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中小チェーンのSVの役割

「これだけは実行しなければいけない10項目」


飲食業、小売業、サービス業にとってお客様は神様であると言っていたのは過去の話となってしまった。2004年年末には大手牛丼チェーンの店長がしつこくクレームを申し立てた神様であるべき顧客を殺すと言う衝撃的な事件がおきた。そして、2007年5月にはなんと若者向けステーキチェーンの店長とその部下が営業中の店舗において女性客を襲い強姦すると言う晴天の霹靂の事件を引き起こした。仕事を離れたプライベートの事件であっても大問題になるのに営業中の店舗での犯行と言うとんでもない事件だ。同社は米国産牛肉のBSE事件にもかかわらず上場を果たし海外にも進出を開始すると言う元気印の会社であった。事件を起こした店長は25歳、同社の社員から業務委託を受けたフランチャイジー経営者と言う責任のある立場であった。

事件の詳細はまだ明らかでないが現時点の情報から判断すると、幾つかの問題点が出てくる。年齢が25歳と若いのは問題ではないが、社員としての採用、教育、そしてフランチャイジー(経営委託)には問題があったといえるだろう。大手フランチャイズチェーンが加盟者を選ぶときには経営手腕とか所持する資金を見るのではなく、仕事への取り組み姿勢や人生観を重視し判断する。そのために本部の経営者との何回もの面接や、店舗での働きぶりを観察される。また、本部によっては社員として10年以上の勤務と一定以上の職務の経験を要求し、さらに、既婚で奥さんも仕事を手伝うのを義務付ける。既婚者であれば今回のような異常な事件は引き起こさないからだ。また、あるチェーンでは直営店での年数を定めない勤務を義務付け、その働きぶりで判断する。フランチャイジーになった後も、契約は1年ごとに見直し問題があれば即座に解除すると言う厳しい判断だ。

この加盟希望者に対して店舗での働きぶりを判断する重要な役割を果たすのはSVの仕事だ。一緒に仕事をしたり、課題に対する加盟希望者の問題解決姿勢を判断する。また、SVは自ら判断するだけでなく、店舗の店長やアルバイト、時には顧客にその加盟希望者の働き振りを尋ねて、慎重に判断しなければならないのだ。今回のような以上事件を起こすような加盟希望者の問題点を事前に把握していないとしたら、判断をしたSVや経営者に基本的な問題があったと言えるだろう。

牛丼店長殺人事件や、ステーキ屋の事件は事前に、店長が悩んだり、行動におかしいと言う問題があったはずだ、SVの重要な仕事の一つは従業員のカウンセリングと言う仕事を通じて問題が発生する前に防ぐと言う危機管理の仕事があるのだ。今回の事件でそれは不十分だったと言わざるをえない。ステーキ屋の事件の数ヶ月前にはインターネット上にその店長や部下の異常な行動や言動が報じられていたからだ。  

さて、ここでSVの重要な仕事を見てみよう。
SVの仕事は顧客から見えるお店の品質であるQSCをチェックし必要であれば改善を命令し問題があれば従業員を教育し、それでも問題が解決しなければ閉店を命ずる強大な権限を持つ。また、企業として成長するための管理、人物金の管理をする。QSCの問題が解決しないのは主として店舗の従業員の問題であり、教育してもだめな場合はこのSVの基本的な業務は会社の大小に伴わず代わりがない。

