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外食産業の海外進出


 日経MJの2010年5月17日付け第36回日本の飲食業調査によれば、すでに海外展開している企業は21・2%にのぼる。日本フードサービス協会によれば外食企業114社のうち約35%の企業が海外に出店している。
 このように海外に進出する企業は多いのだが、必ずしも成功しているわけではない。その海外の状況はどうなのか、米国、韓国、中国における現状を見てみよう。

1)米国 ロサンゼルス地域
2002年に小泉首相が来日した米国ブッシュ大統領とグローバルダイニングの新しい和食店・西麻布の権八で食事をした。そのニュースで一躍権八は有名になった。権八の料理は1、2階が日本蕎麦と焼き鳥がメインの料理で、3階が寿司を中心とする和食のお店だ。その店舗デザインとサービスで日本を訪問する外国人に大人気となった。その外国人の人気ぶりを見て、ロサンゼルスにラ・ボエムやモンスーンカフェをすでに経営していたグローバルダイニングは権八をロサンゼルス地区一の高級地のビバリーヒルズに開業することにした。 ラシェネガ通りのMatsuhisaの正面に広い土地を購入し、西麻布の店よりも本格的な武家屋敷風の本格的な和食店を開業することにしたのだ。筆者も外国人に大人気の権八であれば、和食ブームのロサンゼルスで絶対に成功すると思ったのだった。米国では店舗開店をするには近隣の住民たちによる公聴会が開かれ、そこでの合意がないと開店できないので、開業までに3年近い年月がかかると言う苦労をした。その苦労あってやっと2007年に開業し、大成功するだろうと思われたが、開店後も閑古鳥が鳴いている惨状だ。その権八の数件隣に元ワタミ常務の江村氏がTokyo Tableと言う和風居酒屋を同時期に開店した。江村氏はハワイですでにShokudoという和食店を開業し、大成功しており、その勢いをかって進出したのだった。中々お洒落で、メニューも現地を研究していたのだったが、成功せず、撤退をせざるを得なかった。
その理由を見てみると、まず、立地の失敗だった。ラシェネガ通りは昔は繁盛レストランが軒を連ねていたが、現在は人気のレストラン通りは移動していたのだった。もう一つの理由は料理の現地化の失敗だった。権八の料理は本格的な手打ち蕎麦や焼き鳥であり、東京を訪問するような知識階級の米国人には人気があったが、現地の普通の米国人には単調な料理に思えたようだ。
沖縄出身の上地勝也氏はKatsuyaという和食店を経営している。その上地氏がエンターテイメント企業のSBE社と一緒に開店して大人気なのが有名デザイナーのフィリップスタルクにデザインさせ、8億円を投資したのがBrentwoodのKatsuyaだ。入口の勝という漢字のほかに日本を連想させるものは無い。寿司カウンターはあるが、白木ではなく、ガラスを使ったモダンな寿司カウンターだ。
さて、料理を見てみよう。ハマチの刺身にハラペーニョの味付け、巻物はタラバガニとアボガドをマヨネーズの味付けで湯葉で巻いている。米国人が黒い色の海苔巻きの色と、ネーミング(海の雑草)が嫌いだからだ。ヒラメの薄造りにオニオンのから揚げをかけたカルパッチョ、油をひいた鉄板で両面を焼いた飯の上にネギトロをのせたもの、蟹入りチーズの天麩羅、と言うジャパニーズカリフォルニア料理だ。このKatuyaの人気料理は大繁盛店の和食店KOIでも同じく提供され、米国人に高く評価されている。

