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フードサービスの環境対策


飲食店経営 2001年10月号

フードサービスの環境対策

外食企業が環境ISO14000を取得しているメリットはまだ少ないのが現状だ。影響があるのは給食会社の親会社が海外企業、親会社が輸出向けの企業等、全社を挙げてISO14000を取得せざるを得ない会社、または、海外よりの客の多い、シティホテルなどである。しかし、東京都の施設などではなるべくゴミを出ない調理法を求められたり、名古屋の新中部空港の外食施設導入に当たっては、調理ゴミを一切出さないことが入居の条件になったりするので、環境問題が外食企業の経営に影響がないとは言い切れなくなるだろう。

現在の日本は景気の低迷によりやや、環境に対する関心は低いようだが、今後企業活動以外の環境に対する貢献などの面で評価を受ける場合が予測され、環境問題はより大きな世界的な問題となるだろう。

実際、最近発行された「ファーストフードが世界を食いつぶす」が話題を呼んでいる。

著者 エリック・シュローサー
発行所 株式会社 草思社
2001年8月14日発行では

マクドナルドを中心としたファーストフードが、業界を支えている農業等の分野で環境破壊などの問題を発生させていると批判している。また、グリーンピースというやや過激な環境保護団体がファーストフード業界の動向に批判的でもあり、日本の外食産業全体が批判の対象になる危険性も否定できないので今後注意を払っていく必要があるだろう。

では、現時点で外食企業が取り組まなくてはいけない具体的な環境対策を見てみよう。

1)水では「排水」処理が重要である。その場合、排水中の油を除去するグリストラップの維持が重要になる。

グリストラップの構造は、複数の仕切を施した容器内に油脂を含んだ排水を通し、排水表面に浮いた油脂分下部の水を排水し、容器上部に残った油脂分を回収する仕組みになっている。郊外型の場合には店内のグリストラップと外部の合併槽に入る前のグリストラップと2重に設置している。

グリストラップで効果的に油脂分を取り除くには構造をしっかりした物にしなければならない。厨房の排水は、洗浄用シンク、洗浄機、排水升、等からの流出であるが、一度に排水する量に応じたグリストラップの大きさにしなければならない。グリストラップに入った排水をゆっくりした流れにし、そこで混濁した油脂分と水を分離し、上に浮いた油脂分を残留させる仕組みである。そのため排水量に応じた十分な大きさのグリストラップにし、熱い排水を冷却し、油脂分が固まるようにする。容量以上の排水を行うと油脂分も一緒に流れ出てしまい効果がなくなる。グリストラップから油脂分が流れだし、配管を詰まらせるようなことが多ければ、一度に流す排水の量を確認し、調整することが必要だ。

グリストラップは自動的に油脂分を廃棄してくれるわけではないので、毎日、グリストラップの蓋を開け、上部に浮いた油脂分や滓を取り去る必要がある。そのために専用のスコップなどを用意しておく。また、グリストラップ上部に物を置くと清掃をしなくなるので注意をする。清掃の手間を省くために油脂分を分解する酵素や、特殊なバクテリアなどを使う場合があるが、それらはデリケートであり、排水温度、洗剤、排水成分、滞留時間により効果が変わってしまう。臭くて嫌がる作業であるが、毎日定期的に手で汚れを取り去ることが一番有効で費用も安い。取り去った後、洗浄剤などで洗浄すると混濁した油が排水されるので、なるべく、手で綺麗に取り去り、廃棄物として処理することが望ましい。

なお、合併層の前にグリストラップを設置している場合には蓋が重かったり、面倒と言うことで清掃をしない場合が多いが、駐車場などの匂いの原因や、合併層の機能の低下につながるので定期的な清掃を行う。

2)「廃油」適切な廃油処理と、油の酸化防止

廃油は以前は石鹸などの材料として販売することが出来たが、最近は有料で廃棄処分をしなくてはいけない。油をゲル状に固める薬が家庭用に販売されているが、飲食業のように大量に廃油する場合には固まらず、クレームとなる場合がある。油は専用の容器に保管し、定期的に回収してもらうことが望ましい。

