減少となっている。そのため、1食当たり10gの脂肪分しかないローカロリーの「ライトン・アップ」メニューを開発するなど懸命だ。
ファーストフードがメニューに健康的なサラダや脂身の少ない鳥などを取り入れることにより、ファスト・カジュアルの優位性がなくなり売上を圧迫しつつあるのだ。
今後、ファストフードがどのようにファスト・カジュアルのメニューを取り入れ、それが、ファストフードとファスト・カジュアル業態にどのように影響を与えるか注目しなくてはいけないだろう。
7)食のトレンド、アトキンスダイエット
モスバーガーのヒット商品であるモス匠レタスはIN&OUTと言うファスト・カジュアル・ハンバーガーチェーンでプロテインという名前の裏メニューをヒントに開発した。メニューボードは勿論、店内に一切表示はないが、レジで注文した人に限って販売をしている。通常、焼いたビーフパティをバンズでサンドイッチする替わりに、レタスで巻いて食べる。
ハンバーガーチェーンのHardee’s(ハーディーズ)社も2003年12月15日に、新商品のLettuce-Wrapped Low Carb Thickburger(TM)を発表した。肉のサイズは1/3ポンド、1/2 ポンド、 2/3 ポンドの3種類で「Thickburger sandwiches」と名付けられバンズの代わりにレタスで巻いているものだ。
http://www.hardees.com/hotstuff.cfm
これはLow Carbと呼ばれるダイエットなのだ。別名、Atkins diet(アトキンス・ダイエット)と呼ばれる。
現在米国では、約3,200万人の人々がアトキンス・ダイエットというダイエットを試みている。その消費者の動向に敏感に反応したのが、日本にも進出している、T.G.Iフライデーズだ。2003年12月にTGI社はAtkins社とパートナーを組んでメニュー開発を行うと発表した。最初に開発したメニューは2種類の前菜、ほうれん草のディップとバッファローウイング。そしてメインディッシュは、ブルーチーズソースのニューヨークステーキ ブロッコリー添え。チーズバーガー、チキンとブロッコリー、炭焼きサーモン、ツナサラダラップ、等だ。米国料理に付き物のベイクドポテトやフレンチフライは付いていないが、肉や鶏魚やブルーチーズなどをたっぷり使った料理の何がダイエットなんだと疑問を抱かせられだろう。
http://www.tgifridays.com/menu/healthymenu.htm
アトキンズ・ダイエットとは、米国生まれでコーネル大学で医学博士号を取ったAtkins博士(1930 – 2003)が考案した。博士は心臓病を専攻しており、6500人の患者を取り扱った経験から、効果的なダイエット方法が心臓病を防げる思い独自のダイエット方法を編み出した。
博士は「人間のエネルギーは炭水化物 (carbohydrate) から作られるグルコースと脂肪 (fat)の2つのエネルギー源から作られる。一方のエネルギー源をなくしてしまえば、もう一方のエネルギー源が完全燃焼する効率が高くなり、肥満の元である使われないエネルギーがなくなるはずだ」と考え、「炭水化物の摂取をできるだけ削除する」というダイエット方法を編み出した。この方式では、従来のダイエット方法では摂取が制限されていた肉や魚、チーズや卵などの高タンパク、高脂肪のものを中心に食べて、メインのエネルギー源とする。従来のダイエット方法で摂取が推奨されている、ごはんやじゃがいも、パン、パスタなどの炭水化物は制限する。このため、このダイエット方式は、Low carbohydrate diet(低炭水化物ダイエット)と呼ばれるようになった。日本では「低インシュリン・ダイエット」という名前でも呼ばれている。
http://www2.plala.or.jp/eddie/slim1/sl114.htm
ベジタリアンやカロリー制限などの禁欲的なダイエットは長続きせず、ダイエットをやめたときのリバウンドが多く、大量に食べるのが好きなアメリカ人に取って大きな問題となっていた。肉好きなアメリカ人にとって、アトキンス博士の提唱する肉やバター、チーズ等を食べて良いというダイエット法は魅力的であり、外食企業にとってもベジタリアンメニューよりも採用が容易で利益率が高いと言う背景があったのだ。
ダイエットメニューが出てくると言うことは米国外食業界が低価格戦争から、品質の競争に入ってきたということで品質を訴え価格を上げる時期に来ていると言える。
ハンバーガートップ企業のマクドナルドは健康志向対策としてファスト・カジュアル業態数社を買収しているが、やはり本体にダイエットメニューのトレンドを取り入れざるを得なくなった。それは、米国でマクドナルド社に対して、「ティーンエイジャーが肥満になったのはマクドナルドの食事のせいだ」という訴訟が起こされたからだ。マクドナルド社は敗訴していないが、これがきっかけとなり、ハンバーガーやフライドポテト等のファスト・フードと肥満の結びつきに対しての懸念が消費者の間で高まり出し、マクドナルド社の対応が必要になった。
MOSバーガーの匠味レタスバーガーと同様のレタスを使ったハンバーガーは、マクドナルドのように米国内で2万店を越えるチェーンになると、レタスの消費量は半端ではなく不可能だ。年間を通して販売するためには米国内だけでなく、南米やオーストラリアから調達をしなくてはいけない状況だ。その貴重なレタスをロスなく使うためにビッグマックなどのレタスは細切りにしている。リーフレタスをふんだんに使うハンバーガーなどの販売は不可能なのだ。そのような制約のある中でどのように消費者の健康志向に対応しているのだろうか?
