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10店舗を越えるチェーン店の店長になるためには
シリーズ第九回
体験的店長実務ステップアップ講座第1回目


日曜日の売り上げの多さにやっと慣れてきた頃、このS店の問題点の大きさに気がつき始めた。盗難、モラル、QSCなどの深刻な問題の発生だ。

1.盗難

S店での盗難の問題はよく見てみると幾つかに分類できた。現金差、商品の盗難、従業員の金品の盗難などだった。

現金差

現金差とはレジの売り上げ記録と実際の現金との差のことだ。マクドナルドでは厳しい数値基準があり、それを越えると原因を厳しく追及する。S店舗の現金差は基準の2倍というひどい物だった。日によっては万単位の現金差が発生していた。

現金差を明確にしていない飲食店や小売店が多い。「当社の現金差は0ですよ」と言う会社もあるがとんでもない話だ。人間のやることであるから必ず間違えは発生する。マイナスだけでなく場合によってはプラスの現金差も発生する。そのプラスの現金を貯めておき、マイナスを埋めたり、社員やレジの担当者がその金を補うことになる。人間だから現金差がプラスの時にはそれを自分の財布に入れるようになり、売上金を操作するのに罪悪感を持たなくなる。

そうすると今度はいつの間にか会社のレジスターから金をくすねるという不正が発生するようになる。毎日の金額は少なくても売り上げの多い店だとそのロスがわかりにくいから、長期間の不正により数百万円の金を横領した例もある。まず、プラスでもマイナスでも金を操作しないようにけじめを付けることが重要だ。

従業員のモラルが高い場合には他のアルバイトがレジの金を盗むのを見たら社員に届けてくれるが、店全体のモラルが低い場合にはかえって競争して盗難をするようになる。先に述べた数百万円の盗難は店舗の社員が行った物だが、それを発見したのはアルバイトで、社員の不審な行動に気がついた彼らが上司に届けてくれたから発見できた。アルバイトのモラルが高くなければいけないと言う証拠だろう。

先回例に挙げた現金締めの作業手順書も社員の現金数え間違えを防ぐための意味もあり作成した。どこで間違えたか明確にしないといけないからだ。また、どのレジで現金差が発生したか明確にし、問題のあるアルバイトを再トレーニングしたり、場合によっては現金に手を触れさせないようにしなければならないからだ。

商品の盗難

現金を盗むのは悪いことだと分かってやっているから、少数の手癖の悪いアルバイトの問題だ。しかし、盗むという罪悪感のない盗難はもっとやっかいだ。マクドナルドではカウンターで客が商品と引き替えに金を払うわけだが、友人が来たときにサービスで飲み物の金を取らなかったり、商品を多く渡してしまうことがある。現金を自分で取るのではないから罪悪感がないし、他のアルバイトがやっているのを見て真似するようになる。また、休憩時間にアルバイト同士で商品を只で出して食べるようになる。この盗難は数字として直接現れにくいから始末に負えない。現金差よりも実はこの商品の盗難の方が10倍も被害が多かったのだ。もちろんマクドナルドの場合には商品の棚卸しを毎週やっているから、理論的な商品販売額と実際の商品販売額の差がでるのでその内容を把握できるのだが、それでも原因追究となると大変だった。

現金を盗難するより商品を只で食べるのは罪悪感が薄いがそれでも多少の後ろめたさは感じるのだろう。商品を只で出すときにチラッと社員の方を見るのだ。その視線を感じたら何気なく受け取った金銭と、商品の内容をチェックして発見する。ボーとして店舗に立っているわけには行かないわけだ。アルバイトは悪いことをするのだと言う前提で見ているわけだから、当然のことながら人間関係は旨く行かず、店の中の雰囲気が良くなくなると言う問題も抱えることになる。

現金差、商品ロス、標準原価の推移を見ていると店舗のモラルの動きが手に取るように分かるようになる。当然のことながらそれらの数字を記録する書類管理システムが重要になる。書類をきちんと付けるマニュアルが大事なのは、モラルをきちんと計測するためでもあるのだ。当然のことながら書類のフォームもきちんとしていなくてはならない。年間を通して昨年、予算と比較できる一覧性が必要だ。