2)米国ニューヨーク

グッドウイルグループだったフードスコープ・アメリカ社が2004年3月ニューヨーク市・トライベッカに日本料理Meguを開業した。
着工から完成まで2年をかけ2004年3月にトライベッカに開店したMEGUの内装は、ファッショナブルなレストラン設計を手がける森田恭通氏のデザイン。客席中央には内側が赤く染められた大きな梵鐘がシャンデリアのようにつり下がり、下には赤い花ビラが浮かんだ池に氷細工の仏陀がでんと座っている。その奥には赤い背景の寿司バーが妖しげな和風の雰囲気をかもし出している。
料理も負けていない。米国では体に良いと枝豆がブームで、MEGUは大きな器に敷き詰めたクラッシュアイスを下からブルーの照明が、枝ごと差し込んだ枝豆を照らし出すなどの演出に凝っている。値段を見ると更にビックリ、なんと20ドル近くもするのだ。
銀鱈西京焼きの味付けは甘めで、米国人の好みに合わせている。事前にかなり米国人の嗜好を調査研究しているのだろう。その他の料理も凝りに凝って、料理が出ると米国人の間から歓声が上がる。ある焼き物を注文したのだが、真っ赤な備長炭を持ってきて、目の前で焼き目をつけるサービスをし、客に感動を与える。
このように完全に米国人をターゲットにした盛り付けと味付けに加えて、サービスも洗練されており、ニューヨークの金持ちや有名人に大人気だ。
その成功をみて、2005年9月にトライベッカに開業したのがすかいらーく共同創業者の横川紀夫氏が出資しているNinjaだ。同店は赤坂見付に1号店がある。忍者屋敷をテーマにしたレストランで入口の潜り戸を通り抜け橋を渡ると橋が落とされ、天井から忍者が姿を現すと言う趣向を凝らす。食事も和食を中心に東南アジアテイストの料理を提供している。木桶と野菜と石を持ってきた。木桶にはスープが入っており、そこに野菜を入れ、真っ赤に熱してある石を投げ込む。そうするとジュワーという音と煙が立ち上り一瞬のうちにスープが出来る。その味付けはトムヤンクンスープと言う意外な味だ。食事の合間には忍者姿のマジシャンが登場しマジックを披露する。Ninjaは当初から米国や欧州に展開しようとコンセプトやデザインを凝りに凝ったお店だ。そのため、外人客の比率も高くニューヨークに開店したら大成功すると思った。しかし、同年の10月25日のニューヨークタイムス誌のレストランコメントの欄で、「叫ぶ忍者、スープの中の石」と酷評をされてしまい、それ以後あまりぱっとしない。

<米国進出の注意点>
このLAとNYの事例を見ると、日本人に本当に支持されるデザインや料理では米国で成功しないと言うことだ。たとえれば、日本人に受けるデザインは水墨画(墨画)と盆栽や箱庭の淡い色彩と決めの細かいディテールだ。しかし、米国人に受けるデザインは極彩色のディズニーランドやユニバーサルスタジオのような大規模なものだ。寿司の場合でも魚と醤油の味ではなく、お酢やハラペーニョ、焦がし玉葱を使い、魚くささを消す必要があると言うことだ。
また、日本のようなきめ細かい卸売問屋はいないので、食材の開発は自ら行う必要がある。また、米国のトラック運転手は労働組合に加入しているので、賃金が高く、輸送費に跳ね返っている。そのため、日本のように毎日配送をすることは不可能であり、その分大きな倉庫を店舗に備える必要がある。
店舗の設計でも、身体障害者の保護が厳しいので、店内はもちろん、厨房でも車椅子が通れるような通路の幅が必要であると言う知識が必要だ。また、調理で使う厨房機器は日本からはほとんど持ってくることができない。米国で使う調理機器は電気規格のULと食品衛生規格のNSFの認定を受けていなければいけないからだ。
 また、日本のように開店が簡単ではなく、日本の数倍の日時がかかると言うことで、優秀な現地の情報網や、弁護士、不動産業者、料理家、ベテランレストラン経験者、を時間をかけて探す必要があると言うことだろう。
特に注意しなければいけないのは法律だ。成功したMEGUの場合も現地の法律を知らない調理人が女性従業員にセクハラをしたと訴えられ困ったことがあるくらいだ。

