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店内調理はコンビ二の救世主になるか?
パーツアッセンブルのローソン VS 唐揚げに絞ったセブン


 ローソンがローソン神戸デリと言う店内調理併設の新業態への転換の実験を開始した。
また、セブンイレブンは店内で揚げた鳥唐揚げ等とご飯を組み合わせたサクサク亭の展開を開始した。
コンビニ各社の中でローソンは最も店内調理への取り組みが熱心で、2004年にはローソン鶴見駒岡一丁目店(横浜市鶴見区駒岡1-28-8)でコンビニ店舗横にほっかほっか亭のような出来立て弁当を朝の10時〜23時まで提供する形態を実験した。商品力はあったのだが、調理時間が長く焼き魚弁当を注文すると8分ほど時間が必要であった。焼き物器やフライヤーはローコストの物であり、それが原因で調理時間が長かったのだ。
 次に、2005年初めに池袋近くの高松に洋風弁当のLowson Kitchenの実験を行った。鶴見の店舗は持ち帰りだけだったが、12席ほどのカウンターとテーブル席を配置している。メニューは唐揚げ丼、ロコモコ丼、たま丼、エビとじ丼、カツ丼、オムカレー、デミオムライスハンバーグ弁当、生姜焼き弁当、等20品目と豊富で、店内で食べることもできるし、持ち帰りもできた。鶴見のお店の弁当提供時間が遅かったのを改善するため、マクドナルドのメイド・フォー・ユー・システムで使用しているような保温機を使用するなど研究をし格段の進歩と期待した。そして、トンカツ、海老フライ、野菜、唐揚げ、ハンバーグ、生姜焼き、チキンライス、等を調理した状態で保温する仕組みを構築し、注文後の料理提供時間を改善しようとした。しかし、厨房の調理器具とメニューがアンバランスで、結局調理時間はあまり短縮できなかった。また、キッチン3名、レジはコンビニサイド2名、キッチンサイド1名、管理者は店舗マネージャー1名、厨房指導員1名と合計8名で生産性が低いために収益性に問題があった。そのためだろう、両店の実験は終了した。その後少し時間をおいて店内調理の仕組みを構築したようで、今回ローソンは2010年6月16日に大々的な記者会見を開き、実験店を拡大し始めた。
従来まではローソン単独で店内調理の仕組みを構築していたのだが、今回は外部の食材加工と、店内調理のノウハウを持つ神戸物産と提携し実験店を開始した。
リリースによれば
『店内でお弁当や惣菜の調理を行う新サービス店を「ローソン神戸ほっとデリ」と名付け全国展開開始する。店内に専用キッチンの場所を設けて、その中でお弁当や総菜を調理する「コンビニエンスストアとデリカテッセンの融合モデル」と称する。「ライブキッチン」「彩りビュッフェ」「できたて弁当」の3つの機能を組み合わせ、2010年度中に関東・関西地区を中心にローソン200店舗に展開、2015年度までに全国1000店舗への展開を目指す。ローソンは店内で調理した"できたて弁当"をお客さまに提供することを目指し、
2004年から実験を継続。実験データを検証し、
1.「お待たせしない」注文いただいた後3分以内でのお渡し(一部商品を除く)
2.「小さな厨房」限られた面積の店内に厨房を設置するレイアウト
3.「誰でもおいしく作れる」アルバイトでも同じ味を実現できる簡易な調理方法
4.「熱々のご提供」

の4点に注目してローソンと神戸物産との合弁会社神戸ほっとデリによって改善を実施し「いつでも・どこでも・手軽にレストランの"できたて"の味をご提供」をスローガンに、職場や学校での昼食、主婦やシニア層の食事、家族の食卓の補完など、さまざまな食のシーンでの活用を狙っている。
 その改善の手法は、効率よく調理を行うため、食材毎に複数のパーツを組み合わせて惣菜に調理するめ「パーツアッセンブル方式」(部品の組み合わせ)を採用。各パーツを神戸物産で調理し、各パーツ毎に適温で配送・保存。店舗ではすでに加工された食材パーツを組み合わせ、惣菜を最終調理する。
「ローソン神戸ほっとデリ」では主に次のサービスが組み合わされている。
1.「ライブキッチン」(390円〜800円)
客の注文を受けてから目の前で調理するあつあつメニュー。「オムライス」、「豚焼肉
