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2009年7月号 新型インフルエンザ対策


食品スーパーのための"鉄壁・徹底"衛生管理の最新ポイント
新型インフルエンザ拡大防止で確認すべき衛生管理の基本と徹底


 豚インフルエンザが原因とみられている新型インフルエンザによる感染者がメキシコ、米国の他、日本でも患者数が400人を超えようと言う事態となり、関西では学校が休校となり、商店街の人出は半減し商店などの売り上げは激減している。現在はやや沈静化しているが、今回の豚インフルエンザが変異して発生した新型インフルエンザや、これから発生が予測される鳥インフルエンザ変異の新型インフルエンザは食品小売業に大きな影響を与えるだろう。

 それは食品小売業で販売する豚肉や鶏肉に関連すると言うイメージ上の問題と、感染を恐れて買い物に行かなくなったり、従業員が罹患し販売することもできなくなり、売り上げが激減すると言うことだ。今回の新型インフルエンザによる企業倒産もあり得る緊急事態だ。

 従来の食品小売業や外食業の衛生管理の基本は「食中毒菌などを、つけない、ふやさない、殺す」というもので、外部から菌を店舗に持ち込まないようにすることであった。外部から菌を持ち込むのは、従業員や仕入れ業者、顧客などの人間や昆虫、ネズミ類であり、従業員が店舗に入る時には菌を持ち込まないように、清潔なユニフォームに着替え、靴を履き替え、手を洗浄殺菌することで防ぐことができた。虫やネズミは専門の業者による定期的な駆除作業と店舗の扉を常時閉じておくことであった。また、仕入れの食材に付着している菌の増殖を防ぐための温度管理と、ついている菌を殺す調理温度まで加熱することで防ぐことができていた。しかし、1990年代に発生した、出血性大腸菌o-157による食中毒の死者は、より具体的な対策を要求し、従来の「つけない、増やさない、殺す」の対策に、HACCPの厳格な温度と時間管理とマニュアル管理を付け加えた。

 しかし、最近の生牡蠣を原因とするノロウイルスの食中毒は、患者の嘔吐物が乾燥し、含まれたノロウイルスが空気中に拡散し、ノロウイルスに感染すると言う従来の衛生管理の手法に疑問を抱かせるようになった。
 そして、新型インフルエンザの出現が、食品小売業や外食業の衛生対策を根本から揺るがせることになった。それは、以前世界的に大流行し数多くの死者を出した、香港風邪の際に、推定では日本の半分の人口が感染したと推測されると言う患者数の多さだ。流行第波の感染者数は少なかったが、第2波の感染者数が大幅に増えたと言われている。つまり、新型インフルエンザが発生すればいずれ、人口の半分近い人が感染すると言うことで、ほとんど防ぐことができないという怖さだ。

 この新型インフルエンザの対策は感染することを前提にして、どのように被害を少なくするか、インフルエンザへの感染の速度を遅くして、できるだけ企業活動に及ぼす被害を少なくするか、という課題だ。従業員の職場での衛生管理だけではなく、従業員の家庭から会社までの総合的な健康と衛生管理が必要になると言うことである。

 もう一つは食品小売業の従業員が新型インフルエンザに罹患したり、食品小売業を利用した顧客が店舗で罹患したことなどを報道されると、甚大な風評被害を発生すると言うことだ。つまり、従業員や顧客が新型インフルエンザに罹患しにくい体制を作り上げないといけないと言うことだ。

ではこの危機をどのように管理していくか、重要な順に見てみよう。

(1) 企業や従業員は、自ら情報を常に把握する
 新型インフルエンザの罹患状況は時々刻々と変わるし、必要な対策も変化する。紙などの印刷物では情報が遅くなるので、常に、政府や医療機関などのインターネット上の情報をチエックしておく。
 以下に主な新型インフルエンザ関連の情報サイトをリストアップしたので参考にしていただきたい。

