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飲食店経営98年6月号
食中毒に泣かない衛生管理の実践


増加に転じた食中毒に実践的な対策を立てる

1)食中毒の現状

一昨年の堺市大腸菌o157の大規模食中毒事件以来、衛生対策としてHACCPという横文字が脚光を浴びているが、中小の飲食業にはどうも取っつきにくいという印象があるようだ。しかし、今後の老齢化の時代や、最近に対する抵抗力の少ない若い世代の増加により、今以上の衛生的な環境の実現が必要不可欠になり、場合によっては食中毒による倒産という厳しい状態も予測される。中小飲食店こそ食中毒への万全の対策をおろそかに出来ないのだ。

  1. HACCPとは何?
  2. 米国で開発された食品衛生管理システムでHazardAnalysisCriticalControlPointの略だ。食品の製造行程の管理状態に焦点をあて、発生する可能性のある危害を分析、予測して、起こりうる危害の優先順位をつけて、ポイント毎に管理していく手法を言う。1971年に米国食品会社のピルズベリーによってNASA(航空宇宙局)宇宙船のパイロット用の食事を安全に製造するために開発された。

  3. 従来の食品衛生管理とは何が違うか?
  4. 従来の食品衛生管理は完成した食品の検査をして食中毒菌が検出されるかどうかで判断していた結果管理方式だ。HACCPは食品加工の各工程でチェックポイントを置き、完成品で問題を出さないようにする工程管理方式(プロセスコントロール方式)になる。

  5. HACCPの具体的な手法
  6. HACCPは食材原材料の受け取りからお客様にサービスするまでの食材の流れに焦点を当てた、衛生管理システムで、7ステップに分かれている。

  7. この行程をもう少しわかりやすく言うと
  8. まず、食品を調理する上でどんな食中毒があるかの危害を予測する必要がある。いや、自分は保健所の衛生講習会を受けて資格があるからと言って安心してはいけない。人間社会がどんどん技術革新をしているのと同様に細菌の世界も新種の危険な食中毒菌が出ているからだ。数年前に衛生講習会を受講した人の知識はもう古いのだ。

    食中毒は経口により(食物を食べることにより)発生する病気一つのジャンルである。経口の疾病は食中毒の他に以下の様に分類できる。

表1食物による疾病の種類


  1. 法定伝染病

    コレラ、赤痢、腸チフス、病原性大腸菌、

  2. 食中毒

    「細菌性食中毒」

    (感染型)

    腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、(病原大腸菌)、ウエルシュ、 セレウス、エルシニア・エンテロコリチカ、ナグビブリオ、ビブリオ・ミミカス、 ビブリオ・フルビアース、エロモナス・ヒドロフィラ、エロモナス・ソブリア、 プレシオモナス・シゲロイデス。

    (毒素型)

    ブドウ球菌、ボツリヌス菌

    「化学性食中毒」

    (動物性自然毒)

    フグ、貝類、魚、

    (植物性自然毒)

    きのこ、ジャガイモ、青梅

    (カビ毒)

    アフトラキシン

    (化学物質)

    有害性金属(カドミウム、アンチモン、銅、錫、亜鉛)
    有害性食品添加物(砒素、ズルチン、有害色素)
    放射性物質(チェルノブイル事故)
    混入(メチルアルコール、ジエチレングリコール、農薬、水銀)

  3. ウイルス食中毒

    生牡蛎等によるウイスル食中毒(小型球形ウイルス)

  4. 食中毒様症状

    アレルギー性・ヒスタミン性食中毒(食物アレルギー、卵、牛乳、そば、鯖鯵、マグ ロ等の魚)
    腐敗食品摂取
    油の酸化による食あたり

  5. 異物混入

    金属
    毛髪

    洗剤
    毒物

表1の法定伝染病と細菌性の食中毒は良く似ている。実際、腸チフスと、サルモネラ菌は類似の菌なのだ。違いは、法定伝染病のコレラ、赤痢、腸チフス、パラチフスは、少量の菌を食物などを通して経口摂取しただけで発病するのに対して、細菌性の食中毒は大量に繁殖した食中毒菌を経口摂取したときに発生するという、伝染力の差である。食品衛生で言う、衛生管理とは主に食中毒菌を対象にした物である。

エイズ、感染性肝炎等も上記ではあげていないが、飲食業では注意しなければならない問題である。日本でも最近食品を媒介したA型肝炎感染が報告されている。米国では、ファーストフードなどで紙製品を使用していても、完全な衛生対策として、食器洗浄機を導入しているのは、エイズ、感染性肝炎等の対策も考慮しているからである。

また、新種の食中毒菌として病原性大腸菌は堺市の事件以来有名になり、その毒性の強さから法定伝染病まで格上げになっている。従来ウイルスは食中毒としての分類をされていなかったが、細菌の小球形ウイルスによる貝類の食中毒の急増により新たな食中毒として分類されるようになった。

ではどんな食中毒の発生が多いのだろうか、過去の統計を見てみよう。

表2 過去の食中毒発生状況
(厚生省生活衛生局食品保健課発表データ)
年度事件数患者数死者数
1983年1、09537、02313
1984年1、04733、08421
1985年1、17744、10212
1986年89935、556
1987年84025、368
1988年72441、439
1989年92736、47910
1990年92637、561
1991年78239、745
1992年55729、790
1993年55025、70210
1994年83035、735
1995年69926、325
1996年1、21743、93515
1997年1、84339、233

