header Food104 Food104 FSPRO-ML 会社案内 コンサルタント実績 王の経歴 過去の仕事 著作一覧

21世紀に向けた本部のあり方

第11回

「技術改革:調理編」


1.FRとFFの技術の差

多くのファミリーレストランチェーンが低価格路線を目指したが、低価格の料理を補う客数をカバーすることができず、再度価格を上げるという現象を見受ける。ファミリーレストランの場合、同一のメニューで一日数十皿も出れば売れ筋になる。ある特定の低価格料理を作っても、それが大量に出ると対応する調理能力が不足するし、客席の回転率という限界に縛られ、売上を上げることができない。ファミリーレストランで120席の店があるとすると、客単価が1200円で在席時間が45分間とする。客席効率(人テーブル数と組数の関数)を75%とすると、1時間で120名の客をさばける。最大でも144000円の売上であり、1時間20万円以上の売上げを上げるのは至難の業である。

マクドナルドのようなファーストフードは低価格にしても販売数が大幅に増加すれば採算が合うようになっている。例えばマクドナルドのハンバーガーであるが、客がハンバーガーだけを買いに来たとして一時間にどれだけ製造できるかというと、一台のグリドルで700個のハンバーガーの製造が可能だ。2台あれば1400個の販売が可能になる。それだけの製造能力を持っているから65円のハンバーガーを販売しても、時間あたりで30万円以上の売上を上げることが可能だ。

製造能力だけでなく、最近では注文してから1分以内にできたてのハンバーガーでできるシステム メードフォーユーを完成させている。この高速調理システムにより顧客の味に対する要望にこたえながら持ち帰りやドライブスルーという客席のキャパシティに縛られない大量販売システムを構築できたのだ。

この製造と販売能力の高い効率化がファーストフードとファミリーレストランを分けるポイントとなる。

もう一つの特徴が、絞り込んだメニューが飽きられず世界の人々に支持されるポピュラーな味であるということだ。ハンバーガー、フライドチキン、ピザ、ドーナツ、コーヒー、のチェーンは世界中でその味が支持され大人気である。米国コーヒーショップのデニーズ、ビッグボーイ、ココス、インターナショナル・ハウス・オブ・パンケーキ(IHOP)等が日本進出当時のメニューと現在では殆ど原型を留めないほど変化したのと対照的だ。

それに引き替え、KFCのフライドチキンやマクドナルドのビッグマックはびっくりするほど長寿命の料理だ。ファーストフードの方が仕組みが簡単だし味も大したことがないいと思われるが、実はこの寿命の長いメニューに各社のノウハウがぎっしり詰められているのだ。

2.KFCは最強のFFシステムを構築している

ファーストフードの世界を見てみるとハンバーガーは売上1位(2000年NRNTOP100社の順位による)のマクドナルドの次に2位のバーガーキング、3位のウエンディーズ、と激戦のマーケットだ。チキンのマーケットを見てみると、KFCが売上げ6位で、その次に来るのが35位のポパイ、37位のチックフィラ、45位のボストンマーケット、49位にチャーチーズ、とトップ企業のKFCと比較するとその差が大きくKFCはチキンのマーケットを独占していると言って良いだろう。日本では競合はゼロだ。

1940年創業の(カーネルサンダースの個人経営の店から考えて)と言う長い歴史を誇るKFCはマクドナルドなどのハンバーガーチェーンが朝食メニューの販売や新商品などの拡大化を行うのを横目に単品のフライドチキンだけで何故世界一のフライドチキンチェーンを守り切れているのだろうかその秘密を見てみよう。

『フライドチキンの歴史』

創業者のカーネル・サンダンダースは1940年にテキサスのカービンという田舎町の州道沿いで旅行客用のモーテルを経営はじめた。そして、宿泊客の要望によって、ガソリンスタンドと食堂を作った。

南部ではフライドチキンはポピュラーな食べ物であり、旅行客にも当然フライドチキンを提供していたのだ。特殊な調味料と、圧力鍋での調理に工夫を凝らしていたので、フライドチキンは人気商品であった。

