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2000年NRAと米国外食動向


米国外食の動向から見る21世紀の食卓革命

1)米国NRAレストランショー

米国のレストラン協会(National Restaurant Association)が毎年5月にシカゴで開催するNRAショーという外食、ホテル向けの展示会に参加してきた。

http://www.restaurant.org/

日本でも毎年行われるホテレスショーと同様な展示会で、調理器具から宿泊関連商品、ソフトウエアー、調理コンテストなどが行われる。シカゴは海運の発達した五大湖沿岸に立地し、空港もオヘア空港というハブ空港を持っている交通の要所であり、農産物の集散地として発達し、食品メーカーや外食チエーンが本社を構えている。

豊かな農産物と豊かな消費者を抱えたシカゴの街は昔から、美味しいレストランが軒を連ねている。筆者は毎年、NRAショーに参加し、米国の最新情報を入手するだけでなく、シカゴのレストランを見学し、ニューヨークの最新トレンドを見るようにしている。

さて、レストランショーというと最新のレストラン情報や調理機器情報を入手することがメインに思われるが、NRAは傘下にエデュケーショナルファンデーション

http://www.edfound.org/

と言う教育部門を抱えており、展示会では毎年大きなブースを設け、最新の教育教材を展示している。今年の大きな目玉はサーブセーフという衛生管理教材のモデルチェンジであった。

http://www.edfound.org/NewASP/training/products/foodsafety/servsafe.htm

日本でも2月に大手チェーンが食中毒を引き起こしたが、米国でも事態は深刻であり、5年ほど前からNASAの宇宙計画で開発された食品製造の安全規格HACCPを元にわかりやすい教材開発を行い、日本と同様の食品衛生責任者認定制度を作り、講座と試験を実施し、安全教育を実施してきた。

従来のマニュアルは食品工場などで用いられるHACCPを元にしており、レストランで使用するにはやや難解であるという問題があった。それらの声に答えて、今年改訂された(3回目の改訂)マニュアルは、ビデオテープ、講師用の教材、生徒用の教材、CDROMを使用した講師用と生徒用の別々の教材と、完備されている。米国でも外食の現場で働く従業員のレベルはパートタイマーが中心であり、難しい用語よりもわかりやすい視聴覚に訴える豊富なカラー写真入りのマニュアルやビデオテープに変更した。ビデオテープは食材の搬入、受け取り、準備、殺菌、調理加熱、保温、身だしなみ、等、現場で行わなくてはいけない項目を整理してわかりやすくしている。手洗いであれば、手の洗い方まで細かくカラー写真に撮り表示している。大手のファーストフードチェーンの衛生管理マニュアルもびっくりするほどの出来映えである。

これを見てみると、米国における衛生管理の問題の深刻さが伺える。シカゴの後ニューヨークを訪問したが、ニューヨーク市の衛生管理の強化はシビアーで、市内の全レストランの衛生状態を保健所がチェックしそれをインターネット上で公開している。

http://www.nyclink.org/html/doh/html/rii/index.html

日本でもこの様な優れた教材を作らないと今後急増する食中毒事件に対応できないのではないかと痛感させられた。

さて、展示会の調理機器はその年の新業態や急成長中のチェーンの影響を受ける。数年前はHMR(お総菜)のマーケットの急成長をバックに、ボストンマーケットなどで使用されるローティサリーオーブンの展示が多く、昨年はレストランなどで持ち帰り総菜を訴求するための温冷のショーケースの展示が目立った。今年は、目立った新業態が無いためか余り新機種が目に付かなかったが、ファーストフード業界で進んでいる調理速度を早くする動きから、保温庫の新型や高速トースターの種類が多いのが目に付いた。

また、衛生管理の強化の点から温冷のショーケースは温度管理の強化、調理機器では温度の安定性とメインテナンスの容易性の強化という、機能面の安定性を強調する機器が増加している。

2)米国の外食トレンドのキーワード

では、景気沸騰している米国外食の動向を見てみよう。外食のトレンドは社会的、文化的、経済的な影響を強く受ける。では米国の外食トレンドに与えているそれらの状況はどうであろうか?

