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食品スーパー 冬の衛生管理の基本と急所


 衛生管理の基本はつけない、増やさない、殺すの3つを守ることだが、最近の科学的なHACCPの管理では、その3つに温度と時間の管理が含まれる。皆さんもご存知のように細菌は温度や湿度が高くなると繁殖しやすいので、日本の夏が一番注意しなければいけないと言われていた。しかし、近年は食中毒菌の新型や、ウイルスが増加し、冬に食中毒が多発する時代を迎えている。

1)食中毒の傾向を常に把握する
食中毒関連の本では食品衛生事故の実状を把握するには間に合わない。インターネットの情報を常に把握する。
労働厚生省のHPでは食中毒食品関連情報を発信。http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/
 従来は食中毒は気温の高い夏場に多いというのが常識で、温度が低い冬場は食中毒が少なかった。しかし、平成19年のデーターを見ると、食中毒のピークは9月、11月、12月となっており、冬の増加が顕著であることがわかる。
これは、生の鳥刺しなどを食べることに起因するカンピロパクターによる食中毒の急増と、ノロウイルスの食中毒の多発が大きな原因となっている。ノロウイルスの場合は食品経由だけではなく、空気感染もあるので十分な注意が必要だ。手洗用殺菌洗剤も従来のものでは効果がない可能性もある。ノロウイルス原因の食中毒は夏だけでなく、冬に増加が見られるので注意しなければならない。ノロウイルスは従来、蛎などが原因であったが、最近はノロウイルスの健康保菌者(感染しているが症状が出ない人)がおり、その人経由で感染が広がっているので、従業員の健康管理に注意を払い、検便も定期的に実施が必要だ。

 食中毒菌の種類については社団法人食品衛生協会の以下のHPを参考にする。
http://www.n-shokuei.jp/
日本医師協会もHPで注意を呼びかけ、最新の食中毒情報を発信している。
http://www.med.or.jp/kansen/index.html

2) 生鮮・日配食品部門の主要商品ごとの衛生上のリスク
<1>食材ごとの汚染状況の把握が必要
食品衛生というと、生の肉や魚が危険のように思われるが、最近の米国での大規模食中毒の発生を見てみると、サルモネラ菌や出血性大腸菌-157に汚染された野菜を食べたのが原因となっている。健康志向から加熱処理をしない野菜サラダを食べる習慣と、年間を通して供給するために、衛生管理の不十分な野菜を使ったことが原因となっている。この野菜の汚染に関しても日本は他人事ではなく、生の野菜の細菌やウイルス汚染が進んでいるので注意を払う必要がある。厚生労働省は平成19年の食材別の汚染状況を以下のHPで発表しているので参考にされたい。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/060317-1.html

<2> 肉関係の問題
 肉に起因する食中毒ではサルモネラ菌とカンピロパクター菌がある。上記の厚生労働省の食材別の汚染状況を見てみると、食肉におけるE.coliやサルモネラ、カンピロパクターの汚染が増加しているのがわかる。E.coliというのは大腸菌群のことで、人間などの糞便中に存在する大腸菌群が存在することを意味する。食中毒菌の検査では全ての菌を検査することが出来ないので、大腸菌群として検査する場合が多い。一般的な大腸菌群は無害であるが、大腸菌群が存在するということは、伝染病のコレラ菌や赤痢菌、その他の食中毒を引き起こすウイルスが存在する可能性があるということになるので、注意が必要だ。
 細菌の特徴は食肉にはサルモネラ菌やカンピロパクター菌の増加が目だつ。今年になってから、お笑い系芸能人が経営する多店舗展開する焼肉屋で生食が原因でカンピロパクター菌による食中毒が発生している。従来は安全であった、ユッケや鳥刺しなども、仕入先の材料や管理状況によっては危険になっているということで、生食用の食肉を販売することは大変危険になっていることを認識するべきだろう。