この一号店は博物館になっており、当時そのままの状態を再現してある。厨房は普通のレストランと同じであり、当初はレンジの上で一般的な圧力鍋を使用し調理していたのが良く判る。もう一つの特徴のある展示はスパイスだ。カーネル・サンダースは11種類のスパイスを調合し、塩と、小麦粉と混ぜ、圧力釜とそのスパイスを使うことで独自の味を作り出していたのだ。

その繁盛していたビジネスも1950年に州道の代わりにハイウエイが建設され、店舗前の通行量が減少した為、売上が激減し、商売をやって行く事が出来なくなった。そこで、カーネル・サンダースは11種類のスパイスを調合したフライドチキンの調味料を売り出し、やがては調理方法や経営の方法の指導までするケンタッキーフライドチキンと言うフランチャイズチェーンの展開に発展させた。

そしてチェーン店が600店になった64年に会社をジョン・ブラウン等のビジネスマングループに売却し、それから本格的なKFCのチェーン展開が開始された。会社を売却後もカーネルサンダースはトレードマークの白のスーツと帽子に蝶ネクタイと言う格好で、亡くなるまで世界中を飛び歩きフライドチキンの普及をしていたのだ。

KFCの一号店 Sanders Cafe

会社のページ http://www.kentuckyfriedchicken.com

歴史 http://www.kentuckyfriedchicken.com/colonel_hx.htm

一号店のレイアウトと外観

http://www.kentuckyfriedchicken.com/Townsquare/Cafe%20Virtual%20Tour/index.htm

住所  exit 29 on Interstate 75 in Corbin, KY.

3.ノウハウ

ではKFCの築き上げたノウハウは何であるか分析してみよう。

1)食材

(1)普遍的な食材:鳥

ハンバーガーで使う牛肉や豚肉はイスラム教やヒンズー教などの国では使うことができない。世界で最も一般的に食べられる(宗教や慣習に関係なく)のは鳥である。その世界で最も普遍的な原材料でなおかつ人工飼育が可能であると言うのが価格競争力を維持できた最大の理由だ。ファーストフードで使われる材料はハンバーガーで言えば牛肉と小麦粉、そしてポテトと素材に限りなく近い物だ。ドーナツはそれこそ小麦粉、砂糖、油、だ。この素材に近い素朴な味というのが世界中で飽きられないで長く支持されるポイントであろう。

もちろん、素材に任せっきりではなく、その素材を厳選し自分たちで素材の段階から吟味するという努力が必要になる。

(2)材料の吟味:高品質、低コスト、安定供給

『鳥のインテグレーションによる 原材料の品質と価格の維持』

鳥は世界でもっとも普及している動物タンパク質だがその特徴は飼育が工場化できるというてんだ。鶏舎の設計から資料の配合、鳥の種類などを指定して、養育期間を45日と普通よりも短い期間で飼育する。それにより柔らかい一定の肉質を保証できるのだ。ハンバーガーに使うミートパティであれば、肉をブレンドして味のコントロールができるが丸ごとの鳥を使うKFCでは素材のごまかしは利かない。素材を吟味し世界の何処でも同じ品質になるようにする必要がある。また、肉類は相場に左右され、消費の多い時期になると価格が高騰してしまい利益率が低くなる。そこでKFCはマーケットシェアーを最大に高め自ら鳥の相場をコントロールできる量を生産している。

鳥の飼料、飼育、処理、配送、販売まで一貫して管理をする鳥のインテグレーションという仕組みを組み上げ、価格と品質の両立をはかったと言うのがハンバーガー業界のような激戦区とならなかった最大の理由だろう。

(3)特許で守られた調理ノウハウ 圧力フライの原理

KFCの最大のノウハウは骨付きの鳥を美味しく安全に食べられるようにする手法を特許でがっちりとガードしたと言うことだ。

骨付きの鳥を普通のオープンフライヤーで調理した場合、肉温が70度C以上になっても、骨の内部の髄温は60度C位であり、骨から血の色をした髄液が流れ出して食欲を減少させる。180度Cの油温でフライしても、常圧では水は100度C で沸騰するので、水分がある限りは品温を80度C 以上にすることは難しい。肉の温度を上げようとすると、肉は水分を失い固くなってしまう。骨抜きの鳥肉を調理すればその問題はなくなるが、実が小さくなり価値観が低くなる。難しい骨付きのフライドチキンだからわざわざお店に買いに行くのだ。