1)国立感染症研究所 感染症情報センター 
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
2)内閣官房
 http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html
3)厚生労働省
 新型インフルエンザ関連情報
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
 厚生労働省検疫所(海外から帰国する際の注意)
 http://www.forth.go.jp/

4)農林水産省
 新型インフルエンザ対策
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html
 食品関連事業継続の注意
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/pdf/kani.pdf
5)産業経済省
 http://www.meti.go.jp/press/20070327007/20070327007.html
 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai21/siryou10.pdf
6)国土交通省
 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/15/150325_.html
7)文部科学省
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/11/05112500.htm
8)日本医師会 感染症危機管理対策室の情報
 http://www.med.or.jp/kansen/swine/
9)東京都福祉保健局
 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/infuruenza/
10)全国保健所長会(各地区の保健所の対策) 
 http://www.phcd.jp/shiryo/shin_influ.html
11)東京商工会議所作成の企業のとるべき対策
 http://www.tokyo-cci.or.jp/chiiki/influenza/influenza.pdf
12)社団法人日本セルフサービス協会の情報
 http://www.jssa.or.jp/
13)日本百貨店協会
 http://www.depart.or.jp/common_depart_associate_news/list
14)日本フードサービス協会
 http://www.jfnet.or.jp/

(2) 企業の事前の対策
1)店舗に供給すべき、常備すべき資材・備品
<1>店舗としての備蓄の必要な資材
 今回、流行が始まるとあっという間にマスクやうがい薬が薬屋の店頭から消えた。これらの必要な資材と備品を常に備えておくべきだろう。
 必要な資材や備品は、消毒用の薬用うがい薬、うがい用のペーパーカップ、手拭き用のペーパータオル、手洗い用洗浄殺菌剤、手指殺菌消毒用のアルコール(顧客用、従業員用、器具用)とスプレー容器、ゴム手袋、等だ。

<2>従業員への配布物
 上記の備品は店舗だけでなく、できたら従業員の自宅に配布し常日頃から体調を崩さないようにするべきだろう。
<3>ルール作り
 インフルエンザ防止の備品のチェックリストと、健康管理のマニュアルを作成し、印刷物として配布する。また、従業員が新型インフルエンザの恐れがある時には、自宅待機、指定機関での診断、指定病院による治療、等、完治まで出勤しない。出勤する前には治療医師の診断書を提出させて、確認してから働かせる。等のルールを明確にしておく。

2)衛生管理(消毒)を徹底すべきポイント
 インフルエンザは感染した顧客が手に触れた個所から感染する危険が多いので、手の触れる可能性のある入り口ドアーや、イートインコーナー、ショーケースなどは常にアルコールスプレーで消毒する。流行時には店内に入る従業員、顧客が入口で手指を消毒できるようにアルコールスプレー容器を入口に配置できるようにする。

3)工作業・販売などで注意すべき点
 豚肉、鶏肉、牛肉、などの食肉を完全に加熱処理して食べても新型インフルエンザに罹患することはない。今回、豚インフルエンザから発生した新型インフルエンザの感染者の多い、メキシコや米国の豚肉の取り扱いを中止する企業があったが、この対策は消費者に余計な疑念を持たせるものであり、食肉の産地表示や産地の安全対策などや、調理する際の温度管理、店舗の食品衛生管理の整備をキチンと告知して、消費者に正しい情報を与えるようにするべきだ。
 また、視覚的に奇麗にしておくことは消費者に安心感を与えるので、従業員のユニフォームや、店内を清潔に保ち、従業員は生の食肉などに手を触れた際にはきちんと手を洗浄殺菌することを徹底させる。