(1)人口の老齢化

米国でも日本と同じく団塊の世代が多くそれらの人たちの老齢化が大きな影響を与える。

老齢化した団塊の世代の人々は昔食べていた懐かしい味を欲するようになる。それがお袋の味、英語でいうとカンファタブルフードとなる。アメリカ人にとってのおふくろの味はミートローフ、マッシュポテト、フライドチキン、ラザニア、ミートボールスパゲッティなどのイタリア家庭料理である。イタリアからの移民が多かっただけでなく、イタリア人のお母さんは料理が上手だというイメージがあり、イタリア系の家庭でなくても子供にイタリア料理を食べさせる傾向があり、年をとってからお袋の懐かしい味がイタリアンとなるのだ。それが米国でイタリア料理が料理のジャンルでトップになる理由だ。

(2)産業構造の変化と老齢化が人口を南下させる

北部から発達した鉄鋼や自動車などの産業が衰退し、コンピュータなど新しい産業が生まれてきた。従来の工業型産業、典型的な鉄工業自動車産業は重量のある資材の移動を海運で行うためにシカゴやデトロイトなどの五大湖沿岸に立地した。それらの地域は古くから発展したために地価が高く、高い労働組合比率により人件費が高い。そこで金のない新興産業は土地が安く人件費の安い、南に立地するようになる。コンピューター産業の雄であるマイクロソフトは今でこそ西海岸のシアトルに本社を構えるが創業当時は本社を南部のニューメキシコに構えるていた。

また、老齢化により定年退職する人たちは気候の厳しい北部から温暖な南部に移住するようになっている。人口の増えている地区はフロリダやニューメキシコの温暖な地域だ。

老齢化した人たちや新興産業で働く人たちが南に移住すると、住んだ南の料理に馴染むようになり、テックスメックス(テキサスとメキシコの複合料理)、カリビアン料理(フロリダ沖のカリブ海諸島の料理)がイタリアンに次いで人気を呼ぶようになる。

人口の動態変化と産業構造の変化により、気候の良い南に人口が増えると、服装もポロシャツやチノパンツのようにカジュアルな物になる。新興産業のコンピューター関係の会社では何時もカジュアルであり、一般的な会社でもカジュアルフライデーという服装の自由な日を生んでいる。そのカジュアルな恰好で行けるレストランは堅苦しいフォーマルな物でなく、よりくつろげるカジュアルな形態が望まれるようになったわけだ。

(3)レーガーンの税制改革がフレンチを衰退させた

80年代にレーガン大統領が行った規制緩和と税制改革は、ある意味ではフレンチを衰退させたと言える。個人や会社の所得税の税率を下げるには財源が必要であり、従来の接待交際費などの経費計上を認めないと言う改革も行われ、これが、外食を接待需要から個人需要への変革を促し、高価なフレンチなどにダメージを与えた。また、80年代の不況と90年初頭のバブル崩壊は高額なフレンチのダブルパンチを与えることになった。90年代初頭にはフレンチのシェフは産業給食に職を求めるような状況に陥った。(もちろん米国の産業給食は階層性があり、管理職の社員食堂はフレンチのフルコースである)

そのような環境の中で、個人のグループ客向けのレストランの需要が出てきた。料理単価は低いが楽しさにあふれた、カジュアルなお店であり、カジュアルレストランというジャンルを生み出した。

(4)共稼ぎが生んだHMRマーケット

長期の不況は家庭の主婦に仕事を持たせる、共稼ぎ世帯を増加させた。アメリカの40代の女性の70%は働いており、夕食の調理時間は15分しかないと言われている。15分の調理時間では生の食材から調理することは到底不可能であり、調理済みの総菜ビジネスである、HMR(ホームミールリプレイスメント、家庭の食事の代行)やMS(ミールソリューション、食事の悩み事解決)と言う言葉と業態を生み出した。

(5)飲酒運転禁止の強化が飲料のダーク化現象を生んだ

筆者が米国駐在した20年ほど前は1時間にビールの小瓶は飲んでも大丈夫だというおおらかな国であった。しかし、飲酒運転により自動車運転事故による死亡者の増加、特に未成年者の死亡事故の増加により、飲酒運転禁止の強化が行われるようになった。現在の米国の血中アルコール濃度の基準は日本と同様の厳しい基準になり、特に21歳以下の未成年者に対してはアルコールの匂いがしただけで免許証が取り消しになるゼロトーレランス(飲酒運転絶対禁止)が施行された。また、飲酒を許した飲食店に対して事故の経済的責任を求められるようになった。この結果、いわゆるシングルバーの業態が成り立たなくなり、酒よりも食事や団らんの場を提供するカジュアルな業態への移行がおきている。

