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2003年度コンビニ強盗対策


長引く不況と深夜営業のコンビニの増加により、コンビニ強盗の数が急増している。筆者は95年1月号、95年10月号、96年11月号、等で、コンビニ強盗のデーター整理と対策を述べてきたが、最近また増加傾向にあるのでその傾向と具体的な対策を見てみよう。
警視庁発表の2002年度の犯罪白書http://www.npa.go.jp/hakusyo/index.htm から最近の強盗とコンビニ強盗の発生件数を見てみると、強盗の全体の発生件数は過去10年間で増加を続けており、2001年は6,393件で1992年と比べて2.9倍となった。しかし、強盗の検挙件数及び検挙人員についは2001年は、1992年と比べて検挙件数で2.0倍、検挙人員で2.3倍と、検挙数が強盗発生件数に追いついていないのが現状である。検挙率で見てみると92年は69.7%であったが10年後の2001年は何と49.5%まで低下するという治安の悪化をたどっている。
 コンビニ(深夜スーパーマーケット)強盗事件は、1997年までおおむね100件台で推移していたが、1998年には308件に急増し、2001年には527件を数えた。警察庁は24時間営業の店舗が増加したことに加え、これらの店舗においては夜間の従業員数が少ないことなどが、件数増加の大きな原因であると分析している。
 また、来日外国人による強盗事件が多発しており、強盗事件全体では2001年における来日外国人による強盗の検挙件数は219件、検挙人員は309人となり、過去10年で最高となっている。当然、コンビニ強盗犯には外人も増加するという問題を抱えている。

1) データーの収集
<1>警察庁の白書
 コンビニ強盗対策に当たってはまず、具体的なデーターの収集が大事だ。データーの収集に当たっては警察庁発表のデーターベースを入手する。
http://www.npa.go.jp/ HPでは
年代別の警察白書  http://www.npa.go.jp/hakusyo/index.htm があるので、それを入手し見てみよう。

年 発生件数 検挙件数 検挙率
1989年 29件 11件 37.9
1990年  61件 32件 52.5
1991年 93件 50件 53.8
1992年 127件 69件 54.3
1993年 145件 86件 59.3
1994年 193件 113件 58.5
1995年 115件 57件 49.6
1996年 146件 78件 53.4
1997年 137件 91件 66.4
1998年 308件 149件 48.4%
1999年 340件 173件 50.9%
2000年 394件 188件 47.7%
2001年 527件 163件 30.9%
2002年 468件 225件 48.1%
上記のように発生件数が98年から急増し、検挙率も50%を割るという最悪の状況にあるのが理解できるだろう。

<2>新聞記事の分析
 警察庁は具体的な犯罪方法や傾向、対策については発表していない。新しい犯行の助けになるからだという消極的な理由だ。それが、チェーン企業の具体的な対策の立案を妨げると言っても良いだろう。そのためには、新聞の過去の記事を検索し、発生場所、発生時間、凶器、状況、被害金額などを分析しなければならない。
http://www.sayko.co.jp/article/syogyo/syokuhin/96-aki11.html
過去の記事であるが、エクセルのフォームなど参考にしていただきたい。
ちなみに読売新聞は無料で、過去6ヶ月の記事を検索できる。その内容を上記のようにエクセルのファイルで分類し、分析をするとどの様な問題点があるか良く理解できる。
 ちなみに、読売新聞で、「コンビニand強盗」と検索すると 
http://dbgwa.yomiuri.co.jp/dpscripts/dpSearch.dll?DpAllSearch
半年間で400のコンビニ強盗の記事が掲載されている。しかし、重複している記事があるので、詳細に検討し、分類してみなくてはいけない。
 それらの記事を見てみると、