マクドナルド・カナダ社は、2004年3月までにカナダ国内1,300店舗で、サラダやグリル・チキン、そして幼児向けにグリル・チーズ・サンドイッチ、キャラメル・ソース付きのリンゴのスライス等をメニューに加えると発表した。その他、1,300店舗で2種類の以上のサラダとグリル・チキン・メニューを販売する予定だ。またお客様がより健康的な食事の選択できるように、ポスターやトレイライナーの裏面に、全てのメニューについてケチャップからダブルチーズバーガーまで細かくカロリーの表示を行うようにした。フレンチフライを注文すると付いてくるパッケージ入りのケッチャップだったら、2.4gの炭水化物を含有、ベーコン・ダブルチーズバーガーであれば25gの脂肪分と36gの炭水化物を含有している、等と表示をする。
米国内ではニューヨーク近郊で低炭水化物ダイエット用にメニューを特別オーダーできる”Real Life Choices.”キャンペーンテストを開始した。その内容は、クオーター・パウンダー(113gのミートパティの大型ハンバーガー)は38gの炭水化物を含んでいるが、バンズとケチャップを除くと7gになると告知し、客がバンズとケチャップを除いたクオーター・パウンダーを注文できるようにした。
ダイエット対策はメニューだけではない、イメージも重要なのだ。そこで大人向けヘルシー・ハッピー・ミール発売することにした。従来のマクドナルドのハッピー・ミールは幼児用の小さいサイズのミール・セットと玩具の組合わせだった。大人の組合せのGo Active! Happy Mealは主食となるサラダにボトルウオーター又はミーディアムサイズのソフトドリンクの組合せ、玩具の代わりに、有名人御用達のフィットネス・トレーナーBob Greene (ボブ・グリーン)のフィットネス・ガイドと万歩計が付け、$4.99で販売した。全国販売に先駆けてインディアナ州200店舗でテスト販売した。
また、地方自治体と提携した健康キャンペーンも開始した。テキサス市とは”Get Lean Houston”、オクラホマ市とは”Walk this Weigh”と言うフィットネスプログラム等の活動をサポートし、消費者の健康に貢献する企業だというイメージを打ち出している。
米国外では、オーストラリアでピタ・サンドイッチとベジタブルバーガーを、ヨーロッパ全体には既に英国で成功を収めているミールサイズサラダ展開をする予定だ。
8)中華のファースト・カジュアルPei Wai
1993年に創業のP. F. Chang’s China Bistro http://www.pfchangs.com/ がファースト・カジュアル業態のPei Wei Asian Diners を2000年7月にアリゾナに開店し、現在までに4つの州に20店を展開している。http://www.peiwei.com/
China Bistroはフルサービスの重装備のレストランであり、一つの町に1店舗以上開店すると自社内競合を引き起こす。そこで、China Bistroの周囲にカジュアル業態のPei Weiを衛星店として配置しようと言う考え方だ。
China Bistroは店内の内装のコンセプトは古代中国で、入り口には遺跡から発掘したかのように石造りの馬や兵士像が飾られている重厚な作りだが、Pei Weiの内外装はよりカジュアルな雰囲気で、店内にはいるとファースト・フードのようにレジが並んでいる。レジの横にはメニューボードがあり、それを見ながら注文をする。レジは2台あり1台は店内飲食用、もう一台は持ち帰り用だ。
ファースト・フードとの違いを認識させるのはレジ横に置かれたワインとビールだ。米国はキリスト教の影響から酒類販売に対する規制は厳しく、審査が必要なリカーライセンスを取得しなくてはいけない。また、酒類を提供するレストランで働く従業員の年齢制限がある場合がある。そのため、ファースト・フードやファミリー・レストランでは朝昼の需要が中心のため、お酒をおいていない。それに対して、ファースト・カジュアルの業態のほとんどは基準の緩いワインとビールを提供しディナー需要にも対応できるようにしている。
会計を終えてから数名の調理人が中華鍋で調理するキッチンの前を通り客席に案内される。キッチンを見せて、「あなたの料理をこれからここで作りますよ」と調理しているのをアッピールする仕組みになっているのだ。
China Bistroでは人気メニューの細切りチキンのレタス包み(本当の中華では鳩胸肉を使う)は6.50ドル、春巻きは2本で3.50に対して、Pei Weiでは5.95ドルと3.45ドルとほんの少し安いだけだ。メインディッシュは個人客の多いPei Weiでは2ドルほど安く設定し、ランチ対応として中華どんぶりや麺も6~7ドルで提供しているのが大きな違いだ。
そのため、ランチで軽く食事とアルコールを頼んでも12ドルほどになってしまう。決して安くない価格だ。そのため客席は年齢の高い身なりのキチンとした人が多い。今年度は15~17店のBistrosと 13~15のPei Weiを開店する予定だが、来年度はファースト・カジュアル業態のPei Weiの出店速度を加速するものと思われる。
P. F. Chang’s China Bistro 社がPei Weiを開発するに当たって参考にしたと思われるのがPick Up Stix社だ。http://www.pickupstix.com/Home.html