油は使用しているうちに酸化が進み、有害物質を作り出し、食あたりを引き起こす場合がある。保健所ではそのために酸化度2.5ー3.0と言う世界で最も厳しい基準で管理をしている。基準が厳しいのは保存加工食品に揚げ物が多いからで、インスタントラーメン製造では麺を油で揚げアルファー化して湯を注いだら直ぐに食べられるようにする。酸化が進んだ油で揚げた麺を袋詰めし、小売店の店頭に何ヵ月も並べて常温で販売すると、常温で店頭で太陽の直射日光を浴びたりして、あっという間に酸化が進行し、食べるとお腹をこわすなどの食中毒が発生する。そこで日本独自の厳しい油の酸化基準が定められたのである。現在では使用する油の酸化度は2.5以下と定められている。これは店舗で油を毎日加熱すると、たいして量を揚げていなくても、3日位でその数値に達してしまうほど厳しい水準である。この基準を越えた油は廃棄処分にするほかはな
い。
食品を調理する際に食材から出る滓のカーボン化、水分、高温加熱、使用する金属(酸化触媒となる)、等により油の酸化が進む。酸化を遅くするためには、一日数回油を濾過したり、フライヤー内部の食材滓やカーボンを綺麗に清掃する。濾過には油分に含まれた細かい滓を取り除けるようにペーパーフィルターや珪藻土を使用し綺麗な油にする。

油の管理で注意が必要なのは必要以上に交換をしてしまうことだ。油の交換の管理は濁りや煙の状態や、味をみて行うが、使用する油脂の種類や、酸化防止剤の配合の有無、温度により油の酸化度合いは異なる。市販の酸化をチェックする試験紙(住友スリーエム社のショートニングモニター等)を使用し、交換時期を合理的に決定する。油の交換表と食材の調理量の表を作成し、定期的な交換をしても良い。

また、なるべく廃油を少なくする調理法を考えることも必要である。多くの調理済み揚げ物は工場で一時フライしてある場合が多いので、店舗で油で揚げる必要はない。スチームコンベクションオーブンや専用のオーブンで加熱することにより油を使用しないで加熱することが可能であり、空港や廃棄物を出せない場所で採用されだしている。

3)空気・「排煙」排煙設備の設計施工

市街地における焼き肉やハンバーガーの排煙は近所よりのクレームとなり、問題を引き起こす。排煙処理の問題は近隣との車や酔客、音楽等の引き起こす騒音問題や、ゴミの問題、等が積み重なり起きることが多く、感情的になり処理に時間がかかるのが特徴なので、日頃から近隣とのコミュニケーションが重要である。

排煙の場合、匂いだけでなく、白煙などの目に見える煙が印象を害する場合が多い。店舗の屋上に置く排煙ダクトを見えなくしたり、住宅に風に流されないように心がける。それでも問題が解決しない場合には、根本的な対策に取りかかるべきだ。環境問題の中で案外、解決策が難しく、費用のかかるのが排煙対策だからだ。

実際に対策では以下の順番となる

<1>煙の少ない調理法

当たり前のことであるが、なるべく煙を発生しない調理方法に変更することが望ましい。焼き物で煙が発生するのは、加熱した食品から肉汁などが垂れ、下にあるバーナーやヒーターに熱せられるからだ。煙をなるべく少なくするには肉汁などが直接燃えないようにするか、煙の出にくい焼き物機を使用すると良い。

<2>フィルターによる除去

焼き肉屋などのように煙を出さないと調理できない場合には、煙の除去のためのダクトフィルター性能の良い物が必要だ。焼き肉調理機器メーカーでは効果的なフィルターを開発しているのでテストをしてみても良いだろう。

http://www.silkroom.co.jp/haien.html

ただし、性能の良いフィルターは毎日の清掃や、メインテナンス、十分な排気風量が必要であるので、設計施工の際から配慮をすることが望ましい。

<3>触媒燃焼による処理

バーガーキングやカールスジュニアなどの本格的ハンバーガーチェーンでは上下ガスブロイラーを使用するので大量の煙の発生に悩まされる。数ヶ月でダクトファンが詰まってしまうほどだ。そこで、ブロイラーの上部にインシンダリストという触媒燃焼のアダプターを置き、煙を焼き切ってしまうようにしている。作動するためには一定量の熱量が必要であるが効果的で、メインテナンスもあまり必要なく、業種によっては採用しても良いだろう。

http://www.nieco.com

大規模な工場や廃棄物の処理の際に発生する排気ガスの処理のために色々な触媒燃焼や、レーザービームによる処理などの技術開発が行われている。大規模な工業用のためにコストは高いが、市街地の飲食業で将来排気の処理の問題が発生する場合には検討する必要があるだろう。