表3 1993年度と96年度、97年度の
細菌別発生件数(判明したもの)
細菌93年96年97年
サルモネラ143350499
ブドウ球菌614451
ボツリヌス菌212
腸炎ビブリオ110292556
病原大腸菌37179148
ウエルシュ菌92722
セレウス菌6510
エルシニア・エンテロコリチカ--3
カンピロバクター1465217
ナグビブリオ133
その他の細菌1316

表2から表3を見てもわかるように、食中毒自体はここ10年ほど減少していたが、96年を境に増加に転じたのがわかるだろう。決して堺市の事件で増加したのではなくその後の97年も増加しているのに注目が必要だ。ではその中身を見てみよう。

  1. 細菌性食中毒とは

    細菌そのものにより感染する食中毒だ。食中毒の原因菌のトップは、海産物を原因とする腸炎ビブリオ菌であるが、93年はサルモネラ菌がトップになり、それ以来増加をつづけているのが注目される。また、病原大腸菌、カンピロバクター等の事故も増加している。食中毒菌は新種の発生があり、気を抜けない。

    日本で比較的多い食中毒に魚介類から引き起こされる。腸炎ビブリオがある。感染源は海水中の腸炎ビブリオ菌が魚介類から調理器具を経由して食品を汚染し、人に感染する。魚介類を生で食べる場合には、早めに食べ、冷蔵庫できちんと保管する必要がある。腸炎ビブリオ菌は海水に存在しており、海産物は殆ど汚染されている。問題は、菌を繁殖させなければ問題を起こさないのだが、魚などを調理したまな板で他の食品を調理し、常温で放置することにより、菌が繁殖し事故が発生することが多い、必ず魚介類の専用のまな板を使用する。

    サルモネラ菌の感染源はネズミ、ネコ、ニワトリ、食肉等、であり、それが、包丁、まな板等の調理器具を経由して食品を汚染し、人がその食品を食べ発症する。サルモネラで注意しなければならないのは、本人は異常を感じない健康保菌者がいることだ。人口の0・03〜0.05%は健康保菌者であるといわれており、数千人の検便で0.03%前後から検出された経験がある。本人は健康でも、調理をする際にその菌が混入すると、第3者に食中毒を引き起こす危険があり、飲食業に従事する人の定期的な検便は絶対に必要だ。健康保菌者のサルモネラ菌の駆除は普通の病院では出来ず、専門の病院で治療を受けないと駆除できなくなる。サルモネラ菌は、食鳥、卵、食肉等での汚染が多く、必ず十分に火を通して食べるべきだ。日本では卵を生で食べる習慣があり、卵の取り扱いに無頓着なので注意されたい。以前は卵の殻にサルモネラ菌がついていたが細菌は卵の内部がサルモネラ汚染されている例が多くなり、卵の扱いは慎重の行わなくてはならない。

    食鳥を汚染している菌としてサルモネラ菌の他にカンピロバクターがあり、それによる食中毒も増加している。

    最近クローズアップされてきた菌で病原大腸菌がある。従来大腸菌というのは無害であると思われていた。大腸菌は名の通り、人間や動物の糞便から発見される。食品中から大腸菌が発見されると言うのは、他の腸内細菌、例えば、赤痢、コレラ、チフス、サルモネラ等の危険な菌がいる可能性があるということで、食品の安全検査の目安として使用されていた。しかし、2年ほど前に米国のハンバーガーチェーンのJ社でハンバーガーのミートを完全に火を通さなかったために発生し、死者まで出して有名になり、今では食中毒を起こす菌として知られている。

    Oー157(EーColi)は牛などの腸内にいる菌であり、日本では井戸水などで発見されている。飲食業で井戸水を使用する際には年に1回は水質検査をし安全を確認する。水道水を使用する場合でも、貯水タンクを使用する場合には点検穴に鍵をかけ、更に年に一回の清掃殺菌をしなければならない。

  2. 毒素型(細菌が発生する毒素による食中毒)

    ブドウ球菌は人や動物の化膿性疾患、フケ、髪の毛、鼻汁、ハエ、ゴキブリにいる。昔軍隊でフケ飯といって、気に入らない上司の食べるご飯にフケをかけて腹痛をおこさせる嫌がらせがあったが、これはブドウ球菌を利用した食中毒である。手指、調理器具を経由して食品を汚染し、人に感染する。ブドウ球菌による食中毒は人間が一般的に保菌しているので、おにぎりや、弁当などの食中毒の原因になることが多い。おにぎりなど手で直接握ったものを、常温で保管するのは大変危険であり、大手のコンビニでは清潔な機械で握ったり、手で握る場合にはビニール手袋を使用し冷蔵保管する。食中毒の症状は下痢、腹痛などであるが、体力が弱い、病人、老人、子どもには危険である。

    発生件数はあまり多くないが、最も危険なのはボツリヌス菌だ。肉類、魚、豆類、(缶詰)、漬け物、鮒寿司、レンコンの漬け物等の保存食品で発生する嫌気性菌だ。レンコンの事件のように事故が発生すると死亡事故にいたるほど危険である。野菜などの根の土などについているので、その洗浄加工など原材料の段階からの管理に注意しなければならない。

2)食中毒に対する具体的な対策

食中毒を防ぐためには、食材、人、設備の3つの分野でしっかり管理する必要がある。

  1. 食材と調理
  2. [1]安全な食材の納入受け入れと保管

    しっかりした業者から良い安全な食品原材料を購入するのが基本だ。実績を判断したり、工場を視察したりして管理状況を常に確認する必要がある。食中毒を起こした場合、原材料業者が悪いという言い訳は通用しないからだ。特に鶏卵や鶏肉、牛、豚、魚介類などは食中毒菌の汚染の危険が高く注意が必要だ。食材の包装形態なども汚染の少ないポーションパック物を使用するなど、なるべく汚染を少なくする工夫が必要だ。