1990年に中国人移民のCharles Zhang氏がカリフォルニアに1号店を開いたのが同社の始まりで現在までに85店舗をカリフォルニアに開いている。同社の成功はP. F. Chang’s China Bistro と同様にアメリカ人の味覚に合うように油の使用量を減らし、代わりにワインを加えるという工夫をしたことだ。
同社は2001年春にCarlson Restaurants Worldwide Inc.に買収された。同社は56ヶ国にカジュアルレストランのT.G.I. Friday’s等を展開している(日本ではワタミフードサービスが提携し展開中)。
さて、Pick Up Stixの店舗を訪問したが、店舗は薄汚れ従業員の動きは緩慢だった。店舗デザインもカウンターを中心とした安っぽい作りであり、料理はテイクアウト対応の為か全て使い捨てのペーパー容器で提供される。味も労働者向けのような濃い味付けだった。
Pei Weiはファースト・カジュアルの主要顧客である18才~34才の年齢層で平均的な年収が75000ドルと言う裕福な顧客を獲得するために、比較的裕福な住宅地に隣接した小型のショッピングモールに立地しているが、Pick Up Stixの立地はテイクアウトという面から労働者階級の来るような安い立地を選定し、そのためファースト・カジュアルと言うコンセプトとはややはずれた店舗形態となっているようだ。
中華ファースト・カジュアル業態にはシカゴのLettuce Entertain You Enterprises, INC. http://www.leye.com が開発し、カジュアル・レストラン・チェーンの最大手Brinker International社 http://www.brinker.com/ に売却し展開を加速しているBig Bowl http://www.bigbowl.com/ もあり、今後の競争に注目される。
9)ドーナツのクリスピークリーム
米国人にとってドーナツは朝食に必要不可欠の存在だ。早朝から働く米国人に取って、朝食は欠かせない存在だが、忙しい人の中にはコーヒーとドーナツで手軽に朝食を済ませる人も多い。ドーナツの適度な甘みが能を活性化をさせると信じているからだ。米国企業と取引をすると、早朝からの朝食ミーティングが多い。企業研修などでは授業を朝7時から始めることがある。そうすると食事ができないので、朝食を摂りながら会議をしたり、授業をする。玉子とベーコンと言う米国的フルブレックファーストを摂りながら会議をすることは不可能だ。そこで、テーブルの上にドーナツやペイストリー、コーヒー、ジュース、ミルク、を並べセルフサービスで食べながら会議を進行する。効率を追求する米国企業に取ってドーナツは必要不可欠な食べ物なのだ。また、米国人の昼食は日本人と比べると質素で、通常の昼食時間は30分ほどで、ブルーワーカーであればサンドイッチとフレンチフライにコーラと言う食事だ。オフィスワーカーは時間に追われているから場合によっては昼食抜きだったり、コーヒーやコーラとドーナツかクッキーと言う簡単な物だ。
朝食としてのドーナツマーケットはにおいて、ダンキンドーナツhttp://www.dunkindonuts.com/(ちなみに、ミスタードーナツはすでにない)は長年首位の座をしめていたが、その首位のダンキンドーナツの座を脅かす存在が誕生した。全米で人気沸騰中のドーナツチェーン「クリスピークリーム」だ。http://www.krispykreme.com/
米国レストラン業界売り上げ順位45位、2002年の売上げ745億円、全米37州に277店舗を展開。売り上げ伸び率38%増と、スターバックスの同25%増をはるかに上回る勢い。米国でいまこれだけ伸びている企業はない。
創業者がフランス料理のシェフから、イーストドーナッツのレシピを買い、ノースカロライナ・ウインストンセーラムの小さな工場で1937年に創業した。工場の前の道路にホットフレッシュという看板を掲げて、「いま揚げたてですよ」と謳って販売をしたのが始まりだ。
それがいまブームになったのは以下の3つの理由だ
①信頼できる商品
ファーストフード店舗の厨房は客からは全く見えず、手作り感がなく、どうやって作っているか分からず、美味しさを感じさせない。そこで、クリスピーは、「ドーナツシアター」と呼ぶ工場で、作っている様子をガラス張りにして見せて、出来立てのフレッシュ感をアピール、徹底的に鮮度と味と清潔感にこだわった。従来のドーナッツは冷めたものを売るのが当たり前だったが、できたてのアツアツのドーナツを売ることで大ブレークした。
②ドーナツへのこだわりと高い商品イメージ
ダンキンドーナツはドーナツ以外にもベーグルなども加えて売り上げを上げようとして、それがドーナツ店としてのイメージを薄くしているが、クリスピーはドーナツにこだわり、高級なドーナツとしてのイメージを植え付けた。
