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特集・働きやすい厨房と最新調理機器
厨房設計これだけは知っておきたい基礎知識


<店舗設計>

飲食店店舗設計というと特別な知識を持つ専門家の仕事と思い、専門家に任せがち だ。専門家にすべて任せっきりでは、あなたの本当にほしい店舗にはならないし、 予算も超過してしまう。店舗設計の専門家は必要だが経営者のあなたがしっかりし た店舗設計ポリシーを持って、具体的に指示することが基本だ。もちろん店舗設計 の細かい実務の知識をする必要がないが、経営者としての目標を明確に伝えること が大事だ。

1)業種を明確にする

<繁盛店を参考にする>

当たり前のことだが、業種を明確にすることは最も重要だ。フランス料理、中華、 和食、FFなどの業種だ。従来はフランス料理をやるのだというと、簡単にレイ アウト、調理機器の選択ができたのだが、現在ではそんなに簡単ではないようだ。 フランス料理で和食を出したり、その逆もある。そういう意味で、最近では何料 理というのでなく、どんな料理を出したいのか、その量はどうなのかということ をしっかりと考えないと、後で料理の幅が限定されることになる。

皆さんの中には業種は何でもよい、繁盛する店をやりたいのだという方もいる だろう。それなら繁盛店を具体的に見て参考にする必要がある。

この景気の悪い中、開店後大流行な飲食店がある。高級レストランでは恵比寿ガ ーデンプレイスに開店したタイユバンである。フランスの三ツ星レストランが新 規店舗を開いて、ディナーメニューの価格が18000円とものすごい低価格だ。 従来であれば3万円に近い値付けをした筈なのだ。お陰で年内のディナーの予約 は殆ど入らないような繁盛ぶりだ。昨年は景気の悪さから低価格レストランが大 流行した。

95年度はどうかというと低価格は当たり前になり、単に低価格というよりも、 値段に対して価値があるかというバリューが大事になるだろう。客単価1万円を 越える飲食店はよほど価値を出さなければならないだろう。やはり昨年秋に新宿 にオープンしたパークハイアットのメインダイニングのニューヨークグリルはビ ルの最上階にあるレストランだ。従来のホテルのメインダイニングと言うとフレ ンチと相場は決まっていた。エレベーターをでると目の前が新宿の夜景だ。その 後ろがニューヨークグリルだ。クロークを通って最初に目に付くのがオープンキ ッチンの厨房だ。ローティサリーオーブン、チャーブロイラーで目の前で調理を しているところを見ながら客席にいく演出だ。ここでの最大の見せ物は外の景色 ではない(もちろん新宿で最も素晴らしい夜景を楽しめるのだが)。キッチンな のだ。しかもアンジェラという若い小柄な女性がメインシェフなのだ。彼女のき びきびした動きもまた売り物だ。お陰で年内のディナーの予約は一杯だ。

バブルの超高級な料理はバブルとともに消え去ったが、一度覚えたグルメの贅沢 を忘れるわけではない。テレビ番組で高視聴率をとっている「料理の鉄人」では、 料理そのものより、調理の行程を目の前で楽しませるというスタイルを定着させ た。この出演者の中で最も人気が高い道場六三郎が赤坂に開いたオープンキッチ ンのブラッセリー六三郎も年内の予約が入らない繁盛ぶりだ。

このオープンキッチンで調理を見せるのは、価格帯の安い分野でも大成功してい る。現在大流行の低価格イタリアンレストランは、オープンキッチンが受けてい るのだ。それを活用して成功させようとしているのが、スカイラークガーデンズ だ。また、FFでもローティサリーオーブンでの鳥の丸焼きが大変受けている。 KFCが昨年の暮れに原宿のエルポヨロコの後に開いたハーベスタークラブがそ れだ。FFの分野でも調理を見せるオープンキッチンがはやってくるだろう。

<料理と食材の変化>

また、高級料理を出す店舗では新しい食材や、冷凍食材を使用する例も増えてき た、そうすると従来と同じレイアウトや調理機器を使用すると効率が悪いという 問題もある。

自分の得意な業種であっても、地域により競合が厳しいときには、同様の業種で あっても料理単価を変更することにより他店との差別化ができる。フランス料理 であっても、客単価の設定により戦略は変わってくるし、客単価の変化により必 要な客数が変わり、厨房のデザインも変わってくるのだ。