弁当」、「海鮮焼きそば」、「生パスタ」、「ピザ」など約10種類(品目数は店舗によ
り異なる)
2.「彩りビュッフェ」(390円)
豊富なメニューが揃うセルフ式盛り放題コーナー。「カレー」「ビーフシチュー」「揚
げ鶏の黒酢あんかけ」「コロッケ」、「かぼちゃ煮」、「鶏肝のしぐれ煮」、「ポテトサラダ」「厚焼き玉子」など約25種類を日替わりで販売(品目数は店舗により異なる)
3.「できたて弁当」(350円〜390円)
昼食などのピーク時間にご用意する本格店内調理弁当。「チーズハンバーグ弁当」、
「鶏と根菜の辛味和え弁当」「鶏照り焼き弁当」「鶏そぼろ弁当」など約10種類を日替
わりで販売(品目数は店舗により異なる)
』とかなり本格的な構想だ。
 
神戸物産はこのローソン神戸ほっとデリの店舗展開に先立ち、自社でGreenKと言う名称で惣菜屋を都内恵比寿と亀戸に2店開き、テストを重ねていた。基本的にGreenKとローソンのコンビニを組み合わせたものがローソン神戸ホットデリになるようだ。
http://www.greensk.jp/access.html
 今回は、そのローソン神戸ほっとデリがどのような形態なのかを検証することにした。訪問店舗は大井町にあるローソン品川地区事務所に併設のローソン大井店(東京都品川区大井4-17-16)と、神戸物産のグリーンズK 恵比寿店(東京都渋谷区恵比寿1-13-6)、そして、兵庫県神戸市のローソン神戸市役所西店(兵庫県神戸市中央区江戸町96)、最後に7月26日に改装した札幌元町駅前店(札幌市東区北24条東15)の4店とした。
 大井町店は7月中旬の平日、12時半に訪問した。この店舗は地区事務所に併設した実験店のようで、立地的に見てみると売上はあまり高くないように感じる。昼時であったが、店舗利用客はかなり少ない状況であった。店舗入り口を入ると右側に店内調理の厨房があり、その奥に従来のコンビニのカウンターがある。カウンター前の通路の反対側には立体型の「彩りブッフェ」用のショーケースがあり、鶏と根菜の辛味和え、筍のおかか煮、厚焼き玉子、高野豆腐、玉子サラダ、等9つの惣菜と3つデザートを陳列している。総菜は丸い赤い皿に盛りつけているが、料理名を明示しているのは5つだけであった。小さなプラスチックの容器が置いてあり、盛り放題で1パック195円である。
 店内調理のライブキッチンは従来のコンビニのような無機質なデザインではなく、カウンターの右側に全体の1/3ほどの幅で、クリームと薄いブルー、橙色の小さなタイルを使った、カウンターにしている。その背後に2台の電磁調理器を置き、オムライスやパスタを調理する。米国の有名ファストカジュアルのスパーゴエキスプレスのようなお洒落なデザインだ。タイル貼りのカウンター手前には出来立て弁当が7つほど並んでいる。オムライス弁当、チーハンバーグ弁当、照り焼きチキン弁当、等で価格はそれぞれ390円だ 
 このライブキッチンでは弁当を作って置いているが、注文して作ってもらえることができる。ふわとろオムライスやパスタ等で390円だ。その他、12インチ程度の大きさのピザを注文後焼きあげてくれる。包装は宅配ピザの段ボール生地だ。
 さて、ライブキッチンの横には「彩ブッフェ」のもう一つの機能、カレー、ビーフシチュー、等3つが大きな保温容器に入れて並べられている。その左右には保温ジャーに入った、白米と炊き込みご飯が並んでいる。その上にはコロッケ、オニオンリング等が並べられていて、ふたが閉まるまでそれらを好きなだけ入れることができる。それぞれ、390円だ。その他、チャーハン、焼きそば、惣菜が並んでおり、それも詰めるだけ詰めて390円となっている。購入した商品は並行しているが、区画で分けられた横のコンビニのカウンターで清算する。コンビニのカウンターには従来のフライ商品のフライヤーと保温ショーケースがあり商品が重複している。
 店内は狭く、どうやって買えばよいのかちょっとわかりにくいという印象だった。また、イートインコーナーもないので、せっかく熱い料理でも持って帰ると冷めてしまうという欠点もあり、このほっとデリの価値観があまり感じないのは残念だ。