<1>外人による犯罪が増加
関東から関西の広い範囲のコンビニエンスストア9店で、店員らを金属バットで殴り、現金計約1300万円を奪ったとして、複数の外国人が強盗致傷罪などで逮捕された。
 また、元軍人で、英語学校の教師が拳銃によるコンビニ強盗を犯し逮捕された。犯人を逮捕してみたら、多くの弾丸を所持しており、放置しておけば危険な状態であった。
 その他、日本に出稼ぎに来た外国人労働者が不況のため仕事を無くし、強盗を働く例が多く見られたり、東南アジアから犯罪を目的として来日したグループなどによる犯罪も奥見られている。

<2>同一エリアのお店をおそう
 犯人は車などを使用し、短期間の間に同じエリアで複数のコンビニ強盗を働く例が多く見られるようになった。東京の板橋、豊島両区では同じコンビニが2回おそわれる他、近隣の深夜営業ビデオ店などの強盗事件が合計17件発生しており、逮捕された犯人はその他の余罪もあると話している。
 その他、国立市でも数ヶ月で5件のコンビニ強盗が発生し、同一犯人と見られている。被害は500メートルと言う狭い半径のコンビニで午前1時〜2時の間に発生している。

<2>同じ店舗が何回もおそわれる。おそわれやすい店舗がある。
池袋のコンビニエンスストアでは、5月、6月と連続で同じ男が強盗に入っており、合計で32万円を奪われている。
大阪でも5月、6月と連続のコンビニ強盗があり、合計で45万円を奪われている。

<3>単独犯ではなく複数犯が増加
 従来は衝動的なコンビニ強盗が多かったが、最近は複数の犯人が計画的に集中して強盗を働く例が見えてきている。

<4>被害額が増加の傾向にある
 94〜95年のコンビニ強盗が増加した際にはチェーン店の指導により被害金額を少なくなるようにしていたが、最近の犯罪を見ると、被害金額が増加しているのが伺える。犯罪を防ぐためには被害金額を最小限に押さえる必要があるだろう。

<5>凶器が凶悪化
 凶器はナイフや刃物が殆どであるが、銃や灯油など可燃物液体を店内にまく例も見られるようになり、従業員の命に関わる危険が増えている。

<6>狙われ易い店舗
店舗の場所の人通りが少なく、レジの位置が物陰に隠れて外から見えない、店員が一人というのが最も被害に逢い易い店舗だ。警察庁によると、全国的にコンビニ、スーパーの強盗事件の発生は、店員が1人の時が約48%、客がいない時が約78%を占めている。

2)コンビニ強盗が減らないのは利益優先の考え方だ
コンビニ強盗の犯罪が減らないのは具体的な対策と必要な費用を十分にかけないからだ。事件を見てみると平均被害額は10万円ほどだ。年間の強盗の被害は500件ほどだから、合計で5000万円ほどの被害にすぎない。コンビニに対する犯罪を考えると、金額的に一番大きいのは万引きと内引き(従業員による盗難)である。強盗はくじ引きのような物で、被害に合うのはホンの一握りの店舗だが、万引きは殆どの店舗が毎日被害に遭っている。例えば、1日の万引きの被害が1店舗1000円だとすると、4万件のコンビニであるから、4000万円、年間で146億円もの被害である。(実際には店舗によると月間20万円もの被害があると言われている)万引きは証拠がない限り保険の対象外であるが、強盗は被害届を提出すれば保険で補填される。そのような経済的な理由で、強盗対策として人を増やしたり、ハードウエアーに投資をすると言うことにあまり積極的でないのがコンビニ業界の現状であろう。
 ただし、コンビニ強盗が単にお金だけを取るだけでなく、従業員の命を取るようなことになると、コンビニのイメージが大きく低下し、売上の低下だけでなく、従業員が働きたくなったり、フランチャイジーが廃業を考えるようになると言う業界全体のイメージダウンを引き起こす恐れがあることを忘れてはいけない。

ではどうやって被害を防ぐか、ハードウエアーとソフトウエアーの2面から考えてみよう。
基本的にはコンビニの強盗は衝動的であり、完全に防ぐことはできない。犯罪を犯したらすぐに捕まるので割の合わないと理解させるようにするべきだ。つまり、早く逮捕する仕組みと、強盗に入られた場合に従業員や顧客の生命に危険が及ぼさないようにすることが基本的な対策となる。