3) バックルーム管理および従業員が留意すべきポイント

<1>食材の管理
食品スーパーが衛生管理上最も問題を抱えているのがバックルームという呼び名だ。バックルームで生鮮食材やその他の商品を一緒に管理するのは大変危険である。食材ごとに食材固有の食中毒菌を持っており、一緒に管理することで、それが他の食材に移ってしまうからだ。冷蔵庫も一つではなく、野菜、魚、肉、乳製品、など分ける必要がある。

<2>照度
 食品スーパーのバックヤードは暗すぎる。衛生的な観点から見ると最低でも300ルックスはないと作業効率が悪くなるだけでなく、異常や異物の発見をすることが出来ない。

4) その他器材使用時の洗浄と食材管理のポイント
<1>つけない
 衛生管理の基本はつけないということである。そのために、食材ごとに使うまな板の色を変えて使用する等の基本的な対応が必要になる。また、食材の下拵えと調理、販売場所、は明確に分けて、従業員がそれらを移動しないように区分けをする必要がある。
 この方法に関しては厚生労働省より大量調理施設の衛生管理マニュアルが出ているので参考にしていただきたい。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/manual.doc


<2>殺す
 使用したまな板や鍋、釜、などの調理器具を洗浄するだけでなく、殺菌する必要がある。
家庭では調理機器を洗浄した後、殺菌は行う例が少ないが、顧客が多い食品スーパーではほんのちょっとしたミスが大事故を引き起こすので、殺菌をしっかりと行うべきだ。殺菌の方法は、殺菌剤を使用するか、温度で殺菌を行う。殺菌剤は保管方法や、洗浄する器具の洗浄が不十分な場合は効果が出ない危険性がある。特に大型の鍋釜、まな板を洗浄殺菌するのは大変であるので手抜きが多くなる。そこで、大型の鍋釜を高温の湯で洗浄殺菌することが出来る大型の器具洗浄器(食缶洗浄器)を導入することを検討したい。

3)従業員教育のポイント

(1)つけない

<1>手洗いがつけない基本
<手洗い>
先ず手に着いた汚れや菌を落とし、次に殺菌剤で手を殺菌する。手洗いの殺菌剤というと一般的には塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸を使用する。最近は洗剤自体の洗浄力が強く洗浄と殺菌を同時に行え、手荒れがし難いこと等の条件を満たした、化粧品などに使われるイルガサンDP300と言う薬品を使う、優れた洗剤もある。ノロウイルスの場合はヨード系の殺菌剤が効果があるようだ。用途に応じて使い分けると良いだろう。

<2>食品の交差汚染を防ぐ
 生鮮食材は3割が汚染されており、食材同士の交差汚染を防ぐには食材ごとに手,包丁,まな板,調理機器を洗浄殺菌してそれぞれの食材に固有の菌が他の食材に移らないようにする。特に火を通さない食材の取り扱いには細心の注意を払う。

<3>受け取りの確認と正しい保管
 どんなに良い食材メーカーや問屋であっても資材を受け取る際には正しいチェックが必要となる。品物の破損や損傷のチェックだけでなく、冷凍品はマイナス18ー22℃,冷蔵はプラス1ー5℃と言う温度で搬入されていなくては行けない。

(2)増やさない。
 細菌が繁殖する温度は5℃から60℃の間だ。この温度帯に食品を4時間以上おかないと言うのが原則。
 調理後の食材は60℃以上で2時間以内の保管が可能。冷却して翌日使用する場合には2時間以内に5℃以下に下げる。そして翌日再加熱して使う場合には75℃まできちんと再加熱する。

<1>冷蔵庫冷凍庫の温度管理をしっかり行う。
 冷蔵庫の温度は1-5℃、冷凍庫はマイナス18℃ーマイナス22℃の温度帯だ。定期的に正確な温度計を用意して冷蔵冷凍庫の温度計が正しく作動するか確認をする。

<2>庫内に余裕があり冷気が循環するか
冷蔵庫冷凍庫の設定温度ではなく、保管中の食品の中心温度が冷凍や冷蔵の温度帯になるようにする。冬場は気温が低いので安心しがちであるが、正月休みなどの繁忙期には大量に食材を仕入れて保管しなければいけないが、冷蔵冷凍庫に詰めすぎたり、場合によっては入りきらず、常温保管する危険があるので、現場を注意深く観察する必要がある。