 さて、この店の調理場の設備を見てみよう、ライブキッチンではフライパンでパスタを作ったり、オムライスの玉子を焼き上げるので、カウンタートップ用の電磁コンロが2台。小型フライヤー2台、惣菜類の調理用だろう2/3サイズの小型スチームコンベクションオーブン1台、炊飯器2台、電子ジャー2台、スープウオーマー3台、ピザオーブン1台、等で、オリジン弁当クラスの設備投資だ。
 次に、恵比寿のGreenKを訪問した、ローソン大井店と異なり、オフィス街に立地する店舗で昼食時には大変売上が高いと思われる。ただし、店舗は小さく、そこに神戸ほっとデリの3つの機能「ライブキッチン」「彩りビュッフェ」「できたて弁当」を並べているから、どうやって買えばよいのか分かりにくい。そのため一人の従業員が一所懸命に買い方を説明している。一人の若い男性が詰め放題のカレーに挑戦しており、そこでつまってしまいカレーを買うことができない。床は汚れており食欲を注ぐ。厨房も整理されておらず、スチームコンベクションオーブンは通常のホテルパン1/1の大型のものを置いているから厨房のスペースを圧迫している。
 料理はローソン神戸ほっとデリとほぼ同じであり、カレー、ビーフシチュー、四川麻婆豆腐、揚げもの詰め放題、惣菜のブッフェ1g1円等で、価格設定と料理名が若干異なる程度であった。10から12インチ程度の大きさのハム&トマトピッツア(390円)が焼き上がった後、プラスチックの容器に入れて陳列してあったので購入し試食した。厚切りのハムを使って価値感のあるピザである。大きなピザのためカッターを特別につけていた。試食したが、ピザソースは甘口だし、最悪だったのはプラスチック容器に入れていたので、カリッとしているはずのピザクラスとが餅のようになってしまって噛みきれない。
 ローソン神戸ほっとデリでは段ボール製の持ち帰り容器を使っているのでその問題はないだろうが、試食をして商品開発を行っているかは大きな疑問だ。
 この2店を拝見したが、メニューの豊富さや価格の安さには感心したが、店舗がごちゃごちゃとしているし、買い方が分かりにくい、立地上の問題で忙しい時間帯をチェックでないという印象で、正直あまり可能性を感じない業態と思っていた。
 しかし、8月初旬に兵庫県神戸市にあるローソン神戸市役所西店を拝見してそのイメージを大きく変えざるを得なくなった。店舗は神戸市役所に囲まれたオフィス街にある。周辺はオフィス街のランチ需要を狙ったコンビニが集中して出店している地域で、ローソンも周囲に5軒ほどもある。ランチの時間を少し経過した、13時に訪問したが周囲から来るオフィスワーカーの来店がひっきりなしだった。5月に改装したとのことであり、比較的大型の店舗だ。この店舗は入り口右の壁側6m程の長さに厨房を設置し、通路を隔てた反対側に40席のイートイン客席を設けている。通常のコンビニの売り場はその奥に広がっている。コンビニのレジは厨房の裏側に位置し、入り口からは見えにくい。ライブキッチンとイートインコーナーがものすごく目立つようになっている。
窓際にはカウンター席を20席、道路側にはテーブル席20席をゆったりと配置している。通常の店舗よりも女性客の比率がかなり高い。女性客は惣菜を買い、コンビニ売り場のパンと飲み物を組み合わせて食べるか、ライブキッチンで注文してから作るパスタ(390円)を注文する。男性はカレーやシチュー、四川陳麻棘豆腐(麻婆豆腐)、等と揚げものを組み合わせた彩ブッフェ(390円)か、できたて弁当を食べる。
 大井町のお店よりもスペースが多く、横に長いので、全体のレイアウトは理想的だ。入り口すぐの右側カウンターには彩ブッフェ(カレー類)の色々な盛り付け方を図入りでわかりやすく表示している。そして厨房カウンターを入り口から入ってきた顧客に見やすいように斜めにカットし、カラフルなタイルを貼ったライブキッチンコーナーを設置している。ここでは注文してから作る、ふわとろオムライス、クリームとハムのパスタ、ボロネーゼパスタ、ペスカトーレパスタ(全部390円)がある。実際にボロネーゼーパスタを注文したら、電磁調理コンロに油を注いだフライパンを置き、そこにソースを入れ温め、次に茹で上げて冷蔵してあるパスタを入れ温める。出来上がったパスタを持ち帰り容器に入れ、次にたっぷりのルッコラ(緑の葉野菜)を乗せる。注文してから2分15秒で出来上がった。
