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飲食店経営価格競争時代に打ち勝つ
第七回
人材教育制度


従業員のレベルアップが利益確保の絶対条件不況の今、人材教育を見直そう

  1. <100店舗以上のチェーンでは>

    現在のあなたの会社の従業員の構成を見てみよう。たぶん70%以上の社員は不況の経験がなく、バブルのの時に採用され、ロクスッポなトレーニングを受けていないのだろう。反対に、当社の社員の70%以上はバブル前の社員ですととおっしゃる場合は、いかに規模が拡大していないかという駄目会社の典型でもある。

    ここ数回にわたって経費の削減の話をしてきた。経営者や経営幹部の方は、そんなことは当たり前で十分わかっているよ、わが社の従業員はこんなことは知っているよとおっしゃると思う。しかし、バブル時期に採用した社員にはそんな経費削減など、馬の耳に念仏なのである。そんな経費削減や、きびしい話を聞いたことがないから全く理解できないのだ。

    日本に本格的な外食産業が出てからすでに25年たつ。現在の大手外食産業の社員は二重構造になっているのである。本当に飲食店が好きでシステムを一から苦労して作り上げてきた創業の社員と、会社が大きくなってから入ってきた新卒の大卒社員や、会社の組織拡大にともない他の産業から入ってきた中途入社社員である。彼らは、外食産業は急成長して安定性のある産業であるという親方日の丸意識しかないのだ。

    システムを一から築き上げてきた経営陣は最初の経営の苦労を理解しており、システムを構築する段階でなぜマニュアルはできたのか、どうしてそうしなければならないかを体で経験しているのである。さらに、その周囲には創業経営者の考え方を理解する生え抜きの社員が取り囲んで、創業者の経営理念を部下に伝えていたのである。しかしながら、創業20年以上もたち、年齢の問題や、会社の規模にともなる能力の問題から、生え抜きの従業員はいつの間にかいなくなってきている。創業の経営者は従業員が経営者の考え方を理解しているのだと錯覚をしている。

    創業経営者が会社をスターとした時には、大きな目標、ビジョンを持っていたはずだ。美味しいものをリーズナブルな値段で、年中無休、早朝から深夜までの営業、など、社会に貢献するのだという、心意気に燃えていたはずだ。

    それが、バブルを境に消えてしまったのだ。特に株式の上場をした会社は創業者が莫大な上場利益をエンジョイし、土地、株式、海外投資に目が眩み本業を忘れ去ってしまったのだ。そのバブルが弾けた今、まず経営陣のリエンジニエアリングを行うべきなのに、古参の従業員の整理から始めるのでは、さあー、リエンジニアリングだ、経費管理だといっても従業員は白けきってしまう。

    <人材教育では、まず会社のビジョン、目標を明確にすることが必要だ>

    リエンジニアリングでもっとも大事なのは、経費削減ではない。従業員に会社の方向性、つまりビジョン、目標を明確に示し、全員の力の集中する方向を明確にすることなのだ。そして、会社の方向をもう一度再確認し、それに必要な知識、業務を再教育する必要があるのだ。十分な教育をしていない従業員に教育をする良いチャンスなのだ。リエンジニアリングとは単なる経費削減ではなく、従来よりも会社運営の自由度をますことである。

    会社が小さいときは経営者の運動部のリーダー的な活力に引っ張られるのだ。しかし会社が大きくなると、社員に勝手にやられては困るから、基準や決まりをつくり秩序を求めるようになる。そうすると自由な運動部的な活力を失い、社員のエネルギーレベルが下がる。現在の大企業の問題点はルールや仕組みがきっちりしすぎて社員のエネルギーややる気をフルに発揮することができないことである。

    会社のビジョン、目標とは、従業員個人の将来がどうなるかという明確な目標、キャリアプランである。次に、お客様に対して、社会に対して何を貢献できるかの大儀名分を明確にすることだ。

    まず個人の目標を明確にしないと現代の従業員はついてこないのだ。キャリアプランンとは会社の規模と従業員の仕事と身分である。20年後会社の規模がどのくらいか、そのとき自分の地位、給料はどうなっているかがわかるようにしなければならない。中には自分で独立して店舗を持ちたい社員もいるだろう。その場合会社としての援助、条件を明確にしてやることが従業員のやる気を保てる秘訣である。

    もう一つの大事な目標は株式上場である。サラリーマンにとって財産を築く唯一の手段が、自社の株式上場による資産確立である。従業員に計画的に株を購入させ、経営者的とまったく同じ目標を持たせることは可能なのだ。株式上場の為には会社の売上利益が安定して延びていることが重要であり、さらに会社がワンマン経営でなく、システム的に運営されていることが条件である。そうなると従業員のやる気はさらに高まるのだ。