クリスピークリームは製造工程の合理化という面ではマクドナルドに見習ったが、商品イメージという意味ではスターバックスを見習っている。マクドナルドは大量のテレビコマーシャル放映やディスカウント戦略で売り上げを上げているが、スターバックスはテレビコマーシャルをせず、産地への援助やチャリティで商品イメージを高く保っている。クリスピーはそれを見習い、テレビコマーシャルを一切行わず、チャリティに積極的に取り組んでいる。ドーナツを買う毎に寄付を自動的に行う仕組みだ。チャリティに積極的に取り組むのはキリスト教の信仰心の厚い、比較的裕福な人たちであり、その人達の信頼を勝ち取ったクリスピーのドーナツはダンキンドーナツよりも一段上の商品イメージを獲得することに成功したのだ。
ダンキンドーナツなどは空腹をみたす食品の位置づけだが、クリスピークリームはご馳走として認識されており、ビジネスマンが他社を訪問する際にお土産としてクリスピークリームを一箱(ダース)持参すると、オフィスの人たちが集まってきて大人気となっている。
③カンファタブルフード お袋の味
イラク戦争や不景気の影響から、人々は不安感にさいなまされるようになっている。そんなときには心が和む、ホットするような食品を食べたくなる。ドーナツというのは歴史のある家庭で作る簡単な料理だ。いわばお袋の味である。しかも、クリスピークリームのドーナツはダンキンドーナツなどの従来の堅いドーナツと異なり、「口にいれたらとろける」フワーッとしたドーナツは、不安を癒す最適の食品となって人気を呼んでいるのだ。
クリスピークリームのドーナツシアター(工場)の詳細報告。
午前10時にショッピングモールの入り口にある独立店のドーナツシアターを訪問した。工場の中には40席ほどのイートインスペースとドライブスルー機能を備えている。驚いたのは他のファーストフードががらがらの時間に続々と客が訪問し、1ダース入りのドーナツを2~3ケースと大量に買い求めていくことだった。しかもドライブルーは常に車が5台ほど並んでいるという大盛況だ。その理由は
①ガラス張りのキッチンで信頼できる商品を作る
ファーストフード店舗の厨房は客からは全く見えず、手作り感がなく、どうやって作っているか分からず、美味しさを感じさせない。そこで、クリスピーは、「ドーナツシアター」と呼ぶ工場で、作っている様子をガラス張りにして見せて、出来立てのフレッシュ感をアピール、徹底的に鮮度と味と清潔感にこだわっている。従来の冷めたドーナッツと違いアツアツのドーナツを売ることで大ブレークした。
工場は清潔でゴミ一つ落ちていない。ドーナツをこねる工程から、品質チェック、発酵、揚げる、グレージング(ハニーディップをかける)、冷却工程、全てをガラス張りで公開している。ガラス張りの部分には高い段をつけて、幼稚園くらいの小さな子供でも見学できるようにしている。
毎日、幼稚園や小学校の見学を受け入れており、30分ほどの見学の後は、帽子とパンフレット、揚げたてのドーナツとソフトドリンクが無料で振る舞われます。小さな子供だからお母さんもついてくるが、お母さん達にもドーナツをくれる。子供もお母さんもニコニコだ。
②品質の差別化 ドーナツへのこだわりと高い商品イメージ
ダンキンドーナツはドーナツ以外にもベーグルなども加えて売り上げを上げようとして、それがドーナツ店としてのイメージを薄くしているが、クリスピーはドーナツにこだわり、高級なドーナツとしてのイメージを植え付けた。
シアタータイプの大型店ではドーナツの製造能力は4万個から8万個あり、通常のダンキンドーナツ店舗の10~20倍以上の能力を誇る。http://www.dunkindonuts.com/
クリスピークリームは機械で加工するので、かなり柔らかい生地でも加工が可能であり、揚げた後に口の中に入れるとまるで溶けるような柔らかさとなる。ドーナツの種類はイースト菌発酵のドーナツとベーキングパウダーで膨らませるタイプのケーキとチョコレートケーキ、そして、玉子の黄身の力で膨らませるフレンチクルーラーという4つの生地に分かれる。
クリスピークリームはその4種類を製造しているのだが、イースト生地の味がフレンチクルーラーのようにクリーミーで柔らかい。しかも熱々の状態で食べても大丈夫だ。これには驚かされた。そして、シアターを訪問すると必ず試食の熱々のハニーディップを丸ごと1個食べさせてくれる。その気前の良さに思わず1ダースを買い求めてしまう。普通はドーナツを縦にして箱に入れるが、クリスピークリームはドーナツの形を崩さないようにケーキのように上向きに並べて、彩りを楽しめるようにしている。
米国では手土産の習慣はあまりないが、その中でも別格なのはクリスピークリームだ。1ダースのドーナツをお客様のオフィスや部下の女性スタッフにお土産に持っていくと大歓迎され、仕事がはかどるという。そこで、男性のお客様も朝から、まるで高級なケーキのように1~2ダースを買い求めに来るわけだ。
③マーケティング チャリティーの活用
マクドナルドは大量のテレビコマーシャル放映やディスカウント戦略で売り上げを上げるが、スターバックスはテレビコマーシャルをせず、産地への援助やチャリティで商品イメージを高く保っている。クリスピーはスターバックスを見習い、テレビコマーシャルを一切行わず、チャリティに積極的に取り組んでいる。店舗でドーナツをダースで買うと、オリジナルグレイズドで5.99ドル(1個75セント)。アソーティッドで6.49ドル1個85セント)だ。それをチャリティの申込用紙に記入し提出すると、ディスカウント価格で購入できるので、その差額分がチャリティの収益となる仕組みだ。チャリティに積極的に取り組むのはキリスト教の信仰心の厚い、比較的裕福な人たちであり、その人達の信頼を勝ち取ったクリスピーのドーナツはダンキンドーナツよりも一段上の商品イメージを獲得することに成功したのだ。しかもチャリティで大量に販売してくれることで販路ともなるし、チャリティで食べた人が美味しさに目覚め、店舗を訪問してくれるなど大きな販売促進の手段ともなる。