    大学病院の給食施設では鶏卵の汚染を最もおそ、スクランブルエッグなどの卵料理を作るのに生卵ではなく、衛生管理の行き届いた工場で加工された無菌の液卵を冷凍の状態で納入し使用している。また、豆腐なども大きな形では調理場で加工をする必要があり、汚染のおそれがある。そこで、コストアップを招くのだがポーションパックを使用するなどの安全向上の努力をしている。

    仕入れをする際には最低限、その製造加工工場の状態を見学するべきだろう。製造工場の知識がなくても見学するだけでその安全に取り組む姿勢がすぐわかるものだ。例えば製造に携わる人間の衛生管理はどうか、ユニフォームは綺麗か、工場にはいるときに靴を履き替え、外のごみを持ち込まないようにしているか。手洗いをしないと工場に入れないようになっているか、手洗いの方法はどうやっているかなどの基本的なことは外食の厨房と同じであり、簡単にそのレベルを測定できる。

    また、外部から昆虫やネズミなどが進入しないように、扉が密閉し、空調がしっかり効いているか、加工用の食材の流れは交差せず汚染がないようになっているか、商品の細菌検査、異物混入などの検査方法が確立し、記録が残っているかなど、ステップを追ってみていくわけだ。数多くの食品加工工場を見学することにより良い工場の見分け方ができるようになる。

    [2]原材料の保管

    案外おろそかにし勝ちなのが冷蔵庫の温度管理である。冷蔵庫の温度計が狂っていることもあるので、正確な温度計を使用し時々チェックする必要があるし、冷却が十分出来るようにコンデンサーの清掃も必要になる。また、常温保管の食材でも、常温というのは25℃位のことを言うのであり、厨房の中の35℃以上ある様な場所で保管してはならない。また、当然の事ながら虫や、ネズミの害にあわないような、食材保管庫でなければならない。

    [3]調理

    原材料は全て食中毒菌に汚染され危険があると言う前提で考える。そのやり方はつけない、増やさない殺すという簡単なことだ。

    つけないとは魚、野菜、肉などの食材はそれぞれ食中毒菌を持っているからそれらの食材を同じまな板や包丁で加工しないと言うことだ。魚や肉を調理したまな板で、サラダ用の生野菜を加工するのは、火を通さないから大変危険なのだ。当然のことながら肉や魚に触れた後は手を洗浄殺菌してから野菜を取り扱うなどの細心の注意が望まれる。

    増やさないと言うのは、食材を下拵えなどをするために調理場の室温に長時間おかないと言うことだ。5℃から60℃の間が細菌増殖の危険温度帯だからその温度帯に4時間以上放置しないと言うのが原則だ。調理後の料理を加熱したから安全だと言って常温で放置するのは危険だ。75℃の加熱調理では食中毒菌が体に危険がない量まで減少するのであり、死滅するわけではない。料理の温度が5℃から60℃の間になると生き残った食中毒菌が繁殖を始める。

    殺すというのは食品についた食中毒菌を加熱調理することにより殺すと言うことだ。厚生省では75℃1分間の加熱を推奨している。勘で温度を管理するのではなく正確な温度計やストップウオッチを装備し、調理機器は温度、時間がきちんと管理できる物を使用する。また、調理済みの食材を冷蔵保管していた場合でも、出す場合にはもう一度温度を75℃まで上げなくてはならない。調理後保温する場合は温度が60℃以上で2時間までだ。途中で温度が下がったらもう一度75℃まで再加熱をする。調理をした食品を翌日使用する場合には、急速冷却器や冷水で食品の中心温度を2時間以内に5℃まで下げないと、細菌が繁殖するので注意されたい。冷蔵庫は冷蔵温度に下がっている食品の温度を冷蔵温度帯に保つだけの冷却能力しかないということを理解しよう。

  3. [1]正しい洗浄清掃作業と殺菌

    いくら良い食材を使用しても、きちんと調理しても、使用する調理機器やまな板、包丁、食器、鍋釜などがきちんと洗浄殺菌していなくては何にもならない。洗剤は同じだから、安い方が良いという考え方は間違っている。洗剤メーカーは単に洗剤を販売するだけでなく効果的な使用方法まで指導できなくてはならない。また、安いだけの殺菌洗剤では殺菌効果が低下しやすい場合があるし、また、使用方法を間違えると効果が全くない。自動洗浄機用の洗浄用洗剤も同じで、洗剤メーカーは洗剤の供給だけでなく、洗浄機のメインテナンスまで行わなくてはいけない。そのため単に洗剤のコストが安いだけでなくどれだけメインテナンスがしっかりしているかが選択の重要なポイントになる。皆さんも洗剤に対する正しい知識を身につける必要があるだろう。

    なお、洗浄殺菌の必要な物は手洗いのほかに、食器があるのは誰でも知っており、実施しているが、案外忘れがちなのは調理機器の洗浄殺菌だ。特にまな板、包丁、鍋釜まで洗浄殺菌をすることが必要になる。普通の洗浄機ではケトルなどの大型の調理機器を入れることができないから、最近では小型の器具洗浄機ができてきており、これを導入することにより衛生状態が向上するだけでなく、作業環境も大幅に向上し従業員の定着率が高まるので検討する必要があるだろう。