    <教育には環境が大事であり、本人に感謝をされなければならない>

    100店以上のチェーンでは教育システムが確立しているのは当たり前だ。しかし人材教育で最も重要なのは本人がトレーニングの必要性を感じているどうかである。もし本人にやる気がなければ、幾ら教育に力をいれてもまったく無駄である。大事なのは本人がやる気を出さざるを得ない環境作りなのである。

    例えば英語の勉強であるが、日本にいては幾らお金を使っても、英語は一向にうまくならない。たとえ米国人に毎日習っていてもうまくならない。日本にいる米国人は、日本人と話すのが慣れており、相手が分かりやすいようにゆっくり話す。そのため、幾ら個人レッスンを受けていても、米国に行く話すスピードが早く全くわからないのだ。

    私ごとであるが、以前会社勤めをしていたときに、筆者も上司に常に英語を勉強しろといわれていた。そのたびにやっていますよと調子の良い返事をしていたが、とうとう怒り出し、お前は本当に勉強する気があるのかといわれたのである。当然やる気がないといったら大目玉を食らうので「勿論やる気がありますよ」と、返事をしたのである。

    その2週間後には米国に駐在員として強制連行されていたのである。当然、英語を話さないと飯も食えないから真剣に勉強に取り組まざるを得なくなった。単に英語を勉強するだけでは実生活での真剣味がないというので、現地の店舗を購入しその経営もまかされたので、米国人の従業員を使わざるを得ず、英語も生きた英語の勉強ができた。

    毎日英語の学校に行きながら働くわけであるがそれでも実際のビジネスでは、困ることがある。それは、裁判などで弁護士と打ち合わせる時だ。米国では、入り口で転んだといってはその店を訴えるのは日常茶飯事であり、弁護士とは常に連絡をとる必要がある。この場合英語を話せるだけではなく、専門用語がかなり必要であるし、米国の法律体系も詳しくなくてはならない。その交渉で本当に悩んでいるときに、上司がひょこっと現れてフォローをしてくれたのである。いつもはうるさい上司だなーと思っていたが、そのときは本当に地獄に仏で感謝したのである。本人が本当に助けを必要としているタイミングを見計らって、教えるのが本当の人材教育になることを実感させられた。

    <不況こそ人材教育の見直しのチャンスだ、幅広く経験させよう>

    この不況は将来の幹部候補性を養成するまたとないチャンスなのだ。全国チェーンであれば、優秀な部下を手放し、各地のリージョンの運営をローテーションを組んで任せて経験をさせるべきだ。また社内の専門部所を経験させるべきである。店舗の運営以外の分野は他社の経験者をいれているチェーンが多いが、最終的に店舗の運営を知っている人間が専門知識をもっていないと、お客様のニーズにあった店舗運営をすることはできない。今後重要になってくるのは、厨房、店舗機器、コンピューター,POS、商品開発、品質管理、広告宣伝の分野であり、営業出身の社員をじっくり経験させることが必要だ。この不況を逃すとまた10年くらいは人材をじっくり育てるチャンスはこないのだ。

  2. 30から100店舗のチェーン

    中小のチェーンであれば、QSCの基礎と教育制度を経営者自ら見直し、人材教育制度を確立するべきだ。そして新しい人材教育制度をまず経営者や経営幹部から最初に経験し、再度店舗に入り、QSCを自ら具体的に向上しなければならない。その経営者や幹部の人材教育に対する取り組み方こそが、社員にとっての最高の教育になるのだ。

    <人材教育には2種類ある>

    <1>集中トレーニング

    新入社員に対する最初のオリエンテーション、店舗の社員としての最初のトレーニング等のように、教室などに集めて集中して教育する方法ををいう。そのほかに、店長教育、機器取扱いトレーニング、広告宣伝トレーニング、スーパーバイザートレーニング、統括マネージャートレーニング、店舗運営部長トレーニング、教育担当者へのトレーナートレーニング、などのトレーニングコースがある。

    中小のチェーンでは、初期のトレーニングコースを確立しているが、チェーン展開が忙しすぎて段階的な集中トレーニングコースの確立が遅れている。最低限度スーパーバイザートレーニングコースまで確立することが重要であろう。この場合教育を単に教育担当者に任せるのではなく、経営者自ら時間を作り、経営方針、目標、ビジョンを明確に教え込むことが最も重要である。

    <2>個人トレーニングプログラム

    個人トレーニングとは、入社してすぐにトレーニングコースを受けさせても業務を理解していないため、効率が悪い。そこで集中トレーニングコースを受ける前に店舗で実習をすることにより、集中トレーニングコースでの理解度が高まる。しかし、店舗にただ放り込めば良いというのではない。何もフォローしないで店舗に配属すると店長によっては、アルバイトとして直接労働として使ってしまうからだ。社員は頭を使ってはじめて社員としての高給を払う価値がでてくるのだ。

