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2004年2月号

元気が出る良い話、優れた店舗運営


 

2003年5月LAを訪問した。2日目まだ時差ぼけの目をこすりながらホテルを出て、10時前にあるお店に到着した、店舗はショッピングモールの入り口にあるが、まだ、ショッピングモールが開店していないため駐車場は閑散としていた。何だ、大したことないじゃないかと店舗に入った筆者は驚かされた、カウンター前には行列ができているではないか、外を見てみるとドライブスルーレーンには車が10台も列を作り、その列が途切れることがない。


しばらく呆然とお店を眺めていたら、3歳ぐらいの子供の大群が押し寄せてきた。彼らはガラス張りの厨房をのぞき込んではしゃいでいる。しばらくすると彼らのお母さんと保育園の先生が到着、子供達に合流して厨房を眺めている。しばらくすると厨房から責任者が出てきて、子供達に袋を渡している、子供達が我先に袋を開けるとそのお店の紙の帽子と商品ができるまでの説明書が2枚同封してある。子供達は帽子をかぶったらストアツアーの開始だ。担当者は商品のできるまでを子供達にわかりやすく説明している。説明が終わると子供達の歓声が店内にこだました。何だろうと思ったら、見学会の後の試食会だった。

美味しそうだなとうらやましく思いながらカウンターに並ぶと、従業員が揚げたての熱々のドーナツ一個を試食しろと言う。見てみるとカウンターに並んだ客全員に気前よく揚げたてのドーナツの試食を勧めている。

この店の名前はクリスピークリーム http://www.krispykreme.com/ と言う南部から生まれたドーナツチェーンだ。前々から友人が凄いドーナツ屋ができたから食べに来いと言われていたのだが、日本ダンキンドーナツの設立に参画していた筆者は、なんだドーナツなんて時代遅れだと思っていた。しかし、その店舗の活気を目の当たりに見て衝撃を受けた。

日米のハンバーガー、フライドチキン、ドーナツなどのファーストフードは低価格戦争に参入したが、ここ数年低迷している。商品の陳腐化と、カロリーが高く健康に良くない、製造工程を見せないので手作り感がない、と言う消費者の不満が大きな理由だ。
そのファーストフードでも売られているドーナツをクリスピークリームは
ドーナツシアターと呼ばれる店舗のガラス張りのキッチンでドーナツ製造工程を全て見せて、出来立てのフレッシュ感をアピールしている。厨房は清潔でゴミ一つ落ちていない。ドーナツをこねる工程から、品質チェック、発酵、揚げる、グレージング(ハニーディップをかける)、冷却工程、全てをガラス張りで公開している。ガラス張りの部分には高い段をつけて、保育園の小さな子供でも見学できるようにしている。

 繁盛の理由は安売りではない。店舗でドーナツをダースで買うと、オリジナルグレイズドで5.99ドル(1個75セント)。アソーティッドで6.49ドル1個85セント)とダンキンドーナツより5割以上高価だ。
通常、ファーストフードは大量のコマーシャルと新聞折り込みなどを使い、客を強引に店舗に引き寄せている。しかし、クリスピークリームはそんな大量のコマーシャルなどの販売促進は一切せず、チャリティ活動と子供を大事にするストアツアーだけで行列のできるお店となっている。
チャリティ活動を行う団体の代表者が申込用紙に記入し提出すると、ディスカウント価格で購入できる。通常の価格との差額分がチャリティの収益となる仕組みだ。チャリティに積極的に取り組むのはキリスト教の信仰心の厚い、比較的裕福な人たちであり、その人達の信頼を勝ち取ったクリスピーのドーナツはダンキンドーナツよりも一段上の商品イメージを獲得することに成功したのだ。しかもチャリティで販売してくれることで、今までドーナツを食べたことがない人も美味しさに目覚め、店舗を訪問してくれるなど大きな販売促進の手段ともなるわけだ。
 ディスカウントと大量の広告宣伝に頼らないでも繁盛店を作り上げるという原点に返ったチェーンだ。特にストアーツアーをしている子供達の生き生きとした目と歓声は印象に深く残っている。 


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