    その他、スチームコンベクションオーブンなどがあれば、包丁、まな板などの殺菌の必要な機器を簡単に殺菌できるので使い方を工夫すると便利だ。

    [2]従業員の衛生管理と身だしなみ

    最近問題になっているのが従業員の保菌者だ。ある宿泊施設でサルモネラによる食中毒が発生、数百名に上る食中毒を発生し、死亡者まで出した。その原因を見てみると従業員が客が残した卵を使用したデザートを食べ、放置されていたために増加したサルモネラに感染してしまった。自分の体に下痢などの異常があるのに単なる風邪だと思い、勤務を続けた。さらに悪いことにその調理場の習慣では仕事中にたばこを吸ったり、飲み物を調理場で飲んだりという習慣があり、その課程で保菌者の口から手に着いた菌が料理に付着し食中毒を大きくしたようだ。また、料理の味見などをお猪口やスプーンを使用するという基本的な衛生管理の知識が欠如していたという事も問題を大きくしていた。

    最近の料理ブームに火をつけた料理の鉄人という番組は大変優れているが、残念なことに鉄人や多くの出演者がその基本的な衛生の管理の感覚がないと言うことだ。鍋に指を浸けて味見をしたり、レードルに口を付けてそのまま鍋に戻すなど、とんでもないマナーだ。優れた料理人は単なる味だけでなく基本的な衛生管理の知識が無くてはならないということを忘れてはいけない。

    [3]衛生マニュアル、レシピー、チェックリスト、などの見直し

    マニュアルやレシピーは設備、人、メニューなどの環境の変化があったときには変更が必要になる。特に以前に作成した衛生管理マニュアルや洗浄殺菌のマニュアルは点検し、現実に即しているか見直す必要があるだろう。また、そのマニュアル類はアルバイトやパートタイマーの人たちにもわかりやすい内容でなくてはならない。

    [4]教育

    いくら良い設備、調理機器、マニュアルなどが整備されても従業員に対する衛生教育を怠っては何にもならない。定期的な衛生教育や保健所の開催する衛生講習会等への積極的な参加が望まれる。

  4. 設備
  5. [1]調理機器、厨房のメインテナンス

    正確な温度コントロールのついている調理機器を使用する。堺市の食中毒事件以来、文部省もその重要性に気がつき、オーブンなど芯温センサー付きのものを購入する場合には半額を助成援助するようになっている。 勿論、温度コントロール装置が付いているからと言って安心してはならない。どんな機械でも初期の性能が低下したり誤差を発生する物だからだ。定期的にグリドル、フライヤー、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫などの温度を確認したり、必要なメインテナンスを行う必要がある。

    [2]温度計、ストップウオッチなどの最低限の測定機器

    衛生管理をきちんとするには最低限、正確な温度計とストップウオッチが必要になる。温度計はデジタルの正確な温度計が5万円前後で販売されている。温度計には色々種類があるが、熱電対(サーモカップル方式)の物が応答性もよく食品の温度計測に向いている。

    なお、どんな正確な温度計でも使うに従って誤差が発生するので時々温度計の精度のチェックが必要になる。氷が溶ける温度で0℃、お湯が沸騰する温度で100℃に対してプラスマイナス2℃であれば問題がない。

    衛生管理のポイントは温度と時間管理であり、ストップウオッチを常時使用し、計測する。最近はデジタル時計には殆どストップウオッチとタイマー機能がついている。デジタル時計は防水の物を使用すると手洗い時に洗浄殺菌することが可能で衛生的である。

    [3]厨房の温度管理

    食材を扱う厨房の温度は湿度、温度ともなるべく低く保つことが細菌の繁殖を防ぐ秘訣だ。そのためには厨房の温度をコントロールできるように空調機器の増設や整備が必要になる。温度は少なくとも30℃以下、出来れば25℃を保てるようにしたい。電気が不足して増設できない場合はガスを動力源にしたガスヒートポンプ式の空調機があるので検討するべきだろう。

    空調機器などはコンデンサーやエバポレーターの清掃を行わないと正しく冷却しなくなるし、電気代も嵩むので定期的な清掃を忘れてはいけない。

    従来は保健所がうるさいから衛生管理をするという風潮だったが、現在のように新種の食中毒菌などが出る世の中では、食品衛生という観念を中心とした品質管理運動が必要不可欠だろう。嫌々衛生管理をするのではなく、店をピカピカに磨き上げて綺麗なユニフォームを着用した健康的な従業員がサービスに当たるなどの、衛生的な飲食店であることをアッピールする気構えが必要になるだろう。

    最近、オープンキッチンを採用している飲食店が繁盛しているのは、お客が単に料理の工程を楽しむだけでなくどんな衛生管理をしているのか監視できるという安心感もあると言うことを忘れてはいけないのだ。

今すぐ使える衛生管理マニュアル

「資料その1洗剤の知識」

「シェイク、アイスクリームマシンの洗浄殺菌」

調理機器の洗浄は大変重要だ。単に洗浄するだけでなく殺菌をすることが必要である。保健所による乳製品の検査は大変厳しく、夏になると頭を悩まる。従来は、機械を水でリンスしてから、中性洗剤をといだぬるま湯で洗い、それから水でリンスし、今度は次亜塩素酸ナトリウム100ppmの溶液で5分間殺菌する。それから再度水でリンスするという複雑な作業が必要であった。しかし、ミックスの配合成分は、油脂分と、蛋白質、カルシウム、マグネシウム等であり、中性洗剤では完全に洗浄できないことが判明した。シェイクやソフトクリームミックスを製造している乳製品の工場ではラインの洗浄に中性洗剤を使用していない。それは、中性洗剤では乳脂肪、蛋白、カルシウム、マグネシウムを除去できず、金属分がラインにたまり、乳石となり、細菌の巣になってしまうためだ。ライン洗浄では殺菌よりもまず汚れを落とすことを重視する。汚れが落ちないとその内部の細菌に洗剤が到達しないため、殺菌効果を発揮することができないからだ。

