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「五感を刺激する人気業種(うどん・ステーキ&ハンバーグ)の高収益チェーン/
丸亀製麺&ブロンコビリーの業態開発力」 


筆者が教えている大学近所の国道沿いにあったロイヤル撤退跡地にブロンコビリーが2009年11月に開業した。大看板には「美味しさいっぱいサラダバー、炭焼厚切りステーキ、がんこハンバーグ、中魚沼郡・津南町産コシヒカリ・大かまどご飯」と大書してある。
駐車場に車を止め、入り口を入るとウエイティングスペースに米俵が3俵重ねて置いてある。正面レジ横の冷蔵ショーケースには真空パックした320g〜640gまでの各種の重さのステーキ肉が美味しそうに陳列してある。その後ろにはオープンキッチンが広がっている。洗い場などのバックキッチンまでオープンになっている。
キッチンの角には分厚い木の蓋をした大釜が3台並んで、蒸気を吹き上げている。大釜の横はキッチンの中心となる炭焼きグリルだ。ハンバーグや、ステーキがジュージューと音を立てながら焼きあげられている。グリルの横にはディシャップがあり、電磁調理器で鉄皿が熱々に温められ、その上に乗せたハンバーグやステーキがさらに煙を上げている。客席に案内される間にその美味しそうな香りをかぐと猛然と食欲が出てくる。客席に案内される途中には大きなオープンのサラダバーが目に入る。サラダバーには10数種類の新鮮な野菜とフルーツなどが盛り付けてある。その反対側にはドリンクバーがあり、各種のジュースやドリンクがカラフルに容器に入れてある。
期待感に胸を膨らませて白と赤のチェックのテーブルクロスをかけたテーブルに着くと、注文を取りに来る。従業員は注文をとる際にはしゃがんで顧客と同じ目線になるようにする。こんなサービスは日本ではワタミやアウトバックステーキハウスくらいだ。ファミリーレストランではお目にかかったことがない。
メニューは至ってシンプルだ。ランチ時にはハンバーグランチ170gが最もお得な料理だ。サラダバー、大かまどご飯、スープがついて税込1050円だ。220gで1165円、300gで1428円、440gで1680円、600gで2205円だ。
サーロインステーキは160gで大かまどご飯とスープがついて1155円、それにサラダバーがつくと+360円だ。ステーキは最大640g3339円まである。
炭焼き厚切り熟成ぶどう牛のサーロインセットは210gで3024円(サラダバー、大かまどご飯、コーンスープ)、最大の420gで5124円だ。
ハンバーグランチ170gがお勧めなのだろう。熱々の鉄板に俵状のハンバーグがジュージューと音を立てて運ばれてくる。それを従業員が目の前でカットし、まだ赤い肉を見せて、熱々の鉄板につけて火を通す。そして、ソースをかける。熱々の鉄板で焼きあげられるハンバーグとソースがもうもうと蒸気と香りをふりまいている。
このハンバーグの提供方法の元祖は横浜のハングリータイガーだ。店内の目立つ場所にガラス張りのグリルを置き、そこでもうもうと煙を出して焼いていた人気店だった。大人気のハンバーガーレストランであったが食中毒の問題で、残念ながら現在は数店しか残っていない。
しかし、この俵状のハンバーグを表面だけ焼きあげ、肉が生の状態で提供し、顧客の目の前でカットして、焼きあげるというスタイルは大変人気があり、浜松地方のさわやか、関東のフライングガーデン、等、追随した企業の多くは大成功している。