そこで、圧力をかけ100度Cよりも高い温度で短時間でフライ加熱することが出来る原理を利用することにした。1.85気圧〜2.0気圧でフライすると、水の沸騰温度は116度C〜121度C になり、肉の内部温度は90度C に容易に達する。その為に、骨からの肉離れがよく柔らかい。髄液の温度が80度C以上に上がり固まって、流れ出す事がなくなる。その為、肉の内部の黒ずみがなく髄液の臭いも出難い。圧力をかけて短時間で調理する為、肉の旨味を含んだ水分を失う事がなく、ジューシーなフライドチキンになるのである。

180度Cに加熱した油にチキンを入れ、蓋をする。加熱されたチキンから水蒸気が出て釜の内部の圧力を上昇させる。一定の圧力に上昇した後は、圧力調整弁から余分な蒸気を逃がしながら、一定の圧力を保つようにする。180度Cの油に入れられたチキンは表面がキャラメライズされ、内部の水分の流失を防ぐ。チキンを入れてから数分で油の温度は130度Cまで下がってくる。その温度でも、水の沸点が116度C以上なので肉の調理は充分に行えるのである。油の温度を130度C以上に保つように火の調整をする。余り温度が低すぎるとチキンの出来上がりが脂っこくなるので、温度を一定になるようにコントロールする。日本でも特許を取得することにより、この独自の製法を競合に真似されることなく長年独占できたのだ。

(4)味のブラックボックス化:だれにも真似のできない味:11種類のスパイス

製造手順とか、自動化の調理機器は入手することが可能だ。しかし、ここでスパイスの混合を門外不出にすれば真似をすることは大変難しくなる。全ての調味料の比率を管理するのはコスト高になるが最も重量の少ない、一番肝心のスパイスの混合比を公開せず、店舗にブレンドして配ることにより、そのノウハウはきちんと守られることになる。この味のレシピー部分をブラックボックス化する事が商品の寿命を長持ちさせるポイントだ。

(5)安全性 高温の圧力釜による絶対安全な調理方法

どんなに美味しい料理でも食中毒の危険が伴うのでは大チェーンにならない。日本では回転寿司などがあるが大チェーンには育ちにくい。特に昨今のo-157食中毒事件があると生ものを扱う寿司の売上げは大幅に低下してしまう。なるべく安全な食材や調理法が大チェーンになるために必要なのだ。

鳥も完全に安全な食材とは言えない。サルモネラ汚染との戦いが待っているのだ。サルモネラによる食中毒を防ぐには、完全に調理できる圧力釜による高温調理は最適だったのだ。ハンバーガーでは殆どの大チェーンはo-157による大規模な食中毒事故の洗礼を受けているが、KFCはその点安全な調理法であり、フライドチキンの売上げが落ちない理由の一つである。

KFCで一番危険なのはサラダ、特にコールスローであった。元々は店舗で生のキャベツを手作りで作っていたが、調理をしない食材に鳥に付着しているサルモネラが混入すると危険であり、それを防ぐために現在では工場で衛生的に作られたコールスローをパック詰めにして配送している。手作りの頃は厳格な殺菌とシェルフライフのマニュアルがあり、製造後3日間のシェルフライフで安全を守っていた。