(3)従業員の健康管理における、日常行動の注意点
1)必要のない外出は控える(特に人が集まる場所)。
2)咳のエチケット
 咳の症状がある場合には必ずマスクをかけてしぶきが飛ばないようにする。咳やくしゃみのしぶきは約2m飛ぶので、周囲の人から1m以上離れる。マスクがない場合、ティッシュで口と鼻を覆い、他の人から顔をそらして、1m以上離れる。
3)外出から戻ったら
 使い捨てのペーパーカップを使い口腔用の殺菌剤でうがいをする。手は手洗い用の洗浄殺菌剤を使って15秒〜30秒間丁寧に洗い消毒する。洗った後はペーパータオル等で水を十分に拭き取る。
4)その他の注意
口を覆ったティッシュはすぐに廃棄する。咳やくしゃみを抑えた手はただちに手洗い用の殺菌剤で洗浄殺菌する。咳やくしゃみを手で覆ったら、手を石鹸で丁寧に洗う。常時マスクを携帯し、人込みではマスクを着用する。咳、くしゃみが出たら必ずマスクを着用する。家庭や職場でマスクをせずに咳をしている人がいたら、マスクの着用をすすめる。

(4)日常の健康管理
1)病気の申告
 風邪以外でも体調が悪い場合に申告させる
2)緊急連絡
 具合の悪い場合の緊急連絡体制を確立し、書類にして配布し自宅のわかりやすい場所に掲示させる。
3)健康管理
 体調が悪かったり、体温が高い場合は店舗に連絡をして指示をうける。家族が体調を崩し、風邪の症状が出たら、店舗に連絡をして指示をうける。国内旅行、海外旅行は事前に届け出る。
 日頃の行動を記録し、患者発生場所が発表され、感染の恐れがある場合には至急店舗に連絡する。
 日頃から免疫力の強化に努める、ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取、免疫力低下に影響のある喫煙や飲酒を控える。生活習慣病などの恐れがある場合にはインフルエンザに感染すると重症になりがちであるので、日頃から管理をしておく。 
 朝の体温計測、朝起床後すぐにうがい、出勤前のうがい、必ずマスクをつけて出勤する。出勤後でうがいと手洗い、休憩前後のうがいと手洗い、帰宅前にうがいと手洗い。等を徹底させる。

(4)従業員に新型インフルエンザの疑いがある場合。
1)症状の知識を持つ
 咳や鼻水が出る、突然の高熱、全身のだるさ、頭痛、筋肉痛等があるの症状が出たら新型インフルエンザに罹患した可能性がある。また、この症状は新しいウイルスや変異によって変わる可能性があるので、厚生労働省の掲示板を常に確認しておく。
厚生労働 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_what.html#inful_03
2)症状が出た時
 医療機関に直接行くことは絶対しないで、保健所等に設置された発熱相談窓口に連絡して指示を受ける。
 発熱相談窓口は http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-02.html
3)店舗へ連絡
 無理をして勤務に来るのではなく、インフルエンザを疑う症状が出たら、店舗に連絡をして自宅待機し、発熱相談窓口に連絡して指示を受けて診断を受ける。
 その後、新型インフルエンザと診断をされたら、店舗に連絡をして、医療機関の指示に従って入院や自宅での治療などの必要な処置をとる。10日ほどして症状が完全に収まったら、再度、診断を受け治癒していることを確認し、店舗に連絡をして店長などからの指示を仰ぐ。
(5)企業存続のために日頃から対策が必要
 東京商工会議所や経済産業省作成の企業存続のための指針を読み、企業できちんとした対策を立てておく。

(6)CDCの新型インフルエンザに対する対策勧告
国立感染症研究所 感染症情報センター に掲載されている。
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

 新型インフルエンザA(H1N1)によるヒト感染に対応した、集会に対するCDCの暫定的手引き。アメリカ東部時間2009年5月10日午前9時30分CDC(原文)
 5月22日に、CDCは新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスの伝播を減少させるためのマスクの使用に関する暫定的勧告の改訂版を発行した。この新しい手引きを最新であると考え、以前に発行された手引きを置き換えるものである。このウェブページにおけるマスクに関連する記述は、新たな手引きを反映させるために近い将来改訂される。
 この勧告は現在分かっている事実に基づいて作成されており、現在進行中のサーベイランスやリスクアセスメントに基づいて内容を変更する可能性がある。

