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防火管理プログラム


防火管理プログラム

つい最近の新宿歌舞伎町雑居ビルの火災による40名以上の死者がでているが、過去のホテルニュージャパンや旅館の火災などの例から見ても、過失による火災でなく、経営者の安全管理上の重過失に対し、刑事責任で問われることになろう。勿論刑事罰だけでなく、被害者に対する損害補償も多額の金額となり、会社の経営を続けていくことが出来なくなってしまうはずだ。

飲食業は調理に火を使い、不特定の客が数多く出入りするので、火災の危険が最も高い業種であるといえる。特にP/Aが中心や24時間営業の飲食業はその危険性が高い。ではどうやって火災を起こさないようにするか、起こした場合にどの様にして被害を最小限度に押さえるかを筆者の実体験から見てみよう。

1) 火災予防活動、防火管理チェックリストの活用

火災を引き起こさないように未然に防ぐのが一番の防火対策だ。それには誰でも分かるようなチェックリストを作成し、チェックをしていくことが重要だ。以下はチェックリストのサンプルであるが、皆さんの店舗で必要な箇所があれば、付け加えよう。

 このチェックリストは現場の店長や時間帯責任者がチェックするだけでなく、本部や経営者が時々店舗の状態が大丈夫かチェックするための物でもある。定期的に防火管理のチェックを実施し、必要な改善や訓練をすれば火災は起こす危険は少なくなるし、万が一の際の責任も軽くなる。

 上記のチェックリストは思いつくままに書いているが、実は店長が店舗に入ってから、倉庫、厨房、客席を点検する際に並んでいる機器のチェックの順にすると、毎日チェックするうちに、ぱっと歩いただけで問題点が分かるようになる。上記の例を参考に店に入ってから、何時も行う安全チェックの順路別にチェックリストを並び替えてみよう。

<<日頃のチェック項目>>

 また、日頃に歩きながら軽く状態を確認チェックをする習慣を付けると、火災などが起きる前に異変を察知することが可能になる。

<早朝出勤の際のチェック項目>

<厨房の調理機器を動かす>

<営業中>

<閉店後施錠をする前に>

2) 準備と訓練

 火災と同様に生命の危険があるのは、地震や天災、先日のニューヨークのテロ、強盗、客からの暴行、車の突入などの事故、等だ。それらの危険は避けることが出来ないが、起きた際に被害を最小限度に食い止めるのが準備と訓練だ。    日頃から災害を予測し、その際どの様に行動するかを決定し、日頃から訓練を行うことにより被害は最小限度に押さえることが可能になる。

3) 事故の際にとるべき行動

ホテルや旅館の火災で死者を出した経営者が刑事罰を受けるのは、出火後に客を避難誘導しなかった、消防署への連絡が遅れた、日頃の消防訓練を行っていない、防火管理者の仕事をしていない、消防署の改善命令に従っていなかった、等、の日頃の訓練と備えをしていない場合だ。特に重要なのは出火後の避難誘導と安全確認、連絡だ。

出火の際には、店長または時間帯の責任者は店内の客と従業員の避難誘導をベテランの従業員に指示する、同時にもう一名を消火器などで消火作業に当たらせ、もう一名に消防署に119番通報をさせる。

と言うと簡単に思えるが、日頃から練習と、きちんと取り決めをしなくてはいけない。ではどんな準備や、訓練が必要か見てみよう。

火災発生時には責任者が慌てたり動揺して取り乱してはならない。深呼吸をして、直ちに現場指揮をとる。

(1)すぐ責任者が現場で指揮をとる。

ここでとらなくては行けない行動は3つだ。1つは避難活動、2つ目は鎮火活動、3つ目は連絡だ。店長または現場責任者は後2名のベテランに避難活動と連絡を指示する。責任者は最後まで店舗に残らなくてはいけないので、消火活動に直ちに取りかかる。

(2)避難誘導

出火した場合の行動を想定してみよう。火事が大きくなってからでは遅いので、まずお客様に避難をしてもらう。事故の際にはお客様の安全が第一、次が従業員の安全だ。最後が社員の安全を考える。

避難と同時に初期消火に取りかかるが、成功せず延焼の危険が出た場合直ちに全員の避難を行う。大丈夫だろうと思わず、人命第一で避難を指示する。

  1. お客様に落ち着いてくださいと声をかけ、安全な場所まで誘導する。
  2. 客の誘導が終わったら若い従業員から避難誘導を開始する。  

* 緊急連絡先には、本社、本部、テナントビルオーナー、事務所、責任者自宅、携帯電話、非常時の連絡先、等と共に全従業員の自宅、携帯電話、帰省先、緊急連絡先を書いておく、