<3>冷蔵冷凍庫の環境と手入れ
冷蔵冷凍庫は風通しが良く、室温が高過ぎない場所に設置する。コンデンサーを冷却する空気の温度が高ければ十分に冷媒を冷却できないので,庫内の冷却を十分に行えないからだ。

<4>保温管理
調理後の保温は60℃以上で2時間までが安全な保温時間だ。保管する場合は60℃以上か、冷却して5℃以下で保管する。保管している場合には途中で温度が正しいかどうか、時々温度計で計測して確認する。

<5>調理後冷却してから冷蔵保管
 大鍋の寸同で調理する場合には、食材の中心温度が75℃まで十分に加熱調理したあと、寸胴をシンクで攪拌しながら流水で急速に温度を10℃以下まで冷却し、それから冷蔵庫に入れる。夏場などはアラ熱をとった寸胴をさらに氷を入れたシンクで十分冷却をする。
 翌日再加熱をして提供する場合には寸胴を攪拌しながら食材の中心温度が75℃になるまできちんと再加熱をする。冷蔵庫の中で繁殖した菌も再加熱をきちんとすることにより死滅し安全に食べることができるからだ。
 従来は調理済み食品を小分けしたり、冷凍食品を揚げたりするのが一般的であったが、最近の品質の向上の要求から、店舗で生食材から調理するケースが増えており、注意が必要になる。本当に品質管理をきちんとするには、クックチルや真空調理方法を取り入れ、必要な専用機械、ブラストチラーや冷水冷却機の設置を検討するべきだろう。

(3)殺す
<1>加熱調理
平成9年3月17日に「大規模食中毒等対策についての食品衛生調査会食中毒部会検討結果等について」が発表されている。中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うことと、定めている。
 この基準は一般には適用されないのだが、それに準じた温度で安全に調理することは心がけなくてはいけないでだろう。
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0317-3.html

<2>調理機器を過信するな

 (a)温度を一定に保つサーモスタット付きの調理機器  
 調理機械は使っているうちに狂いがでる。毎日、正確なデジタル温度計でサーモスタットの設定温度と実際の温度が合っているか確認する。

 (b)温度の安定性
 サーモスタットが付いている調理機器でも、サーモスタットの温度関知センサーの位置、感度により温度のばらつきや、応答性が悪いと一定の時間がたっても食材の温度が上がらず、食中毒の危険がある。各調理機器の特性を理解しなければいけない。

 (c)調理機器能力と食材量のバランス
 いくら性能の良い調理機器を購入しても、調理能力以上の食材を投入したら温度が下がりすぎて、一定の時間内に規定の温度まで上がらない。

(d)温度の回復力
 生食用と冷凍食用では調理機器に要求される火力が異なる。元々の火力が弱い生食用の調理機器で大量の調理を連続したり、冷凍食品を調理すると温度が下がってしまう。売り上げや食材に適した調理機器を使うようにする。調理機器は電気でもガスでも長く使っていくうちに熱交換機にカーボンが付着し、熱を伝達しなくなる。定期的にそのカーボンを洗い落とす等の手入れが必要だ。


<3>水質の安全性
普通の水道水は浄水場でろ過殺菌をされていますから安全なはずだが、それでも年に1回の水質検査が必要。安全なはずの水道水でも、屋上の高架水槽や受水槽に水を貯めてから配水する場合は、そのタンク内で汚染が進む可能性がある。タンクにひび割れが入っていたり、動物が侵入したり、点検口が開いていたりすると食中毒菌が混入する恐れがある。

<4>殺菌剤
 中性洗剤などで汚れを洗い流し、その後に殺菌をする。次亜塩素酸ナトリウム溶液を厨房の殺菌剤として一般的に使用する。希釈濃度をキチンと守って試用する。