この結果、ハードリカーの売上げが低下し、ビールやワインなどの消費が増えるようになった。ビールも余り飲んではいけないので、バドワイザーなどの軽いアメリカンビールではなく、よりこくのあるダーク系の地ビールなどが人気が出てきた。

また、食後の強い酒の替わりにイタリア食ブームを取り入れたエスプレッソを飲むようになった。強い酒を飲むのはダサイ、エスプレッソなどの濃いイタリアンを飲むのが格好がよいのだという風潮が出てきた。これが、スターバックスを急成長させた一因でもある。

3)業態別動向

(1)カジュアルレストラン

米国の景気は96年暮れから急速に回復した。筆者の良く行くシリコンバレーの不動産屋はそれまでの倒産しそうな青息吐息の状態から、販売する不動産不足という好景気状態に突入した。家の売り物は買い手との交渉で大抵値段が下がる物だが、現在のシリコンバレーでは逆に入札のように価格が上昇する。4年前には100ドルで宿泊できたホテルが今では200ドルの高騰し、それでも予約に困るような状況だ。

この好景気で伸びているのがカジュアルレストランだ。6月号で紹介したがアウトバックステーキハウスはステーキというジャンルだけでなくこのカジュアルなサービスでも大人気となったのだ。

このジャンルで注目されるのはブリンカーインターナショナルの動向である。同社は今大人気の、HMRのスター イーチーズを3店舗、イーチーズのコンセプトを作成した、シェフ、フィル・ロマーノのマカロニグリル、シカゴのレストラン王リチャード・メルマンのイタリアンコンセプトであるマジアーノ、メキシカンでは(テックスメックス)チリーズと言うチェーンを展開している。

別表のRestaurants Institutionsと言う権威のあるレストラン雑誌、1999年3月1日号と2000年3月1日号のChoice in Chains Winnersと言う消費者調査を見てみよう。調査会社のGreenwich社が全米の4000家庭に調査用紙を配布し、2819通の回答を元に作成した物である。内容は業態別にチェーンを分け、総合評価(総合)料理の品質(品質)、メニューの種類の多さ(種類)、価値(価値)、サービス(S)、雰囲気(雰囲気)、清潔さ(清潔さ)、便利さ(便利さ)で評価を5点満点でつける。高い点数が高い評価と言うことになる。総合評価10位までの比較と上位3位の企業の評価内容を見てみよう。

1999年度は3位、2000年ぶっちぎりの1位はファドラッカーズやイーチーズと言う超人気レストランと総菜屋を作り上げた、フィル・ロマーノ氏のコンセプト、イタリアンのMacaroni Grillだ。2位もイタリアンのThe Olive Gardenだ。3位は4月に東京町田に開店したアウトバックステーキハウスだ。アウトバックはステーキハウスであるが、南部ニューオリンズのケイジャン料理風のスパイシーな味付けを売り物にしており、南部のフレーバーのするレストランで、従業員の服装やサービスがカジュアルなのが特長である。

消費者へのアンケートは

と言う、QSCと便利さで評価をしている。

ここで特筆するべきなのは35の州で131店舗、年商400億年(99年度有価証券報告書)もの規模までに達したMacaroni Grillが未だに消費者からの支持を急速にのばしていると言うことだ。

店舗はファミリーレストランよりも大商圏を設定している。大型ショッピングモール等に隣接している場合が多い。雰囲気の良い土壁の店舗を入るとその迫力に圧倒させられる。入り口を入るとまるで裏口から厨房に迷い込んだような気持ちになる。左右にオープンキッチンが広がっている。片方には薪釜が設置され、ピザを赤々とした火で焼いている。反対側はパスタの調理場だ。ストーブでフライパンをふりながら調理をしている。フライパンの内部に火が入って客席を赤々と照らし出す。客はライブショーを見るような興奮感を味あうことができる。厨房の前に行って見学していても料理人は嫌な顔一つ見せず、客と会話を楽しみながら調理をしている。