3)韓国
  牛丼の吉野家は韓国にいち早く進出していたが、1997年に韓国のIMFアジア経済危機などの影響により撤退した。筆者はもう一つ理由は嗜好の違いだと思っている。韓国の丼料理にビビンバと言う料理がある。野菜の和え物やキムチ、味付けひき肉を丼に乗せたものだ。このビビンバがあるので、韓国も日本の丼文化が受け入れられるかと思うと大違いである。ビビンバと言う料理は実はキムチやおかずを9皿ほどテーブルに並べ、炊き立てのご飯を丼によそり、好きなおかずを自分で丼に乗せてコチジャンなどの味付けで混ぜて食べるのが正式な食べ方だ。最初から乗せて提供することは少ない。また、日本の吉野家はサラリーマンが一人で入ってサッと食べるのが普通だが、韓国人は一人で食べると言う貧しい食事を嫌がるという問題もあったようだ。
  次にファミリーレストランのケースを見てみよう。韓国のファミリーレストランでは売上げ1位がアウトバック・ステーキハウス、2位がTGIフライデー、3位がベニガンと上位3社は米国系のカジュアル・レストランが占拠している。日本からはココスが韓国の展開権を元に地元企業と提携して早くから展開していたが、すでに撤退をした。米国からはデニーズが進出したが既に撤退した。すかいらーくが財閥企業のCJ社と技術提携してFC展開をして13店舗まで展開したが数年前のCJが事業継続を中止した。
韓国人の大学進学率は日本の50%に対して82%と大変高く、また米国への留学生が多い(人口比で言うと日本の4倍の留学)。その結果、米国文化へ馴染んでおり、格好の良いカジュアルレストランの方が、ダサいファミリーレストランよりも好まれる。また、韓国は牛肉よりも豚肉を好み、その豚肉でも骨付きのリブが大好きで、米国のトニーローマのようなベイビーバックリブに人気がある。アウトバックやTGIフライデーズ、ベニガンなどはベイビーバックリブを提供していたので、カジュアルレストランをファミリーレストランとして使い出した。
韓国のベニガンのサービスレベルの高さに驚いたことがある。従業員は笑みを絶やさないし、注文を受けるときには膝をついて客の目線で注文を受ける。これはTGIもアウトバックも同様だ。
サービスの特徴でもう1つ特筆しなければならないのは、バレッパーキングだ。ソウル都心でも必ず駐車場が必要なファミリーレストランでは狭い駐車場を有効活用にするために、必ず、係員が車を預かってくれる。運転の下手な女性には評判がよいし、カップルで乗りつけたときに格好が良い。ベイビーバックリブもチキンサラダも米国と同様のボリュームで値段は高いのだが、満足感も高く感じる。
以前、江南にある古いすかいらーくを訪問した。当時13店舗展開していた。江南と言う都心立地だが駐車場がある。しかし、上位3社のようなバレッパーキングなどのきめの細かいサービスは行っていないし、駐車場も汚れていた。
店舗に入ると寂れたがらんとした空間が広がっている。従業員にも笑顔が見えない。着席しメニューを見るとランチにはリブなどはない。日本のようにハンバーグステーキやとんかつなどのセットメニューで、価格は上位3社の1/2程度とリーズナブルだ。しかし、若者に受けるスタイルの料理ではなかったのだ。アウトバックやベニガン、TGIフライデーのように若者をひきつける魅力のある店舗内装やサービス、料理がかけていたということだろう。

<韓国進出の注意点>
韓国の立地は米国と日本とは異なる。日本の東京首都圏(東京テレビエリア)には全人口の35%の人が居住しているが、韓国の首都圏(ソウル・京畿道)には全人口の46%もの人が居住しているように人口集中度が高い。そのため、郊外型立地ではなく、首都圏集中の出店が必要だ。
また、韓国の法律も日本と異なる。特にフランチャイズチェーン展開には注意が必要だ。韓国は10年ほど前のIFM経済危機の際に企業のリストラが行われ、多くの職を失った人たちがフランチャイズチェーンに加入するようになり、フランチャイズチェーン企業の数が急増した。現在はそのチェーン本部数は2500と日本よりも多い。
多い分、チェーン本部の体質にも問題があるようで、韓国政府は2002年にフランチャイズ加盟事業取引の公正化に関する法律を制定した。しかし、これではフランチャイジーの保護に不十分だということで2007年に公正化法が改正され、日本よりも厳しい政府の監視下にあり、フランチャイズ展開をする企業はよく学ぶ必要がある。
 また、もう一つ難しいのは、日本のような卸売り問屋や食品加工業者がいないということだ。そのため、チェーン企業は自らセントラルキッチンを持って製造を行い、物流網とデポ、を整備しないとならない。また、代金の決済、資金調達、商品開発、などを自ら行わないといけないという投資コストも問題もある。
 食のトレンドも異なる。ファミリーレストランは問題ないが、ファスト・フードは健康によくないというイメージから伸び悩んでいる。韓国独特のウエルビーングという健康志向がファスト・フード業界の不振を招いており、米国系のファスト・フードチェーンですら苦戦を強いられている。
 日本ではちょっと客単価が張る健康に良い野菜を使ったブッフェが人気だが、韓国は海鮮料理と寿司の食べ放題のブッフェに人気がある。日本の江戸一が展開しているスタミナ太郎のお洒落な業態で米国でチェーン展開をしているTodaiと言うチェーンをヒントに韓国で幾つかの企業がチェーン展開を開始し大人気だ。ウエルビーングという健康志向といいながら、豪華な海鮮料理と寿司に人気がある。そのため、回転寿司のような業態が難しいようだ。