10)サンドイッチのパネラブレッド
本社はミズリー州、リッチモンドハイツにあり、直営店を132店とFC346店を現在32州にわたり展開している。
パネラブレッドは元々はフレンチサンドイッチショップカフェを経営している、Au Bon Pain Co., Inc.(オー・ボン・パン)として1981年3月にボストンで設立された。
http://www.aubonpain.com/
http://www.nrn.com/sitesearch/search.cfm
その後、東海岸を中心にチェーン展開をしていった、Au Bon Painの店舗は、店内でパンを焼き上げ、そのパンで新鮮なサンドイッチを作るという物で、サブウエイなどのサンドイッチよりより高級なイメージで80年から90年にかけて急成長を遂げた。サンドイッチだけでなく、欧風の濃いブレンドのコーヒーを特別開発のコーヒーマシンで抽出し、提供するグルメコーヒーとしても人気を呼んだ。そのコーヒーマシンに注目したスターバックスは同社の主力のコーヒーマシンとして採用するようになった程だ。
急成長する勢いで、1993年の12月に同社はSaint Louis Bread Co.(セントルイスブレッド) と言うセントルイス市にサンドイッチカフェを直営19,フランチャイズ1店舗を経営する会社を買い取った。このお店はサンフランシスコ名物のサワードー(酸っぱい独特の香りのするパン)を売り物にした。その後、パンやベーグル、ビスケット、等だけでなく、客の好みで組み立てるサンドイッチや、健康的なイメージのサラダ、サワードーをくりぬいて入れたスープ等を加えるようになった。1998年、当時の社長のRon Shaich氏は、Saint Louis Bread Co.と言うチェーン名をPanera Bread.に変更した。
そして、大規模な製パン工場を設立し、チェーン展開へ加速を付け、かつ、原材料費を削減しようと目論んだ。しかし、その大規模な製パン工場の投資額は多額で、大きな負担となってしまった。また、同時期にニューヨークなどの大都市に展開をしていた、Au Bon Painのサンドイッチショップはスターバックスなどの競合相手の進出により売上に大きなダメージをうけ、前年対比売上が低下し、同社の資金繰りを圧迫し始めた。
やむなく、1999年5月にAu Bon Pain Co.は母胎であったAu Bon Pain bakery-cafe business 部門を売却し、会社の名前をPanera Bread Company.に変更し、Panera Breadと Saint Louis Breadと言うブランドに専念しだした。
結果的にイメージの古くなったAu Bon Pain Co.のサンドイッチ業態から、より高所得者層にアッピールする、健康的なイメージの焼きたてパンとスープ、サラダに商品を転換することで、ファーストカジュアルのジャンルの中で大人気となったわけだ。
ファーストカジュアルが注目されているのは規模が小さいのにも関わらず、顧客のブランドに対するロイヤリティが高く、それが企業イメージをあげ、売上の対前年伸びが大変高いと言うことだ。
TNS Intersearch社が作成した米国人1000名に行ったアンケート式の消費者調査。http://www.tns-i.com/ Fast Food Consumer Commitment Study によると、ハンバーガーのジャンルの売上で、1位はマクドナルド、2位はバーガーキングだ。2002年はマクドナルドとバーガーキングは合計で$909.4 millionドルを広告宣伝で使用し、その結果マクドナルドには4%、バーガーキングには6%の人がブランドロイヤルティを感じている。2大チェーンよりも売上の遙かに低い、サブウエイとウエンディーズは合計で $498.7 millionドルを広告宣伝に使用したが、サブウエイには12%、ウエンディーズには10%の人がブランドロイヤルティを持っており、遙かに効率が高いといえる。
さらに、10人の内3人の消費者はどのファーストフードのブランドにもロイヤリティを感じてない。ファーストフードに行く顧客の内、5人に1人はたった一つのブランドにロイヤルティを感じているだけだ。地域限定のチェーンとしてはPanera Bread, In-n-Out(西海岸中心のハンバーガーチェーンで、日本のモスバーガーのように人気が高い), Chipotle(マクドナルド傘下のメキシコ料理チェーン。味は一番美味しい) 、Chick-fil-A(南部、アトランタ周辺のチキンサンドイッチチェーンで、大変高く評価されている)、に対して消費者はもっとも高いブランドロイヤルティを持っている、と言う調査結果が出ている。その結果、パネラブレッド社の直近、8月のデーターでは第2四半期の売上は対前年26%アップで、利益は47%と大変好調なのが、その消費者ブランド調査の結果を裏書きしているといえるだろう。