フレンドリーなウエイターはまず、ワインを勧める。早速赤ワインを頼むと、1ガロン(3.785リットル)入りの大型のハウスワインを持ってきた。早速酒盛りを始めることにする。そして料理が次から次に運ばれ、まるで居酒屋の用に盛り上がってくる。そこに可愛いウエイトレスがきて、お客のリクエストによりカンツオーネを歌い出す。勿論客席が盛り上がることは言うまでもない。ウエイターやウエイトレスの客を楽しませようと言う姿勢が大きな人気の秘密だ。

さて、会計時に驚いた。ウエイターがワインをどの位飲んだか?と聞くではないか。何とワインをどの位飲んだか自己申告制なのだ。大体、わいわい騒いでがばがば飲んでいるからどの位飲んだかと言われても覚えていない。でものんべーの自己申告をそのまま信用してくれる。そのおおらかさが感激を更に高くする。

http://www.macaronigrill.com/

http://www.eatzis.com/

1999年 対 2000年 R$I紙 総合評価比較

 
総合      
1999年   2000年  
Outback  ステーキ 57 Romano's Macaroni Grill 63
Romano's Macaroni Grill 56 The Olive Garden 58
The Olive Garden  56 Outback Steakhouse 57
Stuart Anderson's  54 Cracker Barrel 55
Rainforest Cafe 52 Red Lobster 53
Luby's  52 Stuart Anderson's 52
Red Lobster 52 Marie Callender's 51
Tony Roma's 51 Home Town Buffet 51
T.G.I. Friday's 50 Ryan's 50
Bob Evans Farms 49 Rainforest Cafe 50
Bennigan's 48 Applebee's 49
Ryan's 48 Old Country Buffet 49
Steak and Ale 48 Bob Evans 49
Old Country Buffet 48 Piccadilly Cafeterias 49
    Red Robin 49

1999 R&I CHOICE IN CHAINS

 総合品質種類価値S雰囲気清潔さ便利さ
Outback 5777623862635938
The Olive Garden5671634656615738
Romano's Macaroni Grill5676603657676431

2000 R&I CHOICE IN CHAINS
 総合品質種類価値S雰囲気清潔さ便利さ
Romano's Macaroni Grill6382654968686841
The Olive Garden5872654957606042
Outback Steakhouse5777634159615839

(2)テーマレストラン

カジュアル化社会を背景に急成長したテーマレストランのジャンルでは、90年代後半に急成長したプラネットハリウッドは店舗数が80店舗を越え、希少価値がなくなるという問題を抱えてしまった。一時は財務難に陥り会社更生法の申請をせざるを得なくなった。店舗の投資金額が高いと言うことが大きな原因だ。また、テーマレストランは地ビールレストランのように料理の味が悪いという評価が多く、景気が回復しグルメ指向になり出した消費者の支持を得られなくなった。

子供にターゲットを当てたレインフォレストカフェも同じ評価を受けており、2年ほど前より料理強化の活動を行っているが、先行きは予断を許さないと言う厳しい状況だ。

1999年 対 2000年 R$I紙 総合評価比較を見てもレインフォレストカフェは1999年に5位であったのが、2000年には10位の下落し、その他のテーマレストランはもっと評価が低くなっていると言う惨状だ。食事をだす外食レストランはやはり基本的な、料理の品質を避けて通れないと言う教訓だろう。また、テーマ性のある内装では一回は来るが再度来店させるだけの魅力はないと言うことだろう。

(3)HMRとMS

ホームミールリプレイスメントという言葉を生んだボストンマーケットは、急速に展開し、一時は株価の高騰でも注目を浴びたが98年に突然不調に陥った。最大の問題は急速展開を行うために地域フランチャイズ制度を採用し、店舗展開の費用を負担させたことだろう。株式を上場する際には本社の負担が無く高い株価をつけ資金を獲得することに成功したが、チェーン展開を積極的に行うにつれ、地域フランチャイズ会社の財務内容の悪化が表面化し、本社の株価が下落し、資金繰りに行き詰まったのだ。98年の暮れに会社更生法を申請し更生中であり、つい最近マクドナルドが買収を決定した。

 
年度 順位 店舗数 成長率%
95年 65位 534 152.3
96年 34位 829 106.6
97年 25位 1,087 47.1
98年 24位 1,116 -17.7
99年   900点  