中小チェーンのSVの大きな課題は経営者の代行である。代行といっても経営者のように威張るのではなく、会社や経営者の持つ経営理念、社会への貢献、これからどのような企業になるべきかを経営者に成り代わって伝え、浸透させることだ。1968年の大阪万国博覧会でKFCとロイヤルが出店し、これが水商売から外食産業への転換だと言われている。その後、マクドナルド、すかいらーくが外食産業に参入し、水商売のイメージを一新しようと図った。当時の飲食業に従事する人の「飲み打つ買う」というイメージを変えるべく、ロイヤルやデニーズの店長やSVは企業のロゴをつけたブレザーをまとい、髪の毛は短く借り上げるなど外観からプロフェッショナルの雰囲気に徹していた。従来は中卒や高卒の社員が中心であったが、初めて大卒を積極的に採用し単なる調理やサービスから経営管理をするのが仕事だと言うイメージを生み出した。また、業界のリーダーであったロイヤルの故江頭社長は社員教育に熱心で社員を米国の大学に留学をさせるなどの工夫をこらしていた。マクドナルドの故藤田田社長も産業化の必要性を感じ、基本的に大卒採用で、本社も当時心十区副都心に誕生した高層ビルに本社を構え、外食産業も立派な産業なのだという意識を社員の植え付けていた。

この経営者達の外食産業化への思いを部下に伝えるのが当時のSVの重要な仕事であり、服装だけでなく、日常の行動もきちんとし、部下に会社の方針、理念を口すっぱく説くという重要な役割を果たしていた。

では、中小チェーンのSVのあり方を見てみよう

1)SVへの抜擢、店長とSVの違い
中小の経営者がSVを選択する際に陥りやすい間違いは、優秀で経営者の言うことをすぐに実行する店長を選ぶことだ。店長は一つの店舗にいるから従業員と接触する時間が長く、理論よりも体を張って教育したり運営をする。優秀といわれている店長ほど肉体派である例が多い。そんな店長を抜擢し、複数の店舗を管理するSVに抜擢すると、とたんに時間配分のやり方がわからなくなり、混乱し、自らスーパー店長になり、店舗の店長のやる気を失わせる。  

店長というのは塗り絵を塗るという仕事、SVは白紙の紙に好きな絵を描く仕事という違いがある。塗り絵は色を付けるときに線をはみ出してはいけない。単に使う絵の具を自由に選べるだけだ。SVは一定の大きさと材質の白紙の紙に自由に絵を描き、色を使うことができる。しかしその絵はきちんと販売できなくてはならない。すなわち仕事の成果は必ず利益につながらなくてはいけないのだ。  

2)経営者のSVへの教育 
SVの業務はQSC、人物金の管理と、部下の教育、売り上げ増大,利益増大、、等の他にさらに重要な任務がある。それは店舗のオペレーションシステムの改善である。SVの業務は会社の方針を店舗に伝えるだけでなく、店舗のシステム的な問題点や改善方法を本社へ提案しなければならない。店舗の現状をもっとも把握しているのはSVなのであるから、その改善方法のフィードバックすることにより会社全体のシステムの改善が可能になる。幾ら本社に優秀な人材が座っていても、店舗の現状を知らなくては何もできない。かりに何かをしようとしても店舗の現状を把握しないまま行っても全く効果がないばかりか、逆効果で店舗の意欲を失う基なのだ。  

SVの役割というのはチェーン運営を考える上で最も重要であり、そのためにはSV用の優れた教育コースが必要なのである。多くの飲食チェーンでは店長までの教育コースはあるが、SV用の教育コースを備えているのは僅かである。SV教育では具体的なQSCの向上手法と同時に、会社運営への参加意識の植え付けが必要になる。SVは企業経営の要であるという認識を持たせ、いかに会社にとって重要なのか、大切に思っているかを認識させることが重要だ。このSVにたいする教育はチェーン経営の将来を左右するほど大切である。

3)いつSVが必要か
経営者の皆さんが「店舗を月に2回以上訪問できなくなった」「従業員と月に一回じっくり話をすることができなくなった」「店舗で従業員と会ったとき(P/Aも含めて)名前がでてこない」というのがSVが必要になる兆候だ。  

SVは毎日変化する多種多様の業務をこなす必要がある。あまり忙しいのでつい、問題点を発見した際に自分で解決しようとしてしまう。体を動かしていた方が楽だからだ。そういうSVをスーパー店長と呼ぶ。SVがスーパー店長になると自分は命令をするわけだから気分がよいが部下はやる気を失い,仕事がうまく行かない理由をSVに押しつけるという悪循環に陥り出すようになる。