他の従業員の金品の盗難

レジの売り上げを盗んだり、商品を只で食べるようになると罪悪感が薄れてくる。そうすると従業員の金品盗難という事件が起き始めた。このレベルになると完全な犯罪であり、単に会社の損益を左右するだけでなく、会社の名前も傷つくことになる。しかし、これらの盗難を防ぐのは大変難しい。窃盗を働く方はもう犯罪であるという意識があるから当然真剣に見つからないように犯行に及ぶわけで、社員や従業員の目に付かないようにやる。 

 ロッカーから従業員の金品が頻繁に盗難に遭うようになった。当然、従業員の誰かが窃盗をしているわけで、全員を疑わなければならない。全員の履歴書のチェックをし、疑わしいのを絞り込んでいった。金に困って犯行に及ぶのだから、学生よりも過去に仕事をしたり、職歴の多い奴を疑った。次に態度が大きかったり、社員に反抗的な奴もリストに入った。筆者が最も疑ったのは長髪の、体も態度もでかい、社会経験のある人間だった。

従業員の数に対してロッカーが不足していたから、ロッカーを共有し、鍵を店内の見えるところに吊しておき、それを各自で管理していた。ある日、当日にスケジュールに入っていない高校生のアルバイトがすーっと鍵を持って行く。おかしいので後をつけるとロッカー室に行き他のアルバイトのロッカーを開け財布から金を抜き取るではないか。早速問いただしてみると、今までの盗難はすべて彼が行っていた事を自白した。彼は高校2年生で勤務して1年くらいたった、まじめで大人しい高校生だった。残念ながら、彼に事の次第を明確に書かせ、親に連絡しやめてもらうことにした。

注意しなければいけないのは現場を発見してもそれを本人が認めなければ、後で濡れ衣だと言われてしまうことだ。本人が認めたら本人の自筆でその事実を認めることを書かせる事が重要になる。もし、現場を発見していない場合には、推測で犯人に仕立て上げてはならない。人権侵害の問題に発生するからだ。犯罪を発見し対処するには細心の注意が必要で、それが事実であっても未成年の場合、他の従業員にに分からないように対処しなければいけない。本人には可哀想だが親にその事実を説明し、納得してもらうことが最も良いだろう。但し、最近の親は子供が悪くてもかばう傾向があるから、事実関係が明確にならない限り、親に告げてはならない。

筆者が最も疑った、長髪の体も態度もでかいアルバイトは、実は性格の優しい頭の良い奴で、後にアルバイトマネージャーのスイングマネージャーとして筆者の片腕として活躍してくれるようになった。このS店は繁華街の歩行者天国に面しており、当時、はやっていたヒッピー風の若者がシンナーを吸いながらたむろするような場所だった。店前でたむろしたり、シンナーの売買をして売り上げに影響するので、彼らをどかさなければならない。しかし、筆者が幾ら言っても退かない。そこで彼に「モップを持ってラウンド」と一声かけると、モップを持ってロビーにいるヒーッピー族に体当たりを食わす。彼のようなラグビーをやっていた巨漢に体当たりされるわけだからシンナーを吸ってふらふらの連中は簡単に吹き飛んでしまい、あまりの恐ろしさにロビーに来なくなるようになった。彼はスイングマネージャーだけでなく筆者のボディーガードのような役割までやってくれるようにまでなった訳だ。人を外観や先入観で疑ってはいけない良い例だろう。

2.モラル

アルバイトの不足

モラルの問題は従業員の不足という問題を引き起こす。まず、アルバイトがスケジュール通りに来なくなると言うことで現れてくる。たとえば日曜日には歩行者天国で平日の5倍くらいの売り上げになるから、朝の開店時より8名くらいのアルバイトをスケジュールに入れるが、その全員が数時間も遅刻をするのが当たり前の状況だった。

雨などが降ると売り上げが悪いから、最初から店に来ないという現象が起きる。しかも、仕事中に用事があるからといって勝手に帰ってしまうというような無法状態だった。

在籍従業員のタイムカードを見ると売り上げに対しては十分な数がいるのに人がいないという現象が見られるようになっていた。自分の気に入った時間や曜日にしかこないという、稼働率が極端に低い、幽霊アルバイトが多い状態になっていたわけだ。アルバイトが十分にいないと、新しいアルバイトが入っても最初から難しい仕事をさせられるから、定着性が悪くなる。つまりいつの間にか従業員の実働数が減少するという問題が起きる。