 そのカラフルなタイルの前には出来立て弁当が17個陳列している。できたて弁当は温かいのだが、保温ショーケースには並んでいない。照り焼きチキン弁当390円を購入したが、鶏肉のボリュームはあり従来のコンビニ弁当に比べるとバリューを感じさせる。付け合わせは切干大根、お新香、茹でたブロッコリーひとかけらだ。弁当の温度は保温庫を使用していないため、ぬるま湯程度の温度だ。
彩ブッフェは白ご飯と、炊き込みごはんを真ん中に入れ、ご飯の両サイドにカレーとビーフシチューをたっぷりと入れ、トッピングにコロッケとオニオンリングを乗せる。蓋がぎりぎりに閉まるくらいだ。かなりのボリュームとなる。この店舗の彩ブッフェの惣菜類の盛り付け方はカレーと同じ容器に盛り放題で390円か、小型のプラスチック容器に盛り放題で1個195円、2個で390円となっている。
この彩ブッフェは幅6mくらいで、一直線にレイアウトしている。向かって右側から、カレー類3種類の保温ジャー(1台は保温ジャーではなく、中華鍋に四川陳麻棘豆腐を入れて保温する演出をしている)、両サイドにご飯用電子ジャー2台が並び、その左側に冷蔵ショーケースが並び、冷蔵ショーケースは2段となっており、下段に6枚の白い角皿、上段にちょっと大型の四角い皿5枚が並ぶ。陳列されている総菜は、紅白なます、ヒジキと豆、豆乳マヨのごぼうサラダ、ふきの純和風煮、鶏肝のしぐれ煮、高野豆腐の煮物、オクラとなめこの和え物、豆乳マヨのポテトサラダ、緑のサラダ、おつけもの、豚肉入りソース焼きそば、冷蔵ショーケースの上には常温でコロッケ、オニオンリング、等の揚げものと、スタミナガーリックライス、豚肉入りソース焼きそば、鶏と根菜の辛味和え等の惣菜4種類が並んでいる。ほっと彩りブッフェ どれでも盛り放題390円と書いたPOPをつるし、陳列してある、サラダ、お惣菜、カレー、ビーフシチュー、四川陳麻棘豆腐、ご飯類、が選べることをわかりやすく説明している。従業員も親切に商品の取り揃え方を教えてくれる。
神戸西店の神戸ほっとデリは厨房のレイアウト、POPの掲出の仕方、十分なイートインコーナーの設置、ブッフェに適したオフィス立地、と相まって、消費者からみて大変魅力のあるお店となっている。
しかし、夜10時過ぎに訪問するとその印象は異なってしまう。実は西店近所のホテルに泊まっており最初の夜に初めて訪問した。まず、ホテル近所のローソンで神戸ほっとデリのお店を聞いたら区役所横だと教えてくれた。そこで、簡単にわかるだろうと区役所周囲を歩いたがなかなか見つからない、近所の2軒のローソンを覗いても違う。1時間ほど周囲を歩いて諦めかけて帰ろうとしたら、やっと見つかった。昼にはオフィス街なので昼には人が大勢歩いているが、夜は人通りが絶えて、西店の前は全くと言って人通りがない。しかも見つけにくい理由は店舗には袖看板がなく、歩道から見えないのだ。袖看板の代わりに固定式の立て看板が設置してあるが、道路から1mほど下がった位置にあり、しかも店舗両サイドにはその看板を遮るように建物や壁がたっており、かなり近くまで行っても店舗が認識できないという問題もあるのだ。
夜の認識性の悪さから深夜帯の売上は悪いのだろう、従業員は厨房にはゼロでコンビニカウンターに1名しかいない。でも、厨房の彩りブッフェにはカレー類とご飯、惣菜が陳列してある。惣菜類は昼と同じ大きさの角皿に、ちらほらと惣菜がミイラ化して点在している。惣菜のブッフェ形式の陳列とその管理はかなり難しい。惣菜とお弁当の専門店のオリジン弁当は深夜帯になると惣菜を絞込み、少なくなった総菜は小さなお皿に移し替えたり、小さなパックに入れて陳列する工夫を凝らしている。ローソンの場合、まだそのオペレーション知識や経験がないため、貧弱な陳列となる。こんな状態を続けると売上が低下し、ブッフェの品質がより低下する悪循環に陥るだろう。昼のピーク時と夜のアイドル時のメリハリある陳列の工夫は必要不可欠だろう。
