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米国レストラン情報その1


飲食店経営 米国の飲食業の状況

リエンジニアリングに対する誤解

日本ではマクドナルドやタコベルの低価格路線が米国の主流だろうと思われているようだ。特にタコベルの行ったリエンジニアリングという言葉に翻弄され、多くの日本の飲食チェーンが低価格路線に参入し苦しんでいる。リエンジニアリングというとスーパーバイザーなどの不要な中間管理職を省いて本社経費を削減したり、店舗の無駄なサービスを削って経費を削減し、販売価格を下げるのだという誤解があるようだ。ここで明確にしておきたいのはタコベルの行ったリエンジニアリングというのはカスタマーサティスファクションの一部であるという事だ。

「リエンジニアリングとは新しい競争に備えて自らの企業を徹底的に立て直すために必要な、新しいコンセプトによるビジネスモデルと、手法である。」(日本経済新聞社刊、リエンジニアリング革命、M.ハマー、J.チャンピー共著)簡単に言うと「大会社の官僚的で非生産的な組織を排除し、無駄を省き、本当にお客様が何を望んでいるかを、0から見直し、解決する手法である。」

文中で、

経費を0から見直そうと言うことで、本社経費の見直し、特にスーパーバイザー制度の見直しなど、従来の原則にとらわれず、積極的に実施したのである。特に中間管理職を大幅に削減しかえってコミュニケーションを良くしたのである。

と述べられており、此の部分が強調され、 次の箇所が見落とされているのだ。

タコベルでは、まず、お客様が何を欲しがっているかを調べた。その結果お客様は、大きな店舗や、装飾などではなく、おいしい食事を早く、温かいうちに、きれいな店内で、安く食べたいということであった。そこで、お客様の食べる食材以外の全ての経費を見直し削減した。店舗での食材加工を極力無くし、店舗での必要な最終調理も自動化し、店舗面積に占める厨房の面積を縮小し、同じ建物で客席数を2倍にしたのである。それらの結果、商品の販売価格を大幅に下げることに成功し、ファーストフードチェーンで最初にバリューミール(低価格で価値のある食事)戦略を打ち出し、大成功したのである。

つまり、顧客が何を欲しているかの要望を調べたのだ。これを顧客満足度調査という、つまり、タコベルの全体の活動はカスタマーサティスファクション(顧客満足度)の向上策であるのだ。それを前記のコストダウンばかりに目がいってしまい本来の顧客満足度を忘れているのが、現在の日本の飲食チェーンの不振の大きな原因ではないかと思われる。

小売業の顧客満足度

小売業でも同様だ。価格破壊という事でウオールマート詣でと称してその巨大なシステムを見て、その管理システムをまねようとしている。しかし、日本でウオールマートのようになれるのはダイエーとかイトーヨーカ堂などの巨大チェーンだろう。そんな巨大チェーンのシステムを、中小のチエーンが百害あって一理なしだろう。

現在小売業が見なければならないチェーンはノードストロームだ。私が米国に滞在していた12年前に米国でもっとも大きい百貨店はメーシーであり、ノードストロームはシアトルのローカル百貨店で名前も聞いたことがなかった。現在ではメーシーは会社更生法の元に再生中で、ノードストロームは全米に40店以上も展開し、顧客満足度による成功例の一つとなっている。

メーシーの失敗の原因は本部至上主義の官僚的な組織による意志決定の硬直性であるといわれている。その反面、ノードストロームの成功の秘訣は徹底した、現場への権限委譲と、顧客の要望に直ちに応えるという簡単なことだ。本部が現場の店員に要求することはただ一つだ。顧客の要望に徹底して答えるということだ。つまり、御客様は神様だということの実践だ。

