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飲食店経営価格競争時代に打ち勝つ
第十回
広告宣伝その1


マーケティング

ボクシングの選手は試合に備えて体重を数カ月かけてギリギリまで落とす。それは相手と戦う試合より大変なのだ。では減量をしないと強いかというとそうではない。ギリギリまで減量することにより体の動きがシャープになり、更にハングリーな闘争心がわき上がってくるのだ。試合では慎重にガードを固めながらも、チャンスが来たら打ち合いを恐れず、一気に決着をつけなければならない。

企業も同じだ。企業の使命は売り上げを上げ、利益を出すことだ。無駄な贅肉を削り取った後で積極的に売り上げを上げれば、利益を最大限に出すことが可能になる。今までに節約したて経費を積極的に生かす投資を行わないといつまでも売り上げは伸びない。この不景気の中、積極的な活動でぐんぐん売り上げと、店舗数をのばしている会社がある。ピザーラだ。その秘密は積極的なマーケティング活動にあるのだ。

飲食業におけるマーケティングとは自社のマーケット(市場)を明確に定めて、その市場性を測定して、顧客の要求を満足させる商品、サービス、店舗網を開発し、顧客と自社の両方の利益を同時に達成するための手段である。成功した企業の多くはマーケティング思考に基づく会社運営が上手であったためだ。チェーンレストランの中でマーケティングの成功で大きくなった最大の会社は米国マクドナルド社である。

マクドナルド社は全米で売り上げNO.1のチェーンであるが、その最大の理由はQSCでも店舗数でもない。マーケッテイング費用の額がチェーンレストランで最大だからである。チェーンレストランだけでなく、各企業のマーケッティング費を最も使っているのがマクドナルド社である。

ちなみにアドエージ誌の93年5月の発表では92年度のマクドナルド社の広告宣伝費は約413億円であり、2位のシアーズ、3位のフォードより広告宣伝費を使用しているのである。

また、重要なのは単年度の広告宣伝費だけではなく、その累積の広告宣伝費が売り上げに比例してくるのだ。広告宣伝費を額でのみ考えるとインフレーションなどで左右されるので、一般的に累積GRPで見ていく。GRPとはグロスレイティングポイントのことであり、延べ視聴率を意味する。視聴率とはテレビや雑誌、ラジオ等を見たり聞いたりしている率である。この数字が多いほど、広告宣伝効果が高いといえる。この毎年の視聴率の累積が高いほど、そのチェーンの売り上げが高くなるのだ。

表1

表1は93年度の飲食各社の広告宣伝費の一覧である。日本のチェーンレストランの中ではマクドナルド社が年商2125億円でトップの売り上げである。しかし、コンビニエンスストアーのセブンイレブンの年商は1兆2819億円であり、FF部門の売り上げは22%といわれているので、FFの年商は2820億円と推定される。つまりセブンイレブンが日本の最大の飲食チェーンとなる。日本のセブンイレブンはマクドナルド社の広告宣伝費推定3.9%より多い、111億円もの広告宣伝費を使っている。商品数が3000以上と多いため、FFの商品を主としたテレビコマーシャル(以下TVCM)を流している。そのため、マクドナルドを抜いてNO1の売り上げを示すようになったのだ。

GRPは売り上げを左右する大事な数字である。コンビニエンスストアーやスーパーでは、店舗売場の棚に商品を陳列する際に、類似の商品であればGRPの多い商品を一番良い場所に陳列する。客はテレビなどでよく見る馴染みのある商品を購入するからだ。

表1を見てみるとレストランチェーンの広告宣伝費はFFの分野を除いて、まだ十分でないようだ。レストランは販売する商品が多すぎてTVCMで宣伝することが出来なかったからだ。しかし、店舗の効率を上げるために商品を絞り込み、今では、ファーストフードより商品数を絞り込んだファミリーレストランも存在するので、今後TVCMの活用を積極的に考えるべきだろう。

メニューを絞り込む理由は商品のブランドをコカコーラのように浸透させることが出来るからだ。ファーストフードは商品名を商標登録してブランドを浸透させている。商標登録していないと、投資が無駄になってしまうのだ。大手FFは裁判を起こしてまでブランドの確保をしている。大手FFと食品製造会社との商標の裁判は判例100選に載るくらい有名になった。FFでは各商品別に広告宣伝をうち知名度をあげていくのだ。そしてコカコーラのように頭の中の潜在意識にまでに商品名をたたき込むのだ。各商品の累計のGRPは財産なのだ。ここしばらくFFはなにを狂ったか新商品の開発にのめり込んだ。そして毎年新商品をデビューさせ、捨て去ってきた。捨て去った新商品に費やした膨大な広告宣伝費は全くの無駄となってしまった。現在FFが低迷しているのは、景気のせいだけではなく、原則を無視しマーケティング戦略にあるのだ。ここでマーケティング戦略の原則を見つめ直してみよう