アルバイトがここまでにわがままになったのは実は社員たちが悪かった。当然のことながら、雨などの天候の変化は客席のないS店にとっては致命的な売り上の現象を引き起こす。そうすると、各アルバイトに声をかけて帰れる奴を募集する。それが続くとスケジュールを守らないのが普通になり、勝手に自分たちでスケジュールに記入したり、好きな奴と一緒じゃなければ働かないと言う状況になってきたのだ。

男女関係のモラル

モラルはスケジュールだけでなく男女の問題にまでなっていった。アルバイトの間であるから男女関係の問題は本人たちの問題なのだが、女子高校生なども採用しているから、問題が起きると会社の責任となってしまう。

ある晩のことだ、月末で夜中残業をして書類作成をしていたら、高校1年生の女子アルバイトの家から電話があり、まだ帰宅していないと言うではないか。あわてて本日の行動をチェックしたところ、アルバイト同士で飲みに行って意気投合したアルバイトマネージャーと同行していると言うではないか。家出だ。さあそれからが大変だ。仕事そっちのけで電話をかけ続け、翌日早朝までに居場所を突き止め、店まで両名を出頭させた。

両人よりいきさつを聞いてみた。当初は高校1年の女子アルバイトはかなりの美人でその容貌に目のくらんだベテランのアルバイトマネージャーが彼女を無理矢理誘って起こした事件だと思っていたのだ。が、よくよく聞いてみるとどうも高校1年生の彼女が誘ったようなのだ。高校3年や大学生などの高学年になると、常識とかモラル感を認識しており、大きな問題を起こさないが、高校生1年生はちょうど中学から高校に上がり、アルバイトを開始してまるで大人の一員になったように錯覚する傾向がある。特に女子の場合には高校1年生であっても大人であると思いこみ、大学生のアルバイトマネージャーを自分から誘ったようなのだ。

そして、彼女を連れて家まで送っていったが、当然の事ながら親にはかんかんに怒られた。筆者にして見れば問題の原因は彼女にあるわけだし、筆者ががんがん怒られる筋はないと思い喧嘩になってしまった。若気の至りである。現在のマクドナルドのように大きな会社ではなかったからその程度ですんだが、今であれば会社を訴えるなどの大騒ぎに発展したことだろう。

その数年後、筆者が江ノ島店というリゾートにある大型店舗の統括SVをしていたときに偶然彼女と再会した。別のボーイフレンドと来ていたのだが、すぐに彼女とわかり声をかけた。彼女は「良く覚えていましたね」と言うではないか。あんなに大変な迷惑を受けたのにその言い方はないだろうと唖然とした物だ。

事件そのものはそれで収まったのだが、実は高校生同士で男女関係に発展した場合はもっと始末が悪かった。その人間関係が商品や売り上げの盗難にまで発展ししてしまったからだ。仲間同士で犯罪を犯すから捕まえるのが大変で偉い苦労をした。

3.QSCの低下

店舗のモラルが一番端的に観察することが出来るのがこのQSCだろう。QSCの中でもクレンリネスは最もモラルに影響される。アルバイトが時間通りにこなかったり不足したりすると、開店作業や閉店の清掃が十分に出来ない。クレンリネスは店のモラルをもっともダイレクトに反映するようだ。

筆者が統括SV時代にある地方の店舗を担当していたことがある。その店は売り上げが大変高い店であるが、商店街における競合環境の激化のためにためだんだん売り上げが落ちてきた。店舗があまりに汚いのが売り上げを落とす原因の一つであるので、きれいにするように店長、SVに要求したがなかなかきれいにならない。そうこうする内に米国の創業者夫人が訪問することになった。あまりにきれいにならないので筆者が慌てて店舗に入り込んで清掃をせざるを得ない状態になった。

店長は一生懸命に仕事をしているようであったがなかなかきれいにならない。暫くしてその店長を他店に移動した。数ヶ月後にその店舗を訪問したところ、店舗が汚くなっているだけでなく、商品のホールディングタイムを全然守らないのだ。暫く、おかしいなと見て注意深く見ていると、彼の行動が問題になるようになった。アルバイトが「店長は全然仕事をしない。パチンコに入り浸っており、SVがくるときだけ店に戻る。」と言い出したのだ。当然のことながら解雇になったが、やはり当時から店舗で真剣に仕事をしていなかったのだろう。そんな上司を見たアルバイトが作業をきちんとするわけはない。店舗が汚いときには何か原因があるのではないかと疑うべきだろう。