12)急成長してきたスターバックスへの包囲網
業界一位のマクドナルド社の売上げは10年間で1.7倍になったのに対して、スターバックス社の売上げは17倍、売上順位は10年前の56位から7位。同業のダンキンドーナツ社は10年前の16位から11位、売上げは2.06倍に過ぎないのに対して、スターバックス社の成長振りは素晴らしいものがある。しかし、2007年に入り、そのスターバックス社の成長神話に陰りが見えてきた。
その第一弾が、米国最大の消費者情報雑誌のコンシューマーレポート誌2007年3月号(2月2日発売)のコーヒーの比較調査だ。
比較テストはコンシューマーレポート誌の担当者とコーヒーの味覚テストの専門家によって実施された。2006年の11月に各企業の2店舗から、砂糖とクリームを入れない中サイズのコーヒーを購入し評価を行った。
その結果、マクドナルドのコーヒーは「1.35ドルで、上品で適度なコクがある。欠点はない」と高く評価された。
バーガーキングは「1.40ドルでコーヒーのようだがお湯のように薄く酸味がある。またかすかにチョコレートの香りがする」
ダンキンドーナツ「1.65ドルで水っぽく、スターバックスよりも高い。普通の味だが魅力がない。もし、家でダンキンのコーヒー豆で淹れるのなら濃くした方が良い」
スターバックスは「1.55ドルで濃いが焦げて目から涙が出るほど苦い味がするので目が覚める」と酷評された。
第2弾がスターバックス社の社内メモの流出だ。スターバックス創業者のハワード・シュルツ会長が2月14日に同社の幹部に送ったメールには「店舗の雰囲気やデザインが金太郎飴のように、どの店も同じ印象になって安っぽくなった。コーヒー豆の包装を変更(flavor-lock bags)したことにより店舗で、豆を挽く必要がなくなりコーヒーの香りが無い。また、大きく背の高い全自動のエスプレッソマシンの採用により、バリスタがコーヒーを丁寧に淹れている姿を見ることができないし、バリスタとのコミュニケーションもとることができない。スターバックスブランドがコモディティ化しているのではないか?」と述べられている。メモは幹部がブログに掲載して公となり業界は騒然としだした。
第3弾は3月に発表されたブランド�キー社による2007年顧客満足度調査だ。
その調査結果は1位ダンキンドーナツ、2位がスターバックス、3位がクリスピークリームと言う衝撃的な結果だった。調査内容は「便利な立地」�価値感�「店内での経験とサービス」「味などの品質と商品の品揃へ」の4つだ。
ブランドキー社のロバート�パッシコフ社長は
「コーヒーとデザートの分野では長らくスターバックスの顧客はスターバックスに最も強いロイヤリティを持っていたが、その評価に変動が起き、現在はダンキンドーナツが一位という大変優位な立場となった。スターバックスはコーヒー分野のブランドからライフスタイル分野のブランドへ移行してしまい、音楽CDやサンドイッチ、新聞などの商品を販売しだしてしまった。スターバックスは本質的にお店での体験が重要なブランドであることを忘れ去ってしまったのだ。店舗での体験が大変重要であると言う本質を見抜いたダンキンドーナツは、全世界の店舗のイメージアップを図る明確なマーケティング戦略を実行した。ダンキンドーナツは新たにシェフを採用し新製品を積極的に開発販売をしているが、その商品開発はコーヒーと菓子の分野に限定している。」と語っている。
調査においてダンキンドーナツは「店内での経験とサービス」「味などの品質と商品の品揃へ」の2項目においてスターバックスよりも高い評価を勝ち取った。ダンキンドーナツは米国34の州に5300店舗を展開しているのに対し、スターバックス社は50の州に8800店舗を展開しているにもかかわらず「便利な立地」と�価値感�という評価ではスターバックスと均衡した評価であった。
この調査の結果に元気付いたダンキンドーナツ社は、店舗展開においてミシシッピー州以西において70店舗あるに過ぎないのでそれらの地域への積極的な展開図ることにした。そこで、ダンキンドーナツ社はプロクター&ギャンブル社と米国内の食品スーパー数千箇所でダンキンドーナツ社のコーヒー豆を販売する業務提携を結び、新しい地域でブランドイメージを向上させ、フランチャイズ展開に拍車をかけることにした。
このように苦境に陥りつつあるスターバックスへさらに、ファストフード業界の逆襲が始まるなどコーヒー業界はホットな話題を提供しだしている。
スターバックスの躍進の犠牲になったチェーンは数多くいる。その典型的な犠牲者はオウ・ボン・パンと言う
2007年3月12日 のNRN誌は
ファスト・フード各社はスターバックス等のファスト・カジュアルの台頭に対処するために店舗のイメージアップに真剣に取り組み始めた。スターバックスがコーヒーのジャンルでトップの評価を得たのは味だけでなく、サードプレイスと言う快適な雰囲気作りだ。それに気がついたファスト・フード業界は真剣なイメージチェンジを開始した。
店舗改装によりイメージチェンジを図るのは外食業界にとっては当たり前のことだ。しかし、ここ数年、ファスト�フード業界はお洒落なカフェ風のファスト・カジュアル業態に顧客を奪われており、根本的な対策を迫られていた。
