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98年4月号
98年ホテレスに見る冷凍パンの動向


今回のレストランショーでは冷凍パンの展示が増加しており、ユーザーの選択の幅が広がったようだが、今度はどうやって選択するかという贅沢な悩みも抱えだしたようだ。

まず、冷凍パンの原理と種類を見てみよう。

  1. 製パンの技術とステップ
  2. パンというのは、まず小麦粉の産地、品質(蛋白質の含有量など)、時期(春、秋)、イースト菌の種類、活性状態、イーストフードの種類、添加物の量、質、砂糖の含有量水の質、室温、湿度、ミキシングタイム、発酵の温度湿度、等で微妙に異なり、とても標準化の出来ない世界でありパン職人が必要だ。

    職人不要の冷凍方式の場合でも技術的にかなり難しい物がある。イースト菌は生き物であり、冷凍しては活性が失ったり、死滅してしまう。そこで冷凍しても大丈夫なイースト菌や冷凍しても大丈夫な生地になるような添加剤をしようしなくてはならない。また、イースト菌は温度に敏感であり配送途中の温度変化を嫌う、そこで配送の経路、温度管理の安定化、店舗における大型冷凍庫の設置が必要になるし、冷凍生地の解凍と発酵もきちんと行う必要がある。冷凍パンであっても、取り扱いや、良い冷凍生地の入手、誰でも同じ品質を実現できる調理機器、の知識が必要だ。

    1. 生地のミックス
    2. スクラッチ方式は、小麦粉、イースト、砂糖、油、香料、水、その他を混ぜ、ミキサーにかける。このこね上げ温度が重要で、温度が基準以上でも以下でもイースト菌は発酵しない。まず粉の温度、室温を計測しそれから入れる水の温度を決め、最適のこね上げ温度になるようにする。ミキシングは温度だけでなく、生地の肌理の細かさを見て時間を調節する。こね上げ温度が高すぎると生地の発酵が早く気泡が荒くなるし、温度が低いと綺麗に発酵しない。時間は15ー20分ほどかかる。

    3. 生地発酵
    4. こね上げた生地はそのままボールの中か他のステンレス容器に入れ60ー90分間ほど発酵させる。次に膨らんだ生地をパンチングして、ガスを抜き再度発酵させる。これにより生地の気泡をきめ細かくさせるわけだ。

    5. 分割と丸め
    6. 発酵の終わった生地をベンチにあげ分割し、丸めてベンチタイムを取り生地を加工しやすくする。時間は10ー20分間である。

    7. 生地成形
    8. ベンチタイムをおいて加工しやすい状態まで柔らかく膨らんだ状態になったら、成形する。30ー60分間かかる。あまり時間がかかると発酵が中途半端に進むので手早く行わなくてはならない。この作業が最も腕力が必要でパン職人の手はポパイのように太いのだ。

    9. 成形後発酵
    10. 成形後の生地をプルーファーに入れ発酵させる。イースト菌は適度な湿度と温度がないと発酵しないので、温度と湿度のコントロールが出来るプルーファーに入れ45ー60分間ほど発酵させる。湿度が多いとよこに広がり、温度が高いと上に広がったり気泡が荒くなる。場所により発酵むらが生じるのでローテーションを行う。

    11. 焼成
    12. パンの種類により焼き上げ温度、釜が変わる。発酵の状態により同じ生地でも焼き色が異なるので、必ず目で確認しながら焼き上げる。

      必要な機器

      以上のようにスクラッチ方式で小麦粉から焼き上げるまで、4時間から6時間もかかる。パン屋などで朝の8時に開店しようと思ったら夜中の2時から作業にかからなくてはいけないので、町のパン屋の後継者のなり手がいないという問題を抱えだした。