日本ではノードストロームの成功の原因を店員に対する売り上げ歩合制であるという誤った誤解があるようだが、実は顧客サービスなのだ。

5月に米国のシカゴのNRA(全米レストラン協会主催の厨房機器、食材の展示会)に参加したときにノードストロームを訪れた。同行者がワイシャツを買おうと思い、冗談で試着を希望した。日本の百貨店で紳士物のワイシャツの試着を希望したら、あきれられるのが落ちなのだが、ノードストロームではにっこり笑って応えてくれた。1枚だけ買うつもりがつい4枚も買ってしまった。

9月に再度NAFEM(米国厨房工業界主催の厨房機器展示会)に参加したときにサンフランシスコと、サンディエゴのノードストロームを訪問した。サンフランシスコのノードストロームを訪問したときには時間が30分間しかなかった。参加者の一名が試しにズボンの裾上げを30分間で出来ないかと聞いた。そしたらなんと出来ると言うではないか、その結果ズボンを4本裾上げをして、ジャケット2枚、ワイシャツ、ネクタイをそれぞれ4つづつ、下着を3セット購入してしてしまった。

たった30分間の間にである。日本であったら、廣い売場を駆けめぐって3時間はかかるし、ズボンの裾上げなど1週間はかかるだろう。これは此の店の特別だろうと思い、再度サンディエゴで別な参加者がズボンの裾上げに挑戦した。今回は時間は20分間で2本に挑戦した。店内の顧客への告知は、ズボンの裾上げは3日かかると掲示してあったからだ。そしたらなんと20分間で2本の裾上げを行い、おまけに既製のワイシャツの袖詰めまで行ってくれたではないか。どの店舗でも我々が旅行者であることを察知すると、躊躇無く最大限の努力でサービスに当たってくれた。皆さんも是非実際に試していただきたいサービスだ。

現在のキーワードはノードストロームのサービスに見られるような顧客満足を優先した現場至上主義だ。現場で顧客の声を聞き速やかに対処するというのがこの競争の激しい現代に生き残る唯一の方法だ。

顧客満足度というと航空産業でも取り入れられ、西海岸のサウスウエストエアーも有名だ。航空会社で利益を上げるには飛行機の回転率を最大限に向上するのが基本だ。しかしそのために数多くの社員を雇っては利益がでない。そこでサウスウエストエアーは従業員の仕事を掛け持ちさせ、少ない人間で最大限の航空機の稼働率を実現した。

ちょうどラスベガスからサンディエゴに利用したが、まるでバスの感覚だ。まず座席指定がない。カウンターにつくとバスの切符のような紙切れをくれるがシート番号はない。そして搭乗が開始されると、並んだ順に好きな客席に座る。満席になると出発だ。

ステュワーデスの服装が徹底している、半ズボンとポロシャツだ。飛行中のサービスもミニマムだ。しかし、多の航空会社の半額の運賃をそれにより実現している。同じ地区を飛んでいるユナイテッドエアーもシャトルと言う名称で同様のサービスを実現している。ユニフォームまで真似している。このように米国では顧客満足度と言っても各社の対応は異なり、参考にする場合注意が必要だ。

顧客満足度とテーマレストランプラネットハリウッド

此のノードストロームなどで成功した顧客満足度を取り入れて急成長中のチェーンはプラネットハリウッドだ。プラネットハリウッドはスターのシルベスタスタローン、ブルースウイルス、アーノルドシュワルツネッガーが出資して出来たテーマレストランである。正直を言うと筆者はテーマレストランは単なる際物であると思い最近まで興味を持っていなかった。

3月にサンフランシスコに行ったとき、マーケットストリートに工事中であり、9月に再度訪問したときには開店していたので、見るだけ行こうと行ってみた。ちょうど、筆者の好きなサウサリートのスコマに夕食を食べに行く前であり、ちょっと見せてよと声をかけた訳だ。見るだけだとあまりいい顔をしないだろうと思ったら、予測に反してにこにこと案内してくれて、どこでもみてもいいよという親切な応対だった。すっかり気に入って食事の後また訪問した。