そのために、特殊なアルカリ系の粉末洗剤を使用する。殺菌効果を出すために次亜塩素酸ナトリウム溶液ではなく、ジクロルイソシアヌール酸ソーダを使用する。ある温度にといだジクロルイソシアヌール酸は殺菌効果を出すだけでなく、油脂分と蛋白質を分解する能力が高いのだ。その他に洗浄能力を高めるために界面活性剤を混ぜて洗浄効果を最大限にだす。洗剤を最大限に生かす湯の温度も重要である。熱い方が油脂の汚れ落ちがよいが、殺菌剤の安定性が悪くなる。洗剤に最も適した温度に設定する必要がある。

更に、カルシウム、マグネシウムが洗浄効果を落とさないように、キレート剤を配合する。泡が立ちすぎると、リンスが大変なのであわ立ちを少なくする配合もする。

また、機械を洗浄するわけであるから、金属、プラスチック、ゴム部分の腐食がないかが重要だ。その為に腐食防止剤を配合するが、更に腐食度の経時変化を調べ部品の交換時期を明確にする。

シェイク、アイスクリームマシンの取り出し口にはプラスチック部品を多用するが、プラスチック部品は傷つきやすくそこに細菌が繁殖しやすいと言う問題がある。従来の中性洗剤では浸透力が弱いが、ジクロルイソシアヌール酸ソーダを使用すると汚れに対する分解度と浸透度が強く、プラスチック部品が真っ白に綺麗になるために衛生度は格段に向上した。

殺菌効果を持続させるために一回分づつに洗剤を分け、完全密封した状態にパックし殺菌効果が落ちないように加工する必要がある。また、粉末洗剤であるので、水への溶解性が良くないと、有効でないので粉末粒子の大きさと溶解性の設定をきちんとする。

この洗浄殺菌剤は高価であるが、清掃時間が短縮出来るので人件費が低く、使用水量も少ないので、トータルコストはかえって低くなると言うメリットがある。洗剤の選定に当たっては単にコストだけでなく、人件費、水道光熱費等、総合的に考慮するべきだろう。

なお、大腸菌を0にするにはこの洗浄殺菌剤だけでは力不足である。シェイクやアイスクリームを作るには、冷媒を通したシリンダー内部にミックスを入れて冷却し、凍り始めたミックスをスクレーパーブレードで掻き取り、撹拌して粘度の高い飲み物やソフトクリームを製造する。そのスクレーパーブレードはモーターからチャンバーを貫通したドライブシャフトを通して回転される。このドライブシャフトからミックスが漏れないようにゴムのOリングと可食性潤滑剤のグリースを使用する。この部分のグリース内部に混じったミックス内部に大腸菌などが繁殖しやすい。また洗浄ブラシにもグリースが付着するがその内部に細菌が繁殖する。洗浄ブラシとシャフトに付着した潤滑剤グリースを分解する洗剤の使用が必要になる。可食性潤滑剤のグリースに最も適した界面活性剤の配合をした特殊洗剤が必要になる。

「次亜塩素酸ナトリウム溶液(ブリーチ)」

厨房の殺菌剤として一般的に使用されているのは次亜塩素酸ナトリウム溶液だ。一般的には次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度が5〜6%の物が多い。購入時に価格で購入を決定する場合が多いが、性能に大きな違いがあるので注意されたい。

使用する場合には水または湯で希釈し濃度が100ppmになるようにする。使用する場合には塩素濃度を計測する試薬があるのでチェックすると良いだろう。殺菌剤を入れた容器は使用しない際にはキャップをしっかり閉め冷暗所で保管する。あまり古くなると殺菌能力が落ちるのであまり大量に保存してはならない。

「手洗い洗浄殺菌洗剤」

衛生的にするというとまず大事なのが殺菌剤による殺菌だ。例えば手洗いだが、どうやって洗っているかが重要だ。完璧な殺菌が必要な病院などでは、石鹸で手を良く洗ってからクレゾール液に手を浸し殺菌する。洗浄工程は最も重要だ。洗浄で手の汚れが落ちていれば、汚れの内部に存在する細菌も洗い流されてほんの少ししか残留していないはずだ。手洗いはまず洗浄効果が最も重要なのだ。次にだれでも間違いなく殺菌をすることが出来るという事が基本だ。特にパートタイマーやアルバイトを採用する場合には注意が必要になる。

手を石鹸で洗ってから塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸で手を殺菌する方法が一般的である。塩化ベンザルコニウムは陽イオン界面活性剤の殺菌効果を利用した物だ。しかし、普通の洗剤は陰イオン界面活性剤なので、両方を同時に使用すると殺菌効果がなくなってしまうという重大な欠点がある。石鹸をよく洗い流してから、逆性石鹸を使用しないと、殺菌効果が打ち消されてしまうのだ。正しく使用すれば逆性石鹸の殺菌力は高く効果的なのだが、パートタイマーやアルバイトが多いとトレーニングをしても、手洗いを正しくやらない危険がある。