筆者はブロンコビリーの本拠地名古屋のお店を10数年前に訪ねたことがあるが、名古屋では有名なハンバーグとステーキのレストランで大型のカジュアルな店であることだけが印象に残っていた。今回の店舗を拝見したら、その調理の演出の仕方とサービスレベルが大幅に改善されていることが印象的だった。
同様のハンバーグを出す、さわやかやフライングガーデンとの大きな差は完全なオープンキッチン、魚沼産のコメを炊き上げる大釜、豊富なサラダバーとカラフルなドリンクバー、そして従業員のサービスレベル、と言うシズル感を醸し出す演出だ。
訪問したのは日曜日のランチであった。客席を見ていると家族連れ、特に祖父夫婦、若夫婦、子供の3世代が多いのが目につく。これは以前のファミリーレストラン、ロイヤルやすかいらーく、デニーズ、等の全盛期時代のような光景だ。ブロンコビリーは家族で訪問する団欒の場なのだ。しかも、アルコール比率が高い。子供はオープンキッチンやサラダバーを楽しみ、大人は肉とビールを楽しむという楽しい場となっている。
 さて、次に訪問したのが今、急成長している丸亀製麺だ。丸亀製麺はフードコート型、都市型、郊外型の3つのタイプを持っているが、今回は地方の郊外型店舗を訪問した。店舗の規模と雰囲気はまいどおおきに食堂に似ており、小型のプレハブ状の店舗で建物周囲に大きな白地に黒字で「讃岐 釜揚げうどん 丸亀製麺」と書いた大看板を掲げ、横に釜揚げうどん、釜玉うどん、ぶっかけうどん、かけうどん、ざるうどん、おろし醤油うどん、等と書いた板を張り付けて、うどん屋であることが遠目にもわかるようにしている。建物は黒色に塗った外装と木目の組み合わせで、和を演出している。建物はガラス張りだ
 駐車場に車を止め、店内に入ると入り口正面の棚には業務用20kg入りのうどん用小麦粉の粉が積み上げられている。入り口から良く見えるように製麺機が設置され、職人が小麦粉をこねて、塊にしてそれを熟成している様子を見えるようにしている。熟成が終わったら製麺機で製麺だ。自家製麺を売り物にしているのだ。
厨房は360度の角度から全て見えるようになっている。製麺機の横は釜揚げうどんを茹でている。次はメニューボードを見ながら食べたいうどんを注文する。うどんとトッピングを注文する。目の前の保温ケースには揚げたての天ぷら、おにぎり、お稲荷さんが並べられている。思わず天ぷらを注文してしまう。好きなうどんとトッピングを注文し、会計が終わったら、かけうどんの場合は丼に盛られたうどんに出汁を好きな量自分でかける。その際に、天かす、葱等の薬身を好きなだけ盛り付ける。そのお得感が何とも言えない。
ぶっかけうどん(温冷)並みで280円、大で380円、一番高いメニューでも500円以下と言うリーズナブルな価格だ。天ぷらなどのトッピングも150円前後だから、腹いっぱいになっても600円程度とリーズナブルだ。
経営するトリドールは元々、兵庫県を中心に焼鳥の郊外型のレストランを運営していたが、鳥インフルエンザなどによりやむなく、うどん業態に転身したのが成功し、急成長を遂げている。この業態の元祖ははなまるうどんだろう。トリドールはそのはなまるうどんの形態に自家製麺を組み合わせたのがシズル感を醸し出す成功要因だ。

