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飲食店経営価格競争時代に打ち勝つ
第十回
正しいFCシステムとは


フランチャイズシステムの導入で拡大展開を図れ

<フランチャイズシステムとは何か>

先月号でファミリーレストランの米国での限界店舗数は1000店、日本では500店であると申し上げた。これはFRという業態そのものがシステム化をしていないからだ。ファーストフードは極限までのシステム化を達成しており、店舗のオペレーションにおいて人的に売り上げを左右する要素が少ない。しかし、FRはFFよりお客様と接触する機会が多く、お客様も人的なふれ合いサービスを期待するところが大である。そのため店長や社員が変わるとそのふれ合いがなくなり、お客様の失望度は高くなる。

大手FRレストランチェーンは全国展開をしながら、地方でかなり苦戦し、地元のFRレストランに勝つことが出来ない。たとえば九州のジョイフルや北海道のビックリドンキーのようなチェーンをつぶすことは出来ないのが現状だ。

直営が中心の大手チェーンは、本社で社員を採用し、本人の出身地と関係のない土地の店舗に派遣する。本人のマンネリを防ぐためと、人材育成のために定期的に(2年毎位に)店舗を移動させる。1店舗には2名から3名の社員がいるから、1年に1回は社員が移動していることになる。これでは地元にとけ込んだ営業を望めない。また、短期の勤務であるから、短期間で営業実績が上がるようしがちで、店舗の為になる長期的な経営戦略をたてることは難しい。これが大チェーンが全国制覇できない最大の理由だ。

地方における地元企業のメリットは以下のようである。

  1. 地元に融け込んでいるので、地元企業や住民が優先して来店してくれるので、売上が安定している。出店をするときに地元企業は優先されるし、情報を早く入手できる。
  2. メニューなどで地元の特徴や好みに合わせたきめの細かいメニューや値段設定をすることが出来る。
  3. 地元の新聞ラジオなどのパブリシティに取り上げられることが多い。地元の企業とタイアップの広告や宣伝が可能だ。
  4. 地元から外への人事移動がないので、地元の優秀な人材を低コストで調達できる。給料は大手チェーン本部の存在する物価の高い地区の給与ベースでなく地元の給与ベースですむ。採用も地元に密着すれば容易であり、退職率も少ない。
  5. 地方独特の気候を理解しているので、最適な建物、設備の設計が出来るのでランニングコストを下げることが可能だ。

以上が地元企業の最大のメリットである。しかし、地元企業には欠点もある。

  1. 東京などの流行がわからず、メニュー開発などで遅れる。
  2. セミナーなどの教育機関が地方にないので最新の経営情報の入手がしにくい。
  3. 従業員の移動がないので、なれ合いになりやすく、マンネリが生じる。

以上の地元企業のメリットだけを生かして、デメリットをなくすのが、フランチャイズシステムだ。

地元出身の、やる気のある経営者にチェーン店のフランチャイジーとして加盟させることにより、大手チェーンの欠点が一気に改善できる。

フランチャイザーとして店舗を展開していく上で重要なのはどの様なフランチャイジーを選定するかであろう。

以下がフランチャイジーの選定の種類だ。

  1. エリア毎にテリトリーを決め、エリアフランチャイズ権を与える。エリア内の店舗はフランチャイジーが自ら運営する。
  2. エリアのサブフランチャイズ権を与える。加盟者はサブフランチャイザーとして、地区内でフランチャイジーを募集し、フランチャイザーとして機能する。
  3. 個人フランチャイジーよりも地方の優良企業を選んでフランチャイジーにする。しかしテリトリーは決めない。
  4. 1店舗毎に個人フランチャイジーを選定していく。

1.と2.のエリア毎にテリトリーを決めてフランチャイズ権を与えて、直営もしくはサブフランチャイズ展開をする方式の場合、多くは個人ではなく地方の優良企業を撰ぶことが多い。地方の優良企業を選定することにより、地元に密着しながら短時間でチェーン展開をすることが可能だ。また、企業組織であるので、チェーン運営の方法を組織的に学ぶことが可能で効率が高い。

この方式は米国のフランチャイズチェーンの展開で一般的に用いられており、短時間で大量出店が可能で、効率が高い。最近ではウエンディーズやドミノピザ、サブウエイ等がこの手法で短期間で大チェーンに成長している。

