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10店舗を越えるチェーンレストランになるためには
シリーズ第一回
チェーンと支店経営の違い


あなたの多店舗化を阻んでいる物、
現状整理と多店舗化の本質を提示、
多店舗化の考え方

<チェーン経営と支店経営の違い>

<チェーンレストランの成否は3号店までで決まる>

当社はもう5店舗もありチェーン経営なんだ、大衆料理から、居酒屋、喫茶店、高級和食、フランス料理で、5店舗バランス良く経営している多角経営チェーンです。とおっしゃる方が多い。しかし異なった店舗を運営するのはチェーン経営とは言わない、支店経営という。支店経営と、チェーン経営は全く異なる。かりに同じ商品を売っていても、店舗のデザインが異なったり、販売価格が異なったりしていてはチェーン経営ではない。チェーン経営は全く同一のメニューを同一のマネージメントで、日本中、いや世界中に展開できる標準化した物を言う。

では、何故支店経営に陥っていくのであろうか、その課程を見てみよう。勿論支店経営を否定するわけではない、例えばシカゴのレストラン王と言われるレタスエンターテイメントのリチャードメルマンは30店舗以上のレストランを持っているが、すべての店舗のコンセプトが異なる素晴らしい展開だ。しかし、飲食店を個人的な趣味で運営するのでなく、企業として運営するのならチェーン経営に挑戦する必要があるのだ。

どんな支店経営でもチェーン経営でも最初は1店舗から開始する。飲食店を成功させるのはそんなに難しくない。経営者の大抵は調理出身だから、おいしい物を安く提供できれば、飲食店を成功させることは簡単だ。

そして、一号店の成功で次の店舗を考えるだろう。そのとき必要なのは、その店舗を運営する、店長と、開店資金だけだ。一号店の成功で金は十分にあるし、部下の調理人が育っていれば、彼を店長にして二号店を開店するはずだ。

そして、貴方は相変わらず一号店を運営しているはずだ。なりたての飲食店の経営者は大抵忙しいから、二号店は管理の楽な近所に出すことが多いだろう。そこで一号店と競合してはいけないので、ややメニューを変えたり、店舗のデザインを変えたり、最悪の場合は店名まで変えてしまう。

それでも一号店でじっくり教育した従業員は育っているから、二号店でもしっかりとした料理とサービスを実現できれば成功を収めるだろう。

二店も開店すれば地元では名士だ。銀行や、不動産屋から三号店の物件情報が山のように来るはずだ。当然貴方は自分の良く知った、地元に三号店を開くはずだ。同じ地元に三号店を開くのだから、今までの店舗と競合しないように全く異なった店舗を考えるはずだ。今では地元の名士だから、立派な店構えにして、ちょっと高級な料理を出そうとするはずだ。今まで出来なかった自分が満足できる店舗をやりたくなる。経営者の満足する店とは、高級な美味しい料理を豪華な店舗で出すことだ。飲食業の経営者には常に高級なフランス料理、中華料理、和食を経営するという願望がある。

あの米国マクドナルドですらハワイでフランス料理の店を経営したことがある位だ。すかいらーくグループもフランス料理のフロや活け魚料理の夢庵(今でこそ夢庵は低価格和食チェーンであるが、元々は冬眠魚のシステムを活用した高級和食店舗だったのだ)を開店した。ロイヤルもイタリヤ料理のイルフォルノなどの高級店を開発している。飲食経営者の夢は豪華な高級レストランや高級ホテルのオーナーなのだ。

このように貴方は、支店経営の陥穽に陥ってしまう。いやー、当店は高級だから、東京、大阪、福岡に一店づつ分散して出店していますよとおっしゃる方は、もっと危険だ。そんなに距離が離れたら全くのノンコントロールの支店経営だ。

支店経営は人がいればたやすくできる。飲食業の経営者は調理出身が多いから、つい、調理の職人が育成できれば、他店舗か出来ると思いがちだ。しかし、色々な形態の店舗を展開し、調理職人しか育成していないと、売り上げや利益率が低下し、打つ手がなくなるのだ。