4)中小チェーンのSVの最も重要な業務は人材育成だ
SVの本来の仕事は人材育成だ。そこで最も重要なのはオーバーコントロールをしてはいけないと言うことだ。今まで店舗で働いてきた中でどうやって自分が育ってきたかを考えてみよう。その人が貴方にどんな命令をしただろうか。本当に勉強になった上司というのは貴方に権限を与え失敗の自由を温かく見守ってくれたはずだ。そして、失敗して困っているときに初めて助けや助言を申し述べてくれたはずだ。それがあなたの可能性を最大限に引出すことのできた大きな理由だろう。  

子供に歩くことを教えることを考えてみよう。子供が歩きだそうとする時は,最初はおぼつかない足取りでよちよち歩き、転ぶときもある。その時,転ばないようにいつまでも手をつないで側にいてはなかなか自立できない。転んでも怪我をしないように場所を考えて歩く練習をさせ、転んで失敗をさせながら,上手に歩けた時に誉めて自信をつけさせるようにする。その子供を育てるのと同じだ、怪我をするからといって過保護にするといつまでたっても自立できない。  

自分が部下に対してどのように振る舞っているか考えてみよう。自分にとって本当に勉強になった上司と同じ様に振る舞っているだろうか、部下をオーバーコントロールしていないだろうか?かつて自分が与えられたのと同じモーティベーションを、店舗のマネージメントチームにも当然与えなければならない。彼らを認めてやり、良い仕事をした時は素直にほめる。彼らが自分達の可能性を引き出せるような自由を与えてやらなくてはいけないわけだ。  

このアプローチで大切なことは「誠実さとコミュニケーション」だ。客観的に店舗を観察し、もし問題があればどんな状況なのかを部下の店長に知らせなくてはならない。SVは店舗の全従業員がやる気をもてるようにするために、良い仕事はその場で認め、志気を鼓舞しなければならない。SVとして成功するには、店舗全員の従業員のやる気を引き出し、時には彼らからSVや会社に対する批判も含めた様々な意見や考えを聞き出す事である。

5)SVの具体的な機能と役割

5)SVは将来の幹部候補生
SVという職種は経営者の代行としての一歩であり,将来の幹部候補生としての位置づけになる。SVはリーダーシップと見識をしっかりと判断される。そして選別を受けた後、担当の地域に帰り店舗運営に当たる。この段階で成果を出したSVは将来の幹部候補となる。

SVコースが幹部候補になるかどうかは、店舗の経営管理だけでなく、生活態度や行動を確認しなければならない。経営者はSVと朝まで酒を飲みながら、リーダーシップがあるか将来経営幹部としてやっていけるかをしっかりと観察する。一緒に酒を飲むのは酒に飲まれないかを観察するためだ。また、女性の多い職場であるから、女性に節度を持って接するのかを見るのに良い機会なのだ

<SVの機能と役割>
 SVの機能と役割は9つある。

(1)店舗のQSCのインスペクションと改善 
SVは店長の上司に当たる。SVの機能としては現場のQSCのチェックマンであるだけでなく、店舗現場におけるQSCの最終責任者でもある。SVは上司として部下の店長へ改善の指示を与える。指示を与えても改善ができなければ、指導、教育、訓練を行い、あるべき姿まで改善する責任を持っている。インスペクターとしてチェックするだけで、改善するのは他の人であるというのは,改善する人がもう一度店舗を見なければならないと言う無駄が生じるし、無責任な発言を生み出すことになる。  