2)未熟練労働者対策:自動化

(1)調理機器 自動圧力釜の開発

当初は家庭で使う圧力釜の大型の物で調理をしていたが、熱い油の入った圧力釜を手で掴み中の鳥と油を受け皿に開けるという作業は熟練が必要で危険な作業であった。また、圧力釜の温度が一定に加熱した段階で、鳥を入れる作業は熟練が必要で、その作業により微妙に味が異なると言う問題があった。また、圧力釜を使うと広いスペースを必要とする問題からも、小型の自動圧力釜を開発した。そして、味を生み出すノウハウである圧力と温度、時間を自動コントロールできるコンピューターを付け加え未熟練のアルバイトでも全く同じフライドチキンを作ることを可能にした。また、品質だけでなくスペースの縮小にも貢献し、日本や東南アジアのような土地の狭い国での店舗展開を可能にした。

(2)手作業のマニュアル化

当初の手作りコールスロー製造の場合のように自動化の機械を使わない手作業については、原材料の配合率を明確にしてだれでも作れるように簡略化した。

初期のレシピーと製造手順を見てみよう。

(Cole Slow)

(作り方)

(注意点)

3)優れた広告宣伝

KFCが世界最大のフライドチキンチェーンになった大きな理由の一つにネーミングをあげることができる。KFCは当初、ケンタッキーフライドチキンと言う如何にも米国の旗を掲げたネーミングで若者の米国文化へのあこがれと密接につなげた。

そのケンタッキーフライドチキンというネーミングは世界で使うことが可能であった。競合のチャーチーズフライドチキンは台湾や東南アジアではテキサスフライドチキンと名称を変更せざるを得なかった。東南アジアの仏教や儒教の影響の強い地域では教会を意味する名称は支持されなかったからだ。このだれにも言いやすいネーミングというのは大変重要なのだ。

次に重要なのは創業者のカーネル・サンダースだ。彼は何時も白い上下のスーツと帽子をかぶり世界を歩いていた。日本開業当時空港ですれ違ったが100m離れていてもわかる服装は、歩く広告塔と言える。だれにでも愛される雰囲気を持っている創業者というのはなかなかいない物だ。世界一の外食チェーンであるマクドナルドの創業者の顔を思い出すのは社員だけだが、カーネル・サンダースを思い出せない人はいないだろう。世界で最も有名な人と言える。

最近KFCの看板にカーネル・サンダースを掲出していることでもその影響力の強さが伺えるだろう。

4.フライドチキンの調理作業

1)冷凍庫からチキンを出す。

冷凍チキンを使用する時は、十分な大きさのプレハブ冷凍庫が必要である。普段はフレッシュチキンを使用する場合でも、時期により冷凍物を使用せざるを得ないし、フレンチフライやその他の冷凍食材もあるので、ある程度の大きさの冷凍庫は必要である。

2)冷蔵庫で解凍する。

冷蔵庫の内部で解凍するが、間に合わない時はシンクで冷水解凍するので、大型のシンクが必要である。

3)使用するチキン。

チキンは中ヒナ、中抜きの丸1.05〜1.15 kgを使用する。重量を決めてるのは後述する鳥の重量とショートニングの重量比が圧力釜の圧力を決定するからである。

原則として鮮度の良いフレッシュチキンを使用する。冷凍のチキンは、調理後、骨が黒く変色し、味も変化し易いので、品質を考えフレッシュのチキンを使用する。ただ、季節的に冷凍物を使用しなければならない時があるが、その場合でも、新鮮な物を使用するようにしなければならない。

日本や東南アジアでは、魚粉を飼料として与える場合があり、冷凍後時間が経過すると、異臭が出て、フライにしても匂いが消えない。南米産の物は味は良いが、概してパーツが大きく、不揃いな場合が多い。パーツの大きさが一定の物を仕入れる必要がある。

一般的なチキンのカットは8カットであるが、KFCでは9カットと言う独自のカットを行い食べやすくしている。

4)チキンの下処理。

チキンの余分な脂肪分、内臓、血、羽等を取り冷水で洗浄後、30分間水切りを行う。サイの骨の内側に腎臓が残っていると、味が苦くなるので、完全に取り去る必要がある。皮と身の間に黄色い脂肪分があるが、なるべく取り去る。フライドチキンは通常100%植物油のショートニングを使用してフライするが、ショートニングの中に、チキンの脂肪分が溶けだし、ショートニングを傷めるとともに、スパイスの香りに脂肪の匂いが混じり客に嫌がれる。しかし水洗いをあまりやりすぎると、チキンの旨味が流出する。