もう一つの問題点は持ち帰りの場合の賞味期限などの表示だ。作り置きの持ち帰り弁当の場合は店舗で賞味期限や原材料、添加剤等の内容を明記したシールを貼っているが、消費者が自ら詰める彩りブッフェの場合はシールは貼られていない。コンビニの消費期限の長い弁当に慣れた消費者が混乱しないか心配だ。
さて、厨房施設を見てみよう。この店舗は賢明なことにピザを販売していないので、ピザオーブンを設置していない。その代りに大きな鍋を加熱調理できる電磁式ローレンジを設置している。また、ランチ時の売上が高いためだろう。予備としてご飯保温用電子ジャー3台、スープウオーマーを備えていた。
8月初旬に札幌元町駅前店(札幌市東区北24条東15 7月26日に改装)を訪問した。この店舗は上記の2店の問題点をかなり改善していた。
札幌元町駅前店は札幌駅から地下鉄東豊線で5つ目の駅で、その駅前の交差点にある。駐車場も備えた店舗だ。外観では上記の2店と異なり、目立つようにローソンほっとデリと書いた看板を掲げている。ほっとデリのコーナーを入り口左側、交差点角面に向かった位置に配置しているので、通行人にも目立つし、店内に入ってきた客の注目を浴び、入店者のほとんどがほっとデリの商品を見に来るようになっている。訪問時は土曜日の8時であったが、若いカップルの来店が多く、半分ほどのカップルが弁当や総菜を購入する人気だった。店舗入り口の左手には「ライブキッチン」を目立つ角に配置し、右側にはコンビニ部門がある。ほっとデリを設置したため、コンビニのレジは入店客の進行方向と平行して設置されている。目立つライブキッチンでふわとろオムライスの玉子を焼いているので、入店客の注目を浴びるようになっている。他の2店ではカラフルな小さなタイル張りのカウンターであったが、この店舗は濃い茶色の木目とステンレスを使った什器で、レイアウトを容易に変更できるようになっている(店舗ごとに)。 惣菜用ショーケース、カレーシチュー保温器、出入り口、ライブキッチン、がそれぞれ独立した什器となっているモジュール化を行っていた。そのため、ほっとデリコーナーのイメージが随分異なっている。また、ライブキッチンから彩り惣菜までのカウンターラインをほぼ一直線にして、客が買いやすくなっている。客席はL字型の窓側にそってカウンター席6席を配置しているが、椅子はあと2席は追加できるスペースとなっている。夜の時間帯を拝見していると、持ち帰りが多いのでこれで十分だろう。
「できたて弁当」のメニューは他店ではなかった豚焼肉弁当があった。北海道の消費者は豚丼が大好きで、それに対応するためだろう、野菜も豊富に入っており価値感の高い弁当だ。その他、ふわとろオムライス、パスタ、照り焼きチキン弁当を390円で販売しているが、他店と異なるのは「おかずフライセット 鶏の唐揚げ 250円」、や照り焼きチキンをカットした「おかずセット」等を販売していることだった。鶏の唐揚げは一口サイズが8個ほど入っている。衣が厚い食品スーパーで販売しているような唐揚げである。
夜8時から9時の間に常時20個ほどの弁当を陳列しているが、入店客が多くどんどん追加で製造していた。「彩りビュッフェ」は他店が詰め放題で小195円か大380円であったが、この店は1g1円(GreenKと同じ)で販売している。惣菜のメニューは他店とほぼ同様であった。なお、この店舗もピザを販売していない。
8時から食べながら拝見していたら、8時45分ころから掃除を始めた。聞いてみたら店舗の営業時間は24時間だが、ほっとデリは午前11時から午後9時までとのことだった。午後9時の時点で、惣菜類は整理して冷蔵庫などに保管していたが、その前にできたて弁当を20個ほど製造し、カウンターに並べていた。この営業時間であれば惣菜類の品質劣化も防げるし、人件費上の問題もないであろう。ちなみに訪問時にはコンビニ部門2名、ほっとデリ部門2名であった。
厨房の課題はあまり信頼性の高くない調理機器を使用していることと、店舗により異なる調理機器を使用していることだ。札幌の店舗のフライヤーは他2店とは異なっていた。フライヤーだったら同じと思いがちだが、油の容量、ヒーターの性能、温度コントロールの特性等により揚げ方が異なるのであり、レシピーの標準化上問題があるだろう。