さて、ブロンコビリーとトリドールの丸亀製麺の業態は何になるだろうか?筆者はブロンコビリーはファミリーレストランではなくカジュアルレストランで、丸亀製麺はファストフードではなくファスト・カジュアルであると思う。
両者とも共通しているのは料理の質感の訴求とオープンキッチンの演出、フレンドリーなサービスだ。
このカジュアルレストランは実は80年代前半にすかいらーくがイエスタデーと言う店名で展開してブームになり、デニーズ、森永レストラン、等が白い内外装のカジュアルレストランを展開し、カフェバーと言う日本独自のジャンルを築き上げたことがある。すかいらーくはファミリーレストランの次の業態ととしてすかいらーくより軽便なコーヒーショップのジョナサン、アッパー業態としてのカジュアルレストランとしてイエスタデーを展開しようとした。また、90年代のすかいらーくガーデンズもお洒落なカジュアルレストランを意識していたのだ。すかいらーくは米国のカジュアルレストランの動向を見据え、ハンバーガーのカジュアルレストランのレッド・ロビンに投資をしたりしていた。
しかし、このカジュアルレストランの業態は日本では定着せず、やがてすかいらーくはカジュアルレストランを諦め、ガストを開発し低価格戦争に一気に突入するようになった。筆者は日本外食が苦境に追い込まれているのは、カジュアルレストランとファストカジュアル業態が定着しなかったのが一因ではないかと思っている。
では、米国のカジュアルレストランとファストカジュアルの歴史を見てみよう。
ファミリーレストランは1935年 ハワードジョンソン開業が開業し、その後を追って、1937年にボブのビッグ・ボーイBob's Big Boyが誕生し、1959年にデニーズが開業した。ファストフードは1948年にマクドナルドが誕生しその後、バーガーキング、ウエンディーズ等続々とファストフードチェーンが誕生し、ファミリーレストラン、ファストフードは1970年代にそのピークを迎えた。
 米国人の所得が高まると従来のファストフードやファミリーレストラン以上のアッパーな業態を望むようになった。その機運をみてノーマン・ブリンカーNorman Brinker(ハンバーガーチェーンのジャック・イン・ザ・ボックスJack in the Boxがまだ7店舗のチェーンの頃にアルバイトとして勤務したのが、外食産業への第一歩)は1966年2月にステーキ・アンド・エールSteak & Ale1号店を開店した。これがカジュアルレストランという最初の店舗となった。店はサラダバーを備え、サービス担当の従業員に大学生を雇うことで大成功し、1971年28店舗の時点で株式公開に成功した。
その後、会社を売却したり、買収したりして、ベニガンズBennigan'sを作り上げ、チリーズ社Chili'sを買収した。そして、1991年に社名をブリンカー・インターナショナル社Brinker International Inc.に変更し、現在では傘下の店舗数は1,700店舗を超えている。現在のチェーン企業はチリズChili's, マジアーノ・リトルイタリーMaggiano's Little Italy、マカロニグリルMacaroni Grill等だ。ブリンカーの貢献はカジュアルレストランという業態を作っただけでなく、数多くの人材を育成したことだ。ブリンカーはベニガンズBennigan'sを開業したとき、店舗はカジュアルレストランを目指す経営者のブートキャンプとなった。
ブリンカーが育成したのはTGIフライデーズ社TGI Friday'sのリチャード・リベラRichard Rivera、スパゲティ・ウエアハウス社Spaghetti Warehouseのルイ・ニーブLouis Neeb、チチズ社Chi-Chi's前会長のハル・スミスHal Smith、アウトバック・ステーキハウス社Outback Steakhousesの共同創業者クリス・サリバンChris Sullivanとロバート・バシャムRobert Basham等、錚々たる人々だ。
 次にこのカジュアルレストランのジャンルにオープンキッチンを導入し、さらに、ファストカジュアル業態を誕生させたのが、フィル・ロマーノだ。イタリア系のロマーノは若い時から外食産業に従事し、1980年にグルメ・ハンバーガー業態のファドラッカースを開業した。ロマーノはハンバーガーが大好きだったが、大手ファストフードのハンバーガーに満足できなかったので自分が満足できるハンバーガーを開発したのだった。
彼の発想は「私のレストランは、入ってきたお客様にすごいと言わせる店でなければならない。見たものに驚き、食べたものに驚く。そうでなければお客様は2度と戻ってこない。私の店も私の料理も、お客様を笑顔にしなければならない。すごいと唸らせる要素をあらゆることに浸透させるのだ。」と言うもので、ハンバーガーの開発に当たってはハンバーガーショップの6カ条の憲法を作り上げた。
それは以下のものだ。

