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新進気鋭の外食チェーン 三光マーケティングフーズの東京チカラめし


 牛丼業界はすき家、吉野家、松屋、の3強の寡占状態にある。若干味が異なる程度で、価格以外にあまり差がなく資本力のない大手以外は参入しにくい業界だ。
 そこにチャンスを見いだしたのが、居酒屋が中心業態の三光マーケティングフーズだ。景気不振の居酒屋業態から、安定した和風ファストフード業態を目指して、2011年6月9日に西池袋に開業したのが、牛丼業態の東京チカラめしだ。2012年6月までに50店を出店する計画と意欲的だ。3月31日現在で57店と既に目標を達成しており、6月までに70店以上になりそうな勢いだ。池袋に3店舗、新宿に5店舗、渋谷に3店舗と人通りの多い盛り場に集中出店して露出度を高めている。
焼き牛丼並280円味噌汁付き(今だけOPEN価格通常は320円)と抜群の価格競争力がある。ボリュームがたっぷりで、脂が落ちてあっさりした味は女性にも人気だ。焼きチーズ牛丼、キムチ焼き牛丼、カレーライス、エビフライカレー、からあげカレー、焼き牛丼カレー等、若者に人気の味も揃えている。テーブル上の醤油はヒゲタ醤油、寿司で使うガリ、コチジャン、七味、2種類のドレッシング、等を置くこだわりを見せている。カレーも吉野家よりもスパイシーで美味しい。牛丼やカレーには無料で味噌汁がついており、サラダセット140円を注文するとボリュームのあるサラダと生卵がつく。最近吉野家はサラダをやめたので、健康を気にする単身者を獲得するだろう。
注文は店頭外部と内部に設置された券売機をつかう。三光マーケティングフーズは金の蔵等でテーブルオーダーのシステムを開発しているが、その技術で市販の券売機を動かしている。
 調理システムを見てみると、松屋が定食を販売するためグリルを導入するなど一番重装備で、すき家もドライブスルーを積極的に展開するなど設備投資に積極的だ。吉野家は牛丼にこだわり牛丼と豚丼の鍋以外は湯煎で殆どの調理を行うという簡素な厨房だ。その簡素さが仇になってメニューのバラエティを出すことができない。
三光マーケティングフーズの東京チカラめしの厨房は重装備だ。薄切りの牛肉をすき焼き風に煮る他社に対して、薄切りの牛バラ肉にタレをつけてから焼いている。焼く機械は2台の2/3ホテルパンサイズの小型スチームコンベクションオーブンを改造して使っている。一枚扉だと開け閉めする際に温度が直ぐに低下してしまうので、ドアガラスを外し、ドロアータイプの扉を4つほどつけた特注品だ。
 焼き方は、網の上に薄切りの牛バラ肉を並べタレを刷毛で塗る。その肉を乗せた網を300°C(スチームコンベクションオーブンの限界温度)に温めたオーブンで4分間焼き上げる。ピーク時に対応するため、高湿恒温保存庫を用意し、ポリカーボネート容器に保管できるようにしている。
 
 では、東京チカラめしの調理システムと問題点を見てみよう。

1)厨房機器
 2枚扉の冷蔵庫と冷凍庫 
 アンダーカウンタータイプの製氷機 
 恒温高湿保管庫 
 ドロワー式スチームコンベクションオーブン2台 
食器洗浄機 
 電磁調理器 (湯を沸かしカレーのパウチ等を加熱する)
 作業台(網の上に生の牛スライスをおき、刷毛でタレを塗、常温で保存)
 作業台下のドロアー式冷蔵庫(刻み葱、チーズ、等のトッピングを保存)
 ご飯自動盛り付け機
味噌汁ディスペンサー

2)調理手順
 焼く機械はドロワー式スチームコンベクションオーブン
 温度は300°C
 調理モードはコンビネーションモード(3段階の最小の蒸気量)
 調理時間は4分 

3)問題点
(1)クレンリネス
 網に牛スライスを乗せ、刷毛でタレを塗って、それをスチームコンベクションオーブンに入れ、焼き上げた肉を取り出す際に、タレや脂分が垂れて周囲を汚す。
 ファストフードの場合は顧客から見える場所に厨房があるので、クレンリネスはかなり注意が必要だが、居酒屋経営が中心の三光マーケティングフーズにはそのあたりのノウハウが不足しているようだ。
(2)調理時間と保温
 サービス時間だが、焼くのに4分間かかるため、ポリカーボネート容器に入れて高湿恒温保存庫で保存しているお店もあるようだが、脂が溜まって焼いた肉が湿気って美味しくなくなる。このあたりの改善も必要だろう。また、恒温高湿保管庫も扉型のため、扉を開くたびに蒸気が逃げ、温度が低下する。洋風ファストフード型のドロワー式のタイプが必要になるだろう。

(3)焼き網の処理
 薄型の使い捨て焼き網を使用しているが、洗っているようで、網の廃棄コストと洗浄コストのバランスで悩んでいるようだ。使い捨てでなく、テフロン加工した網を使うと良いだろう。ただし、テフロン加工は直ぐに剥げるので、特殊な加工方法が必要になる。

4)脂の処理
 ドロワー型のスチームコンベクションオーブンに肉を乗せた網を焼き上げる方式だが、焼いた脂の処理に課題がある。本来は網の下にトレイを置いてそこに脂を貯めるほうが良いのだが、肉の上部が焼けるが下部が焼けないのでトレイを置いていないのだろう。スチームコンベクションオーブンは温風が横から吹きつけるので、肉を網に乗せて焼く場合、下部に温風が入らず、上部だけ焼けて下部が焼けない。そのため、トレイを使わないのだが、脂が下の段に垂れて焦げ目がつきづらい。トレイを使い、下部に温風を通すにはちょっとした空気力学の知識が必要だ。

5)スチームコンベクションオーブンの耐久力
 スチームコンベクションオーブンの耐久力が課題となるだろう。焼く温度が300°Cというのはオーブンの設計限界温度であり、扉のパッキングがあっという間に劣化してしまう。スチームコンベクションオーブンの場合、ちょっとでも隙間があると蒸気が漏れてしまい効率が低下するという問題をかかえる。
もう一つの問題は水分中のカルシウムやマグネシウム等の不純物がスチームジェネレーターに溜まって蒸気が発生しなくなることだ。オーブンは電気式で、きちんとした軟水器を設置しているようなので、蒸気発生器の問題は少なそうだが、24時間営業の店舗が多く、スチームジェネレーターの金属部分の耐久力が気になる。

 以上、問題点を羅列したが、難しい焼き牛丼に挑戦するために新しい調理機器や調理方法を開発し、短期間で60店舗近くも店舗展開した実行力に感心させられる。まだまだ、オペレーションや調理機器を磨き上げることが必要であろうが、他社の物真似をする事が多い外食業界で、他社と差別化する独自の調理方法を築き上げたチャレンジ精神は大変素晴らしいと言えるだろう。


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