コンビニの場合は24時間運営であり、調理機の稼働時間は外食より長い。そのため、テストを十分行い耐久力と信頼性を確認して調理機器を採用するべきだろう。また、メニューにハンバーグや鶏の焼きものがあるが、工場で調理済みの物をスチームコンベクションオーブンで再加熱するようで、時間がかかるのと焼け色にムラがあったり、綺麗に焦げ目がついていない場合がある。高速調理機器を採用すればメニューの幅が広がり、サービス速度が速くなるだろう。
もう一つの懸念は商品開発だ。基本的なコンセプトは神戸物産が開発したものだろう。この神戸ほっとデリの業態がローソンが独占して展開できればよいのだが、ニュースリリースを拝見すると、神戸物産は食品スーパーのオオクワとも提携し、すでに店舗展開を行っている。問題は、コンビニと食品スーパーの顧客層と購買動機が大きく異なることだ。セブンイレブンは自社のベンダーに焼き立てパンを開発させたが、製造能力が高過ぎるので、セブン&アイ・ホールディングス傘下の食品スーパーなどでも取り扱わせている。コンビニの場合、店舗での売上が悪いと直ちに商品の販売を中止する。ところが、コンビニで売れなくて、食品スーパーで売れる商品もあるし、その逆もある。と言うことで、食品スーパーの担当者は困るとぼやいていたことがある。今後、顧客が飽きないように商品開発を継続する必要があるが、その機能を神戸物産が持つ場合、コンビニ向けとスーパー向けの2本立ての必要があり、それだけの能力を持つことが可能かと言う大きな課題を抱えているだろう。
しかし、ローソンにとっての神戸ほっとデリの価値は、他社に後れをとっている海外、特に中国や東南アジアでの展開だろう。中国や東南アジアの顧客はコンビニであっても日本のように冷たい弁当を購入することはしない。温かい料理を提供しなければ買ってくれない。この神戸ほっとデリの仕組みを完成させることは海外出店の大きな武器になるものと思われる。

セブンイレブンのサクサク亭

セブンイレブンは同時期に揚げものと温かいご飯を組み合わせたサクサク亭を開始したので、その1店舗を訪問した。筆者の行動範囲には5軒ほどのセブンイレブンがあるが、どこもサクサク亭を実施していない。ホットスナックしかない。
そこで、筆者の住む私鉄沿線駅前の忙しいセブンイレブンの店舗を夕方の8時頃に訪問した。繁盛店で、その時間にも顧客はひっきりなしに訪問していた。
 店舗入り口にも店内にもサクサク亭の看板告知はなく、他のセブンイレブンと同様にホットスナックの店内POPが出ているだけだ。カウンターの上には大きな保温ディスプレーショーケースがおかれ、揚げた商品が置いてある。その手前に小さな棚があり、3つの若鶏唐揚弁当(450円)が温かい状態で置かれていた。店員に他の温かい弁当はないのかと聞いたら、以前はコロッケ弁当があったが、現在は唐揚げ弁当だけだと、あまり気合の入っていない返事だった。外から覗いてわかる、カウンター内の構造は新しい設備と言えば、2台のフライヤーの設置と、保温ディスプレーショーケース、カウンター背後の壁のPOPだけだ。ローソン神戸ほっとデリと比べるとはるかに投資金額が低いし、どの店でも展開できるだろう。温かい弁当は普通の小さな棚に陳列してあるだけであり、保温ショーケースに入れていない。唐揚げ弁当の構成は、小さめの2つの容器に、ご飯と唐揚げとキャベツを入れてある。下に温かいご飯の容器を置き、その上に揚げたての唐揚げとキャベツを入れた容器を置いて、ゴムバンドでまとめている。温かいご飯の容器の上にあるので、保温状態は良い。付け合わせの調味料は大根おろし風の和風ソースとマヨネーズだ。チキンは一口サイズのものを5つと十分な量だ。店内にはイートインスペースがないので外の車に戻り、試食をした。揚げたチキンは大変柔らかく、味付けもなかなかのものだ。ご飯は温かいが、炊き立て感はない。カウンター背後には炊飯器の姿が見えなかったので、ご飯はバックヤードで炊いて保温しているか、冷凍米飯などを電子レンジで加熱しているものと思われる。唐揚げの量は十分だが、価格が450円もするので価値観と言うとあまり感じないというのが本音だろう。実際、店内には従来のお弁当が沢山並んでおり、お客も従来の弁当を購入する方が多いようだった。