モラルは品質基準の低下にも現れてくる。マクドナルドのハンバーガーの品質基準は出来立てのハンバーガーは10分間の保管期間の後は廃棄するという厳しい物だ。ところがこのホールディングタイムを守らないという現象が起きてくる。しかもアルバイト同士で食べるときには出来立てのあつあつの物を食べるというひどさだった。また、このホールディングタイムを悪用し、閉店間際に多めに作りわざと余らしてそれを閉店の清掃アルバイトで食べるという悪習もでていた。どんな状態であろうと店の商品を只で食べさせると言う習慣を付けさせるべきでないのだ。

問題点はこんなに深刻だった。改善しなければならないのは切実に理解していた。しかし筆者のマクドナルドの於ける経験はまだ6ヶ月しかない。S店のような大型店は初めてだし、まだ部下が十分に育っていない。はっきり言えば筆者にはまだ力不足だった。

筆者を送り込んでも状況がそんなに変わらないことを発見したSVは、即座に優秀な店長を送り込んできた。 彼の社歴はまだ1年ほどであるが、ばりばりのやり手の店長だった。その店長と同時にさらにもう一人の第一店長代理を送り込んで、いよいよ店舗の大手術の開始をしようと言うことになった。

当時のSV、店長、第一店長代理の筆者たちはみんな若かった。成果を焦りすぎていた。 S店は急拵えであり、老朽化し百貨店にとっても見苦しくなってきたから店舗の改装計画がでてきた。その改装のためには1ヶ月以上の休業が必要であった。このチャンスを利用し、全員のアルバイトを解雇し、問題のないアルバイトだけ再雇用しようという、身勝手な戦略を採ることにした。いくらモラルが低いと言ってもアルバイトは店舗に対して深い愛着を持っていた。そのアルバイトたちにとっては店は家のような物だった。いくら企業の論理であろうと彼らにとってはとんでもないことだったのだ。優秀なアルバイトが多かったから大騒動に発展し、ストライキ行動等の抗議運動を起こした。その大騒ぎの収拾は我々では不可能で、社長に出馬してもらう羽目になってしまった。

よく考えてみるとアルバイトに責任はないのだった。店舗がそこまで悪くなるまで放置した我々社員の問題だったのだ。実際にその解雇しようとしたアルバイトたちの数人はその後入社し、優秀な社員となったことでもそれが分かるだろう。そこで悪くなった原因をじっくり考えて対策を立てることにした。

店長の資質

当時のマクドナルドは売り上げが多く、活気のある会社であった。当時の会社の方針は成るべく飲食業の垢のついていない新鮮な感覚の人を採用しようと言うことで、高給で数多くの優秀な人材を色々な分野から集めてきた。その結果最初の頃に述べたように豪傑も多く、年齢も若くほとんどが20代であった。アルバイトと年齢の差がそんなになかったから、仕事が終わるとアルバイトと一緒に飲みに行ったり、麻雀をしたりというけじめのつかない状態だった。  

マクドナルドが開店したときには銀座店のように年商数億円も売るような大型店が中心で、1店舗には社員が10名、アルバイトは200人もいるような状況だった。そんな店舗の店長に要求されるのは、個性的で人をがんがん引っ張る、強烈なリーダーシップだけであり、実務は要求されなかった。マニュアルとか、基準をどうきっちり守るかという事ではなく、毎日をどうやって運営していくかというやる気だけが求められていた。

しかし、筆者が入った時にはすでに15店舗ほども開店しており、S店にいる頃には20店舗を越え30店舗に近づきつつあった。都内で数店舗しかない頃には歩行者天国と相まって、わざわざハンバーガーを食べに遠くからやってきていたので売り上げは異常に高かった。しかし、30店舗にもなり、どこにでもあるようになると1店舗あたりの売り上げはだんだん平準化してくる。そして、顧客はチェーン店舗としてどの店に行っても同じ基準のQSCを求めるようになってきた。単なるリーダーシップの強い店長から、きめの細かい管理者としての素質を要求されるようになってきたわけだ。

職場の労働環境

職場の労働環境は最悪だった。百貨店の1階を急拵えで改造したから、グリドルやフライヤーをがんがん炊くような火力にはエアコンが対応していなかった。また、百貨店の休業日にも営業を行ったのだが、店舗独自のエアコンがないから休業日にはエアコンが全く動かない状態だった。夏の猛暑の百貨店休業日には厨房の温度は47℃まであがるような状況だった。この温度だとたっているのがやっとで、マニュアルのようにきびきび動き回ることなんかとんでもない。最初の内は楽しくてがんばれるかもしれないが、しばらくするととんでもないと思い出す。