店舗のQSCが基準に達するためには必要であれば,店長を降格させたり、閉店を命ずることもできる強大な権限を持たせなくてはならない。

(2)プロフィットセンターとしての利益管理  
SVは担当店舗の売り上げと利益管理を行わなくてはならない。勿論店長やSVがいくら頑張っても競合店の出現や地域的な経済動向により,売り上げが低迷し利益が大幅に減少することがある。しかし、すべての店舗がそんな状況ではないから,自分の担当の他の店舗の売り上げ利益をしっかり管理する。場合によっては販売促進策を実行し,エリア全体の売り上げ目標と利益を確保しなくてはならない。1店舗の利益は落としてもエリア全体の利益を確保するというプロフィットセンターとしての機能が最も重要になる。そうすることによりチェーン全体の利益が予定通り確保することが可能になる。もし,SVエリアでの利益確保が難しい場合には統括SV単位での利益確保を行わなくてはならない。  

チェーン展開をするに従い経営者の目が行き届かなくなり利益が減少するという現象をよく見るが、これはSV単位の利益管理というしっかりとしたシステムを構築していないからだ。

(3)人材教育  
SVの機能で忘れがちなのが人材教育としての機能だ。各チェーンは本部にトレーニング部などを持ったり、外部のトレーニング機関に依頼して、マネージャー、店長への教育を行っているので十分だと思いがちだ。店舗の社員教育でもっとも重要なのはオンザジョブトレーニング(OJT)だ。現場での実務に応じた適切なトレーニングこそ顧客に密着したQSCを提供できるのだ。本部のトレーニング部や外部のトレーニング機関は店長に対する人事権を持っていない。トレーニングが店舗の成果につながるのは,評価をする人間がそのトレーニングに当たる時だけだ。  

教育は現場でのOJTだけではなく、店長会議やアシスタントマネージャー会議を通じて物を考えさせ発表をさせるという,プレゼンテーション技術も含まれる。店長やアシスタントマネージャーは店内会議を開いて、店舗のアルバイト、パートタイマーに新しいメニュー、方針、などを発表したり,P/Aのアイディアを聞き出さなくてはならないからだ。

人材教育とはマン・ツーマンで自分の知識や技術をわかちあわなければならないということだ。わかち合うと云うことで指示や指摘ではない。SVの過去の経験や失敗談を交えて具体的に仕事をわかりやすく教えるという忍耐力がポイントだ。問題点を指摘するだけでは能力や知識のない部下は改善できず、挫折感だけを抱くようになるからだ。問題点を指摘した後はそれを部下が理解しているか、解決策を自分で考え出せるかを測定し、もしできないようであれば必要な教育を施す必要があるだろう。教育は上司のSVが行うことができる場合もあるが、場合によっては必要な本社の集合教育や本社スタッフによる教育に参加させる必要があるだろう。部下に教育をするには部下になぜそれを勉強しなくてはいけないかを理解させる必要がある。理解しないで嫌々トレーニングを受けても身に付かないからだ。

より多くの優秀な部下を育成することがSVとしての貴方の仕事を達成するための秘訣だという事を忘れてはいけない。

(4) 経営者  
SVは経営者としての意識を常にもちつづけなくてはならない。誰かに命令されないと行動を起こせないのではSVとして失格だ。常に担当店舗を観察し、必要な改善策や教育があれば自分で判断し行動を起こさなくてはいけない。また、業務で失敗をしたときにそれを決して他人のせいにしてはならない。失敗した理由を分析し同じ失敗をしないように肝に命じ直ちに改善策に取り組むという積極的な姿勢が最も重要である。

中小のチェーンの場合にはSVは経営者の分身としての機能を受け持つ。飲食店の経営者は店を管理する上で以下の機能を無意識に使い分けている。  
例えば新店舗を開店する場合を考えてみよう。
<1>物件を見つける(店舗開発、調査、財務、総務)  
物件を見つけるには普段から不動産屋と頻繁なコミニュケーションをとり、物件がでたらいち早く交渉し、物件の調査にとりかかる。通行量や客層,競合となる飲食店を調べる。そして、売り上げを予測し、その売り上げで家賃、保証金、設備投資をまかなえるか損益のシュミレーションを行い、問題なければ、契約書の内容をチェックし契約する。