ボストンマーケットの失敗の原因はメニューやコンセプトだけでなく、ノウハウを守れなかったことにある。ボストンマーケットの売り物であるローティサリーオーブンでチキンをじっくりと丸焼きにする調理法は、家ではできず当初は大人気となった。しかし、KFCの圧力釜調理のように特許や独特のスパイスのノウハウに守られていない調理法を見た食品スーパーがこぞってローティサリーオーブンを店舗に導入し、ボストンマーケットと同様の商品を売り出した。また、HMRという新しい業態を生み出したのだが、ボストンマーケットは消費者に便利ではなかった。確かに夕食はここで買って帰れば済むのだが、翌日の朝食を用意しようとすると、食品スーパーなどにパンやミルク、フルーツ等を買いに行かなくてはいけない。つまりワンストップショッピングができないわけだ。その欠点をついたのが食品スーパーでMS(ミールソリュウーション)と言うテーマで、食品スーパーの便利性を強調するようになってきた。

また、従来は家庭にローティサリーオーブンが無く鳥全体をこんがり焼くことができなかったが、ボストンマーケットの急成長を見たテレビショッピングの会社が、小型の安価な(1羽用のオーブントースターに小型モーターを取り付けた物)のローティサリーオーブンを販売し大人気となった。これにより家庭でも簡単に安価な丸鳥からローティサリーチキンができるようになりボストンマーケットの斬新な商品イメージが崩れ去ったのである。

この状況にあわてたボストンマーケットは大きな失敗を犯してしまった。従来は温冷蔵のショーケースの前でカフェテリアの様に顧客が選びながら購入できたが、ファーストフードのようにスピードアップを行いたいという事で、セットメニューを事前にオーダーし、ストックした商品によるスピードアップを行った。同時にハンバーガーチェーンに対抗するためにランチ用のサンドイッチを販売し、そのために多額の金を使い、クーポンの配布、テレビコマーシャルの放映を行った。この販売戦略により従来は格好の良いイタリア風の

お店がファーフトフードのようなダサイイメージとなり、消費者の指示を急速に失ったのである。ボストンマーケットの成功と失敗は米国外食社会の競争の厳しさを物語っていると言えよう。

ボストンマーケットとイーチーズの成功を見てミールソリューションという対策を打ち出した食品スーパーは景気の向上という追い風から、高級な食品スーパーを続々と生み出している。サンフランシスコの最高級スーパーはドレーガーズで調理済みの総菜をおいているだけでなく、食器類や調理の専門誌を販売したり、有名なシェフによる調理教室や、最高級のイタリア料理店を店内に設けて、客のあらゆる要望に応えている。

http://www.Draegers.com/

それに対抗し、バークレーを拠点とするアンドロニコスは

http://www.andronicos.com/

郊外のダンビルに最新の店舗を1999年9月に開店した。店の中央にはワインコーナーを設置し、テイスティングコーナーを設け、丁寧にコンサルティングセールをしている。チーズコーナーでも客に説明をしながら販売をしている。ここの総菜売り場はイーチーズも真っ青になるような高級感にあふれ、イタリアンのバニーニ、寿司そば、サラダとサンドイッチ、ローティサリー調理、スチームコンベクションによるロースト料理、と6カ所の独立したオープンキッチンを店内壁面に展開し、作りたての料理を売り物にしている。入り口の横にはDraegersのようにウイリアムズソノマクラスの食器を販売し、その横には料理教室をガラス張りで作って客にアッピールをしている。店内だけでなく、ウエッブサイトによる宅配にも力を入れている西海岸最新の食品スーパーだ。その他自然食品を売り物にした高級食品スーパーのホールフーズがサンフランシスコに展開しており、

http://www.wholefoods.com/

その店舗の勢いに恐れをなしたイーチーズはサンフランシスコへの展開を中止せざるを得なくなったほどだ。米国では外食だけでなく食品スーパーの競争も激化しているのだ。

(4)ステーキレストラン

家庭における牛肉の消費の低迷を横目にステーキレストランの人気は大変高い。今年に日本に進出したアウトバックステーキハウスは12年間で650店舗を展開するほど急成長した。同社は人口の南下による南部の味の人気を利用し、ニューオリンズのケイジャンのスパイシーな味と、カジュアルで楽しいサービスを実現し急成長を遂げた。また、高級ステーキハウスであるシカゴベースのモートンズも景気の回復に伴い高収益を上げているし、ステーキハウスの復権を見たレタスエンターテインユー社はモンアビガビと言うフレンチスタイルのステーキハウスを開発し、シカゴとラスベガスに出店をした。 