3)犯罪を防ぐに必要なハードウエアー

<1>防犯カメラ
まず必要なのは精度の良い防犯カメラだ。従来は単なる白黒の感度の悪いカメラであったが、カラーカメラの方が良い。犯人に服装特に色が明確であるからだ。また、VTRの精度も問題がある。一般的には120分間のテープで24時間記録するのだが、これでは1秒間5コマしかとれない。一般の映画フィルムは1秒間に24枚なのだ。そしてカメラを4台くらい同時に記録するので、同時に4画面写すと画質が荒くなり犯人像が明確でないし、1コマづつ表示するようにすると1秒間に1枚しか写らないことになり、犯罪捜査のデーターとしては不十分である。最近では、1秒間に20コマ撮れるカメラも出ているので必要なら交換するべきであろう。覆面をしていてもコンピュータグラフィックスを利用し犯人の素顔を割り出す手法があるので有効な犯人割り出しの手段だろう。
カメラの位置も重要だ。犯人の多くはヘルメットをかぶったり、つばのある野球帽をかぶっているので、カメラの位置が天井にあると顔がよく写らないことがある。そのため、レジの前のカメラは位置をやや下げ顔がよく写るようにするべきである。カメラの位置を低くすると、犯人の身長も計測し易いのだ。従業員の証言を見ると動揺しているためか、身長が実際とかなり異なっていることが多いからカメラの位置は重要になる。
犯人は事前に店舗を視察にくるので、1週間分のテープを分けて記録すると良い。7本のテープを用意し各曜日を記入し、曜日別に記録すれば最低1週間の記録は出来る。また、犯人がテープを取り去ったり、従業員が止めたり出来ないような安全装置のついたVTRを使用しなければならない。レジの周囲でなく別の安全な場所に置き、鍵をかけ経営者または店長だけが日中に交換する。テープを毎日交換することを忘れると効果がないが、最近はハードディスクに長時間録画できるシステムが安価に販売されているし、遠隔地に画像を転送するシステムも出てきているので、それらの画像記録と転送システムを検討するべきだろう。それらのシステムを全店備え、犯人を即座に逮捕することができるようになれば犯罪は大幅に低下するはずだ。
 また、店内カメラは複数の固定式だけだと死角ができるので、ドーム型の回転式カメラも設置すると、強盗だけでなく、万引きや従業員による窃盗(内引き)も防いだり、牽制できる。

<店外のビデオカメラの設置>
強盗は店内にカメラがあるのを知っているので、覆面をしたり、カメラに写らないようにするので、効果が低くなっている。そこで、店外にカメラを設置し犯人をはっきり写すようになってきた。広島県の大手コンビニ店舗は3月に強盗に襲われ、4月に店外カメラを設置した。そのため、6月に強盗に襲われた際には迅速に逮捕することができた。店内のカメラでは分からなかった犯人の素顔が、店外カメラには英国製高級自転車で店内をうかがいながら往復する様子とともに映っていたのだ。犯人は「犯行前に三、四店ほど下見して決めた」と防犯対策の手薄な店を狙った事が明らかであり、店外カメラに気づけば犯罪を防止する可能性もある。警察なども店外カメラは防犯効果があると近年、設置を勧めているが、購入費用が一台約十五万円かかるため踏み切る店は少ないと言われている。しかし、店外カメラはリース契約で設置すれば取り付け費込みで月約三千円と言われ、安全の事を考えれば安い投資ではないだろうか。
 神奈川県警も今年の2月に担当エリアの3000軒のコンビニに店外カメラの取り付けを要請した。カメラを道路側や駐車場に設置することにより強盗の防止や逮捕だけでなく、店舗前にたむろする不良少年や交通事故などを防ぐ効果もあるからだ。近年多い、ひったくりやひき逃げなども幹線道路に立地するコンビニ前のカメラで記録することにより、逮捕につながるし、地域全体の治安の向上につながると見ている。

