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飲食店経営98年5月号
全ての新人社員に贈る
会社を頼らずに、プロになる意識を持て


終身雇用の時代は終わった。しっかり専門知識を身につけてどこの会社でも、独立しても使える、金を稼げる人間になろう。企業のお仕着せの新人教育に頼っていてはいけない。企業研修は会社に便利な人間を育成するのであって、決して社員のためになるという考え方ではないからだ。

使える人間とは将来、独立して経営者になったり、チェーンの経営幹部になれるという事だ。そのために専門知識を身につける必要があるのだが、自分の得意な分野に偏る傾向があるようだ。シェフになりたい人は調理の勉強にどっぷり浸かったり、チェーンの店長等の管理職にいる人はチェーン経営の管理ばかり勉強するようになる。

大成功しているレストランの熊谷、石鍋、三国さんたちは優秀なシェフであるが、同時に仕入れや、人材教育、店探しのプロでもある。だから、フランス料理の世界でチェーン経営が可能になるのだ。調理だけしか知らないのでは、売り上げが上がっても人件費や材料費が高くて利益が出ない。実際に大手ホテルのフレンチのシェフであっても独立して経営者として成功する確率はかなり低いのが現状だ。

反対にチェーン店の店長をやっていると経営管理の手法は学ぶが自分が実際の独立しようと思うと調理が出来ないため調理師を雇わざるを得ず、人件費が嵩み経営が旨く行かなくなると言う欠点を持っている。

つまり、調理の道を目指す人は同時に経営管理を学び、店舗運営業務に当たっている人は調理を勉強するというように自分の専門でない分野をしっかり学んでおく必要がある。

ではどんな分野を身につける必要があるだろうか

1)学ばなくてはいけない分野

  1. 「仕入れの技術」

    美味しい物を出すことは飲食業の基本だという事は良く理解していると思うが、調理の技術だけを身につけては成功しない。美味しい物を適正な価格で提供するためには、良い品物を安く買うという仕入れの技術を勉強しなくてはならない。店舗が仕入れる問屋や、食品メーカー、市場の人と普段から交流を行い、人間関係を築き上げておく。

    「調理技術」

    調理技術を身につけるのは当たりまえだが、調理技術だけでなく、調理に必要な調理機器の正しい知識や選定の方法を身につけよう。今は技術革新の時代であり、より合理的な調理方法の知識を身につける必要がある。年輩のシェフは保守的で新しい調理技術に取り組まない例が多いから自らチャレンジしなくてはならない。さもないと先輩の調理技術を追い越すことは出来ない。

    「トレンドを把握する」

    例えば、イタリアンや和食のシェフであっても伝統的な調理法や提供の仕方にこだわっていては顧客の嗜好の変化についていくことは出来ない。自分のジャンルでない料理も積極的にマスターし、顧客のどんな要望にも応えられるようにする。

  2. サービス
  3. 調理技術も重要だが、サービスが良くないと固定客になってくれない。どうやって固定客を作るのか、来店頻度を高めるにはどうすればよいのかを学ぶ必要がある。いくら美味しい料理を出すのであっても、サービス提供時間がかかっては満足してくれない。そのためにはメニューの絞り込み、上手なおすすめ方法などをマスターする必要がある。

    成功したフレンチレストランは料理が美味しいだけでなく、大事な顧客を接待する際に恥ずかしくないサービスを提供できる店だ。

  4. 清潔さ
  5. 美味しい店は汚くても良いのだという迷信があるが、それは、飲食店が少ない、競合のない時代の話だ。現代のように数多くの飲食店が毎年開店し消え去っている時代では、美味しいレストランは当たり前で、その中からインテリアデザインが素晴らしく、綺麗に保たれた店を選ぶのだ。飲食店を選定するのは女性が主で、選定基準は店の雰囲気と清潔さだ。店舗のデザインが良いだけでなく、そのインテリアのクレンリネスを何時も保てるように、清掃器具の整備、洗剤の使い方、清掃スケジュール、従業員への清掃トレーニングをマスターする。

  6. 人材育成技術
  7. 21世紀の日本で最大の問題は労働人口が減少し、優秀な従業員を確保するのが難しくなると言うことだろう。そのためには一度採用した従業員の定着性を高めるのが重要な技術となる。人の募集、面接、採用、オリエンテーション、評価、モチベーション、集合教育、に至る総合的な人材管理を身につける必要があるだろう。皆さんが徒弟奉公のような人材教育をされているからと言ってそのやり方を自分の部下にやるというのはまちがっていると言う事を肝に銘じなくてはいけない。