入り口で並んでいたら番がきたのでマネージャーがウエイトレスの後をついていくようにいってくれた。普通なら席の用意が出来たからご案内します。などというのだが、ここでは「あのかわいい顔をしたおねーちゃーんの後をついていってください」と、にこにこしながらくだけた調子で話しかけてくる。

席に着いた筆者たちはスコマで腹一杯になっているから、飲み物と数品の料理を頼んだだけだった、しかし、担当のウエイターは嫌な顔一つしないでサービスしてくれ、僕たちが写真を撮り合っていたら、すぐに手伝ってくれた。帰りがけにトイレに寄って行ったらその管理のすばらしさに感激した。米国の高級レストランやバーなどではトイレに年とった老人をおき管理させている、手を洗うとタオルなどをくれ、帰りにチップを上げるわけだ。筆者は米国に住んでいるときから此のシステムになじまず、チップなど上げたことがなかったが、ここでは初めてチップを気持ちよく上げることが出来た。かっこの良い若い男の子が店舗のTシャツをきてきびきびとサービスをしてくれるのだ。会話まで楽しめるのだ。あの暗いトイレの印象がまるでない。ここまでサービスの行き届いたレストランは珍しい、まるでディズニーランドののりなのだ。

あまりにサービスがよいので何件あるのと聞いたら26件あり、来年には50店にする。もうすぐ香港と東京にも開くと言うではないか。あまりに的確な情報を教えてくれるのには驚いた。そして、此の優れたサービスはラスベガス、サンディエゴでも全く変わることがなかった。そこで帰国後そのデーターをチェックしてみた。

Nation*s Restaurant Newsの95年8月号の The Second 100を見てみた。日本ではトップ100の記事で大チェーンの動向を説明するのが多いようだが、実はネックスト100の記事の方が面白いのだ。ネックス100というのは101位から200位までののび盛りのチェーン順位だ。

プラネットハリウッドの昨年の売り上げの伸び率の順位は4位、本年も7位と急上昇だ。1店舗当たり売り上げは6億5千万円、(年度の途中の開店であり、1年間営業すると平均11億円の売り上げだ。)全部直営店舗で20店舗ある。年間売り上げは170億円にもなっている。

出資者は上記の俳優たちなのだが、会社の経営をまかされているのはRobert Ian Earl 氏と言い、イギリス生まれの44歳のテーマレストランの経営のプロフェッショナルだった。氏の父親はイギリスの有名な歌手であり、舞台で活躍していた。氏はエンターテイメントの世界に入らず、イギリスのホテルレストラン学部を卒業後、テーマレストランの世界に入った。イギリスの大手テーマレストランの経営に手を染めた後、米国にわたり、ディズニーワールドのあるオーランドでテーマレストランを経営し、ハードロックカフェの運営も責任者としてまかされた経験を持つ。そこが、氏がディズニーランド風のサービスを身につけた原点ではないかと思われる、そして出資者を募り、プラネットハリウッドをスタートしたのだ。本年の末には31店舗になり、平均年商が11億円で、通年営業したとすると300億円の売り上げが可能になる。

全店舗直営でその各店舗の従業員教育はすばらしい物があり、みなさんも是非米国に行った際には見ていただきたいレストランの一つだ。

今米国で見るべきレストランはテーマレストランだ。もちろんテーマレストランと言っても店舗の内装に凝っただけのまがいもののレストランはダメだ。例えばスチーブンスチルバーグがデザインしたと言われる、潜水艦をテーマにしたダイブは全くひどいオペレーションだ。テーマレストランを成功させるにはそのオペレーションが大事だろう。テーマ性だけでは1回はいくが2度といくことはないからだ。テーマレストランはハードロックカフェのように何度も行くような魅力がなくてはいけない。その魅力を作るのは単なるテーマ性だけではなく、従業員の顧客を楽しませようという姿勢だろう。その従業員の姿勢を作るのが経営陣の腕前だ。単なる給料の額やチップやインセンティブだけではそんなにモラルの高い従業員を短期間に育成することは出来ないからだ。