<2>釣り銭を最小限にする。
被害金額を見るとチェーンにより異なる。2万円から最大50万円と幅がある。チェーンの指導の違いか、チェーン別に平均被害額が異なるのが気になる。強盗を少なくするためには、被害金額を少なくし、強盗は割にあわないという風にしなければならない。
被害金額を少なくするには1万円札などをレジに入れず、従業員が開けられない金庫などに入れ口をつくりそこに小間目に保管することである。1時間ごとに釣り銭以外の売上を封筒にいれ、金庫の内金庫に入れる。内金庫の鍵は店長と集金人の2人の鍵がないと開かないようにしておき、金庫は持って行けないような重量で、床に固定するか埋め込む。

<3>入り口のチャイム
従業員が強盗に襲われるのはレジカウンター内に居るときでなく、陳列棚の整理や補充を一人で整理しているときに刃物を突きつけられるのが多い。犯行の多い時間に1人で勤務するときには、陳列棚の整理は最小限にし、入り口のチャイムを取付、人が入ってきたときに分かるようにする必要がある。

<4>警報装置
強盗に襲われたときに、非常ベルなどを鳴らせるようにする。スイッチをレジのそばの目だたないところに置き、従業員によくトレーニングする。陳列棚などの整理中に襲われる場合の為に最近では、リモートスイッチを押せば、4カ所に自動的に電話がいくシステムがあるので危険な店舗では備え付けるべきだろう。
また、非常警報装置のスイッチを押すことにより、外の赤い回転ランプが回転し外の通りかかりの人に連絡してもらうシステムをつけるとよい。

<5>ドアーと鍵
カウンター内部に入る扉に鍵をつけ外から簡単に入れないようにすると良い。犯人の多くはナイフ等の凶器を使用するので、距離があれば逃げられるからだ。必要なら、カウンター周囲にガラススクリーンなど必要だろう。物理的な距離があれば襲いにくいからだ。
また、できれば非常口などがあった方が避難できて良いだろう。レジカウンターは外からよく見える方がよいが、レジの後ろに窓がある場合はブラインドなどを置き、どのくらいお金が入っているか、非常ベルがあるか等見えないようにする必要がある。
事務所の扉は自動ロックにし外から簡単に入れないようにする。仲から外が見えるように覗き窓を設置したり、VTRのディスプレーを置いておく。裏口のドアーも同様に常時ロックして置く。24時間営業でないときには閉店時開店時に裏口で襲われるのが多いからだ。裏口には照明をつけ明るくして置くこと。裏口や玄関には邪魔物を置かないですっきりし、犯人が隠れる場所をつくらないことが必要だ。

<6>従業員の保護
 最近の傾向は被害に遭った店舗が同一犯等に何回もおそわれると言うことだ。これは立地上の問題があり、店舗の運営を責めることはできない。一度おそわれたら、次ぎにおそいにくいように外から見て変わったという印象を与えなくてはいけない。その一つが外部カメラであるが、もう一つは米国のコンビニのような防弾ガラスをカウンターに張り巡らせることだ。店内を巡回して商品の補充をきめ細かくすることができなくなるが、深夜の危険な時間帯に1人で店舗を守る場合には必要な設備であり、ここまで治安が悪くなった現在真剣に検討する時期に来ていると言えるであろう。

<7>その他
犯人の多くは徒歩で逃走するので周囲の捜索で捕まることが多いが、金融機関の防犯用に使用されるカラーボールの使用は効果的だ。犯人が逃げるときに投げつけ着色液が付着し犯人が分かるようにするのだ。金融機関の強盗犯がカラーボールで数件逮捕されており、有効だろう。これを使用するのは、犯人に危害を与えられないと判断した時だけである。しかし、興奮した際にカラーボールを投げて犯人に当てるのは難しいので、消火器型のカラー噴霧器が発明されており検討する価値はあるだろう。
レジの周囲に凶器になる包丁やはさみ等の刃物を置いては行けない。ある店舗では護身用の木刀をレジの中に置いてあったために、犯人にその木刀で殴られた例もあるので注意されたい。