その対策としては洗浄と殺菌を同時に出来る、化粧品などの殺菌剤に使用されるイルガサンDP300を使用し、洗浄と殺菌をかねるようにした洗剤を使用する。化粧品などに使用する殺菌剤を採用し手いるのは手荒れを防ぐためだ。手荒れをおこすと、ブドウ球菌が発生し食中毒の元になるからだ。採用する際には殺菌剤の濃度と、手あれ防止剤が配合されているかをチェックする必要があり、実際の使用テストが望ましいだろう。現在では殆どの洗剤メーカーがイルガサンDP300入りの手洗い洗剤を販売しているようだ。

手の殺菌をアルコールで直接行う場合があるが、アルコールの種類や使用頻度によっては手荒れを引き起こすので、使用方法と頻度に注意が必要だ。手洗いは重要であるが、あまり洗いすぎると手が荒れるので、適度な手洗いにとどめるべきだろう。おにぎり、寿司、サラダ等のなまものを作るときには使い捨てのプラスチック手袋を使用し、その外側をときどきアルコールスプレーなどで殺菌するのが望ましい。プラスチック手袋を使用する場合でも必ず手を洗浄殺菌してから装着する。

「資料その2プリベンティブメインテナンスシステム:故障予防メインテナンス」

どんなに良い機械を採用しても、その能力を保つようにしないと、宝の持ち腐れである。機械の性能を維持するには、定期的な点検と、整備が必要である。営業中の忙しい時に機械が壊れては、売上とお客様の両方を失うのである。

日本の厨房機器の性能は米国製の機器と比べ優れているものも多くなっているが、まだ大きく劣っている部分がある。それは機器の説明書と、故障防止メンテナンスマニュアルである。

調理機器には必ず取扱説明書が添付されてくるのでそれをしっかり読み実行することがまず第一歩だ。取扱説明書には、機械の図面、写真、部品一覧、作動原理、日常の使用方法、壊れた時のトラブルシューティングなど、わかりやすく書いてある。さらに、配線交換などでも、部品が色分けしてありパーツナンバーがあるので、それを発注すれば機械の修理が簡単にできるようになっている。後は説明書通りに交換すればよいのである。より調理機器かどうかを判断する一つのポイントはこの取扱説明書がどのくらいわかりやすいかと言うことだ。もし、取扱説明書がしっかりしていない場合は購入を見合わせるべきだろう。

自社でプリベンティブメインテナンスマニュアルを作成する必要がある場合には、車の始業点検のレベルを参考にするとわかりやすい。

機械を直すことではなく、清掃し、綺麗な状態を保ってもらうことが機械の調子を保つ秘訣だ。車であればドアーやヒンジなどのネジが緩んでいたらドライバーなどで締め付けてもらう。油が切れていたら、油を注してもらうことが必要だ。簡単な清掃と点検で良いのだ。

車の故障で一番多いのは、タイヤのパンク、バッテリー上がり、ファンベルト切れのオーバーヒート等である。ファンベルト等のゴムベルトは厨房機器でも多く使用されている。1年に一回交換すれば壊れてから慌てて交換する必要がなく、売上の損失も少ないのである。

車では、清掃の必要な箇所が多くある。例えば、ラジエターの内部や、エアークリーナーである。エアークリーナーを清掃しないと、空気が十分に入らなくなり、不完全燃焼を起こし、燃費が悪くなり、エンジンの修理が必要な故障に発展し易い。厨房でも、冷凍冷蔵庫のコンデンサーの清掃や、空調機のエアバポレーターフィルターの清掃をしないと、十分に冷えず、また、コンプレッサーを焼き切る事にもなる。

次に必要なのは車に付いてくるのと同様の、分かりやすい説明書と、簡単な工具、チェックリストと清掃点検スケジュールである。

厨房機器故障予防メインテナンスチェックリストは毎日チェックする項目に沿って機械を点検する。週1回、月1回、年1回の項目は、毎日変えて、毎日の作業量を一定になるようにすると良い。日曜、祭日、月末などは、作業量を前もって減らし、年間計画を持って作業を進めて行ける。また、調理現場の人が異動しても、どこをやれば良いか一目でわかるようにして、作業漏れを少なくできる。

また、チェックリストだけでなく点検作業をやり易くする為の、点検作業指示書を作ると誰でも点検作業をできるようになる。文章のみでなく、イラストや写真を入れ分かりやすくする。この指示書がある事により、トレーニングが容易で作業にミスがなくなる。

その他機械の説明書が必要である。これは機械に同封するものである。この説明書は2種類必要である。1つは機械を修理する自社と代理店の作業員が使用する細かい説明書である。もう1つは機械を使用する調理現場の従業員むけの説明書である。機械が壊れてもすぐに修理に駆けつけられるわけではないので、応急処置が必要であるし、場合によっては、電源が入っていないとか、ブレーカーが落ちているだけだとか言う場合がある。 ユーザが最低限度の機械保守の知識を持つことにより修理代が低下し、食品の品質も向上し、完全に調理することにより安全性も保てる。