  8. 物の管理
  9. 従業員として働いていると、会社の機械、設備、にどの位投資しているかわからないからぞんざいに扱いがちだ。自分で店舗を持とうとすれば多額の投資をしたのだがらなるべく長く使えるようにしなくてはならない。そのためには機械や設備、内装材をきちんとメインテナンスして、寿命を最大限にのばす必要がある。調理機器などを正しくメインテナンスすることは、性能を高く保てるので美味しい調理が出来るだけでなく、水道光熱費も低く保つことが出来る。まず、自分の使っている機械や設備にいくら投資をしているかを把握し、それをどれだけ長く使うか、自分でお金を払ったつもりで勉強してみよう。

  10. 金の管理
  11. 将来独立するに当たって一番大事なのはお金の管理だ。いくら美味しい料理を出したり、サービスが良いと自慢してもそれが外の顧客候補に知らせなくては来てはくれないのだ。美味しい物を出せば流行るというのは競合がない時代の話で、現代の世の中では新規開店しても1年以上経営を続けていける飲食店の確率は50%以下なのだ。そのためには販売促進や広告宣伝の手法もしっかり身につけるべきだ。

    売り上げがいくら上がっても給与や仕入れ代金、税金をきちんと支払うお金を用意していないと資金繰りがつかず、黒字倒産と言うこともあり得るのだ。そのためには予算管理をしっかり行い、損益計算書や損益分岐点をしっかり理解する必要がある。独立するには財務諸表のバランスシート、キャッシュフロー、ROIという管理の手法をしっかり身につけよう。

2)会社以外からも学ぼう、「井の中の蛙にはなるな」

  1. 情報の入手
  2. 飲食店経営などの専門書や日本経済新聞、日経流通新聞、専門書などを定期的に読みスクラップして必要なときに取り出せるようにする

  3. 店舗コンパリゾンをしっかり行い、社外の知り合いを作ろう
  4. 本や新聞ばかり読んで頭でっかちになってはいけない、生きている人間から学ぶ必要がある。そのためには繁盛店などの店舗を見学するだけでなく、店舗の人と積極的に話すことがポイントだ。

    昨年の10月にニューヨークの超繁盛店のNOBUの総料理長の森本さん(3月号で取り上げられた3代目和の鉄人)の店を訪問し、料理とサービスが素晴らしかったのが縁で森本さんと知り合いになった。その縁で彼が来日したときに筆者を訪問してくれて、あの取材をすることが出来たのだ。こちらが若いとか経験がないとか遠慮せず、積極的に話しかけてみよう。

    ただ、何を学ぶか明確にしてから訪問し話を聞くだけでなくこちらからも情報を提供できるようにしよう。また、どんな優れた名声店でも欠点があるが、欠点を見ないで良いところだけを素直に学べるようにしよう。そして、訪問した印象を文章にしてまとめる。フォームを作成しておくと良い。

  5. インターネットからの情報入手
  6. NOBUの場所と電話を調べ日本から予約が出来たのもインターネットのおかげだ。インターネットでは日本だけでなく海外の情報や企業財務の入手も出来るのでマスターしよう。まず筆者のホームページを見ることが第一歩だ。

3)知識を定期的に棚卸し使ってみる。

自分は他社で使える人間になったか、何時辞めても食べていけるか、上記のジャンルの条件をどの位満たしているか定期的に棚卸しをしてみよう。もし不足しているようであれば再度計画を立て直し、勉強しよう。もしそれでもだめなら、積極的な転職をしてでも仕事を身につけるべきだ。筆者も家業の限界を感じて、当時大手のレストラン西武(現、西洋フードシステム)に入社し、最初はフランス料理のウエイターをやらされたが、自の希望で開業準備中のダンキンドーナツに潜り込んだ。そこで2年勉強し、最大手のマクドナルドに強引に入社したのだ。他社に応募して採用されるかどうかは、貴方の価値があるかどうかの最も明確な基準チェックとなるから、是非積極的に転職を試みよう。。

また、いくら勉強してもその知識が頭の中にあるだけで実際に使わなければさび付いて使いものにならなくなる。勉強したらそれを実際に使ってみよう。筆者の家族や友人が昔から飲食業をやっていたので、喫茶店の開店や、カレーショップ、焼鳥屋、アクセサリーショップなど色々の店舗の開店を図面からマニュアル作りまで手伝っていた。この経験により自分の知識が実際に使えるかどうか確認できたのだった。

「後は、諸君の幸運の祈るのみだグッドラック」


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