<2>店舗コンセプト(業態開発、商品開発)  
出店が決まったらどんなタイプの飲食店にするか決める。チェーン店を目指していれば躊躇しなくても良いが,同一の地域に複数店舗を展開する場合には自社競合をさけコンセプトの異なる飲食店の形態を考える。そして、その飲食店の形態に合わせた独自のメニューコンセプトを作成する。

<3>店舗の設計と発注(建設、機器開発,資材)  
店舗のコンセプトが決まったら店舗の内外装デザインの会社と打ち合わせだ。店舗の外観は大事なので看板のデザイン、大きさ、入り口のデザインを慎重に打ち合わせる。内装は雰囲気も大事だが周囲の客層を分析し同伴人数と一卓当たりの椅子の数が適合するように設計する。キッチンから客席への導線も無駄がなく手早くいけるかも考えて配置する。また、キッチンも生産性の良い合理的な調理機器を導入し働きやすいようにする。  設計が決まったら施工業者の選定を行う。いつも決まった業者でなく,その時々の能力条件により最適な施工業者を採用する。

<4>人の募集(人事部)  
開店の日時が決まったらそれに併せて社員、P/Aを募集する。募集の条件を考え媒体を選定し掲出する。面接場所を決め、面接を行い採用する。採用した社員、P/Aは既存店などを利用してトレーニングを開始する。

<5>店舗の備品、ユニフォームなどの発注(資材)  
店舗の規模、人数、コンセプトが決まったら、備品やユニフォームなどの必要数を算出し、注文する。

<6>食材の発注(資材)  
新店舗の開店にあわせて食材などの資材を発注する。新コンセプトの業態であれば新メニューにあわせて食材を供給する問屋などを吟味して選定する。

<7>宣伝活動(広告宣伝)  
新店舗の開店にあわせて売り上げを上げる販売促進や広告宣伝の手配をする。新聞にチラシを織り込むのであれば,店舗の商圏を把握し媒体の新聞を選び、いつ折り込むか,何枚折り込むかを決める。また、店舗の看板はいつ出すか、捨て看板を使用するのか、通行人にチラシを配布するのか、新規開店のお土産などはどうするのか,などの手配もしなくてはならない。

<8>店舗開店(店舗運営部、SV、店長)  
店舗が開店後も最高のQSCを保てるように店舗の指導が欠かせないし、店内会議などを通じてのコミュニケーションも必要になる。また、人材がしっかり育成できるように個人別に仕事を観察し、適切なトレーニングを行うと同時に、正しい仕事上の評価を与える。 売上金の不正がないように伝票のチェックや食材コストの分析、監査を定期的に行う。

(5) 中間管理職  
店舗と経営者の間に立って、コミュニケーションを円滑にし常に店舗の人間の業務をやりやすいようにサポートをする中間管理職である。中間管理職といっても単純に上司の命令を店舗に伝えたり店舗の問題点を上司に報告するという単なるメッセンジャーではない。上司の命令でも納得ができない場合には,店舗従業員の立場に立って納得できるまで上司とディスカッションをしなくてはならない。店舗の問題点も単にオウムのように上司に報告するのではなく、必ず自分の目で現場の問題点を確認し、SV自ら改善できるように努力し、それでも解決できなかったり上司の助けを必要な場合になって初めて報告するようにする。いずれの場合でも必ず自分の言葉で報告や指示できるようになるべきである。

(6) 上司  
店長に業務上の指示を与えながら同時にやる気も引き出し、必要ならトレーニングやヘルプもしなくてはならない。そして仕事を評価し認めたり改善の要求もしなくてはならない。店長ばかりでなく店舗従業員全員へも注意を払い続ける必要がある。上司であるという立場を利用して命令だけで業務を進行してはならない。業務を伝えるときには必ずなぜそれをしなくてはいけないか合理的な説明をできなくてはいけないし、部下が理解できなければわかるまでわかりやすく説明したり、場合によっては勉強会を開いたりというトレーニングを通じて仕事を達成するという辛抱強さを持たなくてはならない。