西海岸のハンバーガーチェーンのジャック・イン・ザ・ボックス社は今年度中に200店舗を改装する。改装に際しては大胆でカラフルなグラフィックスを採用し、高級感の溢れる家具を使う予定だ。
ファスト・フード店は金太郎飴のようにどのお店も同じデザインで、原色を使った古臭い内装と安っぽいプラスチックの家具を使用している。照明も単に明るいだけで、店内には販促のポスターが一面に貼られており味気ない。
そこで、新店舗ではより落ち着いた自然な色彩、ソフトな照明、居心地の良い家具、暖かい印象の床や壁、活きた植物、等を取り入れる。
具体的には、ブース席、テーブルの変更に始まり、赤白の企業テーマカラーから自然な色への変更、大胆なグラフィックスの採用、吊り下げ照明の採用、タイルフロアー、地域性に合わせたバックグラウンド音楽、お洒落なメニューボード、黒のTシャツと言うお洒落なユニフォームの採用などだ。また、店内のテレビにはスポーツ番組、ニュース,天気予報などを流す。
内装だけでなく、店舗外装も新鮮なイメージを感じさせるように改装する。
店舗外観の変更点は、豊富な花や植物の庭、整然としたドライブスルーラインで、それらは新しいロゴマークと一体のイメージとなる。
同社は現在2088店舗を展開しているが、今年は200店の内外装を改装し、今後5年以内に全店舗の改装を行う予定だ。
ファスト・フード店では、ドライブスルーを利用する客が増えており、車を降りないケースが殆どだが、それでも居心地のよい内装は競争に打ち勝つために重要だと経営者は感じている。
その他の、マクドナルド、ウエンディーズ、サブウエイ、アービーズ、KFC、ダンキンドーナツ、などのファスト・フード企業は改装した店舗の売上げが伸びると実感している。
あるコンサルタントは「ファスト�カジュアル業態が消費者に人気が出ていることを、ファストフード業界は深刻な脅威と捉えている。そこで、ファスト�カジュアル業界が何故顧客に人気があるかを分析し、その人気要因を取り入れようとしている。ファスト・フード業界はファスト・カジュアルの成功者、パネラブレッド、ペイウエイ、スターバックスを研究しその雰囲気と内装を取り入れようとしている。」と語っている。
5200店舗を展開するダンキンドーナツはフィラデルフィアで、新しいロゴマーク、入り口のネオンサイン、コーヒーとベーカリー商品の訴求、を取り入れた店舗の内装デザインをテスト中だ。
ダンキンドーナツ社の改装担当者は「当社の顧客のアンケート調査によると、顧客はお洒落な椅子テーブルやインターネット接続ではなく、清潔な店内で美味しい料理と飲み物を手ごろな価格で楽しみたいと望んでいる」と語った。
現在は、店内でのインターネット接続サービスは、マクドナルド、サブウエイ、等の思いがけないチェーンで提供しています。シカゴのサブウエイのフランチャイジーは最近、7店舗にインターネット接続を導入した。7店舗の内3店舗は、ちょっと古臭いがイタリア・トスカーナ地方のデザインに変更し、経営者はこれにより売上げが10~20%上昇すると見込んでいる。
サブウエイ本社は、従来の都市型のお洒落な内装に代えて、ヨーロッパ風な内装に変更することにした。イタリアのトスカーナ地方の内装にする理由は創業者のフレッド・デルーカ氏の出身地だからだ。
マクドナルド社は店舗改装でも先頭を切って頑張っており、すでに6000店舗の改装を終了した。店内内装の変更の内容は、従来の硬いプラスチックの椅子の替わりにふかふかの肘掛け付のソファー、天然素材に見える材料の使用、蛍光灯ではなくソフトな照明の採用、柔らかいパステルカラーの色彩、プラズマテレビジョン、などだ。
KFC社は新しい内外装のパッケージを開発し、それらを2008年までにフランチャイジーが採用することを義務付けている。改装費用は25万ドル~50万ドルだ。
消費者ブランド調査のコンサルタント会社のブランド�キー社Brand Keys consulting firmは「消費者が何処で食事をするかを決定する際には、店舗の外装が大きな決定要因となっている。店舗のサービスと店舗での内外装の雰囲気はブランドを確立する上で大変重要な要素となってきている。」と語っている。
マクドナルド社は2005年の創業50周年に際して、シカゴ・ダウンタウンにあったロックン�ロール�マクドナルド店を大改装し、創業者のレイ�クロック氏が創業した1号店を模した、巨大な2階建ビルにした。同時に本社のあるシカゴ郊外オークブルックの旧本社前の店舗を2階建ての近代的な外観にしました。店内にはプラズマディスプレーがところ狭しと並べ、一階の通常のカウンターの他に、マックカフェも備えている。店内の床は従来のタイルからカーペットに変更され、椅子も柔らかいソファーに変更。また、インターネットの接続やミーティングスペースも用意している。
さらに、ユニフォームも著名なデザイナーを採用して、アルバイトが遊びに行く時にもプライドを持って着用できるような素晴らしい物にすると意気込んでいる。
味だけでなく、店舗の内外装、雰囲気を向上して、スターバックスを始めとするファスト�カジュアル業態への逆襲が始まるようだ。今後、どうなるか注目しなくてはいけないだろう。
以上
2007年3月12日 のNRN誌
FF各社はファスト・カジュアルに対処・店舗のイメージアップ