4)中国
(1)味千ラーメンの成功の秘訣
 中国で最も成功している日本外食チェーンは熊本に本社がある味千ラーメンだろう。日本では100店舗ほどのチェーン展開に過ぎないが、中国本土ではすでに500店近く出店しており、香港で上場し総株価は日本のワタミを抜いているほどだ。この成功を見て、日本からラーメンチェーンが続々と中国に進出をしている。日本では抜群の力を持つ王将も大連に数店舗を出店したが、苦戦をしている。その理由は立地の選定とメニューの現地化がうまく言っていないからのようだ。では、成功している味千ラーメンを見てみよう。
2010年2月26日の日本経済新聞夕刊と4月9日の日経MJ(1面)によると、「香港上場の味千中国(アジセン・チャイナ)は重光産業と手を組んだ香港資本の企業だ。株式時価総額が驚くほど大きい。米ドル換算で9億7000万ドルに達し、外食チェーンではアジア太平洋地域で4位。日本マクドナルドホールディングスには及ばないが、牛丼のゼンショーや居酒屋のワタミなど日本食の外食チェーンのいずれをも上回る。2009年半ばに350だった店舗数は今年中に500を超える見通しだ。上海に社員研修所を設置する計画も進む。」

中国の街を歩いているとマクドナルドやKFCの巨大な店(平均客席数200〜300)と対抗する規模の大きな味千ラーメンがあるのが目につく。遼寧省では大連、瀋陽に展開するだけでなく、北朝鮮に近い丹東(たんとん)まで開店している。
大連の中心街にある巨大なお店を訪問した。横には日本から進出した王将もお店を構えているし、近隣にはマクドナルドとKFCが2店舗づつ店舗を構えている外食激戦地だ。
メニューは豊富でまるで居酒屋のようだ。メニューの表紙には日本語で「ラーメンはもちろん酒肴も豊富にご用意しました。おいしくて楽しいひとときを味千でお過ごしくださいませ」と書いて、日本料理の店だと強調している。
メニューを明けると最初に、使用している原材料の小麦粉、ニンニク、葱、油、野菜、等を厳選していることを強調している。そして、「医食同源、おいしいだけでなく体に良い食品づくり」と安心や健康を重視しているとしている。 ラーメンも種類が多いし、チャーハンやカツカレー、牛丼も揃っているし、焼き鳥や鉄板焼き、デザートも豊富で、日本の居酒屋料理、中華料理、タイ料理、韓国料理のミックスのなかなか面白いメニューだ。

味千ラーメンの成功の秘訣は、味に関しては日本企業が厳格にコントロールし、店舗展開や現地のメニューに関しては現地の企業に任せるという現地化政策だろう。中国味千ラーメンの潘CEOは「日本のラーメン店だからといって中国で成功するとは限らない。中国のサプライチェーンマネジメントや経営方式などは独特のものがある」と語っているように、現地化が大切なのだろう。