チェーン経営を目指すには、一号店の段階から、チェーン展開を考えた店舗のコンセプトを固めて、しっかりとしたオペレーションを構築しなければいけない。今、1万件以上もあるマクドナルドも、KFCも数店舗を開店してから、もう一度コンセプトを練り直した。そして店舗の標準化を成し遂げてから再出発し、あのように急速にチェーン展開することに成功したのだ。

チェーン経営は標準化がなされていなければならない。店名、商品、プライスゾーン、オペレーションまで全て標準化し全ての店舗で全く同じ基準で作業できなければならない。

しかしながら、3店舗くらいで標準化が出来ていないからと言って、あきらめる必要はない。この時点が標準化の絶好のチャンスだからだ。

<時間を作るために腹心の部下を育成する>

支店経営であっても3店舗までは大きな問題はないはずだ。それは地元の立地をしっかり把握した経営者の貴方の優れた出店戦略と他社との競合がないからだ。またこの段階では貴方は店のオペレーションを注意深く見ているはずだからだ。

3店舗開いて経営が旨くいっているからと言って、ここで遊んではいけない。まずSV(スーパーバイザー)を育成し、経営者の貴方が標準化を行う時間をとらなくてはいけない。SVと言っても大企業のような中間管理者ではない、経営者の貴方の分身としてのSVだ。SVの教育は経営者の貴方と同じ考え方になれる、貴方の分身を育成するのだ。いやそんなことを言ってもこんな小さな会社に優秀な人間は集まりませんよと言うかもしれない。それは、会社が小さいからでなく、給料の額と貴方の夢が小さいからだ。もし本当に優秀な人材が必要なら、経営者の貴方より給料を出しても良いのだ。貴方がもし調理場の出身であれば、大手チェーンの経験者を雇い、貴方がチェーン店で勤務経験があれば

調理のベテランを入れ調理技術の開発をするべきだろう。経営者の貴方が持っていない素質や経験を持っている人を採用するのだ。

そして、貴方の分身が店舗を運営できるようになったら、チェーン展開のコンセプトを固め、チェーンオペレーションの標準化をしなければならない。いや、わが社は調理マニュアルを作成してあり、もう標準化を成し遂げているよとおっしゃるかもしれない。しかし、調理の標準化というのは必要な標準化のほんの一部なのだ。

< まず企業コンセプトを決定しなければならない>

今、この不景気の中皆さんはチェーン経営のあり方で混乱しているはずだ。あのバブルのさなか、FFの王者マクドナルドが、中華メニューを出したり、菓子パンを出したり、フライドチキンを出したりと、道頓堀の食堂もびっくりするほどのメニューの多角化を開始した。KFCもメニューを増加し、ハーベスタークラブなどと言うチェーン展開に入ったり、おにぎりを販売しだしたから、もう単品の統一された、チェーン展開はないのだと思いがちだろう。

大手のロイヤル、すかいらーくも他業種の開発に乗り出している。しかし、FFとファミリーレストランでは日本における店舗数の上限が異なるのだ。米国はファミリーレストランの形態ではは1000店舗以上の展開は無理なようだ。日本では500店が上限だろう。 マクドナルドのように1万店舗を越えているFFには限界がないようだ。日本では少なくとも4000店舗は可能だろう。その理由は、標準化と大衆を相手にしているからだ。

FRの店舗数に限界があるのは、オペレーションのシステム化が出来ていないからだ。未だに人的な要素の強い業種であり、全店舗の完璧なコントロールが出来ないからだ。だからといって皆さんが、多角経営に走っていよいのではない、少なくとも500店までは同一の経営形態で全く問題がないのだ。500店舗以上の展開を目指すにはFFのシステムを徹底して勉強しなければいけない。

どんなに経済状態が変わっても、飲食チェーンビジネスの原理原則は変わらない。チェーンビジネスを成功するのはマス、つまり大衆を相手にしなければならない。バリュー(価値)のある料理を提供しなければならない。バリューとは単に低価格の事ではない、客が払った金額に対して、満足のいくQSCを提供できるかどうかなのだ。それには、客がバリューを感じるシステムをしっかり構築する必要がある。よそ見をしてはいけない。信念を持って、じっくりと貴方の店舗を熟成することが必要だ。

