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飲食店経営価格競争時代に打ち勝つ
第九回
社員フランチャイズ制度


社員フランチャイズ制度の導入による効率化

<不採算店舗は思い切って閉店せよ>

バルブの時に無理をして出店した、損益分岐点の高い店舗の後始末が必要だ。100店舗以上のチェーンでは、その内の10%以上が赤字体質の店舗ではないかと思われる。僅か10%の店舗が全社利益を50%位落とすこともあるのだ。ここで思い切って閉店するべきであろう。

もちろん売上が下がり利益が出ないのは、店舗のオペレーションが悪かったり広告宣伝が不十分な場合が考えられる。プロジェクトチームを作り、一定の予算と期間を設定して、オペレーションの見直しと、売上促進をはかるべきである。そして、やるだけやっても売上が予測通りに上がらない場合に、初めて閉店を考えるのだ。

将来5年間の現実可能な売上予測と、損益を計算し、5年以内に累積の損益が黒字になるかどうかを検討する。ここでいう店舗の損益とは店舗のコストに、本社の管理コストを売上比率で店舗に振り分けて計上しなければならない。一般的に3‾5%ほどになるであろう。

5年間の累積で利益がでれば存続かと言うとそうではない。利益率が3%以下であれば効率から考えて閉店するべきだろう。しかし、そんなことをやっていると、数多く閉店せざるを得なくなる。そこで、3%以下の利益の店舗はフランチャイズ化する事を検討するべきであろう。

<ガストとビルディ>

すかいらーくがサンドイッチ、フライドチキン、宅配ピザ、持ち帰り弁当など数多くのFFの実験店を開き、やっと成功したのがガストである。

そのガストのフランチャイズ用店舗がビルディである。個人で独立して投資できる金額は退職金を投資に当てるとしても、多くても1000万円が手持ちの現金であろ。そうすると借り入れを当てても最大投資金額は3000万円である。そこで、投資額の低いビルディーを考えだしたのだ。このビルディは社員独立用フランチャイズ制度の主力であるのだろう。すかいらーくの安売り路線ばかりに目を奪われていないで、このフランチャイズシステムに注目するべきである。

<ファミリーレストランの規模の限界>

図1はNation's Restaurant News の発表した93年度の米国の売上順トップ10の飲食チェーンである。ここで注目するのはトップ10の内、8社がファーストフードであること。次に、トップ8社のフランチャイズ店の比率が70%であるということだ。

コーヒーショップでは、最大手はデニーズで売上順位は16位。ショニーズは17位、ビッグボーイは26位だ。このコーヒーショップ3社の直営店舗数を見てみると、デニーズが1005、ショニーズが374、ビッグボーイが125にすぎない。以前すかいらーくが提携しようとしたサンボスがあっという間に倒産した時は1100店舗であった。デニーズも1000店舗を越えようとしている。しかし、店舗のオペレーションが乱れて、来店客への人種差別の裁判を起こされて四苦八苦している。コーヒーショップ、ファミリーレストランの直営店舗展開の可能な店舗数は米国でも1000店舗ではないだろうか。

日本ではすかいらーくの半数以上がガストに転換した今では、デニーズが470店舗を越える最大のファミリーレストランチェーンである。しかしながら最近のオペレーションの乱れはひどい。筆者は近所のデニーズに昼食によく行く。先日昼のランチの鯖の味噌煮とマーボー豆腐を、4人でオーダーした。出てきた鯖の味噌煮が冷たかった。ぬるいというレベルでなく、箸が刺さらないくらい冷たいのだ。ここまではオペレーションミスで許される。しかし、それを再加熱して貰っても、まだ、冷たいのだ。4人とも3回温め直すことになった。それでも熱いとはとても言えなかった。店長に文句をいっても「あーそうですか」で終わりであった。

すかいらーくのガストへの転換、サンボスの倒産、デニーズの現状などを見てみると、日本でのファミリーレストラン、コーヒーショップの限界は500店舗くらいではないだろうかと思われてならない。