同時に緊急避難の場所を火災時(自店の出火の場合)、大規模火災や天災(地震)等の際の広域避難場所を地図にして日頃から告知をしておく。

大規模火災や地震などの天災の際には緊急避難場所まで行かないで各自の判断で避難することもあり得るし、自宅や携帯電話がつながらない場合がある。そのため従業員が安全に避難した後、遠隔地などの電話連絡先を決め(チェーンの他店舗、経営者の親戚、その他の連絡先)必ず連絡を入れさせる。

大きな事故の場合には従業員の安否の確認が最優先であるので、短時間で連絡できる体制をとっておく。

地震などの際には通常の電話は使えなくなる。携帯電話も基地局が停電し30分ほどすると電池が切れ使えなくなるので、早めに連絡を行い、その後は最後まで優先して使える、緑色か灰色の公衆電話を利用する。その際にはカードなどが使えなくなる可能性があるので、10円玉や100円玉を用意し、緊急連絡先にセロテープなどで貼っておくと良い。

(3) 消火が出来る場合には消火活動にあたる

(1) フライヤーから出火の時

  1. 油に着火して炎が高く上がっていたら、まず、フライヤーに蓋などをかぶせて、酸素の供給を止める。
  2. 機器本体のON・OFFスイッチを切る。スイッチを切ることにより、ガスや電気などの加熱が止まるからだ。手元スイッチに手が届かないようであれば、配電盤のブレーカーで遮断する。慌てるとどこのブレーカーか分からなくなるので、日頃から、機械別にブレーカーに印を付け、特に火災の危険があるブレーカーに付いては赤丸などを付けてわかりやすくする。
  3. それでも火が高く上がっている場合は、油の温度を下げるために冷凍食品などを油に投入する。静かに行わないと火傷をするので注意して行う。
  4. ダクトを止める。ダクトを止めると内部の温度が上がりダンパーが作動し、炎が他の階まで上がらなくなる。
  5. ガスの元栓を閉める。
  6. フライヤーの蓋はすぐ外さず、油の温度が下がるまで、そのままにしておく。
  7. 消火器を用意してダクト内を点検し、内部が延焼していたら消火する。
    この時点で連やかに119番に電話をする。フライヤーファン吹き出し部分を点検し、煙が出ていないか確認する。

  8. 煙が出ていたら初期消火は失敗しており、延焼の危険があるので非常ベルを鳴らす。
    特にテナントビルなどに入居し同一ビル内に他のテナントがいる場合には延焼により被害が増加する。ダクト火災は自分の店だけでなく途中の階にあるテナントにも被害を及ぼすので念を入れて消防署にチェックをしてもらうこと、自己判断で営業を開始し、被害を拡大すると後で責任を問われることになるので注意をする。

<最低限度消火器の使い方はマスターしておこう>

(1) 消火器

消火器は火災のごく初期段階での消火設備として威力を発揮する。消火器はいざという時実際に使用可能な場所に配置し、設置場所の付近には標識を設けることが必要だ。 店舗にはABC消火器があり、油火災、電気火災、一般火災の広範囲の火災に対し有効だが、粉末消火剤の有効期限は5年なので、よく確かめ、期限が過ぎている場合には、業者に連絡し、点検、再充填、交換などを依頼する。

使用方法:

1) 安全ピンを抜く。

2) 火元にノズルを向ける。

ただし、揚げ油やフライヤーの場合には油に直接向けないようにする。 油が飛び散りかえって火災を広げるからだ。油の手前に噴霧し、噴霧の勢いで火が消えるようにする。

3) ハンドルを握る。

握ると噴霧が開始し手を離しても止まらない場合があるので、慎重に力を込めて握る。

4) ノズルを左右に振り、火元の手前から掃くように消火剤をまく。

消火器は数秒で噴出が終わってしまうので、安全な範囲で火元に近寄り、慎重に噴霧する。慣れないと失敗するので、防火管理者の講習会や消防署や地区の防火管理の催しなどに積極的に参加して、練習をしておくと良い。

注:使用した消火器は速やかに再充填をする。

<その他に必要な機器の知識>

(4) 緊急連絡

避難と同時に119番に電話をする。

最初に「火事です」と告げ、店名、ビル名、住所、報告者氏名、状況を知らせる。   →『緊急連絡先リスト』は電話のそばに置き、いつでも見られるようにし、避難の際には必ず持ち出す。(持ち出しできるようにファイルに入れておく。)