テキサスから展開を始めたローンスターや西海岸を地盤としたブラックアンガス(Stuart Anderson's)などのチェーンも急成長を遂げていたが、急成長に対し店舗のオペレーションや財務管理が追いつかず、アウトバックの独走を許すようになった。店舗のコンセプトの優劣だけでなく、財務管理の重要性を感じさせる動向である。

(5)ファミリーレストラン

大手が元気がないことが挙げられる。このジャンルはファーストフードのメニューの多角化、ディナーレストランの伸びの良さに圧迫され、伸びが止まっているいるセグメントである。やはり、各レストランの個性や特徴をだし、その地区のローカルカラーをしっかりと出す必要があるようだ。

(6)ファーストフードチェーン

R&I紙の評価において味の評価ではウエンディーズ社がトップであったが、99,2000年と西海岸で急成長中のイン−N―アウト社にその座を奪われた。同社はハンバーガーの種類は3種類と限定だが、生のオニオンスライスなどを入れ、注文生産でハンバーガーを作ることで大人気を読んで急成長中のチェーンだ。

マクドナルドの評価はウエンディーズ、バーガーキング、社より下であり、便利性で一番の評価を得ているにすぎない状態だ。

そこで3年ほど前からマクドナルドではデラックスラインというグルメハンガーを販売開始をした。グロウンアップテイストと言うキャッチフレーズで大人のハンバーガーを打ち出した。これはバーガーキングのワッパーやウエンディーズのハンバーガーに対抗するトマトと野菜の豊富なハンバーガーだ。同時に大人向けのキャンペーンを中心に打ったが成功しなかった。そこでできたての味を売り物にしようと、メイド・フォー・ユーと言う熱々のハンバーガーを提供できるオペレーションに全店舗を変更した。さらに広告宣伝費を強化し、お子さまのセットメニューの訴求を行い、回復基調を目指している。

また、ピザやメキシカンレストランチェーンの買収、1999年暮のレタスエンターテインユー社とのコンサルティング契約、今年のボストンマーケット買収、など、マクドナルド社は米国の景気回復を見て、多業態化の準備に入ったようだ。マクドナルド社などの大手のファーストフードチェーンは米国における単一ブランドの限界を感じ始め、多ブランド化への対応や、海外出店の加速、合併などの対応を迫られている。

(7)グルメコーヒーチェーンの動向

このジャンルではスターバックスは2400店舗を越え、それに対抗するチェーンはなかなか誕生こず、独走状態を遂げている。2400店舗のほとんどが直営店舗というのも米国の外食では考えられない戦略だ。スターバックスはイタリアンブームを背景に急成長したが、同時に優れたイメージ戦略がその武器である。ファーストフードやファミリーレストランが500店舗以上の展開をするためにはテレビコマーシャルなどを使った広告宣伝の使用は不可欠だが、スターバックスはテレビコマーシャルを使っていない。その代わりパブリシティーとデュアルブランドにより知名度アップをはかっている。恵まれない地域への(コーヒー産地など)への援助や、病気の子供達に対するチャリティー活動などを通じ会社のイメージをアップし、同時にペプシコーラやユナイテッド航空、シェラトンホテル、アルバートソン(食品スーパー)などとの提携によりスターバックスのロゴマークのついた商品を消費者が目に入る機会を増やし、知名度をじっくりと上げていった。マリオットと提携し展開している空港内スターバックスも知名度を上げるのに大きく役に立っている。

しかし、スターバックスも2000店を越える頃より一時の熱狂的な支持が薄れつつある。どこの町にも開店し、ユナイテッド航空の機内のコーヒーやシェラトンホテルのコーヒーでサービスされ、食品スーパーでも挽き売りのコーヒーやアイスクリーム、ドリンクなどが販売されるようになり、希少価値が薄れ、若者からの熱烈な支持が薄れつつある。そのため、業態変換のテストを開始し、シアトルとサンフランシスコにサーカディアと言う、三毛作の形態の店舗をテストしている。さらに、インターネットによるマーケティングやイメージアップを目指すべく準備中だ。