背景
 この文書は、州、地方自治体、準州、部族の当局者が、地域社会において大規模集会に関する勧告を作成するうえでの暫定的手引きを提供する。
 この文書にある「大規模集会(large public gathering)」とは、集会(assembly)や、多数の人が一か所に集まることを指す。このような集会には、大学の卒業式、教会での礼拝、スポーツイベント、コンサート、社会文化的式典、結婚式、会議、さらにこれらに類似したイベントで比較的多くの人が集うものが含まれる。 この暫定的ガイダンスでは、集う人数によりそのようなイベントを定義するのではなく、むしろ、人が集う状況に照準を合わせている。さらに、このガイダンスでは、集会が室内で行われているか屋外で行われているかという点について区別していない。なぜなら、この二つの状況における新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染伝播様式の差違については知られていないからである。

 人込みでは、社会的距離(人と人との間の物理的な距離を大きくし、濃厚接触の頻度を減らすという手段)を維持することは困難である。さらに、お祝い事の集まり(結婚式、卒業パーティなど)では、参加者同士が社会的接触(握手やハグといった)を頻繁に行う。その結果として、参加者の間で新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染拡大のリスクが高まり、その結果として行事開催地、あるいは参加者の居住地において感染拡大が起こりやすくなる。以下の勧告は、地域でのインフルエンザ感染拡大の低減を意図したものである。

暫定的な提言
 新型インフルエンザA(H1N1)アウトブレイクとの関連での大規模集会に関する判断は、地域でのインフルエンザの流行度、ウイルス罹患による疾患の重症度に関する最新の情報、ハイリスク群の同定、さらに地域特有の事項などを考慮の上行われるべきである。しかしながら、現段階での疾患の重症度と拡大に関する情報から判断して、CDCでは以下のことを勧告する:

 インフルエンザ様症状(ILI)(すなわち咳または咽頭痛を伴う発熱)のある人には、症状発症後7日間、あるいは症状消失後24時間のいずれか期間が長い方の間自宅にとどまるように助言すること。インフルエンザ様症状(ILI)の追加ガイダンスはこちらを参照のこと。

 新型インフルエンザA(H1N1)感染により合併症を併発しやすいハイリスク群(例えば、慢性疾患患者、5歳以下の小児、65歳以上の高齢者、妊婦)は、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスが流行している地域における集会に参加するならば、新型インフルエンザへの曝露のリスクについて考慮すべきである。新型インフルエンザA (H1N1)確定例が何例か報告されている地域では、合併症のリスクのある人々は集会から距離を置くことを考慮すべきである。
 すべての人は適切な咳エチケットと手指衛生を行うよう指導されるべきである。
現段階の情報では、医療施設ではない場所において、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染者と接触する可能性が低いところでは、サージカルマスクやN95マスクの着用は推奨されていない。
 大規模集会は、公衆衛生担当者やイベントの主催者が参加者に対して、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の拡大を低減させるために参加者が取ることのできる手段に関する重要な教育的メッセージを伝える良い機会でもある。イベント主催者は、参加者に対して調子が悪ければ自宅にとどまるよう要請するとともに、イベント会場においては正しい衛生手段を行うことを伝えることも考慮すべきである。このような情報は、手紙、新聞広告、公共広告、ウェブサイトへの記載、テキストメッセージなど様々な方法を用いて伝達されるべきである。より詳しい情報はそれらを参照のこと


そのほかの対策方法
 イベント主催者によって新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染のリスクを低下させる手段が他にもある。実施可能かどうかは、イベントの種類や設定による。
イベント会場において、石鹸や流水、手指衛生剤、ティッシュなどを常備した手洗い設備を多数用意する。
 インフルエンザ様症状(ILI)の人をイベント現場で診察、治療できるようにする。
参加者に代替のオプション(例えばウェブによる離れた場所からのイベント参加)を提供し、同時に参加人数を少なくするよう試みる。
これらの推奨は新型インフルエンザA(H1N1)に関するさらなる情報が得られた場合変更する可能性がある。

 


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