金太郎飴のような同じデザイン・原色を使った古臭い内装と安っぽいプラスチックの家具。照明も明るすぎ、店内には販促のポスター。
スターバックスのサードプレイス
より落ち着いた自然な色彩、ソフトな照明、居心地の良い家具、暖かい印象の床や壁、活きた植物。
ブース席、テーブルの変更。赤白の企業テーマカラーから自然な色へ。
大胆なグラフィックス。吊り下げ照明。タイルフロアー。
地域性に合わせたバックグラウンド音楽。お洒落なメニューボード
お洒落なユニフォームの採用。
店内のテレビにはスポーツ番組、ニュース,天気予報などを流す。
内装だけでなく、店舗外装も新鮮なイメージを感じさせるように改装する。
店舗外観の変更点は、豊富な花や植物の庭、整然としたドライブスルーラインで、それらは新しいロゴマークと一体のイメージとなる。
同社は現在2088店舗を展開しているが、今年は200店の内外装を改装し、今後5年以内に全店舗の改装を行う予定だ。
ファスト・フード店では、ドライブスルーを利用する客が増えており、車を降りないケースが殆どだが、それでも居心地のよい内装は競争に打ち勝つために重要だと経営者は感じている。
その他の、マクドナルド、ウエンディーズ、サブウエイ、アービーズ、KFC、ダンキンドーナツ、などのファスト・フード企業は改装した店舗の売上げが伸びると実感している。
あるコンサルタントは「ファスト�カジュアル業態が消費者に人気が出ていることを、ファストフード業界は深刻な脅威と捉えている。そこで、ファスト�カジュアル業界が何故顧客に人気があるかを分析し、その人気要因を取り入れようとしている。ファスト・フード業界はファスト・カジュアルの成功者、パネラブレッド、ペイウエイ、スターバックスを研究しその雰囲気と内装を取り入れようとしている。」と語っている。
5200店舗を展開するダンキンドーナツはフィラデルフィアで、新しいロゴマーク、入り口のネオンサイン、コーヒーとベーカリー商品の訴求、を取り入れた店舗の内装デザインをテスト中だ。
ダンキンドーナツ社の改装担当者は「当社の顧客のアンケート調査によると、顧客はお洒落な椅子テーブルやインターネット接続ではなく、清潔な店内で美味しい料理と飲み物を手ごろな価格で楽しみたいと望んでいる」と語った。
現在は、店内でのインターネット接続サービスは、マクドナルド、サブウエイ、等の思いがけないチェーンで提供しています。シカゴのサブウエイのフランチャイジーは最近、7店舗にインターネット接続を導入した。7店舗の内3店舗は、ちょっと古臭いがイタリア・トスカーナ地方のデザインに変更し、経営者はこれにより売上げが10~20%上昇すると見込んでいる。
サブウエイ本社は、従来の都市型のお洒落な内装に代えて、ヨーロッパ風な内装に変更することにした。イタリアのトスカーナ地方の内装にする理由は創業者のフレッド・デルーカ氏の出身地だからだ。
マクドナルド社は店舗改装でも先頭を切って頑張っており、すでに6000店舗の改装を終了した。店内内装の変更の内容は、従来の硬いプラスチックの椅子の替わりにふかふかの肘掛け付のソファー、天然素材に見える材料の使用、蛍光灯ではなくソフトな照明の採用、柔らかいパステルカラーの色彩、プラズマテレビジョン、などだ。
KFC社は新しい内外装のパッケージを開発し、それらを2008年までにフランチャイジーが採用することを義務付けている。改装費用は25万ドル~50万ドルだ。
消費者ブランド調査のコンサルタント会社のブランド�キー社Brand Keys consulting firmは「消費者が何処で食事をするかを決定する際には、店舗の外装が大きな決定要因となっている。店舗のサービスと店舗での内外装の雰囲気はブランドを確立する上で大変重要な要素となってきている。」と語っている。
マクドナルド社は2005年の創業50周年に際して、シカゴ・ダウンタウンにあったロックン�ロール�マクドナルド店を大改装し、創業者のレイ�クロック氏が創業した1号店を模した、巨大な2階建ビルにした。同時に本社のあるシカゴ郊外オークブルックの旧本社前の店舗を2階建ての近代的な外観にしました。店内にはプラズマディスプレーがところ狭しと並べ、一階の通常のカウンターの他に、マックカフェも備えている。店内の床は従来のタイルからカーペットに変更され、椅子も柔らかいソファーに変更。また、インターネットの接続やミーティングスペースも用意している。
さらに、ユニフォームも著名なデザイナーを採用して、アルバイトが遊びに行く時にもプライドを持って着用できるような素晴らしい物にすると意気込んでいる。
味だけでなく、店舗の内外装、雰囲気を向上して、スターバックスを始めとするファスト�カジュアル業態への逆襲が始まるようだ。今後、どうなるか注目しなくてはいけないだろう。
参考文献
コンシューマーレポート誌記事
http://www.consumerreports.org/cro/food/coffee-taste-test-3-07/overview/0307_coffee_ov_1.htm
ハワード・シュルツ氏のメモ
ブランド�キー社発表の2007 Consumer Loyalty Engagement Survey of more than 20,000 consumersと言う消費者の顧客満足度調査。(ボストン�ヘラルド紙3月5日号)