1. 肉 最高級のものを使う
肉は店舗で塊からひき肉に仕立てる。添加物は使わず、その日に使い切り冷凍にしない。

2. バンズ 店内で焼き立てのものをつかう
店内で焼きあげて焼き立てを使う。

3. 調理 お客様の望み通りに調理する
焼き方はお客の希望に合わせ、調理をするものはそれだけに専念する

4. トッピング お客様が好きな門を好きなだけ乗せられるようにする
厨房では焼きあげたバンズと肉、揚げた魚や鳥肉のみ調理し、顧客は今ディメントバーで自分の好みの調味料と野菜を組み合わせる。

5. 雰囲気 お客様が「世界一美味しいハンバーガー」の店に期待する通りの店にする。
肉処理の作業工程、バンズの作業工程、調理工程もすべてオープンにして、調理の光景を楽しませる。バンズは粉から捏ね焼きあげる工程を見せる。

6. 従業員 以上のことを同業の誰よりもうまく、誰とも違うやり方で行う。
 (フィル・ロマーノ 外食の天才が教える発想の魔術 2007年 日本経済新聞出版社 より引用)
このファドラッカーの業態は大成功し、米国にグルメバーガーのカテゴリーのファストカジュアルと言う業態を作り上げた。ロマーノはその後、お惣菜の超有名店のイーチーズをダラスに開業し、さらにイタリアンの大繁盛店、ロマーノ・マカロニ・グリルを誕生させた。
この二つの業態もファドラッカースと同じく6カ条の憲法に沿って作られた楽しいお店だ。イーチーズは店舗入り口にオープンキッチンのスクラッチから作るベーカリーとスープやソースを作る大型のケトルを置き、まるでホテルのメインキッチンの中で惣菜を買っているような雰囲気を作り出した。マカロニグリルは入り口のウエイティングバーに座ると、目の前にはピザ・キッチンがあり、従業員が客に背を見せてピザを作って、薪窯で焼きあげている作業を見れるようになっている。このライブ感のあるオープンキッチンがフィル・ロマーノの演出なのだ。そして、フィル・ロマーノはブリンカー社と提携してイーチーズとマカロニグリルをチェーン展開した。
ブリンカーはカジュアルレストランと言う大人が楽しめる業態を誕生させ、ロマーノはファスト・カジュアルと言う業態を作り上げたのだ。
ファストカジュアルとは何かと言うとファーストフードよりも、大人にターゲットを合わせた健康的なメニューであり、客単価は6ドルから9ドルの間である。そして、よりアップスケールな内外装デザインを採用している。サービスはセミセルフサービスで、注文してお金を払ってから客席につき、料理は後から運ばれる。人々はより良い品質や鮮度の高い料理を求めており、注文後調理をしてくれるなら多少の時間は待つ。業態は、ベーカリーカフェ、ハンバーガー、スープサラダ、イタリアン、アジアン、メキシカン、ベーカリー、惣菜、等だ。また、ファストフードと大きく異なるのはワインや、ビールなどの軽アルコールを提供するということだ。
ファストカジュアルの特徴が分かりやすいのはメキシカン料理のバハ・フレッシュBaja Freshだ。白と黒、グリーンをテーマカラーにした明るい内装にし、清潔さを全面的に打ち出した。店内の中央にあるカウンターの後ろは厨房だが、カウンターに並ぶ客からは調理行程が全部見えるようにしている。カウンターの下がり壁には、
FOOD CANNOT BE MADE AT MICROWAVE SPEED
 当店は注文後、生の材料から丁寧に造り上げるので、少々時間がかかります。調理済みの食材を電子レンジで温めるだけのファーストフードとは違いますよ。
NO CAN OPENER
 当店の食材は缶詰などの保存食料品を使わず、すべて生の素材です。ソースもすべて店内で生の素材から造り上げます。
NO FREEZERS
 ファーストフードのように冷凍食材は使わず、生の食材から調理します。
NO LARD
 動物性油脂を使わないので、健康的です。
NO MSG
 うまみ調味料などのごまかしを使わず、自然のうまみを組み合わせておいしい味を実現します。(米国ではうまみ調味料を摂取すると赤面や、動悸が高くなったり、発汗する、等のアレルギー症状を訴える人がおり、うまみ調味料をいやがる傾向がある。)

と言う標語を誇らしげに掲げている。カウンターに並び、厨房を見たら、奥のグリルでトマトとピーマンを焼いている。何の料理かと聞いたら、メキシコ料理に欠かせないサルサソースを生の素材から作っているところだという。大変説得力のある標語と、デモンストレーションだ。
 このファストカジュアルの急成長で大手ファストフード業、特にマクドナルドは対策を迫られ、店舗のイメージ変更、マックカフェの導入、健康的なサラダの導入、インターネットの導入を迫られたほどだ。
ブロンコビリーと同じ国道沿い10kmほど先に居抜き店舗にハンバーグとステーキとサラダバーとカレーの食べ放題を売り物にした話題のチェーンがある。このチェーンは居抜き店舗で殆ど改造しないので収益性が高く急成長している。同じ時間帯に訪問したが、従業員の活気のなさ、店舗の汚さは2度と訪問したくない。厨房の従業員は帽子もかぶらずだらだらと調理をしているし、接客に当たる男子従業員も笑顔は全く見られない。価格もブロンコビリーとほとんど同じなのにだ。
 日本の外食は低価格しかないという現状であるが、ブロンコビリー等のカジュアルレストランや丸亀製麺等のファストカジュアル業態の開発に真剣に取り組むべきだろう。さもないと、外食業界は単なる餌場になるだけではないだろうか。もう一度、外食全盛期の楽しさを感じさせる晴れの場に戻るべきだろう。

参考資料
フィル・ロマーノ(2007年)、外食の天才が教える発想の魔術、日本経済新聞社

 


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