 一見してセブンイレブンのサクサク亭は大したものでないように思えるが、大変現実的なシステム構築を行っている。ホットスナックのメニューはフライドチキン(骨なし)165円、ほくじゃがコロッケ80円、ジューシーメンチカツ100円、鶏の唐揚げ1個36円、ビックアメリカンドッグ105円、フライドポテト155円、スパイシーレッドチキン160円、からあげ棒(竜田揚げ)105円、ポテから165円だった。
 弁当の他に、フライドチキン(骨なし)165円、ほくじゃがコロッケ80円、フライドポテト155円を試食した。全て温かく、衣もカリッとしていた。フライ物は海外で加工することができるので原価管理上有利である。若鶏の唐揚げ弁当の表示を見てみると、添加剤を多用していることが分かる。鳥を柔らかく加工するには、添加剤を混ぜた調味液に鶏をつける、真空容器で調味液につける、調味液を針でインジェクションする、の3つの手法がある。これにより肉は柔らかくなり、歩留まりも大幅に向上するのでコストコントロールは容易だ。そして、調理液をたっぷり吸った鶏肉にバッターとブレディングをつけ、一時フライする。場合によっては軽くフライした後、コンベアー式の蒸気加熱器で低温加熱して、あたかも圧力フライヤーで揚げたかのように肉を軟らかくする。そして、冷凍し包装する。鶏肉産地の工場で屠殺後すぐに加工調理して、冷凍すれば品質は大変良い状態を保てるし、生の鶏肉を輸入できない国からも輸入が可能になる。
 ブレディングと衣は理後何時間くらいで食べるかにより、調合を変更することが可能だ。
そうすることにより、温かくサクサク感を保てることができる。保温ショーケースに入れてあることを前提に商品開発を行うことにより、保温ショーケースでの乾燥状態を計算できるので、それに対応した商品開発を行っていると思える。フライドポテトは通常揚げてから10分ほどで柔らかくなってしまう。しかし、セブンイレブンのフライドポテトはファストフードのフライドポテトより太めにカットし、ポテト表面に味付けしたデンプン質をコーティングしているので、カリカリ感が長く保てるようになっている。
セブンイレブンの調理場は大したもののように見えないが、キーポイントは保温ショーケースだろう。6年前に焼鳥などの串焼きを発売した時に、加湿保温ケースを開発して、大変良い状態で販売していた。しかし、加湿保温ケースは扉の開閉頻度が多いと乾燥してしまう欠点がある。その後、焼きもの等の商品を開発していないことを見ると、その問題点を解決できなかったのだろう。
今回は揚げもの中心に開発したことで、加湿の必要がなく、商品加工に工夫を凝らすことで、サクサク感を保つようにしたのだろう。セブンイレブンの場合、店舗のオペレーションのばらつきや負担を防ぐため、工場段階での商品加工を綿密に行っているのだ。
また、使用しているフライヤーも大きさはファストフードで使用しているものよりも小さいが、ヒーターなどの性能は大変高いものを使用する等、さりげない厨房であるが、かなり入念な検討を加えたことが分かる。

まとめてみると。
セブンイレブンのサクサク亭は手堅くまとめた業態であり、簡単なPOPを見てみると、将来の異なるメニュー開発を考えていることが分かる。店舗ごとの調理機器やレイアウトを見ても本部で統制をとっていると思われ、整然としている。また価格設定を見ても、従来の弁当との競合がないようなひかえ目のものである。投資金額を考えてもあまり負担はないだろう。
ローソンの神戸ほっとデリは意欲的で、魅力のある業態である。特にできたて弁当の価格390円や「ライブキッチン」のふわとろオムライスやパスタ。彩り惣菜のカレーやシチューの盛り放題、等、女性と同時に男性客を満足させる努力には感心させられる。どの地域でも適合するかは難しいものがあるが、オフィス街などに神戸市役所西店のようなイートインコーナーを設ければ、他のコンビニに対する大きな差別化に成功するだろう。ただし、料理自体や、厨房の調理機器やレイアウト等、標準化が遅れており、これからどのようにブラッシュアップしていくのか注目しなければならない。



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