 火災は、緊急を要する問題で直ぐに119番する。

 この際に慌てると店舗の住所を忘れたり、緊張のあまり出てこない。店舗の電話機の上には店舗の住所をキチンと貼っておき、同時に緊急連絡先リストにも記入しておく

4)建物設計上の注意

天井、壁、安全装置

筆者が店舗管理の仕事をしていた際に火事を数回経験している。後で分析してみると複数の原因が火災を引き起こしていることが判明した。

<1>湯沸かし器が原因でダクト火災を引き起こし、店舗全焼、退店した。

 ある店舗で深夜湯沸かし器の排気ダクトから出火した。原因は湯沸かし器の老朽化もあるが、ダクトの設計ミスであった。通常のダクトと湯沸かし器のダクトは別途施工しないといけない。通常の調理機器のダクトは営業が終了すると作動を止めるが、そこに湯沸かし器のダクトが接続し別途使用していると内部が加熱し、火災の原因となるのである。

 店舗のダクトと湯沸かし器のダクトが別にあるか確認しておく必要がある。

<2>客席のゴミ箱の火災で全焼し、全面的建て直しを迫られた

ゴミ箱へ客がたばこを投げ捨てたか、放火か分からないがゴミ箱から出火し、気がつくのが遅れ、全焼してしまった。ゴミ箱はなるべく燃えない金属製にしたり、専用の大型灰皿の設置を行う必要があった。

<3>独立店舗の天井断熱材の火災

 ある独立店舗の天井から出火し、ぼやで鎮火した。後で調査をしたら、天井の断熱材のテストをしていたが、その断熱材が紙パルプであり、且つ、天井のダウンライトの周囲にかかっていたことから電気の加熱により引火した。これは家庭用の燃えやすい断熱材を採用した技術担当者のミスと、テスト終了後評価を行わなかったという複数のミスであった。ただ、幸いなのは、天井材がキチンと不燃材を使っていたため火災が広がらなかったと言うことである。

 そこで全店をチェックしたが、デザインを優先する店舗は天井に可燃性の木材を使用していたりしていたので、店舗設計仕様を見直し、不燃材の使用を徹底することにした。 バブルの頃にはディスコでシャンデリアが落ち客が死亡したり、1年ほど前もあるビジュアル系の和風居酒屋の新規開店の際に店内の瓦が落ちて客が大けがをしたことがあるが、これは店内などの内装には軽い素材を使うなどの、安全性に対する注意が欠けていたなどが原因である。最近はデザインを優先する店舗が増えたが、火災の際に安全かどうかはキチンとチェックする必要がある。

<4>グリドルからの出火

 これはしょっちゅう経験したいる事故で、原因は単純に清掃不足である。グリドルやフライヤーなどは後部や周囲に油が垂れてそのまま放置すると燃える危険性がある。小さな炎がダクトに入ると大事故になるので、日頃から清掃に注意しなくてはいけない。

<5>電気フライヤーからの出火

 フライヤーからの出火は一番多い事故で数多く経験した。多くはガスフライヤーなどの油槽からの油漏れを放置しその油に着火したのが火災の原因である。周囲や下部を点検し、異常を早めに発見すれば問題を起こす危険はない。

 電気の厨房は安全であると言われるが、必ずしも正確でない。あるコンビニエンスストアーに設置した小型の電気フライヤーから頻繁に出火したことがある。原因は温度計が壊れたためである。普通は温度計が壊れても過熱防止機が作動して加熱を止めるのだが、この電気フライヤーの場合には同じコンタクター(電気開閉器)を使用していたが、それが、 サーモスタットでなく、過電流のためコンタクターが溶着し、温度が上がっても電流を遮断せず、加熱し火災となったのである。電気の場合には過電流が流れると火災が発生したり、漏電を引き起こすことがある。電気は目に見えないので、電気の厨房器具を使用する場合には定期点検と、コンセントなどの加熱のチェックは欠かせないことを留意していただきたい。電気容量の大きい加熱器機は機械式のコンタクターでなく、より安全性の高い、マーキュリーリレーなどを使用していることを確認するようにする。

<<参考資料、ネット情報より>>

 火災を引き起こさないようにする防火管理責任者制度があるが、それは別項の説明、または以下のネット情報を参考にしていただきたい。

消防庁

http://www.fdma.go.jp/

財団法人消防科学総合センター

http://www.isad.or.jp/

東京消防庁の防火管理情報

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kanri/

神戸市の消防署情報

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/48/license/

神戸市の消防リンク集

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/48/link/index.html

神戸市における防火管理責任者講習会

http://www.exd.city.kobe.jp/kcdpc/kanri/kanri.html

太田市消防署の届け出文書資料集

http://www.city.ota.gunma.jp/otafire/shinnsei/index.htm

お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


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