5)バッターリング。

バッター溶液は、玉子、ミルクを混ぜたものである。バッターを付ける事により、揚げ色がゴールデンブラウンになり、衣の付着がしっかりし、チキンの旨味の流出を防ぐ事が出来る。バッターは栄養があるので、チキンに付着している細菌類が増殖し易い。その為、使用したバッターミックスは数時間で廃棄する。また、出来るだけ冷たく保管し、使わない時には冷蔵庫で保管する。

バッターをM.E.D.(ミルク・エッグ・ディップ)と呼ぶ。主成分はミルクと卵である。

品質を一定にするため、ぬるま湯で2000ccに対してM.E.D・・・g、水4000ccをまぜる。

その成分は卵・・・個、パウダーミルク(スキムミルク)・・・ccぬるま湯2000cc、水4000ccとほぼ同等である。

6)ブレディング。

スパイスと塩の混ざった小麦粉をまぶす際に、小麦粉にダマが出来るが、ダマは毎回ふるいに掛け、取り去る。スパイスの混ざった小麦粉は、使用している間に、各成分の重量の違いで、重たい物が順次容器の底になっていくので、時々混ぜる必要がある。良く混ざるように容器は大き目のほうが作業がし易い。また成分の微細な粉末ほど、チキンに付着し易い為、回数を重ねまぶすほどに、味が変化していく。一定回数まぶしたら、追加のスパイス入り小麦粉を入れ、味の変化を押さえる。

味の標準化のために11種類のスパイスミックス・・・g入り、精製塩・・・kg、薄力粉・・・kgを、パック化し簡単に調合できるようにする。そのパックを2回篩にかけ味が均一になるようにする。

7)フライヤーで揚げる。

KFCで使用する圧力式のフライヤーには一回の調理で、必ず一定量のチキンを調理する必要があり、顧客の要望に合わせて、1個だけ調理するわけにはいかない。そのため、保温庫に一定時間保温し、保温時間内に販売するようにしている。重量比で鳥が1に対しショートニングが2の割合が最も美味しい。

8)油切り。

揚げて熱い状態のフライドチキンをそのまま保温庫に入れるが、すぐに販売してはならない。30分間保管し十分に油切りをした状態で販売する。

9)ホールディング。

保温の温度は、細菌が繁殖出来ない温度以上で、顧客が食べた時に熱いと感じる温度でなければならない。80度C程度が適温である。保温庫は温度だけではなく加湿をしないと、フライドチキンが乾燥してしまう。保温時間は2時間である。

10)製造能力

冷凍庫、冷蔵庫、等は配送頻度により、容量を決める。チキンは案外場所を必要とするので、充分容量を確保する必要がある。

圧力式フライヤーの台数は1台あたりの調理可能能力と売上予測により決定される。一般的に使用されている圧力式フライヤーは1回に最大4羽フライする事が出来る。(最近は8羽の調理できる大型の物も使っている)9カットであると1回に36ピースのフライドチキンを製造できる。一回の調理時間は15分間であり、一回毎に油をろ過するのに5分間、温度を回復するのに5分間、計20分間が一回の調理サイクルになるので、1時間に3回、108ピースが最大調理個数になる。2台のフライヤーで、1個180円として、1時間に38800円の売上が可能である。また、保温庫で用意しておけば1時間に最大77760円の売上が可能である。フライドチキンの売上が70%であれば、1時間に約11万円の売上が可能になる。標準店舗はこの3倍の売上げ能力を備えており、クリスマスなどの大量に売れるときにも対応が可能だし、保温していることでドライブスルーや持ち帰り客を確保できるので、店舗を小型にできる。

5.日本のファーストフード

日本にも立派なファーストフードがあると思われるだろう。牛丼、ラーメン、天丼、回転寿司、等は海外にも進出して大盛況だ。しかし、世界のランキング10位には入れないだろう。その最大の問題は、米、醤油味、熱すぎる温度、の3つだ。