この500店の壁を突き破るには米国と同様にフランチャイズシステムを導入するしかないだろう。フランチャイズチェーンのオーナーであれば、デニーズの様なお客のクレームに対してすぐに対処して、丁寧にお侘びをして無料にするか、次回の来店に備えて無料招待券を配るなどするであろう。また、一回クレームがあれば次にも同じクレームを出さないように注意するだろう。この真剣さがフランチャイズチェーンの最大のメリットなのだ。

<フランチャイズ制度のメリットと問題点>

大きな企業になると、組織が硬直化し、サラリーマン根性が出て店舗の売上をあげる努力が希薄になり、店舗の活気も無くなり売上が下がり始める。大企業になれば労務管理も重要であり、残業を無くし休日を消化させなければならず、数名の社員を常駐させる必要が出てくる。そのため直営店舗の人件比率は硬直し、ジリジリとコストアップしている。

フランチャイズ化の最大のメリットはサービスの向上による売上の増大だ。自分の懐に影響するから店舗に出る時間は長い。直営の店長の様に人事異動もないから、地元のお客様を把握し、地元住民のバックアップを得て売上が上がる。新規出店に際しても、有利な地元の情報が早く入手することができるし、本社では出店が不可能なスーパーなどの大型小売り店に食い込むことも可能なのだ。

また、常に売上の向上を考えて色々なサービスのアイディアを考えているので、直営の社員にも刺激になり、チェーン全体の活性化につながる。

とはいっても、飲食店の営業経験のないフランチャイジーに店舗を任せるのはかなり問題がある。フランチャイジーのオーナーになると言うのは直営店の店長の経験と、経営者としての管理能力が必要なのだ。つまり少なくともスーパーバイザー以上の能力と経験が必要なのだ。もし他の飲食店で同様の職種の経験があれば少ないトレーニング期間でよいが、全く飲食の経験がなければ2年くらいの期間が必要になる。また、経営能力だけでなく資金力も必要になるのだ。日本では米国と異なり、個人で資金力とやる気を備えているフランチャイジーを探すのはなかなか難しいようだ。そのため企業フランチャイジーが多くなっている。しかし企業フランチャイジーも社員の老齢化という問題が出るので、個人の優良なフランチャイジーの開発が必要になっているのだ。

<社員フランチャイズ>

飲食チェーンの規模がまだ小さいうちに入った社員というのは、本当に飲食業が好きで入った人たちであり、自分で経営したいという夢を持っているのである。その夢と、過去の経験を生かさない手はないのである。経験の長い優秀な社員を独立させ、フランチャイジーとして店舗を任せれば、トレーニングは不要であり、翌日から赤字の店舗を黒字に変換させる離れ技も可能なのである。筆者の経験では社員フランチャイズ店舗にすることにより、売上が最低5%、最大30%も増大する。おもしろいことに、本人がスーパーザーとして担当した店舗を与えても売上が増進するのだ。いかに自分の懐に影響することがインセンティブになり、真剣に働くかわかるのだ。

社員フランチャイズ制度を導入するときには、本社とフランチャイジー両者のメリットがあるようにしなければならない。単に本社のメリットがあるだけでは社員フランチャイジーのなり手がいなく成功しないのである。

最近本社人件費の削減のためと称して社員フランチャイズ制度を設けるチェーンが増加している。そんな姿勢では社員フランチャイズ制度は成功しないのだ。本部の社員としては限界があるのでフランチャイジーにすれば良いだろうという安易な考えでは社員も安心してフランチャイジーになれないのだ。単に売上の低い不採算店舗を与えるのでは、誰もやる気はでないのだ。能力のある社員フランチャイジーと言えども、本人のやる気と家族のサポートがなければ成功しない。家族にとっても本人にとっても、長年働いた職場を止め、店長として現場労働に戻るのは大きな決断が必要なのだ。