(4)従業員教育に使う、店舗衛生診断書

店舗衛生診断書
店舗名____ 責任者名____ 診断者名____ 実施年月日___
チェック
改善ポイント
1.手洗い
洗い方(30秒間ひじから下をもみ洗い)
頻度 (必要時、最低30分に1回)
洗浄殺菌洗剤の使用(厨房: 倍、客席: 倍)
爪用ブラシの常備容器
洗面器のクレンリネス
ペーパータオルかドラヤーを使用


2.身だしなみ
白衣、ユニフォームは清潔
靴の手入れ
髪の毛は束ね、帽子を着用
爪は短く、濃い色のマニュキアはない
ひげは剃っている
帽子のかぶり方
傷のある者、病気中の者(不可)
装身具ははずしているか(指輪、時計など)
月に一回の検便

2.肉、魚の加工
(朝)
前日の閉店時の包丁、まな板洗浄殺菌状態
シンクの洗浄殺菌
器具の洗浄殺菌(器具別、の使用法)
作業台殺菌
冷蔵庫冷凍庫殺菌
洗浄殺菌洗剤の使用法(温度使用量)
(営業中)
室温の状態
肉、魚をおろす際の衛生状態
シンクの洗浄殺菌
食材によりまな板、包丁を分けている
包丁の洗浄殺菌
殺菌液計量カップの使用
殺菌液の交換と(2時間に1回交換)
(夜間)
シンクの洗浄殺菌
まな板洗浄殺菌
包丁の洗浄殺菌
まな板包丁の温度殺菌
布巾の洗浄殺菌
グリストラップの清掃
ゴミ箱の片づけは
ゴミ箱の洗浄殺菌



3.煮物、揚げ物、焼き物
鍋の洗浄殺菌
器具の洗浄殺菌
調味料の保管方法
各器具の洗浄殺菌
周囲の洗浄殺菌
オーブンの温度調整
フライヤーの温度調整
焼き物機の火力調整
調理レシピー通りに調理
調理時間
調理後の中心温度と時間
調理機器の手入れとメインテナンス
下拵えと調理が明確に分けている
再加熱温度


4.盛りつけ台
布巾洗浄殺菌(青と白)
盛りつけ台アルコール消毒
盛りつけワゴン車アルコール消毒
食器のアルコール消毒
盛りつけ時の手袋着用
ペーパータオル
次亜塩素酸ナトリウム溶液の確認



5.野菜加工、下ごしらえ
盛りつけ台洗浄殺菌
冷蔵庫、冷凍庫の温度
冷蔵庫内殺菌、整理
包丁、まな板の洗浄殺菌




6.セルフサービスコーナー
古い料理と新しい料理を混ぜていない
お皿の洗浄殺菌は交換毎に行う
トングの洗浄殺菌は2時間毎に実施
トレイの洗浄殺菌は2時間毎に実施
持ち帰り容器の管理
手洗器に洗浄殺菌剤は備えている
手洗器にペーパータオルの備え
保温ショーケースの温度は60℃以上
冷蔵ショーケースの温度は5℃以下
保温期間と温度






7.検品
温度は冷蔵は5℃、冷凍は−18℃以下
包装の状態
肉魚などの生鮮品の臭い、色、異物、チェック
商品ラベル、製造月日、工場、商品コード
保存可能期間、賞味期間
製造メーカー名、産地、
入り数、重量、規格

8.倉庫、冷蔵冷凍庫
厨房出入り口の扉の状態(営業時)
冷凍冷蔵庫の温度
冷凍機器のコンプレッサーの冷却能力
冷凍冷蔵庫内の清掃殺菌
先入れ先出しのローテーション
清掃用具の状態
の清掃
棚の整理整頓
の絞り器、の状態
冷蔵冷凍庫内部の区分け
虫、ネズミ対策







9.その他
布巾 (殺菌保管使用状態)
はいない
置き場の
の衛生状態
冷凍冷蔵庫の衛生状態
殺虫殺鼠実施状態定期消毒
知識(食品衛生責任者)
VTR等の衛生教材の使用状況
食品衛生のための従業員教育
年一回の水質検査
年一回の水槽清掃殺菌
毎月従業員の検便を実施しているか