まず、どんなコンセプトの店舗かを決定する必要がある。洋食、和食、中華なのか、その業種の将来の延びはどうなのかをを考える。

ファミリーレストランやファーストフードの急成長を支えた、人口構成比の最も高い、団塊の世代はそろそろ50代に突入しようとしている。当然、彼らの食習慣も変わりつつあり、健康管理の必要性から和食回帰が見られるようだ。大衆を相手にするためには和食がのびるかもしれない。では和食のチェーンを選ぶとする。次に和食の中でもどんな分野なのかを決定する。和食と言っても幅が広い、天ぷらなのか、刺身を出すのかの料理によって異なってくる。天ぷらであれば、材料は海外の養殖の海老などを購入すれば比較的安定した食材原価になるだろう。しかし、栄養の立場から言えばややカロリーが高いと言う問題がある。

栄養を考えれば、刺身だろう。しかしながら、品質の安定した刺身を出すには、価格が安定していないし、将来500店舗のチェーン展開を考えた場合、安定した低価格の食材を供給できるかは大きな疑問がある。このように、大衆に受け入れられるだけでなく、原材料などが、将来も安定して供給されるかどうかまで、しっかり考えることがチェーン展開の上で重要になる。売れるだけではいけない、利益を出さなければならないからだ。

つぎに、価格ゾーンの決定が大事だ。価格ゾーンとは、一皿の価格と、客単価の両方だ。チェーン化を目指すには、同一の形態の店舗では最もリーゾナブルナ価格を打ち出すことが必要だろう。高級料理店を成立させるためには、商圏人口は10万人以上必要だが、毎日食べられる価格であれば、3万人の商圏人口でも成り立ち、多店舗展開が可能になるからだ。

<標準化>

標準化とは単に料理の品質だけではない。経営者は調理出身が多いから、味が良ければ繁盛すると思い勝ちである。商売は味だけではない。サービス、雰囲気、清潔さのバランスが重要だ。店舗の管理体制、会社の意志決定などが確立していないと売り上げが上がっても利益が出ないと言うことを忘れてはいけない。

図のマネージメントの3つのトライアングルの標準化が必要になる。

  1. マネージメントサイクルの標準化

    PLAN(計画) DO(実行) SEE(評価) が経営に必要なマネージメントサイクルだ。 店舗を出すまえに、売り上げ予測に基づき総投資額を決定し出店する。もし売り上げが十分でなければその理由を分析検討する。まだ知名度が少ないのであれば、チラシを新聞に織り込むか、配布することを検討する。

    勘に頼る手法でなく常に合理的な手法で店舗の問題点を分析し、実行し、評価する。このプロセスをしっかり確立することが店舗運営上の色々な問題点の解決のために必要だ。

    優秀な経営者であれば、頭の中でこれらの作業を実施しているはずだ。しかし、このプロセスを自分の頭の中だけでやっていては、いつまでも経営者は日常業務から離れることは出来ないし、自分の腹心の部下、つまり経営者の分身を作ることは出来ない。経営者がどのように問題点を発見し、計画を立て、実行し、それをどう評価しているか。思考方法のプロセスを明確に部下に教えられることがあなたの分身を育てる秘訣なのだ。 貴方の優秀な頭脳をオープンにしようではないか。決してワンマン経営者になってはいけない。死ぬまで忙しく働かなくてはいけないし、仕事しか趣味がないというのはあまりにも不幸ではないか。

  2. 飲食の基本であるQSCの標準化、オペレーションの統一

    ここでの間違いやすいのはQのみの標準化であると思いこむことである。バランスのとれたQSCの標準化が大事だ。最近は低価格であればサービスはなくても良いとか、店舗を掃除しなくても良いと思うチェーン店が多いようだ。それではお客様にバリューを提供しているとはいえない、単なる安かろう、まずかろうの低価格店舗だ。

    Q(品質)とは単に味がよいと言うことではない。毎日食べても飽きない味で、何時何処の店舗で食べても安定した料理を出すことだ。どんな季節でも安定した味の再現性が大事だ。

    S(サービス)はフレンドリーなサービスが出せればよい。チェーンのサービスというと画一化した物を考えがちだが、従業員にニコニコ笑顔がでる楽しい職場環作りをすればよいのだ。