(7) 部下  
SVは店長の上司であると同時に経営者の部下でもある。上司である経営者の立てた方針に従い、その方針や目標を達成する義務がある。経営者や運営部長、統括SVは多くの業務を抱えて忙しい、部下の貴方に簡単な命令だけで業務を言いつけるときもあるだろう。だからといって不満を持ってはならない、上司の命令の意味を分からないと言うのは貴方が不勉強だからだ。上司の仕事の忙しさを理解し、その意をくんで正確に業務を遂行しなくてはならない。

(8) 多店舗経営者  
SVは経営者の代行として店舗指導に当たるわけで広い自由裁量権を与えられている。だからといって自分の思うままに店舗を運営してはならない。SVは5ー10店舗の店舗を経営する、いわばフランチャイズオーナーと同じだ。本社の決めたマニュアル、システムを遵守し、それらに則って店舗指導経営に当たらなくてはならない。一定のガイドラインの中で自分で工夫し最大の利益を上げるという努力が必要だ。

(9) 自己の実現  
自分自信の目標を明確に持ち,その目標や夢を実現させる時間を作る努力を怠ってはならない。良い仕事をするためにも気分をいつも新鮮に保ち自分の仕事を客観的に見つめ直せる時間を持つことが大切である。同じ事は部下にもいえるので、自分の時間をもてるようにスケジュールに注意を払わなくてはいけない。  

上記に述べた業務をやり遂げ、なおかつ店舗で毎日起きる問題処理にあたるにはどうすればよいのだろうか。数多くの問題に対処する際には発生順に行ったりやりやすいところから着手してはいけない。まず、優先順位を決めて問題の大きな物から対処することが重要だ。  

毎日問題点を整理し,優先順位をつけスケジュール化し、時間を有効に使っていくことである。一つの問題点を解決できないからと言ってその問題にかかりっきりになってはいけない。バランスよく業務を判断するフレキシビリティが要求される。完璧でなくても良いから自分と店舗にとって、その場で最善と思われる判断をするしかない。それでうまく行かなければやり直せば良いではないか。悩む前にまず問題解決に当たるという行動力こそがSVの貴方に求められているのだ。

4)SVの資質や仕事  
SVに要求される資質や仕事内容はチェーンの規模、その段階により異なる。チェーンの規模、段階は3つのステージに分かれる。

第一ステージ
市場に競争はなく店舗を開くと売れる時期である。 業種ではなく、創業者の強烈なリーダーシップに惹かれ参集した。店舗数は増加しているが、マニュアル管理ではなく精神力による気迫で店舗を管理する。

第二ステージ
初期の成功を見て競合が出現する時期 競合に打ち勝つためには創業者の理念による成功の方程式を明確にし,各分野における仕事を磨き上げ、独自のノウハウを構築する必要が出てくる。リーダーシップを持っているだけでなく具体的な仕事を論理的に構築する人間が求められてくる。リーダーシップに長けているだけでなく何か一芸に秀でていなければならない。

第三ステージ
競合が激化し、店舗、会社としての総合的な能力が要求される。 第二ステップの段階で会社としてのノウハウは構築が終了しており、数多くの店舗を開店するために必要な大量の人材の育成を行い、創業者と接する機会がない人たちに対するハングリー精神やクリエイティブさを持たせるために総合的な教育システム、マネージメントシステムが必要になる。人、物、金、QSCをバランス良くコントロールできる組織力が必要で、決められた仕事を正確に達成する真面目な人が要求される。ただし、官僚的にならないように創業者の精神を常に訴求し忘れさせないようにする。  

チェーン化を実現するためには以上の3つのステージをクリアーしていかなければならない。外食産業ブームの中でキチンと3つステージを踏まないで,時の勢いでチェーンになったところは後で苦しむことになる。


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