仕事で疲れてさあー休憩だと言っても、アルバイトの休憩室もないのだ。百貨店の従業員の休憩室で肩身の狭い思いをして休憩する。着替え部屋もない状態だった、アルバイトはなんと倉庫のウオークイン冷蔵庫に入って着替える有様だ。マニュアルでは冷蔵庫での着替えなどとんでもないのだが、場所もないし、暑いので黙認状態だった。そんな状態ではアルバイトのモラルを保つことは出来ないし、定着性を保つこともできなかった。

基準の維持に必要なモラル

アルバイトの基準をあげるにはまず社員が自らその基準を示さなければならない。社員がいい加減な作業をやっているのにアルバイトに高い基準の仕事を要求することは不可能なのだ。日曜日は忙しいから朝の7時から5人くらいのアルバイトのスケジュールを入れてある。しかし、誰も来ない、ほとんど2時間の遅刻は当たりまえの状態だった。それはアルバイトだけではなかった。社員の遅刻もひどい物があった。ある社員は深夜清掃アルバイトの出身であったが、ほとんど毎日数時間遅刻する。あまりひどいのでなぜ遅刻が直らないのか問いただしたら、「朝、太陽の光を浴びないと目が覚めない。今日のように曇り空だと太陽が差さないので目が覚めない」と平然と言うではないか。筆者は呆然として怒ることもできなかった。社員も適性が大事だということだ。

アルバイトは自分たちがいないと店が回らないことを知っており、働いてやるよという態度だった。当初のアルバイトはかなり優秀な人材が集まってきた、彼らは単に時給を求めてでなく、面白い、格好の良い職場ということだった。当時のモデルの現役などが面白いからと言って働くような人気の職場だった。しかし、そんな楽しい職場も2年もたってくると忙しさからだんだん魅力がなくなってくる。店は単に遊びに行く前に落ち合う溜まり場になってしまったのだ。

良く勘違いするのはマニュアルを導入すれば基準を守れると言うことだ。マニュアルを守るのは人間だからまず、適性が当社に合っているかということを面接の段階からふるいにかける必要がある。仕事に対する適性というのはその会社、職種により大きく異なるからだ。まず面接の段階で良い人材をふるいにかけないといくらトレーニングをしても無駄になるからだ。

適性のある人材を入れても正しく教育しなければならない、ダイヤモンドも磨かなければ只の石なのだ。入社後にまずどんな仕事をやるのか、どんな基準があるのかなどのオリエンテーションをきちんと行い、早く職場環境になれるようにする。次に基礎教育をスタートする。

教育するためにはそれぞれの仕事のやり方をきちんと述べたマニュアルが必要になる。マニュアルというとあるべき姿だからと誤解し、理想的な現実離れした内容になりがちだ。その内容がが現実に即していなければ机上の空論になる。

そして正しく良い仕事をしたらそれなりに評価をし、時給のアップや、タイトルのアップなどで報いるということが大事だ。また、職場の環境も大事だ。客席はもちろんのこと、厨房、休憩室のエアーコンディションがなければきびきびと働くことは出来ないし、衛生状態もきちんと保つことは出来ない。疲れたときには休憩をゆったり出来るきれいな休憩室の整備が必要になる。これらの環境をきちんと整備してから、従業員に仕事の質やモラルの向上を求めなければいけないのだ。

改善策

以上のような冷静な判断から、まず新店舗においては社員自ら姿勢を正さなければならないと言うことで、店長以下真剣に対処することにした。いったん解雇したアルバイトに対する処分を撤回し、全員再雇用することにした。ただし、会社としての基準を明確にし、その基準を守れない人は解雇されることを納得させるという、明確な基準を打ち出すことにした。

職場の労働環境も大事であるから、まず店舗独自のエアコンを入れ、清掃もしやすいような素材をしっかりしようするようにした。

そして不安の中、従来のアルバイトメンバーでで改造店舗は再出発を遂げた。いくら解雇を撤回したと言っても従来のアルバイトとのトラブルの後であるから、なかなか店内の雰囲気がぎこちない物があり、ぎくしゃくした毎日で先が思いやられる状態だった。

次回に続く

お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


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