この手法で数年で大チェーンになろうとしているのが、ボストンチキンだ。数年前にボストンの小さなローティサリーチキン(回転式のオーブンでじっくり丸毎の鳥を焼きあげる方式)チェーンであったボストンチキンを、米国最大のビデオレンタルチェーンにした、ブロックバスターズの経営陣が買い取った。シカゴの郊外のネイパービルに本社を移し、現在500店までに急成長している。94年の最初に株を店頭公開し、1株43ドルの値が付き、世界を騒がせた。当時のマクドナルド社の株が46ドルくらいなのにだ。

その人気の秘密は、サブフランチャイズシステムによる急成長だ。ボストンチキンによると2年以内に4000店舗のチェーンになることが可能だそうだ。全米各地域に優秀な地元企業を40社撰び、各企業に年間50店舗づつ開店させれば、達成できるのだといっている。現実にカリフォルニアでは、800店舗のハンバーガーチェーンを展開しているカースルジュニアーをサブフランチャイジーに選んでいる。800店の内100店舗をボストンチキンに展開するか、既存のハンバーガー店舗の横に開店することは可能なのだ。

経営陣はブロックバスターズを短期間で全米一のビデオレンタルチェーンにしたのであり、経営能力も十分だ。さらに、経営陣にKFCの副社長や、マクドナルドのスタッフ等、業界のベテランをスカウトしており、その行方は注目されている。

このエリアを与える方式のフランチャイズで数多くのチェーンが成功しているが、当然のことながら失敗も多いのだ。

最近の最大の失敗はエルポヨロコ社だ。米国コーヒーショップのデニーズ社の経営する網焼きチキンのフランチャイズチェーンで、日本では大手商社がチェーン展開のフランチャイザーとして全国展開を計画した。各地域の優良企業を選定し、短期の日本全国同時展開をめざしたのである。

全国で数十店舗を展開したが残念ながら全て失敗し、残るは1店舗になってしまった。失敗の最大の原因は直営店舗によるノウハウの蓄積が少なく、その結果熟練のスーパーバイザー不在のまま店舗展開をしたことだ。

また、フランチャイズチェーンの最大のメリットはブランドが確立していることであるが、テレビコマーシャルのサポートもなしに全国展開したのでは失敗するのも同然である。特に地方都市の展開は惨憺たる物であった。

もう一つの失敗の理由は、地方の飲食業の経験が余りない優良企業をフランチャイジー選んだことであろう。確かに地方の優良企業は地区にとけ込んでおり、物件情報と人材が豊富である。しかし、企業が異業種に乗りだした最大の理由は、団塊の世代の管理職の人減らしであった。40〜50の人たちが店舗で若い人に混じって苦労して働く姿はまるで拷問の様であった。

テリトリー制で急成長を遂げることは可能だが、巨大化したフランチャイジーのコントロールで苦しみ、QSCの維持が難しくなっている例も多い。この方式をとる場合にはサブフランチャイジーのコントロールに十分注意しなければならない。寿司や弁当チェーンでサブフランチャイジーから脱退し自分で同様のチェーンを展開することも多いのだ。裁判になる例も多いので、契約書を慎重に作成する必要がある。

最もザーとジーの訴訟が多いのはこのカテゴリーである。裁判の理由は、最初に売上を保証されたがそれが達成できない、スーパーバイザーの指導がない、費用を払っているのに適切な広告宣伝をしていない、指定食材のコストが高すぎる、商品開発をしてくれない等である。フランチャイザーが悪い場合もおおいが、金儲けばかり考えてチェーンに加入する企業とのトラブルが多いようで、選定するときに充分注意する必要があるだろう。

3.のテリトリーを与えないで地方の優良企業をフランチャイジーに選定する方式は、ミスタードーナツ、KFCが採用し大成功し、それぞれ600と1100の大チェーンに育っている。その成功の最大の理由は地方の企業がまだ元気で、若い人材がいたということである。しかしチェーン展開を開始してから20年以上経過し店長と同時に会社も老齢化し一時の店舗展開の勢いを失ってきているようだ。

4.の1店舗毎に個人フランチャイジーを選定していく方式は、時間がかかるので余り一般的でないが、時間がかかる分堅実であり、1、2、3のような企業の老齢化という問題とは無縁であり、いつも若々しいのでチェーン展開のペースが落ちないのだ。この方式で大成功しているのが、モスバーガーだ。

モスバーガーチェーンに加盟するのは、面接試験を通らなければならない。単に人を使って金儲けをする人は加盟することは出来ないのだ。いったんフランチャイジーになっても複数の店舗をもらうのは容易ではない。モスバーガーのシステムを維持するのは本社のスーパーバイザーではない。フランチャイジーの共栄会の組織が自主的にQSCを厳しく管理している。自分の店舗と共栄会の両方の運営で実績を上げ、はじめて次の店舗をもらえるのだ。数店の店舗を持っていても、まだ従業員の先頭にたって日常の運営に当たるフランチャイジーが多いのが、ディスカウントをしないでも売上を維持していく最大の理由だろう。