  3. 冷凍パンの種類と必要な機器
    1. 冷凍生地(冷凍玉生地)
    2. その解決策として出てきた技術が冷凍生地だ。<1>と<2>の段階で2時間ほどかかるから生地を分割丸めた状態で冷凍した物を使用すればちょっと早起きするだけですむ。これがパンの専門店チェーンで使っている手法だ。しかし、この手法を使っても、生地の成形や成形後発酵を行う必要があり、パン職人と同様な技術が必要になるので、外食店などでは取り入れにくいという問題があった。

      必要な機器

    3. 成形後冷凍(成形冷凍)
    4. そこで、<4>の生地成形後の状態で冷凍した物を使用するようになり、これがベイクオフショップ呼ばれるパン屋のやり方だ。この生地を成形後冷凍と呼ぶ。この方式の場合、成形された冷凍生地を解凍し、成形後発酵をしなくてはならない。発酵には技術と経験が必要なので、解凍と発酵を同時に精度高く行えるドウコンディショナー(リターダー)、を使用しパートやアルバイトでもその作業を行えるようにする。

      必要な機器

    5. 成形発酵後冷凍(ホイロ後冷凍)
    6. ドウコンディショナーのスペースや発酵技術まで節約したいという要望により、成形後に発酵した状態で冷凍した生地が出てきた。この場合は解凍しないですぐに専用のコンベクションオーブンで焼成出来るので熟練が不要で、使用機器も少なくレストランで導入されるようになってきた。

      必要な機器

      注2種類の成形後冷凍生地

      発酵した生地を流通させるため荷姿が大きく、冷凍庫などの保管スペースも広く必要になると言う問題を抱えている。そこで、フランスのカリフ社では発酵の割合を低く設定して冷凍しオーブン内での発酵を進める方式を開発した。日本では製パン機械メーカーのツジ・キカイと合弁でその技術を元に製パンメーカーと技術協力し、この冷凍生地の製造とそれに対応する専用のオーブンを開発している。

      カリフ方式でない成形後冷凍生地の場合、解凍後焼成するプログラムを持った専用のオーブンが必要であり、同じ成形後冷凍生地といっても異なるので注意されたい。

    7. 半焼生後冷凍、焼成後冷凍
    8. 外食のように厨房のスペースが狭く、経験の浅い従業員でもパンを焼けなければいけない。そのような要望に応えたのが、半焼生後冷凍(ブラウンサーブ)や焼成後冷凍の生地である。この場合発酵は不要であるのでコンベクションオーブンやスチームコンベクションオーブンでで加熱するだけでよい。フリスクジャパンやトップトレーディング、FITで取り扱っており、大手ファミリーレストランなどで使用されている。

      簡単ではあるが、まだ、商品の種類が少ないのと原材料コストが高いというデメリットはある。

      必要な機器

  4. 冷凍パンの選定
    1. 業態を決める
    2. 冷凍パンの選定にはまず、どんな業態なのかを決める。レストランで食事として提供するのか、ベーカリーカフェのようにクロワッサン類でよいのか、パン屋として持ち帰りもするのかを明確にする。ホイロ後冷凍生地や半焼生後冷凍のように簡単な物は、焼成後すぐに食べるのには向いているのだが、焼成後時間がかかると味の劣化が激しくなる。また、加工度が高い生地ほど原価率が高くなるので付加価値の少ない持ち帰りの場合利益率が低くなる。もし持ち帰りをするのなら、品質と原価率を考慮しベークオフショップでやっているような生地冷凍の法が望ましい。しかし、パン職人を採用しなければならないので人件比率が高くなる。

    3. 販売商品を決める
    4. 販売商品によっても冷凍パンの選択やパン製造機器の選定が変わってくる。バターロール、クロワッサン、ペイストリーなどはコンベクションタイプのオーブンでも良いのだが、あんパンなどのように横の生地の色が狐色になってはいけない物はデッキオーブンで焼く必要がある。パン屋で販売するパンの種類は、食パン、食卓ロール(バターロール、クロワッサン)、菓子パン、ペイストリー、総菜パン、ドーナツ、和菓子、洋生菓子だから、どのような品揃えになるか決める。

