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フードサービス地区部長の仕事 第10回目


新店舗の標準化

急成長するチェーンレストランは大量の新規開店を行わなくてはいけないので、新規開店専門スタッフを使用して、開店するようになる。新規開店だけを担当するのだから、オペレーションはベテランで、人使いも上手な人間を選定する。開店屋の責任は開店をスムーズに行うことだから、部下を厳しく評価するよりもおだてたりすかしたり、甘やかしたりして使いがちだ。
開店屋の後を受け持つ新任店長は、開店当初の忙しさを知らないから、落ち着いた店舗の欠点だけが目に付き、店舗の部下に問題点を指摘し、早急に改善をするように命令する。それまで上司に怒られたことのない部下が急に新任の店長に厳しい評価を受けたら、まるで、いじめられたような印象を抱く。
店舗のアルバイトはお店に親愛感を抱いているから、開店屋の店長の後を追いかけるわけには行かない。そこで、新任の店長と対決をして、自分たちの居心地のよい店舗を守ろうとする。その結果新任の店長と対立して、ベテランのアルバイトが大量に退職し、急激に店舗のオペレーションが乱れ、売上の低下を招くと言う問題を引き起こす。
チェーン展開を急速に行って新店舗の初期の売上は好調だが、しばらくすると売上が急速に低下する現象を感じ取ったら、開店屋の店長を使っていないか確認をした方がよいだろう。
新規開店は通常の既存店運営とは異なる仕事であり、経験を積まないと失敗をする、そのために誰でもスムーズに開店をできるように、時系列順に何時どんな作業を行うのか、その都度現状はどうなっているかを確認できる開店マニュアルを作成しよう。
開店マニュアルは店長では作成することは難しい。少なくても年間に10店舗以上の新規店舗を2年ほど開店した経験のある地区部長クラスでないとできない仕事だ。

開店マニュアルとは以下の内容をカバーするものとなる。
1)新店舗の担当SVを決定する。
店舗のレイアウト、設備、看板など設計変更に関する件はSVが担当するので、工事着工前の設計変更可能な時期を選んで任命する。一般的に工事は45日から60日かかるので、2ヶ月以上前に発令する。SVは担当店舗の商圏、店舗設計図などを確認し、必要な販売促進戦略、店舗設計修正などを行う。
開店までをスムーズに行うために設計部門との工程会議などに出席し、店舗側の要望を伝えたり、その後の進行が予定通りかモニターをする。社内の店舗設計担当者、設計事務所、内外装施工業者、厨房設備業者、等を確認し、各人とコミュニケーションをとれるようにする。その他、保健所、消防署、労働基準監督局、等への諸手続を担当する場合がある。店舗開店に当たってはSVが最終責任者となり、店舗の設備、内外装、看板、厨房設備、等が設計図や仕様書通りになっているか確認する。また、開店後1〜3ヶ月後に再度店舗の検収を行い、修理や修正が必要な箇所をリストアップし、その確認を待ってから最終の支払いを完了する。
2)店長の人選
店舗のリクルート、諸手続のために店舗開店1月ほどに発令する。その後、追加の社員についての選任と、社宅の手配、異動に伴う人事手続き等を行う。次に店舗商圏を把握し、売上設定をおこなう。それに基づいて最適のリクルート媒体を把握して、リクルートを開始する。その際に新店舗近隣の店舗または事務所を借り上げ、面接ができるようにする。
3)売上設定
新店舗の売り上げ設定は大変重要であり、配属社員の人数や初期のアルバイト人数を決定する。あまり弱気だと開店時の高い売上に対応できず、QSCが低下し、すぐに売上が低下し、それを戻すのに時間がかかる。売上を高めに設定するとQSCは保たれるが、人件費率が高すぎたり、材料の賞味期限切れによる食材コストなど利益を大きく減少する。また、売上のレベルにより販売促進をどのように行うかも対応しなくてはいけない。
4)商圏を把握後、年間売上と損益計算書を作成する。
商圏地図を購入し、近隣の店舗の売り上げを見ながら商圏を設定し、出店調査の際のデーター、特に店舗前通行量を参考に売上設定を行う。同時に営業時間の設定を行う。
5)社内、取引先に新店舗開店を告知する。
社内各部の支援を得るために新店舗名、SV、店長、仮事務所所在地、電話FAX番号、店舗面積、倉庫面積と場所、開店日などを告知する。食材などの配送ルートや搬入時間を決定する。