<4>静電気吸着による処理

焼き肉の無煙ロースターなどで一般的に使用されている物だ。かなり効果的であるが、清掃をしっかりしないと火災発生の危険があるので、定期的な清掃、メインテナンスは必要不可欠だ。筆者は以前、同様の米国製静電吸着によりグリースを取り去るフィルターをチェックしたことがある。かなり効果的であるが、毎日特殊な洗剤で洗浄する必要があったり、重くて清掃の際に大変だという欠点があった。また、静電気を発生する際の火花がダクト内に引火する危険性があると言うことであきらめたことがある。

<5>臭い消し処理

上記の処理を行っても最終的に異臭を消し去ることは出来ない。そのためにオゾンを添加したり、その他の脱臭剤、消臭剤、中和剤を添加することが必要になる。排気ガスの成分により必要な薬剤は異なるので、専門業者に相談すると良い。

以上のように排気の臭い消しには色々な手法があるが、深刻なクレームの場合には上記の複数の手法を組み合わせる必要があるだろう。

4)土、食物に対する影響・「ゴミ処理」ゴミの軽量化の試み

<1>ゴミを出さないのが基本だ

店舗でなるべく一次加工を行わないのが生ゴミを出さない基本だ。例えばカット野菜などを使用したり、セントラルキッチン等におけるクックチルの活用だ。飲み物で言えばコーヒー滓を出さない、濃縮液体を使用する液体コーヒーマシン等だ。東京都などの施設では滓の出さないお茶や、コーヒーの仕様が義務づけられている。

<2>顧客が残さないようにする

当たり前のことだが、付け合わせなど客が食べ残すような物は使わない。客の嗜好を常にチェックし、食べ残しを出さないようにする等の、レシピーや、調理開発が必要だ。

<3>ゴミを軽量化する

ある程度のゴミが出るのはしょうがないが、ゴミは重量によって費用が発生する。ゴミの重量のうち殆どは水が占めているので、脱水をするなどのきちんとした処理とゴミの分別処理を行うことが基本だ。

<4>循環型ゴミ処理

循環型のゴミ処理ではパレスホテルやニューオータニホテルなどのシティホテルが真剣に取り組んでいる。ゴミを堆肥に変えて、契約農場に配布し、そこで栽培した野菜などを店舗で使用することが、究極のゴミ処理である。ただし、堆肥にするには時間がかかり現在のシステムでは完全に出来ないと言う問題と、残飯に含まれる塩分が土壌に入ると土地がやせるという問題を抱えている。塩分については近年カルシウムなどの混入による中和策などが確立されつつあるが、完全な堆肥にするという機能については機種による性能の差等があり、これから検証が必要であろう。また、農作物により要求する堆肥の性能が異なるので、現在研究中である。今後、より具体的な農作物と堆肥の組み合わせができあがる物と思われる。

最近では堆肥を作るよりも生ゴミを完全に分解してしまうと言う考え方も出てきた。少々大型ではあるが(最低処理量100kg/1日)のゴミ処理機で、完全に炭酸ガスと水に分解する機種が発表されている。これは、熱とバクテリア、触媒の組み合わせによる物で、小型の店舗で使える機種が開発されればかなり有効であると思われる。

いずれにせよ、この分野は研究がどんどん進む日進月歩の世界であり、常に研究と情報収集を怠ってはいけないだろう。

環境関係の情報では日本環境財団が発信しているので参考にしていただきたい。

http://www.jefnet.or.jp

その他の検索は

http://eco.goo.ne.jp/


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