    また、現場の作業を教えるときに店長が自ら教えないでアルバイトに教えさせるという問題もでてくる。教えたアルバイトは社員にとっては先生になり、後にマネージャーとしてその店舗に配属されたときに、コントロールすることができなくなるのだ。

    集中教育の前に店舗で実習することが効率が良いといってもやり方によりこのように問題が発生するのだ。つまり誰が、何を、どのスケジュールでトレーニングするかを明確にしないとならないのだ。そのためには店舗でのトレーニングのカリキュラムを明確にし、店長の役割、スーパーザーの役割をはっきり決めておく必要があるのだ。

    集中トレーニングは効率がよいのであるが、一人一人の社員の理解度を計測しながらトレーニングをすることができないが、個人トレーニングでは個人個人のレベル、理解力により教えていくことが可能になる。そしてあるレベルに達した社員に対して集中トレーニングを実施することにより、集中トレーニングそのものの効率も高くなるのだ。

    また、初期の集中トレーニングを終了した後も、個人トレーニングプログラムを継続することにより、無駄なく店長トレーニングコース、スーパーバイザートレーニングコースに進ませることができる。前回説明した評価システムの毎月の評価時に、このトレーニングプログラムを、店長、スーパーバイザーと話し合うことにより、毎月のトレーニングプログラムが明確になり、進み具合をチェックできるのだ。

  3. 30店以下のチェーン

    <必要なマニュアル>

    この段階では、まず、個別のマニュアルをきちんと作成しなくてはならない。そして、単にオペレーションの説明だけでなく、現実に店舗でそのマニュアル通りに作業をできるかの徹底した検証が必要である。現実離れしたマニュアルは従業員のモラルを極端に下げるものであり、ない方がよい位なのだ。

    作成する必要のあるマニュアルは

    1. 商品製造、品質管理マニュアル
    2. サービスマニュアル
    3. 店舗開店、閉店マニュアル
    4. 清掃マニュアル
    5. 人材採用、教育、評価マニュアル
    6. 防火、食品衛生、安全対策マニュアル
    7. 書類管理、利益管理、マニュアル、
    8. 販売促進、広告宣伝マニュアル
    9. 新店舗開店マニュアル
    10. スーパーバイザーマニュアル
    11. 厨房機器マニュアル
    12. 機器メインテナンスマニュアル

    があり、最低限度1〜6までは必要だ。

    <マニュアルの作成方法>

    まず作成しなければならないのは商品製造マニュアルとサービスマニュアルである。

    1. 調理作業を分解する。
    2. 一つ一つの作業をもっと合理的な方法が ないか検討する。
      時間を短くするには、効率をあげるには 、無駄をなくすには、安全にするには等 を検討する。
    3. 作業の数値化、理論付けをする。
      温度計、ストップウオッチ、計量器で言 葉を数値に置き換え、どの店舗でも再現 が可能にする。
    4. より合理的な調理方法がないか検討する 。
      機械により合理化できるのなら、検討 する。機械を購入すると効果なので機械 メーカーなどのショールームでテストを 繰り返す。食材供給業者がテストキッチ ンを持っている場合もあるので聞くと良 い。
    5. 見直した作業を店舗でテストする。
      ベテランと新人で差がないかチェックす る。もし、問題がなければ標準作業時間 と、標準ロスを計測する。
    6. 作業の手順を文書化する。
    7. 今度は複数の店舗でテストし問題がない か確認する。
    8. 問題点を修正する。
    9. 分解した作業の写真をとる
    10. 文書と写真を組み合わせてマニュアルと する。

    <写真の撮り方>

    現在は良いカメラを安価に購入できるため、専門家でなくても、自分達で撮ることが可能である。正しい機種を選ぶことだけ気をつければ良い。

    *必要機材

    • 35mmの一眼レフ。メーカーはどこでも 良いが。絞り優先のモードが必要である。 また、ストロボの光量を自動コントロール できる機種であること。
    • レンズは50mmの標準マクロレンズ(マ クロレンズとは接写が効き、絞るとシャー プな写真を撮ることが可能である。)
    • ストロボ、カメラと連動できるタイプが必 要。接写用のストロボと通常のストロボの 2種類必要。
    • 接写用脚立、カメラを固定して食品をきれ いに撮る。
    • 照明、盛りつけした食品を撮るのに使用。
    • フィルムはカラーのスライド用の感度の低 いものを使用する。白黒のマニュアルの場 合、白黒のフィルムの感度の低い粒子の細 かいものを使用する。なお、フィルムとカ メラのレンズの組み合わせにより発色が異 なるのでいろいろテストすることが重要で ある。また、現像は町の現像屋ではなくプ ロの使用する現像所を使用すると発色がき れいである。

    *コンピューター化

    撮った写真をCDROMにいれてくれるサービスがあるのでそれを利用すると、マニュアルの作成が自分達で容易にできるようになるし、修正が容易だ。時間とコンピューターの知識があれば検討する価値がある。


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