6)店舗必要資材の発注業務
売上に基づいて、食材の発注をおこなう。通常の店舗運営と異なるのは食材
以外の発注が必要不可欠であり、慣れていないのでミスが発生しがちである。そのために必要な資材をリストアップしチェックリストを作成しミスがないようにする。
7)アルバイト関係
 開店前のトレーニングをする店舗を決定し、該当店舗に依頼する。また、ト
レーニング担当者を決定し、アルバイト別にトレーニング進行状況を正確に把
握できるようにする。店舗には社員用の管理マニュアル、アルバイト用のトレ
ーニングガイド、マニュアル、チェックリスト,VTR教材、等を用意する。店舗
ではアルバイトがゆっくりと休憩できるように休憩室の備品の手配、等を行う。

8)開店前の店舗設備確認
<1>安全確認
冷暖房の稼働確認、電気ガス設備の安全装置、メーターの場所を確認する。
特に配電盤の位置、器具別のブレーカー、器具によりヒューズなどがある場合はその予備などを確認する。排気ダクトの場合は排気口の位置、排気モーターの位置、ファンベルトの予備、防火ダンパーの位置とヒューズの予備、等を確認する。最近は自動消火装置設置を義務づけられることがあるが、開店当日にあまり忙しいとダクト内が高温になったり、誤動作を引き起こしてピーク時に消火液が噴出して営業できなくなるので、事前には調理テストを十分に行い作動を確認する。また、問題が発生した場合に即座に対応できるように担当者の連絡先、携帯電話などを控えておく。
その他、灰皿、吸い殻の処理などを確認する。防火関係は大事なので、消防用の避難器具、消火器、懐中電気の設備場所と個数が指定通りか確認する。また、事故があった場合にそなえて、救急箱の備えと救急病院の場所を確認しておく。

<2>販売促進用のメニューやポスター、POPの在庫確認
 POPだけでなく、開店当日のサービス品があればその個数、保管場所を確認し
当日に不足がないようにする。開店前のチラシ配布の手配、開店当日の店頭配
布の人員とチラシ枚数の手配など綿密に行う。繁華街などは看板が目立たない
のでプラカードを持たせるなどの緻密な手配を忘れないようにする。

<3>調理の確認
全ての調理機器を稼働させ、基準通りの能力が出ているか確認する。フライ
ヤーやグリドル、オーブンなど、温度設定が必要な場合は正確なデジタル温度計を用意して、温度設定を再確認する。
 また、実際に調理を行い、細かい調理機器がそろって、当日に調理がきちん
とできるか確認する。忘れやすいのは調味料などの細かいものであり、実際に
調理をして、最終確認を行う。同時に小道具や調味料の置き場所を決定し、当
日にスムーズに開店をできるようにする。

<4>清掃用具、洗剤の確認
調理だけでなく、調理後の清掃を行い、清掃用具や洗剤がきちんとそろって
いるか、設置場所は間違えないか確認しておく。トイレなどゴミ箱やトイレットペーパー、ハンドペーパー、等細かい備品も確認する。


9)売上と書類管理
開店に追われて忘れがちなのが、売上の入金方法、売上報告の決定、釣り銭
金額と両替方法の確定、連休の際の売上保管方法、日報、週報、月報、損益計算書、人件費管理フォーム、発注管理フォーム、支払い手順、店舗印の手配、
ファイルの準備、等、チェックリストを作成し、保管場所も明確にする。開店
のどさくさの場合には現金事故が起きやすいので当日の高額紙幣の取り扱い方、
途中のレジからの中抜きを誰が担当するのかを決めておく。

10)近隣との人間関係
 チェーンレストランは利益追求や効率追求のために近隣との良い人間関係を
築き上げるのを忘れ、開店後大きなトラブルに発生することがある。そのため
に、商店会、町内会等への加入、地域のお祭りの協賛等の必要性を事前に確認
し、チェーン本部の決済を受けておくこと。又、開店当日は忙しく店舗前交通
量が増えたり、深夜まで音がうるさくなり近隣よりのクレームを受けやすいの
で、店長は事前に挨拶に行き、招待券などを配っておいたり、開店前に近隣の
住民を店舗招待などをして、良い人間関係を築いておくこと。

(続く)

お断り
このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


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