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フードサービス地区部長の仕事 第6回目


売上向上に必要不可欠な店舗改造

店舗が開店して、5〜7年以上経過すると店舗内外装の陳腐化、老朽化が進み客離れを起こしだすが、それを防ぐのが地区部長の重要な役割だ。
 店舗改装計画は3つの作業がある。
1)店舗の物理的な制約はないか現場分析をおこなう
<1>店舗基礎データーをきちんと把握する
建物のタイプ 独立店舗 ビルイン ショッピングモール 等
店舗総面積    厨房面積   倉庫面積  客席面積
年間売上 売上の最も高い月 売上の最も高い週 売上の最も高い日
持帰売上比率
商品別売上構成比率
客単価
平均グループ人数
テーブル数      座席数
駐車台数   客用    従業員用
厨房面積     休憩室面積
冷蔵庫容量   冷凍庫容量  倉庫容量

<2>客席レイアウト、キャパシティ、効率の分析
(a)客席効率
 ピーク時に全てのテーブルが埋まっている(満席)時に、座っている客数を数える。その時の客数を総席数で割った数字が客席効率となる。総席数100席で満席時(相席をさせないで全てのテーブルが埋まった時)の客が50人であれば50%、つまり客席の効率は5割しかないと言うことになる。この数値は効率を考えれば100%が望ましいが、それでは余裕がなさ過ぎる。通常は80%あれば満足できる。
効率を上げるためには客の同伴人数と客席テーブルレシオ(1テーブルあたりの椅子数)が近い数字になるようにする。客席テーブルレシオが4で客同伴人数平均が3であれば稼働率は75%となる。
テーブルレシオ数値はなるべく低いほうが良いが、業種と立地により異なる。2人客が多い平日と、家族連れの多い土日という曜日や時間帯の変動に対応できるように、客席テーブルレシオを変えられるようにする。レイアウトを固定するブース席と、移動可能なルーズ席との両方を設置する。ルーズ席は曜日や時間帯により同伴人数に合うように異動して,フレキシブルなテーブルレイアウトを可能にして、客席効率を最大限に高められるからだ。
しかし、高級レストランでは効率だけでなく全体の雰囲気も重要であるし、接待も多いので効率だけを追うのではなく、ゆったりとした雰囲気が出るようにテーブルレシオを決定する。

(b)客席回転率
1時間当たりの客の滞席時間を記録する。客が席について食事を終わって出るまで45分かかったら、その客席の1時間の回転率は1.25回転となる。客単価が1000円,4人掛けが25席,合計100席ある場合は,1時間の売上は125000円となる。滞席時間が短くなれば回転率が上がると同時に売上もあがる。この改善には後で述べる調理場の改善やオーダーエントリーシステム等が必要だ。

(c)客席レイアウト
厨房から客席へのメイン導線と、ウオーターステーションを中心とした担当者別の導線を明確にし、各サービス担当者の導線距離が同じになるようになっているかを観察する。ゾーニングも重要で厨房からの導線、客の導線を見ながら客席サービス係の担当範囲を効果的に決め,サービングタイムが最小限になるようにする。観察の際には従業員の移動距離をチェックするために万歩計を利用したりするとよい。

(d)客単価分析
売上を上げるには客数か客単価を大きくすれば良い。そのために客1人当たりが取る料理皿数や、一緒に注文する飲み物の出数をチェックする。その結果メニューやメニューブック変更が必要になるかも知れない。場合によってはテーブルテントやポスターで客単価を上げることが可能になる。

<3>駐車場 
台数だけでなく、レイアウトが使いにくいと主婦層が来店を嫌がる。客席が満席になりウエイティングがかかった状態でも駐車場に余裕があるかを観察する。駐車場への出入り口は幅広く入りやすいか、事故がないように周囲の見晴らしが良く、夜間は十分な明るさの照明を備えているか。子供などが店舗から飛び出さないように障害物を設けるなどの対策をしているか、等の安全性も確認する。
一台のスペースと通路は十分な寸法があり、駐車は容易か?最近は車の大型化が進んでいるので古い店舗は見直しが必要だ。無断駐車もチェックし、あまりに多ければゲートを設け、無断駐車されないようにする事を検討しよう。