テーマレストランがはやる理由

ではなぜ米国でテーマレストランがはやるのだろうか。その背景を見てみよう。米国の景気は日本より5年は先行している。バブルがはじけたのも日本より早かった。当然レストランのトレンドも日本より早いわけだ。バブルの時にはヤッピーだのディンクスなどの人種が、着飾りグルメレストランに通った。単価は100ドルも越えるようなフレンチレストランに通ったのだ。それがバブルがはじけ高級なフレンチレストランに行ける金がある人がいなくなってしまった。また、フレンチレストランで高級な食材を食べてもあまり美味しくないことにも気がついた。フレンチレストランに行くには背広を着てネクタイをして、店の前にはBMWやベンツを乗り付けなければいけない。(一時の日本と全く同じだ)つまりかなり無理をして格好をつけて食べなければいけなかったわけで、あまり気取っては食べる物をじっくり味あうわけにもいかないわけだ。

そんな贅沢な生活が経済上の理由で出来なくなっても、破産したわけではないから、やはり美味しいレストランには行きたいわけだ。ところが、美味しい物は食べたいが、肩が凝るようなサービスのレストランではなく、ネクタイをしなくてもくつろいで食べるところを求めるようになってきた。フランス料理はバターを使いしつこいし、もっと普段食べていたような食事を気楽に食べたいと思うようになった。

基本的に米国人はステーキが好きであったが、栄養問題で肉を離れ、チキンや魚を食べるようになった。フランス料理店のように雰囲気はあるがもっとカジュアルで、料理もシンプルな健康的な物を求めるようになってきた。そこにでてきたのが、パスタ、ピザを中心とするカリフォルニアスタイルのイタリアンレストランだ。

酒もそうだ。従来は食事の後、強い食後酒を楽しんだのだが、健康の問題と飲酒運転取り締まりの強化により、食後はコーヒーを飲むようになった。でも従来のような薄いアメリカンコーヒーでは物足りない、酒に変わる変わったコーヒーがないかという事で、イタリアンコーヒーのエスプレッソが人気を呼んでいる。

最近の研究で、魚を大量に食べても心臓病の問題が減少するわけではないし、鳥肉も大量に食べれば牛肉以上のコレストロールの摂取になると言う事がわかってきた。それならたまには美味しいステーキを食べ用じゃないかという機運がでてきた。しかし、ステーキも従来のような高級ステーキやでネクタイをしていくのは嫌だ。気楽な格好で美味しい物を食べたいという要望がでてきた。そこでオーストラリアのクロコダイルダンディーのイメージをテーマにしたステーキレストランのアウトバックが出現し大成功した。同じコンセプトでローンスター、ちょっと高級でシカゴのモートンが支持されている。これらの店舗はテーマレストランのようにしっかりしていながら、サービス、食事の質が素晴らしいのが特徴だ。

米国の状況で忘れてはいけないのは人口移動だ。最近は老齢化が進んでいるのと、産業の盛衰のために、人口が南に移動しつつある。フロリダやメキシコの近くにだ。そして移動した土地の食事を食べる内にそれがすっかり気に入り、その食事を出すレストランが急に人気がでてきた。それが、カリビアン料理とテックスメックス料理だ。テックスメックスはテキサスからメキシコ周辺で食べる、トウモロコシや豆を中心にした料理と、バーベキュウ料理の組み合わせだ。あまり油を使わない、繊維質の多い食事が特徴だ。カリビアン料理はケイジャンや中南米、メキシコ料理の影響を受け、やはり繊維質の多い健康な食事だ。

そして、ステーキ、イタリアン、カリビアン、テックスメックスの各人気料理と、食事を楽しくさせるテーマレストランがドッキングし、有名チェーンが続々と出現している。次回はそれらののび盛りのテーマレストランをじっくり見ていこう。


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