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東京地裁はマクドナルドの店長は管理監督者ではないと認定


日本マクドナルドの店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日約755万円の支払いを命じた。判決では「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と画期的な判決を下した。
 労働基準法は時間外勤務の割り増し賃金の支払いを定めているが、外食や小売業などの店長は管理監督者として残業を支払わないのが通常であった。
判決は「マクドナルドの店長は店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。さらに、品質、売上管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難い」という厳しい判断であった。
さて、新聞報道によると2007年9月現在でマクドナルド社の店長は約1715人。2006年末の総店舗数は3828店舗、直営店比率70%であるので直営店舗は約2700店舗。つまり1人の店長が約1.6店舗を担当することになる。この数値を見ると店長に過剰な負担がかかっていることがわかる。
 この背景には店長不在の小型衛星店の増加と、2004年頃からの社員に対する厳格な数値管理の評価制度が導入され、社員の退職が相次ぎ既存の店長に負担が増えていたことがある。従来も、店長には残業代が支給されていなかったが、人手不足をカバーするために懸命に働くのが常であった。それでも我慢しているのは店長で実績を積めば、将来、スーパーバイザーや地区部長などの管理職に出世できるし、社員向けフランチャイジーとして店舗オーナーになれるという夢があったからだ。また、売上予算や、販売促進策、店舗改装計画、人員採用計画、などを店長が立案し、それらの数値目標を組み立てて会社の予算を作成していた。この手間のかかるプロセスを踏むことにより、店長に管理監督者としての自覚を持たせることが出来ていたのだ。
それを米国風のトップダウン経営方針を打ち出し、厳しい数値を達成できないと給与や賞与ダウンだけでなく降格と言う厳しいものした。従来の日本的な経営方針から、厳しい米国式経営管理に替わることにより、店長たちは管理監督者としての自覚をだんだん失って行ったようだ。
しかも、マクドナルド社は社員フランチャイジーを廃止し、直営店舗を大規模フランチャイジーに売却し、直営店舗比率を現在の70%から30%に引き下げると発表した。これは店長の将来の夢を閉ざすものであり、何のためにサービス残業をやるのかと言う疑問がふつふつとわいたのであろう。
そのような店長たちのやる気をそぐ決定的な要因は、24時間営業の導入と売上回復のためのクーポン券の多発だと思われる。これは米国マクドナルド社を筆頭に米国ファストフード各社が売上を伸ばす武器として深夜営業や、早朝営業、そして、24時間営業と言う売上を伸ばす手段を導入したのものであり、その米国的手法を日本にそのまま取り入れようとしたのだ。米国の場合、8割近くがフランチャイジーであり、自分の収益に繋がるのであれば24時間営業にも取り組むのだが、社員の退職が増えアルバイトも集まらない直営中心の日本で24時間営業を導入することは、現在以上の労働時間の増加が目に見えるわけだ。 
今までは、必要な店舗でクーポンを配布していたが、現在では幅広い地域でクーポンを配布するだけでなく、携帯電話のクーポンの配布を開始し、店舗には売上につながらない忙しさと、食材コストの圧迫と言う負担を強いるようになった。それらの複合的な状況が今回のような訴訟に発生したのだろう。
今回の判決は単にマクドナルドの対する金銭的なインパクトだけではなく、チェーン企業全体に対して「どのように店長のやる気やモラルを維持するのか」を考え直させるきっかけとなるのではないだろうか。


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