まず、マーケティングという言葉の定義との分類とその特性、を見てみよう。

1)マーケティングとは

マーケティングを細分化していくと、アドバタイジング(広告宣伝)プロモーション(販売促進)、パブリックリレーション(PR,広報)、店舗展開と店舗オペレーションの4つに分かれてくる。

  1. 広告宣伝

    広告宣伝とはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、等のマスメディアを企業がお金を払って使用する活動のことである。

    特にTVCMは効果が高く、戦争で言えば空軍である。爆撃機によりCMを絨毯爆撃し、敵の反撃力を押さえる活動だ。これにより、会社の知名度、イメージ、商品名、好意度を確立し、店舗による地上戦を有利に導くのだ。

  2. 販売促進(プロモーション)

    販売促進とは短期的な売り上げ増進や、店舗未利用者の利用を促す活動であり、無料券、試食券、割引券、セットメニュー、プレミアム(景品)等を使用する。 TVCMがいくら良くてもそれだけでお客を引きつけることは難しい。そのために、試食券やプレミアムにより、店舗までお客を引き寄せるのだ。つまり地上戦を戦う際の武器弾薬の役割になる。

  3. 広報(PR、パブリックリレーション)

    広報は、会社のイメージ、商品、店舗のオペレーションなどについて、企業が媒体費用を支払わないで、新聞や、雑誌、テレビニュースに取り上げてもらう活動である。戦争の場合でも戦う大義名分が大事であり、それを当事国だけで無く、周囲の国に知らせることで支持を受けることが出来、戦いを有利に運べるのだ。会社のイメージや商品にあらかじめ好感度を持ってもらってから、大量の広告宣伝費や、販売促進費を使用すると効果的になるのだ。

    表1を見てもらえばわかるが、すかいらーくの広告宣伝費は0.31%と大変低い。しかしガストへの転換は大変うまくいき、売り上げを上げることが出来た。広告宣伝費をあまり使用しないで、何故売り上げが上がったかというと、広報が大変うまかったからである。最初に低価格レストランであるということを積極的に打ち出したことにより、マスコミの注目を浴び、新聞、雑誌、テレビ等で数多く取り上げられた。これを広告宣伝費として換算すると大変な金額になるであろう。また、広告宣伝と異なり、記事やニュースで取り上げられると、信頼性が増すというメリットがある。

    しかし、もう低価格が当たり前になり、ガストの名前がマスコミに登場する事が少なくなった。それに伴い売り上げの低下があるはずである。この時点でTVCMを効果的に使用する必要があるだろう。

  4. 店舗展開と店舗オペレーション

    広告宣伝、販売促進、広報がいくら優れていても、店舗数が少ない、店舗の規模が小さい、店舗のQSCが悪い、等では売り上げは取れない。店舗展開と店舗オペレーションは、局地戦の戦いであり、いくら空軍が制空権を握っていても最終的に地上軍が地区別に制覇していかないと勝利を得ることは出来ない。セブンイレブンがFFで売り上げNO.1になっているのは、TVCMだけではなく、店舗数が5500店と圧倒的に多いことによる。また、店舗展開はドミナントをしっかり築き上げそこに店舗と広告宣伝費を集中するので、さらに売り上げが高くなるのだ。

    先回2回に分けてフランチャイズの重要性を申し上げた。フランチャイズチェーンに加入する最大の理由は、単独店より売り上げが上がるからだ。売り上げを上げるためにはTVによる積極的な広告宣伝が重要だ。チェーン展開にはTVエリア別の攻撃が重要なのだ。よく100店舗も無いうちに全国展開を考えるチェーンがあるが、そのほとんどが失敗している。まずドミナントを築くのが重要であると言われているが、その必要性は、物流や管理だけではなく、広告宣伝において重要だからだ。

    TVCMを使用し急速にチェーン展開をし、成功しているのは、ピザーラだ。ピザーラの店舗と売り上げの伸びは目を見張るものがある。90年に店舗数が30店くらいの時にラジオCMを開始したが、効果が低いので、TVCMに切り替え、店舗数が60店舗を越えたときから、CMの効果が出てきた。その結果94年の4月の日経レストラン誌の「外食チェーンの評価イメージ店調査」で、宅配ピザ部門の店名認知度の項目で他チェーンを引き離してトップである。これはひとえにTVCMのおかげだ。その知名度をバックに93年から始まった年間100店舗の開店が可能になった。現在では広告宣伝費に年間20億円使用しているとのことだ。各店の負担は月間10万円である。(資料は月刊食堂94年11月号より)260店舗に直すと約3億円であり、その多くをチェーン本部で負担しているのではないかと見られる。