10.洗剤の種類
中性洗剤(名前)
次亜塩素酸ナトリウム(名前)
手洗い洗浄殺菌剤(名前)
食器洗浄機洗剤(名前)
アルカリ系強力洗剤(名前)
ミルク製品向け洗浄殺菌洗剤
食器、調理器具、手指用、アルコール(名前)
床用洗剤(名前)
トイレクリーナー(名前)
その他

11.器具洗浄機
洗剤の種類
洗剤の濃度
洗浄ノズルの状態
リンス温度は85℃以上
定期的なメインテナンス
メインテナンス記録


12.空調の温度と機器清掃チェック.





13.床、配水管、グリストラップ、壁、天井のチェック
床の破損、ひび割れ、水漏れ
配水管のつまり、異臭
グリストラップの清掃実施
壁、天井にカビは生えていないか

14.殺虫、殺鼠の実施とそのフォロー


15.排気ダクトの定期的な清掃(火災防止)


               
A…100〜93%  B…92%〜85%  C…84〜77%  F…76%以下
得  点 達 成 率 今月評価

前回指摘事項の改善状況:


今回指摘事項の内容:

総 評:


(5)仕入先の管理

 中国製の食材の事故による大規模な商品回収が新聞をにぎわせているが、これは仕入先に対する品質管理が甘いのが原因である。全ての食材は、食材を栽培する畑や農場までの管理を厳しく管理をする必要があるのだ。人任せでは事故は根絶することは出来ないのだ。以下は供給業者の工場の品質管理チェックリストであるので参考にされたい。

サプライヤーの工場での必要資料

<製造工場管理>
食品加工工場では、工場のレイアウト、照明、空調、埃の落ちない配管、機械のメインテナンスのあり方等、施設機器の面でのきちんとした設計が必要である。加工行程だけでなく食材の安全性、加工食材の添加物証明などの基準と受け入れ条件というスペックを決める。もちろん、食材を加工するのであるから従業員の教育、身だしなみ、意識もきちんとさせなくてはならない。以下は重要な管理項目リストだ。


 1) 原材料管理
<1>製造日付
 製造メーカーが仕入れて加工する場合にも、全ての購入食材に製造日付が付いており、先入れ先出しを守っているか確認する。工場や倉庫内は整理整頓され、日付確認が容易になっていなくてはいけない。

<2>供給業者又は輸入業者
 使用する原材料の供給業者、または、輸入業者を明確にさせ、それぞれの業者の信頼性、過去の実績、衛生管理に対する取り組み、工場や加工上に対する査察を実施しなくてはいけない。仕入れ原材料の品質をチェックする場合は、直前の仕入れ業者の品質保証だけでなく、原材料の元になる農場、牧場、漁場などの栽培、飼育、船内加工に至るまでの詳細な品質保証を確認する作業が必要になる。農場、牧場などでは飼料、農薬に至るまで安全性と散布状況の確認が出来るようにする。

<3>原材料原料製品規格
 それぞれの原材料に会った、公的な製品規格またはそれ以上に厳しい業界または自社企画による厳正な製品管理を行っているかを確認する。日本製の食品に関してはJAS(日本農林規格や、業界団体による自主規格を守っているか。海外の物であれば、ISO、またはHACCP、米国食肉であればUSDA(米国農林規格)、FDA(米国厚生省)などの規格を取っているか確認する。輸入物の食肉であれば、部位、原産地、プランド(パッカー)、等まで詳細に記録を提出させる。米国産牛肉などは問題があれば、CDC(米国中央疾病センター)やUSCDなどから商品の流れや問題点が直ぐ分かるようになっているからだ。

<4>原材料使用食品添加物化学合成品明細
 食品添加物に関しては、化学合成品を使っているかどうか、使っている場合には何をどのくらい使っているかを明確にさせる。仕入れた商品だけの添加物でなく、その商品を製造する上で使用した原材料の添加物まで厳格にチェックをする。