4)犯罪を防ぐソフトウエアー
強盗を防ぐためには上記の設備の対策が必要だがそれだけでは防ぐことは出来ない。日常の心構えが重要なのだ。

<1>勤務体制
まず、深夜の一人勤務をなくすことだ。犯罪例を見てみても圧倒的に従業員が一人の時をねらっているので、深夜営業時はなるべく2人勤務が望ましい。しかし、2人勤務であっても襲われている例がかなりあり安心してはいけない。

<2>店内を外から見やすくする。
レジカウンターが外から見やすいように窓ガラスにポスターをベタベタ貼らないこと。レジが外から見えないと襲い易いのだ。棚の陳列も高くしないで店内の見晴らしを良くするべきだ。強盗だけでなく万引きにも有効だ。

<3>交番の警官巡回
入り口に警察官巡回店舗のポスターが貼ってあるが、警官を見たことがないのでは有効ではない。警察官も人の子だから顔見知りではない店舗の中に入りにくいのだ。なるべく近所の交番と仲良くして、顔なじみになり店の中に気軽に入ってもらい、雑談をする仲にまでなるべきだ。店にきて貰ったらコーヒーの一杯でも出してゆっくりして貰うべきだろう。警察官と仲の良い店だという評判がたてば強盗も襲いにくいのだ。
ある警察署は管内のコンビニ全店舗に、警察情報を知らせる掲示板の設置を始め、警察官が常時巡回することをアピールすることで、深夜の強盗など、防犯効果も期待しだしているので、地元の警察に相談してみても良いだろう。レジの後ろの窓に縦五十センチ、横五十五センチの掲示板を取り付け、管内での乗り物盗の発生件数を表示したり、指名手配犯の顔写真や悪徳商法への注意なども張り出す。

<4>挨拶をする
防犯とは関係ないように思えるかも知れないが、サービスを向上するべきだろう。特に店舗に客が入ってきたときには、いらっしゃいませと目を見ながらきちんと声をかけるべきだ。顔見知りだったら雑談をしても良いのだ。もし強盗をしようとして店に入ったときににっこりといらっしゃいませと声をかけられ、目をあわせたら犯行には及びにくい物なのだ。
犯人は客が他に居ない時間を見計らって犯行に及ぶわけだから、繁盛していつも客がいる店は安全な理屈だ。サービスを良くしてお客と顔馴染みになるのが最も効果的で、一石二鳥だ。コンビニのアルバイトの場合人数が少ない為か、十分なトレーニングをしていないようだ。特に深夜店舗を訪問すると無愛想なのだ。しっかりとしたトレーニングが必要だろう。

<5>情報の入手
強盗犯は連続して近隣の店舗を襲う例が多いので、近隣の店舗警察と協力し、犯行があったら連絡し注意をする必要がある。最近警察でも緊急情報をファックスで流す場合もあるようで相談するべきだろ。普段からなるべく警察と仲良くして情報を早くもらえるようにしよう。

<6>銀行納金時の注意
売上金を納金するのは店長や経営者が昼間やるのだが、納金に注意する必要がある。時々異なった経路を使用したり、時間を替えたほうが安全だ。道を曲がるときにも強盗が隠れているかも知れないので、大回りをして安全を確認する。


7)強盗に襲われたとき
以上のように注意していても運悪く強盗に襲われたときの対処の方法をしっかりトレーニングして置く必要がある。
<1>ヒーローになるな
決して強盗に立ち向かってはならない。幾ら武術の有段者であっても立ち向かってはならない。お金は働けば戻ってくるが命は戻ってはこないのだ。今後、銃器の使用も予想され十分な注意が必要だ。時々、店舗の人や通行人が犯人を逮捕して、警察が表彰しているが大きなまちがいである。米国のチェーンでは犯人を従業員が逮捕したら処罰するくらいだ。決してヒーローになろうと思ってはいけない。