このモスバーガーの個人フランチャイジーを選定する方式は、日本的に見えるが実は米国マクドナルド社のとっている基本的な戦略なのだ。マクドナルド社が米国で最大のチェーン数を築き上げたのはこの個人フランチャイズシステムによるのだ。フランチャイジーが常に先頭にたって日常の業務に付いていることが、QSCを最大限に保つ秘訣だ。

<成功するフランチャイズチェーンの条件>

成功するフランチャイズチェーンは以下の項目を満たしていなければならない。

  1. 加入することにより売上を大幅に上げることが出来る。
  2. 明確な商標(ブランド)を持っており、それが十分知れ渡っている。製造特許などのノウハウ、特殊な調理方法、調理設備等があり、他に簡単に真似をされない。
  3. 継続的な広告宣伝で売上を上げている。TVコマーシャルなどの広告宣伝のノウハウを確立して、マーケットシェアーを常に高く保っている。
  4. 販売促進の実例を数多く持っており、各地域の競合に合わせて具体的に実施できる。
  5. 経験のあるSVが育っており、店舗経営指導を具体的にできる。十分な数の直営店を保有し、常に、新しい商品、経営方法、広告宣伝方法等を開発し、それを具体的に指導できる人材を育成している。
  6. 商品開発が積極的で常にマーケットリーダーである。品質管理が完ぺきで全国どこでも同じ味を保証する。
  7. 購入した店舗の営業権利を売買できる市場が確立している。
  8. 省エネルギー、ローコストの店舗設計のノウハウがあり、常に最適のコストで提供できる。
  9. 安定した商品をもっとも安く供給できる。
  10. FC契約でフランチャイジーの権利と、義務が明確になっている。

上記でもっとも注意しなければならないのは、商品の供給だ。あるチェーンではロイヤリティーは1%と最も低いが、本社のマージンを乗せた食材を指定業者から購入しなければならないようだ。他のチェーンとの原価の相違から推定するに、原価に10%程のマージンが乗っているのではないかと思われる場合もある。一般の市場価格より高い価格で購入させることは今後公正取引委員会の規制に引っかかることも予想され注意が必要だ。

ここで注意しなければならないのは、自社のセントラルキッチンの位置づけだ。セントラルキッチンは特徴のある料理を作れる反面コストが高くなりがちであり、フランチャイズ展開するときの足かせになり易いので注意されたい。

次に注意するのは、広告宣伝だ。フランチャイズチェーンに加入して売上が上がるためには、名前の通ったブランドでなければならない。地方まで短時間でブランドを浸透させるには優れた、広告宣伝が必要だ。飲食チェーンはまだテレビを使用した広告宣伝の経験が少ないので、充分勉強が必要だ。

3番目に重要なのは、フランチャイズチェーンによりザーとジーの両者が公平に儲けなければいけないのだ。ザーにとって大事なのは、加盟金、ロイヤリティーなどの収入だ。ロイヤリティーは最も高いチェーンでも8%、一般的には3%位だ。しかし、きちんとした機能を持つチェーン本部のコストは売上に対して5%は必要だ。そうするとフランチャイズチェーンにより最大でも3%しか儲からないのでは、チェーン展開をするメリットがない。しかしロイヤリティーは8%が限界だろう。そして食材供給などで儲けを出せないとしたらどうすれば良いのだろう。

フランチャイズチェーンに加盟し、店舗の売上が上がれば不動産の価値も上がる。このメリットを利用しようではないか、つまり、一般的なフランチャイズチェーンではフランチャイジーが不動産を持っているわけだが、チェーン本部で不動産を持ち、それをフランチャイジーに貸し、不動産の運用利益もねん出するのだ。

フランチャイジーにとってのメリットは、営業利益だけではない。フランチャイズ加盟金は営業権利を購入したことを意味し、売上が上がった店舗の営業権利はその売上に比例して、高くなるのだ。フランチャイザーがその営業権を流通させることにより、フランチャイジーのメリットもでて、より一生懸命売上増加に努力をしてくれるのだ。

<最後に>

先月では社員フランチャイズのメリットを申し上げたが、フランチャイズシステムは決して不採算店の整理の為ではない。チェーンを活性化させる手段である。そしてザーとジーの双方が儲けるシステムを作ることが、成功の秘訣だということを充分理解する必要があるだろう。


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