<5>原材料の製造手順と配合成分の明示
 食品製造安全管理の一手法であるHACCPに基づき、どの様な温度や時間、加工方法を採っているか明確にし、どの時点で細菌や異物管理を行っているか一目瞭然にする。また、品質管理の基本である、配合成分も明確にすれば、完成品になってから規格に適合しないとクレームを言う必要もなくなるからだ。
2) 製品製造フローチャート
 製品を製造する工場では製造の工程を明確にして、平面図と原材料がどの様に流れて、
どの機械によって加工されているかを明確にする。そうすれば、食中毒や異物混入の際に何処に問題があるか直ぐに発見できるのだ。

<1>工場製造ライン平面図とその流れの明示
 商品で問題が発生した際に調査を行うと、当初決めた通りの手順や、加工方法、加工機械、
検査を、省略したり変更したりして問題を起こすことが多い。そこで、平面図と流れ、使用機器を明確にして、定期的な監査を行うことが必要になる。加工工場がレイアウトや調理機器を変更する場合には、書類による事前承認を要求し、工場が新設備で稼働するに当たっては慎重な検査、検証を行う。

<2>原料検査法
 スペック通りか、安全か、衛生的かを検査する方法を明確に定める。

<3>製品異物混入対策
 食品加工の現場では食中毒に至る重要な危害よりも、髪の毛や金属、異物などの混入に夜クレームの方が遙かに多い。特に金属片が混入すると命に関わるクレームとなるので、金属探知器などの設置や、異物の出ない調理機器や加工法を採用する。また、金属探知器も感度の設定によっては正しくチェックできないので、テストピースのサイズを決め,日に何回作動チェックをするか、また、定期的なメーカーによる作動テストなども定める。

<4>工場清掃殺菌指示書
 当たり前のことだが、食品製造工場に置いて基本的な衛生対策である。調理機器、天井、床などの、清掃と殺菌マニュアルを作成させておく。その際に重要なのは使用する清掃用具、洗剤、殺菌剤の種類を明確にし、清掃時間、清掃器具の保管まで厳重に定めておく、殺菌と言っても殺菌剤や、希釈水の温度、浸漬時間により効果は大幅に異なるからだ。また、異物のクレームなどで発見されることが多いのは、清掃用の道具の破片屑や研磨用の金束子などだ。異物を発生しやすい清掃用具を使わないようにすることが重要だ。また、劇物の洗剤や殺菌剤はうっかり食品に混入すると、大きな事故に発生する。清掃終了後は鍵のかかる専用保管庫にしまうなどの配慮をチェックする。

<5>始業、終業、作業指示書
 店舗や工場でクレームや問題が発生する場合には、従業員のコミュニケーション上の問題が原因となっている場合が多い。始業時には昨日までの商品製造の問題点や、品質に関するクレームの内容を説明したり、当日特別の作業や注意点があれば始業前に注意を促したり、従業員からの問題提起をしてもらい作業に当たるようにする。また、口頭だけでは当日休暇や、シフトが異なる従業員に連絡が行き届かないので、当日の作業指示を文書の形で掲示したり、連絡ノートに記入する。
 終業時も同じく、本日の作業を分析反省し、翌日には改善できるように従業員一同で検討する。始業や終業は仕事のけじめを付ける意味で重要であり、形式的な挨拶や標語を唱えるだけでなく、意志疎通を図るように心がける。

<6>工場内、製品加工工程、製品保管、製品流通の温度管理
 工場内においては食材加工工程だけでなく、原材料の受け取りから始まり、保管、トラックへのローディングに至るまで明確に管理しなくてはならない。工程の管理に置いては流れと時間、その間の食材温度を記録しておき、万が一に問題が発生した際に何処に問題が
あるか追求できるようにする。

3) 製品検査

<1>細菌検査法
細菌検査では検査する細菌の指定、どの様に培養するか、どの様に検査をするかを明確にしておかないと、新型の食中毒菌などが発生した際に対処できなくなる。

<2>官能検査法
食材の判断は検査の数値だけではなく、人間の五感を使った検査が必要になる。人間と言っても味や香り、食味等を正確に判断できる訓練を受けた複数人、通称パネルテストで判断する。

