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飲食業の環境維持への取り組み検証
現状と今後の進むべき道


  1. ISOの定義,歴史、9000と14000
  2. ISOとは国際規格のことである。規格には社内規格、業界規格,国家規格、国際規格,等がある。車などの工業製品を作る上でネジなどの部品は重要だ。製造するメーカーによりネジのサイズや精度が異なると自動車製造業にとって不便であり、その問題を解決するために各国で品質規格を作成した。日本ではJIS(日本工業規格)、ドイツではDIN,英国ではBSIなどと各国で規格を定めた。しかし国境を越えて取引をする時代になると国別の規格では不便であり、国際規格を定めることになった。それが、ISOと言う国際規格である。(International Organization for Standardizationの略で日本語では国際標準化機構となる。)新しい規格のように思われるが設立されたのは1947年と古い歴史を誇っている。日本では写真フイルムの種類でISO100とかISO400等と言う定義で使用されている。元々、工業製品の国際間取引の際の品質保証として使われている。

    工業製品の品質保証にはISOは有効であるが、人々が国際間を異動する際のホテル、航空会社、レストラン、等のサービス業や多品種少量生産をする工場などでは一々商品の規格を定めることが出来ないと言う不便さが感じられるようになった。そこで、工場での製造工程に対する品質保証規格やサービスに対する品質保証規格としてISO9000が定められた。最近ではホテルオークラ、加賀屋、ココス、等の宿泊産業や外食産業で、サービスや商品の品質を向上するためにISO9000を取得するようになった。

    そして、1996年9月に環境マネージメントに関する国際規格としてISO14000が定められた。ワタミフードサービスやグリーンハウスなどの大手外食チェーンは積極的に環境ISO14000を取得し、ワタミフードサービスはISO14000取得後新聞に一面の広告を出して消費者、投資家へのアッピールをしている。今後外食産業でISO14000どのように取り組むか考えてみよう。

  3. ISO14000とはなにか
  4. 従来の環境問題は大気汚染、土壌汚染、水質汚濁などの地域的な問題であり、環境基本法、大気汚染防止法、悪臭防止法、水質汚濁防止法などの法規制で対処してきた。しかし、現在の環境問題は,フレオンガスの放出によるオゾン層破壊問題、経済活動の活発化を原因とする二酸化炭素増大による地球温暖化,など国境を越えた環境問題となり、地球サミットが開かれ対応が協議されるようになった。現在では環境問題は国家間の重要な問題となってきている。国家間の問題に対しては従来の国家内の法律だけで対処することは出来ず、国際品質保証規格のISOを使い、各企業や国、地方公共団体などが自主的に環境保全をする必要がでてきたわけだ。

    従来環境問題というと埋め立て地の不足からくるゴミ処理費用の高騰,焼却炉の破損とダイオキシンの発生を防ぐための発泡スチロールの削減、ゴミ袋の変更、生ゴミ処理のためのリサイクルや焼却設備、などゴミ対策が主で、やむなく取り組むという姿勢であったが今後は

    1. オゾン対策
    2. 地球の周囲にはオゾンが取り巻いており、太陽光線に含まれる有害な紫外線などの有害な光線を遮る働きを持っている。オゾンがなくなると有害な光線が降り注ぎ植物、動物、人間の皮膚障害など大きな環境問題を発生させる。そのオゾンを破壊する最大の原因がエアコンディショニング機器で使用されていた冷媒のフレオンガスであり、今後はエアコンなどの機器でオゾンを破壊しない安全なフレオンに切り替える必要がある。新規購入の場合は新規格のフレオンガスを使用している機器を使用し、古い機種もガス漏れの恐れがあるし、補充も難しくなるので漸次更新をしなくてはならない。

    3. 地球温暖化
    4. CO2の排出を削減するように配送車の合理化や燃料に見直し、省エネルギーの調理機器や照明、暖房施設の採用をする。熱効率が36%前後と効率の悪い電気のピーク需要を下げるため、ガス冷暖房の採用などを考慮するべきだ。ガス厨房器具も電気の熱効率を上回る40%以上の効率を達成できる物に切り替える。セントラルキッチンや問屋、食材メーカーからの店舗への配送回数を減少するために正確な発注予測システムの導入等が必要不可欠になる。

    5. 森林減少
    6. セントラルキッチンなどの徹底的な活用による店舗段階の生ゴミの削減や、店舗における徹底したゴミの分別とリサイクルをする。当然の事ながら再生紙の徹底した活用を行う。ネットワークを活用したペーパーレスの仕組みを作り上げ、紙パルプの使用を大幅に削減しなくてはならない。

    7. 環境ホルモン
    8. 安全な使い捨て容器や洗剤の使用などだけでなく、建物などの建築資材までもダイオキシンやその他の有害な物質を拡散しない物であるかの検討をおこない、発泡スチロールなどの持ち帰り容器の資材の見直しを行い、極力安全な材料を使用する。

    9. 海洋汚染の防止
    10. 店舗からの油脂の排水を徹底的に押さえるために、グリーストラップや浄化槽のメインテナンスをきちんと行う。

    等という根本的な対策が必要になってくる。

  5. ISOをとるメリットは何か
  6. ワタミフードサービスはの渡邉社長にISO取得の理由を伺ったら、「ISO14001を取得するにはかなりの労力と投資が必用だが、無駄なエネルギーや資源の削減につながるので最終的にコストが下がるのではないか」と単に名誉ではなく、メリットがあるのだと主張されていた。