<2>冷静になれ
レジの内部に必要な釣り銭だけ入れて置けば被害額は5〜6万円ですむのだ。重要なのは、冷静になって犯人の顔の特徴。鼻、目、耳の形、ほくろの位置、服装、なまり、年齢、身長、靴など正確に覚えて置くことだ。この特徴を正確に警察に伝えることにより犯人の逮捕が早くなる。また、逃走する場合に車を使用するのなら、ナンバー、車の色、メーカー名などをすぐにメモし警察に連絡することが重要だ。また、凶器の種類、サイズも重要な証拠になるので覚えるとよい。
特に重要なのは犯人の身長だ。身長を正確に計測するには入り口のドアーに170CM位のところに目印をつけるなどの工夫が効果的だ。
犯人の観察にはトレーニングが必要だ。強盗が店舗を襲うVTRを見せてトレーニングすると良い。一回見せて「犯人の特徴を言って下さい」と言うのだが、ほとんどの人が正確に言えない。しかし、テープを何回も見せることにより、犯人の特徴を正確に記憶し、表現することが可能になってくる。テープがなくても普段からゲーム感覚でのトレーニングをすることが有効だろう。

市販している教材としては
『セーフテイステーションを目指して −コンビニエンスストアーにおける防犯対策―』
制作 テレビ朝日映像・キノックス
企画 警視庁生活安全総務課
監督 増田俊光
脚本 小和野清史・平田修一
主演 金田賢一・小林百合子・真実一路
役名 周坊(店長の先輩)
がある。

<3>連絡
非常ベルがあるのなら、普段から押す練習をさせよう。犯人に分からないように押すことが重要であり、普段から練習していないと、慌てて押すことができないのだ。警報装置を押し、時間を5〜6分稼げば警官が到着するので冷静な対応が必要だ。
非常ベルを押せなくても犯人が立ち去ったら、逃走用の車、自転車、逃走方向を確信したら、必要なことをすぐにメモし、110番をする。次に最寄りの交番、警察、経営者、店長、チェーン本部など必要なところへの連絡を忘れないようにする。
慌てると、電話番号がわからなくなるので、緊急用の電話一覧表を電話器のそばにおいておく必要がある。場合によっては犯人が電話を壊していく場合もあるので、最寄りの公衆電話の位置を確認し、電話用の10円玉などを用意しておくことが必要だ。
 しかし、幾ら訓練しても緊急の際には言葉も出なくなる。セキュリティ機器メーカーではそんな場合を想定して、強盗のスイッチを押せば必要な電話番号(セキュリティ会社や本部、場合によっては警察)に自動的に電話をかけ、住所と店名、被害等を自動的に報告する電話機を用意しているので、検討してみても良いだろう。

<4>現場の保管
犯行後は直ちに店舗を閉め、犯行現場を保存する。犯人の指紋や、靴跡など証拠を他の客に荒らされないようにすることが重要だ。

8)最後に
警察が防犯対策で強調するのはハードウエアーの用意と従業員2人対策だ。しかしこれには費用が必要だし、かけた費用の効果が十分にでるかどうかは保証の限りではない。
一番効果的な対策はトレーニングだ。防犯対策のトレーニングや襲われたときのトレーニングも大事だけれど、最も必要なのは接客トレーニングだろう。従業員が感じが良く、地元の支持を受けていれば、店舗も忙しいし襲う暇がなくなるのだ。また、犯人の多くは店舗の近くに居住しており、過去に利用した経験があることが多いのだ。利用したときに感じがよい店舗であれば、襲い難くなるのが人間の犯罪心理だ。もし応対がぶっきらぼうで機械的な応対をされたら、襲う方も良心の仮借なく犯行に及べるのだ。
以上

 

 


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