<4>店舗視認性
 時が経過するに従い、横に建物ができたり、他の看板ができたり、街路樹が植えられたりで、視認性が低下する。店舗周辺の集客施設(ショッピングセンター、官公庁、駅、職場、学校等)から店舗に至るまでの経路をチェックし、建物や看板の視認性が劣っていないかをチェックし、必要であれば場所の移動、作り替え等を検討する。

<5>厨房と倉庫のキャパシティと生産性
 客席数が十分にあっても料理が素早く出てこなければ売上を確保できない。ピーク時に料理提供時間がどのくらいか計測する。FRや居酒屋は15分以内、コーヒーハウスは7分以内、FFは1分以内が適正だ。
 調理器具の性能が正しいか、調理機器が老朽化し交換が必要か、自動調理器が必要なのかを確認する。次は作業動線だ。店舗開店当時よりもメニューが増えていたり、調理方法の変更があれば、作業に乱れが来る。主力商品よりも追加してあまり数の出ない料理が要チェックだ。あまり出ないと総能力の高い調理機器を入れない場合が多いからだ。また、料理数を増やしたにもかかわらず、保管する冷蔵庫や冷凍庫が調理機器のそばにないとわざわざ奥の冷蔵冷凍庫まで取りに行かなくてはいけない、その場合にはアンダーカウンタータイプの冷蔵冷凍庫などを検討する。また、注文を素早く調理場に伝えるために、POSやオーダーエントリーシステムの変更や導入も考えなくては行けない。
 調理機器だけでなく、倉庫のスペースは十分あるか、冷凍冷蔵庫の容量は十分あるかを確認しないと、欠品や食中毒の恐れがあるから注意を払おう。

2)内外装等のデザインをアップグレードしたらどうなるか?
最近は店舗デザイントレンドの移り変わりが早い。常に同業種、同業態のデザイントレンドとメニュートレンドを確認し、店舗の売上が低下する前に対応しなくては行けない。本誌などの外食専門誌、food104などのインターネット情報、設計専門誌、等を購読し、情報を把握し、実際に見学をしておくこと。
建物外観の照度アップやリフレッシュ、看板の色やデザイン変更まで把握しよう。FR、FFは建物や内装の標準化と言う誤りを犯している。デザインの標準化を行い、壁紙やカーペットを大量発注することによりコストダウンは可能であるが、10年も同じデザインを続けていると、開店間もない店舗でもデザインは古くさくなる。調理場や倉庫、システム、等の顧客から見えない部分の標準化はキチンと行わなくては行けないが、店舗デザインは立地、形状により変更したり、毎年デザイナーの選定ティションを行い、設計を変更していく方が良い。


3)3つ目はプライオリティをつけること。
 全てのお店が5年や7年で自動的に改装をすることは無駄である。競争の激しい店舗は3年でキャパシティを増強したりする必要があるし、大型店であまり売上が高くない郊外の大型店の場合には内外装が痛まないので、簡単な手直しで10年ほど持つかも知れない。場合によっては競合が進出してくることがわかったら事前に駐車場を増加したり、客席数を増加したり、看板を増設したりの対策を、年数が若い店舗でも行わなくてはいけない。しかし、一度に厨房や駐車場、客席、建物外観の改造をする必要はない。それぞれ効果が高い順に経済効果を計算しながら実施しても良いのだ。
 地区部長は3年単位で自分の改装予算を把握し、何時の時点で何処の改装を行うか決めておく。改造した方が良いのか、場合によったら不採算店舗は閉鎖した方がよいのか検討する。近隣に競合店ができてから改装すると、改装期間の間に顧客が競合に流れ、戻ってこない危険性がある。その場合には店舗の移設を検討する。旧店舗を営業したまま新店舗を開店し、販促を既存の顧客に行ってから閉鎖すれば顧客を失うことはない。バブルの頃に開店したお店よりも新店舗の方が、保証金、家賃ともに安い場合があるから、店舗の移動は検討項目に入れたい。
 単年度の利益を考えれば店舗改装や閉店などを行わない方がよいが、3〜5年の単位で考えれば、投資をしていかないと何時か売上が低下するので、常に長期的な視野で店舗売上対策を考える必要がある。

 

(続く)

お断り
このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


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