スターバックスのもう一つの問題は提供する食品が貧弱だと言うことだ。スターバックスでは客が店内に入ったときに空間を満たしてるコーヒーの香りを満喫できるように、店内での調理加工を行っていない。それが貧弱なメニューの原因だ。

その欠点をついてきたのが、Lettuce Entertain You Enterprises社が開発したニューヨークスタイルイタリアンのマジアーノとの複合コンセプト、コーナーベーカリーだ。このコンセプトをカジュアルレストランチェーンのブリンカーインターナショナル社(有名なHMR業態のイーチーズを経営している)が買い取り全国展開を開始している。コーナーベーカリーは三毛作をとるベーカリーカフェだ。この店舗は美味しいコーヒーと焼きたてパン、イタリアンの惣菜というメニューの組み合わせを武器に、朝食、昼食、夕食と時間帯によりメニューを変更する三毛作の形態をとり、全米で1000店舗展開できるのではないかと言われている。現在の平均年商は2億円と言われ、平均年商1億円以下のスターバックスよりも遥かに高い年商を誇っている。

スターバックスもこの動きに敏感に反応し、現在、店内調理料理を開発中である。今後もスターバックスがダントツの首位の座を守りきれるのか注目される業態だ。

(8)地ビールレストラン

飲酒運転の強化と高級化を追い風に急成長したビアーレストランのであるが、急速にその勢いを失っている。原因は地ビールレストランの投資コストが高く、採算性が悪いことと、ビール以外の料理が美味しくないと言うことだろう。特に地ビールレストランはビールには力を入れるが料理はビールのつまみという域を超えることができず、消費者の支持を急速に失ってしまった。             

(9)ニューヨークの高級レストラン動向

ニューヨークは東海岸にあるためフランスの影響が強く、本格的なレストランがひしめき合っている。その中でアメリカン料理として知られるオーレオールAureoleは店内を美しい花で飾る優雅な店だ。素晴らしい盛りつけの料理と女性のため息を誘うデザートでZAGAT上位ランクの常連だ。アメリカン料理とはフレンチのヌーベルクイジーンの影響を受け、バークレーに27年前に誕生したアリス・ウオータース率いるシェパニーズが生み出した物だ。フレンチと西海岸の豊富な野菜を組み合わせた見た目に美しく、健康的な料理で、カリフォルニアフレンチとかカリフォルニアイタリアン、ニューアメリカンなどと言われている。ニューヨークの繁盛店の主流はこのニューアメリカンである。 

http://www.chezpanisse.com/

もちろん伝統的な最高級料理であるフレンチも米国の景気回復により復権しだした。ニューヨークトップクラスのフレンチのダニエルは

http://www.danielboulud.com/

98年末に従来のシックだが狭く暗い店舗から、元ホテルの大型レストランへ移転した。従来はテーブルにつくまでの間にいっぱいやるバーも狭く余裕がなかったのだが、こんどの新店舗はゆったりとしたエントランスと素晴らしいバーを備え、店内は高級感のあふれるフレンチレストランとなり、パーティ用の席も設けられている。ダニエルの素晴らしいのは内装や料理だけで無くサービスだ。コースの終わりのデザートを食べる頃になるとオーナーシェフのダニエルは客席をまわり、顧客とコミュニケーションをとる。筆者が気に入ったのは話している際にキッチンを見せてくれと言うと嫌な顔をせず、直ちにキッチンツアーをしてくれることだった。古い店でもゴミ一つ落ちていない素晴らしいキッチンであったが、この新店舗のできばえは最高で思わず見とれてしまう。その広い厨房を一望に見渡せる中二階に設けたダニエルのオフィスはオーナーの調理にかける心意気を感じさせるのだ。

最後に

現在の米国のように豊でものがあふれている社会では単に料理が美味しいというだけでは繁盛しないのだ。米国繁盛店を見ることにより、料理が美味しい、雰囲気が楽しいだけでなく、素晴らしいサービスというのが大繁盛をもたらすのだと言うことを認識させられた旅であった。

以上


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