<3>栄養学的成分分析
 どんなに衛生的でも食品の場合は栄養価が落ちては価値がなくなる。特に野菜などの場合にはビタミン類の減少率をチェックし、加工方法に問題ないかを確認する。

<4>製品保存可能期間データ
古い食材を発見する方法は色々あるが、例えば、新しい食材と、期限が過ぎた食材の含有脂肪の酸化度合いを比較し、安全性を検証するなど食材別に最も適した賞味期限の検査法を決定する。


4) 機器
<1>工場製造機器明細
 工場で使う機器は何でも良いわけではなく、その食材加工に最も適した機器を選定、指定して、常に同一の品質で仕上がるようにしなくてはいけない。加工工程や配合成分だけでなく、機器メーカーや、種類も明確に指定し、指定した機器以外の機器を使用させる。

<2>機器メンテナンス指示書
 調理機械と同様に工場における加工機機も正しく作動するようにメインテナンスや定期的な部品交換が必要になる。始業の洗浄殺菌、安全確認、温度時間確認、から、途中の点検方法、頻度、終業時の分解清掃殺菌作業まで詳細に定めなくてはいけない。メンテナンス指示書には1日、週、月、年間、の詳細な予定を明記し、忘れないようにさせる。

<3>工場内緊急連絡体制表
 工場を動かしているのは人であり、何かあった際に対処するにはそれぞれの専門家が必要になる。特に、異物混入や食中毒発生の際には緊急を要するので管理者及び各部署の責任者は常時連絡が出来るようにする。また、火災や地震、洪水などの災害に対応できるように常に連絡方法を明確にしておく。

5) 工場建物規格
<1>外観
異物混入のクレームで一番多いのは髪の毛の次に昆虫類である。窓等は虫除けの網を必ず設置し、工場内の空気の圧力をかけ、ドアーも2重ドアーにして、どんな場合にも昆虫類が空気と一緒に工場内に入らないように気をつける。

<2>内装
特に天井、壁、の材質はかびが生えにくく、ゴミや埃などがたまらないようにする。ゴミや埃がたまり食材に落下すると細菌汚染や異物混入となる。照明器具などの場合には破裂しない器具を使用し、万が一破損しても食材を汚染しないようにする。床の材質にも注意を払い、作業性が良いようにする。一定以上の照明の照度を保たないと、食材の品質以上や汚れ、汚染に気がつかないし、作業効率も悪いので、作業場所により必要な照度を明確に設定する。

<3>空調
空調を効かすことは作業者の効率を上げるだけでなく、工場内天井に結露しない為にも必要である。

<4>内部経路
外部の汚れを内部に持ち込まないレイアウトにする。工場が一階の場合には従業員はまず、一階入り口で靴を脱ぎ、2階の着替え室で着替える。そして、靴を洗浄殺菌した作業靴に着替え、手洗いと殺菌をしないとドアが開かない手洗い室を通過し、次にエアシャワー室で体の汚れを除去し、粘着テープで髪の毛等を丁寧に取り去ってから、食品加工室に入るようにする。
6) 従業員規則
<1>服装
特に制服、帽子の洗濯頻度、長靴の洗浄殺菌、手の洗浄殺菌方法を明確に定める。手洗いに関しては衛生管理の基本であり、どの様な場合に再度手洗いをしなくてはいけないかを定める。

<2>健康管理と報告義務
下痢などの症状がある場合は作業に従事しないように告知し、定期的に検便を実施する。

<3>作業従事の注意
手に怪我がある場合はブドウ球菌の発生の恐れがあるので、食材の加工作業に従事させない。


                         以上

<詳細な資料>

なお、厳格な衛生管理手法については筆者の執筆した、「有害微生物管理技術 第2巻 製造・流通環境におけるエンジニアリングとHACCP」第6章 ホテル・レストランの衛生管理システムの実像 共著 (2000年 株式会社フジ・テクノシステム)を参考にしていただきたい。また、食関連の危機管理と人材教育については 「給食マネジメント論」 共著(2008年第一出版)を参考にしていただきたい。



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