    ワタミは店頭公開をしてから短期間に二部上場を成し遂げた。渡邉社長の強いリーダーシップの秘訣は常に従業員に常に明確な目標を与え、それを確実に実行し社員一丸となった達成感を感じさせることだ。その明確な目標が店頭公開や二部上場だろう。当然次は東証一部上場を狙うが,まだ数年の年月がかかるだろう。企業は目標を失うと急速に衰える。ISO14000は一部上場までの明確な目標として最適なわけだ。しかもISOを取得するためには社内の全てをマニュアル化をするという,システム的な対応を全社員参加して行わなくてはならず、社員教育としても最適なわけだ。社内の標準化と社員教育を成し遂げ、同時に無駄なコストを削減できれば、一部上場に向け筋肉体質の会社に変貌することが可能になるというわけだろう。

    産業給食を主とするグリーンハウスにとってはISO14000は直接的なメリットを生じるだろう。日本は地球サミットや97年末の京都温暖化会議などで他国から、積極的な地球環境保護への貢献を迫られている。その一方、国や地方公共団体は規制緩和や経費削減に取り組まざるを得ず、従来は自営で行っていた給食等のサービスを外部業者へ委託をする作業を開始している。地方自治体は経費削減上,小中学校の給食作業を外部委託するという準備を進めている。外部委託業者の選定の際には業者の資格を審査するわけだが、給食事業の内容だけでなく、食品衛生(堺市の大規模な食中毒以来)や環境問題に積極的に取り組んでいるのかと言うことも重要な資格となってきている。今後は国や地方公共団体、外郭団体、等との取引をする腕は品質保証規格である,ISO9000と14000は取得していなくてはならない重要な規格となるだろう。

  7. ISOの導入作業
  8. ISOを導入するには各業務担当者の職務基準を定め、各作業の綿密なマニュアルを作成しなくてはならない。従来のマニュアルのように造ってそれで終了ではなく、常に遵守するような経営管理の手法、経営者の関与のあり方、チェックのシステム、内部監査、改善運動、教育活動、評価制度,等、全社的な活動が必要となってくる。

    従来の品質管理運動のTQCはあくまでも社内の任意の活動でったが、ISOは一度定めた品質基準を外部の認定機関が認定し、その後は年に1回という定期的な監査制度を行う、客観的で信頼の置ける品質規格だ。 従来のマニュアルのように外部の専門家に依頼し、作成してもらって後は神棚に飾っておく聖書のような物ではない。現場で仕事に携わっている人々が実際に使えるマニュアルを作成し、使いにくかったりしたら,現場自らが変更をおこおなわなくてはならないとISOの監査で是正勧告を出され、改善を怠ると認定を取り消されることになる。

    ISOの最大のメリットはこの継続性だろう。社内でマニュアルを守れと口を酸っぱく言ってもなかなか守れないのが現状だが、馴れ合いのない社外の人間から厳しい監査を受けることにより常にマニュアルを守ることが可能になる。

    ファーストフードに1人で行ってハンバーガーを買う際に、「ハンバーガー10個」と注文したら、持ち帰りだというのが明らかなのに「お召し上がりですか?お持ち帰りですか?」と聞かれたという話を例にとって、マニュアルが否定的に扱われるようになっている。最近の外食の不振は経済的な影響もあるだろうが、マニュアルを維持するという姿勢が希薄になったのも要因ではないかと思われてならない。

    マニュアルの基準は最低限であり、マニュアル以上の内容を成し遂げようと言う不断の教育を行いマニュアル人間の問題を解決するためにも、ISOは最適の取り組む課題ともなるのではないだろうか。

  9. 今後のISOへの取り組み方
  10. 外食産業にとって取り組まなくてはならないISOにはISOの9000と14000がある。どちらをとればよいのかということで悩むと思う。ISO9000よりも14000の方が項目が少なく取得が容易だというメリットがあり先に14000を取得しようと言う傾向があるようだ。

    しかし幾ら取得が難しいとはいえ、先ず商品製造やサービスの品質保証をするISO9000をとるのが第一優先だろう。ISO14000を取得しても商品製造の品質保証がなければ味のクレームだけでなく、食中毒の発生の恐れがあるからだ。

    勿論現在のISO9000にもまだまだ改善点がある。筆者はISO9000を取得した旅館の調理システムの指導をしているが、現在のISOには教育システムや評価システムという規定が欠如していることが問題となっている。調理に必要な職人芸の標準化には教育システムや厳しい評価システムが不可欠だからだ。しかし、ISOの良い点は規格に改善の必要性があれば一回取得した後でも監査の際に向上や改善を要求されると言うことだ。監査組織でもそれらの問題点を認識しており、2000年には改善予定であり、9000と14000を取得する場合に重複する内容は審査からはずすと言う完全も予定されているようだ。

    ISOは一回取得しても毎年新しい課題を与えられ、改善活動を怠ることが出来ないと言う、継続的な品質活動であるということだろう。

    良いことずくめのISOであるようだが、部下や社内にしてとりあえず取得しろと命令するだけではだめだ。ISOの取得時に一番重要視されるのが経営者のISOに対する姿勢だからだ。何でも会議で決める合議制や,稟議制度などの硬直した意志決定や責任のない体制では実施できない。それぞれの現場を担当する人々が責任と権限を持って実施できるような権限委譲と、成果を給与に正確に反映させると言う評価制度がISO導入で最も必要なことだ。経営者が先頭に立って引っ張るような経営姿勢が重要だと言うことだろう。

  11. ISOにむいている企業
  12. ISO等という難しい言葉を使うと店頭公開や上場をしている企業の活動のように思われるが、実は公開前の元気の良い企業の方が容易に取得できるだろう。大手の外食チェーンになると業態が複雑で本社組織も肥大しており、現存のマニュアルもすでに存在している。それらの全てをもう一度見直すのは膨大な作業をともなうわけだ。まだマニュアルや教育システム、評価システムが完成していない中小企業の方が,しがらみに縛られずに新規に品質規格を作成できるのだと思われる。

以上

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