社員フランチャイズ制度を導入するときには、最初は最も優秀な社員を選び、絶対に成功させないと、誰も後に続かないのだ。最初は本人の年収の1.5倍位の年収を保証できる様にするべきだ。まず成功の実績を出すために全社的にバックアップするという会社の姿勢が大事だろう。

長年勤務の優秀な社員にインセンティブとして店舗を与えるときには、より利益の出る店を与える配慮が必要なのである。そうすることにより、ノウハウの流出は防げるし、社員のモラルも高まるのだ。

<社員フランチャイズ制度のスタート方法>

社員フランチャイズ制の最大の問題点は、土地建物のオーナーとの契約問題である。普通の契約では直営での経営を前提に作成しているので、フランチャイジーに運営をまかすことは出来ない。そこで、本社の店舗の運営を委託するという、契約社員としての待遇で店舗の運営をまかすことになる。この方法で多くのチェーンが失敗している。

フランチャイジーは自分で働いただけ稼げるから、遅くまで働いて頑張る。会社経営で、経費を計上でき資産を蓄えることが出来るというメリットがある。フランチャイジーにとって最大の資産とは経営する店舗の営業権である。会社を退職後20年ほど経営し、65才くらいで店舗を売り払いその売却利益を退職金代わりにするのだ。これが米国でフランチャイズチェーンが大きく延びた最大の理由だ。店舗を一生懸命運営し、売上を上げ、必要なら店舗の改装、機械の入れ替え、売り上を上げるため、セースルプロモーション、人材教育に投資をするのは売上を上げるためである。売上を上げることにより営業利益も上がるが、同時に売却時の金額も上がるのであれば、よりやる気がでるのだ。

社員フランチャイズの導入の際、決してチェーン側の利益だけを考えてはならない。「おいお前、明日から社員フランチャイズだ、失敗してもお前の責任だから頑張れ。売上は本社で管理し、一定の額をやる。」といわれてもやる気は出ないのだ

もちろん、最初から一般フランチャイズとして、契約金の支払いや、店舗の買い取りをする事は難しい。

そこで、最初の数年間、社員フランチャイジーが営業権を購入できる資金が溜まるまで、仮契約で売上の一定比率を店舗運営経費として支払わせ営業させる。店舗運営経費は、店舗不動産の保証金、設備投資、金利負担を考えて設定する。支払う金額は、食材購入費、人件費、雑費、ロイヤリティー、広告宣伝費、店舗運営経費になるわけだ。

仮契約の期間は試用期間的な意味もある。この場合でも社員は退職させ、退職金を支払う。独立したのだと言うことを認識させ会社に対する甘えを断ち切るためだ。退職金は加盟金と将来の営業権購入資金に充当する。社員フランチャイジーであっても金銭的な条件は一般のフランチャイジーと同じでなければならない。ただし、インセンティブとして最初の1店目の加盟金を大幅に減額することでやる気を出させることは必要だろう。ただし、2号店目からは一般フランチャイジーと同じ条件とする。早く多店舗化させることにより、フランチャイジーとチェーンの両方のメリットがでるのだ。

社員は退職時に独立法人を設立し、収益を個人所得でなく法人所得として、経費計上することにより資金を合理的に蓄積できる。退職金を元に法人を設立して、売上の管理などで銀行とつきあうことにより、信用もできる。銀行に貯金のする事により数年後には店舗営業権の購入資金を借り入れることも可能になってくる。もし必要なら銀行借り入れや、リース会社の斡旋をすることも独立をスムーズに成功させるために必要だ。

従業員は全て社員フランチャイジーが責任をもって集める。従業員を自分で集めることにより、責任感がでて、真剣になるのだ。

<最後に>

社員フランチャイズ独立制は決して不採算店舗の整理や、人減らしのためではない。チェーン全体の活性化のためなのだ。

結果的に不採算店舗が無くなり、チェーン全体の活性化を達成できるのだ。社員フランチャイズ制を定着するまでに数年の長いサポートが必要であり、すぐに損益につながると思ってはならない。


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