「資料その3従業員の身だしなみマニュアル例」

  1. 手法い
  2. 手洗いは衛生管理の基本です。次のことをした後には必ず殺菌手洗い石鹸液で、手を洗って下さい。

    • 腐敗した商品にさわった後
    • 調理前の野菜や、肉、魚などに手を触れた後
    • 髪の毛、顔などを触った後
    • ハンカチやティッシュ等で鼻をかんだ後
    • タバコをすった後
    • 洗面所を使用した後
    • 食事をした後
    • 汚れた調理機器、ワークテーブルなどの上、汚れた壁やダスターなどを触った後
    • 段ボール箱などを搬入した後
    • 金銭を取り扱った後
    • 汚れた食器や器具を片付けた後
    • 床にモップをかけたり、ほうきで掃いたりした後
    • ごみ箱を片付けたり、清掃したりした後
    • お客様の靴を片づけたり触ったりした後
    • 洗面所を清掃した後

    注:仕事につく前には必ず手を洗って下さい。また、30分間に一回は手を洗うようにしましょう

    手法いの方法

    手をぬらした後、手洗用洗浄殺菌液をつけます。

    ひじまで泡立てて洗います。手のひらはもちろん指の間、つめのまわりもよく洗って下さい。約20秒間、よく手をもみ洗いします。このあと、指先まで完全にリンスします。そして、ペーパータオルで手を拭い、その後アルコールを手に噴霧し手をこすりながら自然乾燥させます。手を洗った後、前掛けやタオルで手を拭いてはいけません。かえって細菌を手に付けることになるからです。(注意:30分間に1回は必ず手を洗います。)

  3. パート、アルバイトの身だしなみ
  4. 身だしなみの良いことは働く者にとっては欠かせないことです。

    つめはきれいに短くしておき、マニキュアは除光液で落とします。そうしないと爪の間に汚れが溜まり細菌の巣になるし、それに気がつかないからです。

    髪を短く切るか、帽子、ヘアネット、へアスプレーなどを使って髪が落ちないようにきちんと整髪し、えりにかかったり、帽子からだらしなく出ていたりしないようにします。また、もみあげは、ふさふさせず、耳より長く伸ばさないようにします。ひげはきれいにそって下さい。

    きれいなユニフォームを着用して下さい。(ユニフオームが汚ないと二次感染します。)

    靴や履き物は厨房専用のものに履き替え外のゴミや細菌を持ち込まないようにしましょう。また、かかとは低くて、すべりにくい履き物をはいてください。安全のため、かかとの高い靴や布の靴、また、運動靴、サンダル、つま先が見える靴の類は禁じられています。また、靴の踵を踏んではいてはいけません。厨房の中で危険です。また、必ず靴下をはいて靴を履きましょう。

    スラックスのすそは、短めにしてあれば汚れにくく、長持ちするので、くつ上までの長さにしてください。

    アクセサリーは禁止です。アクセサリーの小さなすき間などに、汚れやあぶら分が入り細菌が付きます。特に指輪は菌の巣ですから絶対に外して調理をしてください。また、時計や腕輪も菌の巣ですから調理をする際にははずす必要があります。

    化粧、香水等はほどほどにパート、アルバイトユニフォームの洗たくは定期的に行うことが必要です。

  5. 禁止されている行為、習慣
  6. 万一感染性の病気の時は休むようにします。もし下痢などの症状がある場合には必ず調理長や支配人、上司に申し出て仕事に従事しないでください。そして直ちに医者の診断を受け、検便をしてください。

    鼻やにきびはいじらないように、顔や頭をさわらないようにします。エプロンやユニフオームで手をふかないようにします。汗や手をふくのに、エプロンとかダスターを使わないで、必ずペーパータオルを使用しましょう。

    資材を直接、床に置くことはさけて下さい。シンクで手を洗わないで下さい。床やシンクにつばをはかないで下さい。

    口をおおわずに、せきやくしやみをしないで下さい。ブドウ球菌などの菌を飛び散らします。

    テーブルをふいたりゴミを捨てた後、商品を扱わないで下さい。モップで汚れた水をシンクに捨てないで下さい。

    かのう、やけど、きりきずがある時はオペレーションを行ってはいけません。傷口にブドウ球菌が繁殖しています。調理長や上司に申し出て食品をさわる業務に就かないようにしてください。

    食器や箸、皿、等をさわる際には必ず洗浄殺菌してからにしてください。指などで直接食品の味見をしないで下さい。

    長い間、封をせずに食品を放置しないで下さい。食事、喫煙は許可された場所でとるようにして下さい。喫煙は非常に不衛生な習慣です。喫煙をするとどうしても指につばがついてしまいます。少量で気がつかないかもしれませんが、このようなつばには細菌がたくさん含まれています。煙にもこのようなつばが入っています。ですから喫煙は必ず決められたところでするようにして下さい。

「資料その4調理機器その他の洗浄殺菌マニュアル例」

  1. 調理機器の洗浄殺菌

    調理機器の洗浄殺菌を行うためには、きめられた正しい手順に従って実施しなければなりません。

    (1)洗浄の原則

    次のことは社員、パート、アルバイトが洗浄作業を行う際の注意点です。

    水の状態と温度:水が汚れていると洗剤の効果が落ちてしまいます。また温度は決められた基準温度を守って下さい。

    洗浄するもの:洗浄するところに合わせて洗剤やツール(ブラシ等)を使い分けて下さい。

    力:洗浄作業の原則はまず力を入れてこすり、物理的な力を利用して汚れをとることです。

    (2)殺菌の原則

    すべての調理機器と食品の触れるるところは必ず殺菌しておかなくてはなりません。殺菌する前には、よく洗い、汚れを完全に落とし、ゆすいで(リンスして)おいて下さい。汚れの成分が残っていると、いくら殺菌しようとしても細菌を殺すことができないことがあります。つまり洗浄を十分行っていないと、殺菌しても意味がないということです。