      本格的なピザも焼きたいという要望があればデッキタイプのオーブンが望ましく、フランスパンを焼くならデッキオーブンで蒸気が出る物でなくてはならない。

    5. 生地を選ぶ
    6. 1、2で選定が終わったら生地を選ぶがその選定方法は上記の違いを見ながら店舗の販売量、調理人の技術、店のレベルなどにより決めていく。大きく分けると国産と輸入生地がある。日本では国産の小麦は高価であるし、輸入であっても食管法のために小麦粉は多額の関税がかかるのでコストが高い。また、パン生地に混ぜる砂糖やバター等の乳製品も関税などのために高価である。そこで海外で生地を作り、規制以上のバターや砂糖が混ざった状態の物(クロワッサンやペイストリーなど)は調整品扱いとなり関税が大幅に安くなり、場合によっては国産品より安くなると言うメリットがある。価格が安くなくてもフランスなどの美味しいバターを混ぜた場合、味が各段に優れるというメリットがあり、商品によっては海外品を使うメリットがある。国産も色々なメーカーが冷凍生地を販売しているが、味の面では海外のパンメーカーの技術力は優れており検討する価値はあるだろう。ただし、日本人の嗜好が違うので、海外と日本の生地の組み合わせというのが一番現実的な選択となるだろう。

    7. 調理機器を選ぶ
    8. 1、2、3のステップが終わったらその選定した生地に最も合う調理機器を選定する。本格的なパン屋のような本格的な物を目指す場合、パン屋と同様の調理機器が必要になるし、食事の際にご飯とパンのチョイスをするだけの場合であれば、焼成後冷凍などの生地をスチームコンベクションオーブンなどで焼けばすむ。ホイロ後冷凍生地の焼成は従来はコンベクションタイプのオーブンであったが、他店と差別化をするために小型のデッキオーブンを組み合わせるシステムなども出てきており、生地を供給するメーカーに最適の調理機器を聞き、自分でそれをテストするというのが一番確実だろう。

      生地も調理機器も色々な種類が増加して便利になったが、今度は選定をするのが難しいという贅沢な悩みが増えたようだ。

    9. 全体のバランスを見直す
    10. 以上のステップを終えたら、最終的に採算性を考えなくてはいけない。いくら味にこだわるからといって、過大な投資をしては採算が合わない可能性がある。最後は品質と、手間、投資金額、従業員のレベル、店舗のスペース、売り上げ予測と利益予測、など総合的に分析し自分の店に最適なシステムを選定するべきだろう。

  5. 業者などの専門家に聞く
  6. 冷凍生地や調理機器の選定に当たって、各ジャンルで最も経験のある業者からアドバイスをもらいそれから検討するのも確実だろう。以下にお問い合わせ先の業者を紹介するので参考にしていただきたい。現在では他に多くの優秀な業者があるので、なるべく多くの業者から聞くことがポイントで、その中から皆さんの業種業態に最も適した物を選択すると良いだろう。

    冷凍生地メーカー

    調理機器メーカー

  7. おすすめ
  8. 最初から大がかりなシステムを導入するよりも、まず、出来立てパンを出すことによって顧客が喜び売り上げが上がるかどうかを見るために簡単な冷凍パンを導入してみてはどうだろうか。 焼成後冷凍パンを使い、調理用のオーブンで焼成して出してみよう。それで売り上げが上がるのなら本格的なベーキングシステムを導入しても良いだろう。

    もし、レストランの調理用にスチームコンベクションオーブンを導入する際には、製菓、製パンの機能がある機種を導入すると冷凍パンをあまり、追加投資しなくても導入することが可能だ。製菓製パン機能のあるスチームコンベクションオーブンとは、蒸気量をコントロールできたり、庫内の蒸気を排気出来る機能があること、風量を弱くできる事、やけむらを防ぐようにファンのが自動で逆転できること、発酵も出来るように低温の温度コントロールの精度が高いこと、等である。

    最近は技術進歩でどんどん良い生地と調理機械が出てくるので常に勉強を怠らないと言うことだろう。



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