(2)中国で最も成功したKFC

米国などで元気がないKFC社であるが、中国でマクドナルド社などの他ファストフード企業を押しのけて、中国第1位の外食企業の座を占めており、マーケティング戦略上注目を浴びている。
店舗数でも、売上でも、市場占拠率でも中国KFC社は他社を圧倒している。世界各国でマクドナルド社が1位を占めているが、中国では全く逆転している。2010年末において中国ではマクドナルド社は1100店舗を展開、KFC社は3700店舗(そのうち500店舗がピザハット)を展開している。そして、今後毎年300店舗の新店舗を開店し、その差を広げる予定だ。
台湾生まれの元、中国KFC取締役のWarren Liu氏は中国におけるKFC成長の秘密を説明する本「KFC in China Secret Recipe for Success」を出版しており、KFC成功の理由を以下のように11項目あげている。

<1>KFCの出店時期
 1987年11月12日天安門広場に1号店を開店と、マクドナルドより3年早く中国に進出した。
<2>人材とチームワーク
 中国の歴史を熟知し中国標準語の北京語を話せる台湾マクドナルド経験者を採用して中国経営陣の中心に据えた。その後、中国のビジネスの成長を見て現地での教育を充実させ、中国現地のマネージャーを増加させた。
<3>戦略
 当初より長期ビジョンを持ち、急成長している沿岸都市だけでなく、内陸部まで店舗展開を計画した。
<4>提携 地元 政府との関係 危機管理
 中国での店舗展開の初期段階では、外資単独では難しいので、地方政府などと提携して各地で合弁会社を設立し、緩い連携で運営を開始した。その後、集中管理を強め、中国政府の外資100%認定と共に中国Yum!社を設立し、早い時点で上海に本社を設立し、教育も同時に行った。
<5>商品とマーケティング
 マクドナルドは5年ほど遅れて1992年に中国に進出した。KFCはマクドナルドに対抗するために商品とマーケティングにおける差別化を行った。中国人の食肉の好みは1番が豚、2番が鳥、3番が羊、4番目が牛だ。つまり、牛肉が中心のマクドナルドよりも、鶏肉が中心のKFCの方が有利であった。
店舗の規模を大型にし、1店舗の客席を200〜300席として、店内飲食のニーズに応えた。また、子供向けに遊具を置くなどのきめ細かい対策をした。
<6>サプライチェーンの構築
中国KFCは自ら食材を供給する優秀な農家、畜産業者と物流を担う卸問屋、物流業者を育成しサプライチェーンを築いた。マクドナルドは米国の供給業者に中国進出をさせ、初期から巨大な食品工場や流通システムを構築した。そのために、KFCとマクドナルドの食材コスト構造が大きく異なり、マクドナルドはなかなか利益を出しにくい。現在のKFCの店舗段階の利益は人件費が低いため20%と他の国の倍以上の水準であり、これにはサプライチェーンの構築が大きく貢献している。
<7>不動産開発
 私有地が認められていない中国では、土地を管理する地方政府との交渉が重要である。そのために、地方政府と合弁会社を作ったり、現地の不動産事情に詳しい中国人をスカウトして対処した。
<8>素晴らしい運営
 人材育成に力をいれ、上海本社にトレーニングセンターを設置して、中国人社員の教育に当たっている。年間の最優秀社員は報償として米国本土訪問とCEOのジム・ノバック氏との会食と言う名誉を与えられる。現在では殆どの経営陣と社員は中国出身者が占めている。
<9>ローカライゼーションとグローバリゼーション
 米国や海外のKFCの売上の60%がフライドチキンであるが、中国KFCは鶏肉を使ったハンバーガーを数多く開発し、マクドナルドに対する差別化に成功した。
 中国における商品開発の点で、上海に本社を構えるKFCは迅速な意思決定を行うことができるし、経営トップに中国人がいるために中国人の好みを理解でき、現地に溶け込んだ商品開発が成功した。
 それに対し、マクドナルドは商品開発が中国本土の端にある香港で行ったり、新商品の認可を米国本土にうかがうため、新商品開発で後れをとっている。
<10>本社のサポート
 上海にある本社はサポートセンターと言う名称で、各地域を指示する本社ではなく、支援を行う存在であると明らかにしている。
<11>中国文化を融合したリーダーシップ
 経営トップと副社長に米国で高度な教育(MBA)をうけた人材を充て、長期経営をゆだねている。中国Yum!社社長のJ. Samuel (Sam) Su氏は台湾生まれで国立台湾大学で化学を学んだ。その後、米国に留学しペンシルバニア州立大学でケミカル・エンジリアリングの分野で修士号を取得した。さらにペンシルバニア大学大学院ウオートン校でMBAを取得した。KFCに入社する前にはProctor & Gambleでドイツ、台湾で勤務した経験を持つ。