    (3)シンクの使用方法

    湯の温度は45℃〜50℃にして下さい。蛇口から出る湯は通常60℃ですので水を混ぜて適温にして下さい。

    • 最初のシンクに湯を3/4と、それに見合う量の中性洗剤を入れます。
    • 第2のシンクはプレリンスと最終リンスをするために空けておきます。
    • 第3のシンクは殺菌液が入ります。

    殺菌液を汚い、油の付いたシンクで使用してはいけません。このようなシンクでは殺菌液の塩素による殺菌効果が薄れてしまうので、殺菌液を準備する前に、シンクの洗浄を必ず行います。殺菌液をつくるには、45℃〜50℃の湯を使用します。熱湯では殺菌効果が弱まってしまい、冷水だと洗剤がなかなか溶けないからです。

  1. 調理機器、器具のクリーニング手順

    調理機器や器具を洗浄殺菌する時は、次の6ステップに従って下さい。

    • ステップ1:大きなな物のかすや汚れをとるため、あらかじめリンスし、こすり落として下さい。あるいは、水に浸しておいて下さい。
    • ステップ2:最初のシンクで中性洗剤溶液で洗い、第2のシンクで流水の下でリンスします。倍率は400〜600倍。
    • ステップ3:第3のシンクでブリーチ溶液(次亜塩素酸ナトリウム溶液5〜6%)を用意して殺菌します。倍率は300倍で次亜塩素酸ナトリウム溶液濃100PPMになります。状況によって次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度100PPMから200PPMの間で使用します。
    • ステップ4:200PPMで最低5分間、100PPMで最低10分間は殺菌液に浸して下さい。
    • ステップ5:リンスをします。
    • ステップ6:自然乾燥させます。

    すべての調理機器と器具は洗浄殺菌した後、自然乾燥させます。タオルやナプキンを使ってふくと細菌が器具に付着し、洗浄殺菌の効果がなくなるからです。

  2. 洗浄殺菌した調理機器、器具の取扱い

    洗浄殺菌した器具は、きれいで乾燥した場所に床から少なくとも15cm離して保管します。これは、汚れ、はねなどから守るためです。また表に出ている水道管などの下には置かないで下さい。

  3. サニテーションの設備を整えておくことと、洗浄、殺菌等の洗剤の正しい使用

    お客様の期待にこたえて最高の基準を確実に提供するために、準備エリア、客席、器具は規定のスケジュールに従ってサニテーションしなくてはなりません。以下にあげるのは毎日または一週間に一回洗浄殺菌するもののリストです。ここには、すべてのものが網羅されているとは限りませんが、食品が直接触れるものは必ず洗浄殺菌するということを忘れないで下さい。

    (1)まな板と包丁

    まな板の洗浄殺菌は最も重要です。まず、肉と魚、野菜と種類により必ず専用のまな板を使用しましょう。それぞれが汚染されるからです。特に生野菜などを切るときには肉や、魚のまな板を使用しては絶対にいけません。また、まな板に傷が多くついたら交換が必要です。傷口に細菌が繁殖し易いのです。

    (2)殺菌洗浄の方法

    まず、たわしを良く洗浄し、殺菌する。たわしは最も細菌が繁殖しやすいので、使用した後は油分を良く落とし、殺菌し、乾かしておく。

    清潔なたわしで、中性洗剤600倍液で良くこする。中性洗剤液は45〜50℃の湯を使用し、油分がきれいに落ちるようにする。

    流水で良くゆすぐ。

    食器自動洗浄機で85℃以上の熱湯で洗浄殺菌する。それからアルコールをスプレーし乾燥させる。

    洗浄機がない場合、次亜塩素酸ナトリウム溶液300倍希釈の殺菌液に10分間つける。またはまな板の上に清潔なタオルをかけその上から次亜塩素酸ナトリウム溶液300倍希釈の殺菌液をかけ30分間放置する。それから沸騰した熱い熱湯をかける。良くゆすぐ。

    洗ったまな板は立てかけてアルコール液をスプレーし乾燥させる。

    翌朝はまた、自動洗浄機を通して殺菌してから使用する。

    自動洗浄機がない場合は、シンクに次亜塩素酸ナトリウム溶液を300倍に薄めたものに5分間つけ、流水でリンスしてから使用する。それからアルコール溶液をスプレーする。

    営業途中も頻繁に洗浄殺菌する。

    日中も使用し終わったらすぐに中性洗剤で洗浄し熱湯をかける。時間があれば洗浄機をで殺菌したり、シンクで殺菌する。ときどきアルコールをスプレーする。

    包丁も同様に殺菌します。

    包丁の場合、つかの部分の割れ目に細菌が侵入し繁殖するのでタワシでよく洗浄し、殺菌液に5分間つける。次に湯を鍋に沸かし全体をつけ10分間煮沸消毒する。

    包丁まな板の殺菌は、洗浄機や、十分なシンクのスペースがない場合、スチームコンベクションオーブンなどがあれば、温度を設定して殺菌をします。

    ダスター、雑巾、食品が直接ふれる箇所を拭くダスター、雑巾は基本的に色分けし、使い捨てのものを使用してください。

    また、直接触れないものも一日3回は洗浄殺菌が必要です。中性洗剤で洗った後、10分間次亜塩素酸ナトリウム溶液につけます。それから濯ぎ、絞って乾燥させてください。完全な殺菌をするには毎日沸騰した湯で10分間煮沸消毒してください。


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