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飲食店経営98年8月号
効果的な水道光熱費の削減


毎月の使用量を前年と比較し省エネ実践担当者を評価する

水道光熱費は売上高に対比して1%、または水道光熱費の総額に対して10ー20%は楽に減少させられる。その詳細の方法については過去に飲食店経営に述べてあるのだが、どうも実際に行う方が少なく効果が少ないようだ。

大手の外食チェーンでも水道光熱費の削減をきちんと行っているところはほとんどない。まして、中小の飲食店はほとんど手つかずの分野だろう。今回はその原因と対策を考えてみよう。

筆者は外食チェーン指導の一環として、店舗を訪問し、水道光熱費の削減方法を具体的に指導したことがある。それなのに、店長やSVや本社の担当者はあまり熱心でなかった。その後も幾つかのチェーンの指導の中でも同じ経験をした。最初は知識がないのか、忙しくてやる時間がないのかと思っていたが、同じような問題を各チェーンが抱えていることに気がつきだした。そこで、店長や管理者とじっくりと話をしてみることにした。そこで発見したのは現場の担当者が「なるべく無駄な仕事を増したくない」と言う気持ちを持っていることだった。

水道光熱費を削減するためには先月号の夏休み対策で述べたように定期的なメインテナンスと清掃という地味な労力のかかる作業が必要だ。それらのチェーンの一番の問題点は省エネルギーを行うことに対して評価をしていなかった。いや、評価そのものがなかったのだ。省エネルギーをやり損益計算書に反映させても、評価されなかったり、場合によっては店長に損益計算書の内容を指導していないようであれば、誰も自分の時間を費やして無駄なことをしなくなる。また、省エネルギーそのものが店長の仕事として職務記述書に書いていなかったり、職務記述書その物がないようでは店長は仕事をしたくないし、しても自分のメリットにならないから行わないわけだ。

勿論その他に色々な問題点がある。省エネの具体的な手法やノウハウを実施しようと言う努力、それに必要な知識、やる気も不足しているようだ。今回はまず、何が省エネルギーの努力を妨げるのか分析し、障害をどうやって克服するかの手法を考えてみよう。

1)現状の問題点

  1. 水道光熱費の額が小さく大した物ではないと思っている。
  2. 飲食店の経費で大きい額をしめるのは原材料費と人件費だ。平均的なコストである,材料費28ー36%、人件費20ー30%,と比べると水道光熱費は5ー8%で少額であり大した額でないと思いがちだ。

  3. 水道光熱費は必要な経費で削減できないと思っている。
  4. 水道光熱費は必要な経費であり、固定経費であると思っている。水道光熱費を削減すると調理が出来なかったり、客に不快な感じを与えると思っている。調理機器の正しい知識がないため,調理機器別のあるべき姿の水道光熱費率を理解していない。そのため、正しく動いているか、燃費が悪いのかが分からないから,水道光熱費の管理が出来ないということになる。

  5. 店舗標準化がなく正しい水道光熱費の数値を持っていない
  6. 中小の場合は比較する店舗が少ないし、店舗毎で使用する調理機器や店舗面積、レイアウト、売り上げが異なるので正確な水道光熱費の比較が出来ない。店舗やオペレーションの標準化は水道光熱費の管理の上でも必要不可欠なのだ。日本の場合チェーンであっても使用する調理機器や設備の選定基準が明確でなく、エネルギー効率やメインテナンス性を考慮しないで選定するから、店毎の水道光熱費の比較が出来ない場合が多い。

  7. 従業員が真剣でない
  8. 経営者が幾ら騒いでも従業員が真剣に対応しないと水道光熱費の削減は不可能だ。従業員にどうやってやる気を起こさせるかがポイントになる。

  9. 合理的,科学的な経営手法が存在しない。
  10. 水道光熱費の削減は精神論でなく、合理的な、科学的なアプローチが必要だ。水道光熱費の削減が旨く行かないチェーンは科学的な取り組みが全く出来ないと言うことで、水道光熱費以外でも大きな問題を抱えている。

2)上記の対策

  1. 数値管理の徹底
  2. まず損益計算書を月次で作成させ,その責任を店長に負わせることだ。そして、店舗のQSCの評価だけでなく、人物金の評価をきちんと月次で行うことだ。水道光熱費は金額管理でなく、使用量で追求する。毎週、毎月検針し、月次と週単位の売り上げと水道光熱費の使用量を,昨年と比較してみる。次に同程度の規模や売り上げの他店舗と比較して何が問題かを明確にさせなくてはならない。必要なのは新店舗からの過去の水道光熱費の使用量のヒストリーをしっかりとっておくことだ。さもないとどの時点で水道光熱費が変化しているかが分からないからだ。売り上げや客数、調理機器があまり変わっていないのに使用量が大幅に増加していれば何かがおかしいという事が分かるからだ。