KFC
大連、瀋陽を訪問したが、中心繁華街には必ずマクドナルドとKFCが店舗を構えているが、マクドナルドが1店舗に対してKFCは2店舗を構えている。そのKFCも日本のように小さな規模ではなく、平均300席ほどもあり、店内に入ってカウンターを見てもマクドナルドとKFC特別できないほど類似のデザインと規模だ。
中国KFCの成功の秘密の一つである、メニューの現地化を見てみよう。昼のメニューは鶏肉を使ったハンバーガーが中心だ。マクドナルドもKFCを見習って鶏肉ハンバーガーメニューをそろえているほどだ。そのため、昼のメニューはKFCもマクドナルドもあまり差がない。しかし、朝食メニューはKFCとマクドナルドで大きな差があった。マクドナルドの朝食はマフィンとスクランブルエッグ、ポークソーセージを使った、米国のビッグブレックファストやエッグマックマフィンが中心だ。
しかし、KFCの朝食は何とお粥がある。残念ながら家で食べるような美味しいお粥ではないが、ファスト・フードでお粥を出すとは嬉しい限りだ。昼にはトルティアで揚げた鶏肉を巻いた北京ダック風のメニューがあるが、朝はそのトルティアで巻いた海老卵焼きがあり美味しかった。また、胡麻をつけたパイ生地を焼き上げたものにベーコンエッグや鳥のハムを挟んだサンドイッチがあり、軽い食感がなかなか良かった。翌月には中国人の大好きな「焼餅」を朝食メニューに加えるようだ。中国人が親しむ伝統的な家庭料理を取り入れた朝食メニューは、マクドナルドの米国風の朝食に対して大きな差別化に成功しているようだ。

<中国進出の注意点>
 中国に進出する際の問題点はかなりある。まず、外食企業が成長するに必要な基盤が整備されていないことだ。食材でも和食店を展開するには魚を現地で調達するには苦労する。また、食材メーカーも整備されていないので、自らセントラルキッチンを整備する必要がある。また、日本のような卸売問屋も無いので、商品開発、代金決済、物流、なども自ら行う必要がある。物流の場合も省を跨ぐと税金が課せられたり、荷重の規制が厳しくなったりと難しいことが多い。
 また、中国に進出する場合には現地を良く知った企業と合弁を組まないと、政府の政策などの変更による被害を受けることが多い。立地なども同じだ、マクドナルドは北京一号店の出店後に市から移転を強制させられたことがあるくらいだ。立地ではKFCの例にあるように、まだ車の普及が途上であり郊外が成熟しておらず、都心部出店をしなければならないことも日本や米国と大きく異なる点だ。
 その他、フランチャイズ展開をする場合には政府の法規制を注目する必要がある。最近中国政府はフランチャイズ方を整備しだしたが、中国内のフランチャイジーからのロイヤルティを日本に送金できるかどうかでもめている。中国の資本経済に対する法整備はまだ途上であり進出に当たっては慎重な研究が必要である。
 上述したKFCの中国での戦略は中国に進出する外食企業のバイブルとなるであろう。


5)海外からの再進出

 海外から日本に進出して成功した米国外食企業はマクドナルド、KFC、と数えるほどだ。そのため、ウエンディーズなどは数年前に撤退してしまったほどだ。しかし、2010年10月25日に米国で450店ほどチェーン展開しているフーターズHootersが赤坂に開店し、連日行列の出来る繁盛振りを示している。これをみて、また、米国から日本に進出をしようという企業が出ているようだ。
その最有力候補が、ウエンディーズの日本再進出で、現在マーケティングリサーチを行い、提携先の企業を選定している。同じく、一度撤退したカールスジュニアやタコベルも再進出を計画している。
 その他、米国で急成長している分野のファストカジュアル業態のトップ企業のパネラブレッドも進出を計画しており、経営幹部が来日してマーケティングリサーチを実施している。
 米国景気回復に伴い、日本への進出が増加すると見られている。


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