    ピザーラの成功は単にTVCMを投入しただけではなく、それに見合った店舗を集中出店していることである。この店舗展開を直営店舗のみで行うことは投資を考えれば資金確保上難しいはずである。特に年間100店舗を同時に展開することは無理だ。この年間100店舗開店を可能にしたのは、フランチャイズシステムなのだ。フランチャイズ店舗はフランチャイジーの負担で出店する訳であり、本部の金銭的な負担が無いばかりか、フランチャイズ加盟金と保証金を受け取ることが出来るのだ。ピザーラの場合、加盟金が100万円で保証金が200万円であるから、100店開店すれば。3億円の現金が入るのだ。それに加え、ロイヤリティーが月に15万円、広告宣伝費が、10万円であるから、年間さらに3億円、つまり合計6億円の金額を集められるわけだ。(資料は社団法人日本フランチャイズチェーン協会発行の92年度フランチャイズガイドブックによる)フランチャイズに加入する最大のメリットは、個人経営に比べ売り上げが飛躍的にのびることであるが、チェーン本部がばく大なTVCMを打つことで、それを保証することになる。フランチャイズチェーンの展開にとって、TVCMの使用方法をマスターすることは必要条件なのだ。

2)広告予算と効果測定

広告を実施する前に現在の自社チェーン店舗の位置づけを明確にしなければならない。

自社の位置づけは外部の調査会社により客観的に調査してもらう。300サンプルに聞き取り調査を行う。この調査では、会社のイメージ、想起率(会社の名前、商品名などを思い出すか)、利用頻度、利用形態(何時、誰と、どの理由で)、競合チェーンの利用状況、QSCの評価(自社と他社)、競合のGRP量、強い点、弱点、店舗展開上の地域別強弱、地域別の広告の強弱等、細かく調査する。この調査と、各店の売り上げデータ、アンケート調査を元に、今後どの地区で、どのような広告宣伝が必要かがわかってくるのだ。そしてどのような広告宣伝媒体(テレビ、ラジオ、新聞、折り込みチラシ、雑誌、屋外広告、ダイレクトメール)を使用するか決定していくのだ

調査により、自社の強弱が出るからそれに基づき今後訴求する内容を決めていく。会社のイメージ、商品のイメージ、QSCのイメージをどのように訴えるか、明確にするのだ。

3)広告宣伝予算とTVCMに必要な費用

  1. 予算の作成

    どのくらいの広告宣伝費を使うかを明確にする必要がある。広告宣伝予算を立てる場合には、商品別のGRPを設定し、それから算出する。競合他社の状況、自社の目的から必要な経費を計算する。新商品、営業時間延長による、朝食の開始、ドライブスルーの展開などタスクにより必要な広告宣伝経費を積み立てて考えるタスク別予算作成方法がある。

    もう一つの方法は、広告宣伝費は安定して一定に使用するのが効果を持続できるので、売り上げに一定の%をかけた額を毎年使用する方法がある。

  2. 広告のターゲットと目標を決める

    自社店舗の対象客層を明確にする。年齢、男女別、所得別等だ。これによりターゲット別の広告戦略を立てることが可能になる。

    訴える内容は、会社のイメージ、商品のイメージ、店舗QSCである。プロモーションであれば、客単価アップ、新商品による売り上げアップ、新規顧客の獲得、来店頻度アップなど訴求する内容を明確にする。

  3. タイプ別広告(メディアミックス)

    広告にターゲットと目標が決まれば、どの広告宣伝媒体を使用するか決めていく。TV、ラジオ、新聞、チラシ、雑誌等の中でどの広告媒体が効果的か決めていく。業種とターゲットにより使用する広告宣伝媒体は異なるが、飲食チェーンの場合はTVCMが最も有効だ。

    しかしTVCMだけでよいかというとそうではない。最近ではTVを見ない層が存在する。そのためにメディアミックスといって様々な広告宣伝媒体を使用する必要がある。ラジオを使用したり、新聞、チラシも必要になる場合もある。調査を綿密に行い効果的な広告を選択する必要があるのだ。

    以上のように今回は理論的なマーケティングを述べてきたが、最終回は、具体的なTVの使い方と実例を見てみよう。

    以下次号

参考文献一欄表
本名著者名 出版社名
広告白書(平成6年版).日経広告研究所
有力企業の広告宣伝費(平成6年版).日経広告研究所
マーケテイング原理 フィリップ・コトラーダイヤモンド社
広告に携わる人の総合講座 . 日経広告研究所
広告ビジネスハンドブック望月 明宣伝会議新社
マーケテイング・サクセスR・Fハートレイダイヤモンド社
広告コニュニケーション新論根本 昭二郎日経広告研究所
放送ハンドブック日本民間放送連盟東洋経済
現代テレビ放送学渡辺 みどり早大出版部
戦略的メデイアプランニングケントM・ランカスター、ヘレンEカッツ日経広告研究所
放送コニュニケーション90大月書店
テレビ放送を考える田宮武、津金沢聰広ミネルウァ書房
放送メデイア入門稲田植輝 社会評論社
ビジネス調査のやり方原隆志中経出版
クーポン広告小林太三郎、大木眞ひろ,
清積哲也
電通
マーケテイングリサーチ最前線朝野ひろ彦同友館
新しい広告効果測定小林貞夫日経広告研究所
ランチャイズ・ガイドブック1992.日本フランチャイズ協会
食品商業1994 7月号.商業界
月刊食堂1994 11月号.柴田書店


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