  3. 教育
  4. 各調理機器、空調機器、照明などの作動原理を教え、どうやったら合理的に節約できるかの教育が必要不可欠だ。社員だけでなく、アルバイトにもきちんと教えることがポイントだ。先月号でも述べたが、水冷の機器が多くの水を使用する。夏場に暑くなると水の使用量が増加するのは飲み物が売れるだけでなく、水冷の機器が水を垂れ流しにするからだ。調整が悪かったり、老朽化すると必要以上の水が垂れ流しになり多額の請求書が来る。水冷の機器であっても必要以上の冷却水はかえって効率が悪くなると言うことを知らないと無駄な金を払うことになる。

  5. 合理的、科学的なアプローチ
  6. 人間でも定期的に健康診断を行い、異常がないかを発見し、病気になる前に対策や治療を行ったりする健康管理を行っている。水道光熱費も同様に問題がある前に異常を発見するという定期的な健康診断が必要だ。その為には各調理機器のチェック項目を明確にして、カレンダーに何時どんなやり方でチェックするかを入れておく。そして、水道光熱費が異常値を示したり、機械が壊れる前に対策を立てることにより,水道光熱費の削減だけでなく、機械の修理代を節約することが可能になる。

3)効果を出すための秘策

  1. 正しい評価
  2. 水道光熱費の削減の秘策は省エネルギー機器や特殊なノウハウを導入することだけではない。一番効果があるのは従業員にやる気を起こさせる事だ。

    社員に対しては毎月、面接で評価を伝えて、水道光熱費も評価の対象なのだと伝えるのが基本だ。アルバイトであっても評価を行うことにより管理を徹底させることは可能だ。

  3. インセンティブ
  4. 正しい評価には報奨が伴わなくてはならない。評価というのは金で換算できるからだ。社員であれば、ボーナス、昇給、昇進で、省エネルギーへの努力を金で換算する。勿論インセンティブというのは金だけではない。一緒に省エネルギーに取り組んだり、良い仕事をしたら誉めてやってり、ゲーム感覚で仕事をする楽しさも有効な手段だ。場合によっては表彰をしたりしてやる気を向上させられる。

    アルバイトも同じだ。時給を上げたり、アルバイトマネージャーにしたり、タイトルをつけると言うことはやる気を出すために必要不可欠だ。

  5. 成果の配分
  6. 省エネルギーは誰か1人の社員やアルバイトの力だけで出来る物ではない。従業員全員のやる気と参加がなくてはならない。省エネルギーで節約した金の配分を適切に行うことが最も効果がある。

    省エネで節約できた金を1/3づつ分配すると効果がある。従業員の給与報奨として1/3,会社の利益として1/3、そして残りの1/3を店舗の設備投資や、広告宣伝費、改装費などに当て、売り上げが伸びるようにする。このバランスをとることにより、従業員はやる気をだし、かつ、店舗の売り上げが上がり、経営者も利益が上がりハッピーになる。

    省エネの基本は参加者全員が楽しくなると言う工夫が必要だと言うことだろう。是非ゲーム感覚で取り組んでいただきたい。

4)一番効果のある対策

夏場を迎えて一番効果的な対策は以下の項目だ。

  1. エアコンの温度調整
  2. 温度を24ー26℃に設定し、客にとって快適と感じる温度にする。暑いからと行って温度設定をそれ以下に下げても効果がないし、暇な時間帯に冷えすぎて無駄なエネルギーを使用する。温度設定をこまめにチェックするのが最も効果がある。

  3. エアコンや冷却機器のコンデンサー、エバポレーターの清掃
  4. 電気を一番消耗するのがエアコン等の冷却機器だ。コンデンサー、エバポレーターを頻繁に清掃し、効率よく冷却できるようにしよう。周囲に風の流れを妨げる物がないように時々チェックが必要だ。

  5. 厨房機器のこまめなスイッチON,OFF
  6. 特殊な省エネルギーの機器より、きめ細かにスイッチをつけたり、消したりすると言うのが基本的な省エネだ。グリドルやフライヤー等の調理機器はサーモスタットがついていても、周囲に熱を放熱してガスや電気を消耗する。何も調理をしなくても最高出力の30%位のエネルギーを消耗するから、使用しない場合はこまめに消すという手間暇を惜しんではいけない。調理機器を消したら、それに会わせて換気扇のON,OFFを忘れないこと。

  7. 照明等のこまめな調整。
  8. 昼間から看板がついていないか、閉店後は看板や、外部の照明を消しているか、人が居ないときに休憩室や倉庫の電気がついていないか細かいことにも気を配ることが基本だ。

  9. 無駄な水漏れのチェック
  10. 時々、排水マスなどをあけて、機械が動いていないときに無駄な水が流れていないかチェックをする。トイレの水も同じだ。水が漏れだしたら直ちに対処することにより大きな出費を防ぐことが可能だ。

以上の項目をまず実施してみよう。具体的な手法は過去の省エネルギーで述べてあるので参照していただきたい。忘れてはいけないのは従業員全員の参加とそれに対する報酬だ。今年の夏は是非効果を出していただきたい。


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