(1)温度: ラーメン

ラーメンは米国に進出しているが、余り成功したとは言えず、大手チェーンは撤退してしまった。その最大の欠点は温度だ。ラーメンは火傷をするくらい熱々の温度が必要なのだが、日本以外の国ではそんな熱々の物を食べる習慣はない。特に米国では猫舌と言う言葉がないくらい、全員猫舌だからだ。もちろん米国でもカップラーメンが大人気だ。でもカップラーメンの味は日本とは異なるし(ビーフ味が人気だ)、ヌードルスープとして消費されており、食事よりスナックの分野となるだろう。

ラーメンでもう一つの問題はMSG(グルタミン酸ソーダ)だ。日本人は問題ないが米国人の体質なのか、MSGを大量に摂取すると赤面するなどの副作用があり、米国ではMSGを大量に使う中華レストランから、チャイニーズレストランシンドロームと言われ、MSGを大量に使うラーメンが支持されなかったという側面もある。

(2)しょうゆ味:

寿司も最近は随分普及して来たが、当初は苦戦した。米国で繁盛している寿司屋を見ると日本の寿司とは全然違う物が売れ筋だ。米国人に言わせると寿司屋はディナーレストランではないと言う。米国人は基本的に生魚としょうゆ味は嫌いだ。

寿司屋に行くとおつまみと言うと刺身が出る。それでビールか酒でいっぱいやり、お腹が空いたら握ってと言う。もちろん寿司屋には満足なデザートは置いていない。これでは米国人にとって完結した料理とは言えない。

米国人にとってディナーとは、美しい食欲をそそる前菜、美味しいワイン、きれいに盛りつけられた料理、そして最後はたっぷりとしたデザートが必要になる。このコース仕立てで成功したのがニューヨークのNOBUだ。このあたりの料理の組み立て方を勉強するには南青山のNOBU東京に行くべきだろう。カルチャーショックを受けるはずだ。

(3)米

日本人にとって米は主食だが、米国人にとって主食は肉などのタンパク質であり、ポテト、小麦粉はでんぷん質の補給に過ぎない。米は付け合わせの野菜の位置づけだ。

その米国人に牛丼や天丼を売るのは難しいだろう。もちろん時間をかけて店舗数を増やしてはいるが、未だにカリフォルニア地方の食事に過ぎない。また、日本では牛丼は大成功しているが、調理にノウハウがないので業界トップの吉野家を追随する数多くの企業が容易に参入できてしまう。やはり、食材の入手、調理方法、味などで他社が絶対真似のできない仕組み作りをする必要があるだろう。

6.最後に

これからファーストフードを目指す方は先人KFCの成功の理由をじっくり分析して、幅広いノウハウを構築し店舗展開をしていただきたい。まず他社の成功の理由をじっくり学ぶと言うことが大事なのだ。成功している企業のやり方を分析することをリバースエンジニアリングと言い、同じ商品をどうやって作り上げるか完成品から追ってみる。筆者も昔KFCタイプのフライドチキンを作ろうとスパイスの調合(専門家を集めれば95%位同じ味が可能だ)、バッターの配合、ブレディングの配合、圧力調理法(特許公報から推定が可能)等を行った。その結果判明したのはフライドチキンの最大のポイントは良い食材を量的に安定的に確保する重要性だった。

調理方法については一号店のサンダースカフェまで行ったり、KFC本社(通称ホワイトハウス)まで行って研究し、ほぼ同じ調理法が可能であったが、肝心の鳥が手に入らなかったと言う経験をした。そのお陰でKFCの味に関する執念とノウハウに敬服している訳だ。

日本の外食チェーンも30年の歴史を積んでいる。これから、KFCのように味にこだわりのあるチェーンの誕生を期待したい。

以上

お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


HomeIndex Back
           
会社案内
コンサルタント
王の経歴
著作
セミナー
通信教育
           
王利彰への、ご意見ご要望はこちらへご連絡下さい。
その他ご質問・お問い合わせはこちらからお願いします。
Copyright(C) Sayko Corporation. All Right Reserved.