    C(清潔さ)は最も簡単だ。徹底した清掃により新開店したときと同じ状態を保てばよいのだ。勿論そのためには掃除のしやすい内装材を使用するとか、洗剤の使用方法の知識を得なければならない。

  3. 管理の標準化

    人、物、金の管理手法の標準化だ。QSCのしっかりしたオペレーションで売り上げが上がっても、企業としての管理が必要だ。人がいなくては店舗は運営できないし、トレーニングをしないとQSCを保つことは出来ない。建物がしっかりして、調理機器の状態が良くなくては料理の品質を保つことも出来ない。

    売り上げだけ上がっても、経費を管理しないと利益が出来ないし、資金繰りが旨く行かないと黒字倒産もあり得る。

    人の標準化を例にすると、採用方法、何が最も効果的な採用方法か、アルバイトニュースか、新聞折り込みか、新人紹介制度か媒体別に一人幾らの経費がかかるのか、採用媒体別の定着率はどうなのか、面接の方法はどうするのか、面接チェックリストをどうするのか、トレーニングはどのようにするのか、誰が実施するのか、どのくらい時間をかけるか。など細かく標準化をしなければならない。標準化をして、文書化した物がマニュアルになるのだ。

    以上の3つのトライアングルが飲食業だけではなく、チェーンビジネスの基本だ。常に物事をシンプルに整理して考えることが重要だ。そして、各問題点を三つのトライアングルのどの項目になるかに分類し、明確な対策を立てる習慣がチェーン展開への第一歩だ。

<経営者の倫理>

少なくとも10店舗のチェーンを築き上げるまで経営者がやってはいけないことがある。飲み、打つ、買うだ。

飲むとは文字どおり、酒を飲むことだ。あまり酒を飲むと体を悪くするし、店に出なくなる。

打つとは、博打、ギャンブル、麻雀、ゴルフだ。海外投資、マンション投資、株、ゴルフ場会員権などの投資もギャンブルだ。当たり前の事だが、バブルの時に多くの経営者が海外投資に走り、その後処理に困っているのが現状だ。それが大手チェーンの足枷となっているのもあるようだ。同じ失敗をしてはいけない。

買う、これは今ではあまり適切な言葉ではないが、異性に走ることである。

以上の古典的な遊びは、金がかかるだけでなく時間も浪費する。もちろん聖人君子じゃないから、全部ダメと言うことではない。しかし、以上の項目の内2つ以上に心当たりがある方は要注意だ、3つともやっていてはいつかは倒産することを保証する。 趣味が全くないのも危険だ。息抜きが出来ないし、部下にも同じ事を期待し、会社で働くのが息苦しくなるからだ。

部下を選ぶ基準も同じだどんなに優秀な部下であっても、飲み打つ買うの3拍子揃っては仕事をする時間がなくなるからだ。特にチェーン展開の初期は経営に時間を専念する必要がある。なるべく時間と金のかからない、健康的な気分転換を考えるべきだろう。

生活も派手にしない、つい、車、家などを豪華にしがちであるが、自分を律することが重要だろう。金は全て経営資源に投入するべきだ。

対外活動にも注意する。商店会、商工会議所、青年会議所、などの対外活動も必要だろうが、活動に時間をとられ、チェーン経営に差し障りのないようにする。もちろん、情報チャンネルとして必要だから、参加しても深入りしてはならない。

投資は必ず店舗の運営に限る。店舗の運営だからと言って、店舗に過剰投資してはいけない、必ず適正な投資をしなければいけない。もちろん、時代の流れに応じて、洗練させていくことは大事だが、金をかけたら洗練した店舗が出来るとは限らない。また店舗の運営に必要だからと言って、本社を新築したり組織を肥大化させてはいけない。10店舗以内であれば本社など不要だ。本社を豪華にし多くの部下を持てば快適になるが、店舗に行く時間は少なくなる。金を生むのは会議ではなく現場の店舗だと言うことを忘れない事だ。この時点での本社は店舗の事務所で十分だし、その方が現場をしっかりと把握できる。

次回から成功するチェーン経営の原理原則各論で具体的に見てみよう。


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