料理単価が変わることにより、皿の大きさ、1客当たりの皿の数も変わるし、調 理方法も変わる。客数を裁くためには、前もって調理し加熱保管する設備が必要 になってくる。 厨房デザインだけでなく、客席のレイアウトも大きく変わる。 高級料理店であればゆったりとしたレイアウトであり、隣の客席との間隔も十分 とる必要がある。大衆食堂であれば、必要最低限のレーブルサイズにしなければ ならない。

2)店舗のロケーション調査と売り上げ予測

新しい店舗であれば売り上げ予測をする必要がある。駅から近いか、住宅立地か、 繁華街立地か、周囲に学校、公官庁、映画館、ショッピングセンター、ディスカ ウントセンターなどの集客力のある施設があるか、などによりにより売り上げは 大きく影響される。

平日に忙しいのか、土日祭日に忙しいのかで厨房の能力客席のサイズも変わって くる。ビジネス街であれば平日はコンスタントに忙しいが、土日祭日は暇だ。郊 外の店舗では逆で、平日は暇だが、土日祭日は忙しいのだ。

通行量の調査は必要である。通行量は予想営業時間帯に行う。単に通行人数だけ ではなく、男女別、服装、目的別なデーターをとることが必要だ。いくら通行量 が多くても客にならない場合がある。たとえば郊外の駅前立地であれば、朝の通 勤の為の通行量が多いはずだ。しかし、家の近くの駅前の店舗にはよらないのだ。 たいてい、会社の近くの駅におり、一息ついてからコーヒーを飲んだりするのだ。 しかしたいてい朝の通勤の人数が多いから出店調査の際にだまされやすいのだ。

通行量調査は人任せにしないで、自分で実施することが必要だ。特に高級料理で あればあなたの店の客になりそうな人が通行するかは重要だ。後悔先に立たずだ。 売り上げは一般的には通行量に左右される。一般的な飲食店が一階に店舗を持つ とすると、入店率は何もしなくても通行量に対して0.5%〜1%だ(店舗に来 店する客数を通行人の数で割った数字)。差があるのは店舗の間口が広く入りや すいか、角店で目立つか、外観が感じがよいか、看板が目立つかによってだ。こ の入店率は業種により変化してくる。高級店のような固定客のの多い店舗であれ ば通行量に関係なく客を確保できるので、通行量の多い商店街や駅前に立地しな くてもすむが、そのかわり、駐車場が近いとか、主要な道路からわかりやすいな どの店舗配置が重要になる。場合によっては道路に店舗案内の看板が必要になる。

通行量のデーターで重要なのは、季節的な変化と、計時変化だ。季節的な変化は、 春先であれば新入生が多くなり通行量が増加する。夏休み、歳末も同様だ。季節 変動を考えてデーターを作成する必要がある。また、現在の通行量だけでなく、 過去どのように変化しているのか、これから通行量が増加していくのか、減少し て衰退する町なのかを見極めることは極めて重要だ。

これらのデーターを自分で 分析するのは難しいが、市の商工会議所、商店街には通行量調査の資料がある。 また、市役所にも通行量調査や、商店街調査、広域商業診断などの資料があり、 それをみれば通行量のトレンド、商業施設の動向などをつかむことができる。

現在、飲食店を経営しているのなら、その店舗の通行量と入店客の比率を計算し てみると参考になるはずだ。その時、固定客を勘定しないことだ。ふりの客がど の位入ってくるかが大事だ。そうすると案外入店率が少ないことに気がつくはず だ。また、固定客が多い場合でも、あなたの店に来るのはほかに目的があるから かもしれない。家が近いとか、公官庁に用事がある、商店街に商売にきている、 ショッピングセンターに買い物にきている、学校のPTAの会合の後の食事、映 画を見に来る、会社が近い、などだ。それらの要素が新店舗にもあるかというこ とをは見極めることが重要だ。そうすれば通行量そのものが少なくても、宣伝販 売促進活動をする余地があるのだ。

店舗の入店率を向上させるには、店舗の外観、看板、内装、サービス(従業員の 外観と笑顔)を感じの良いものにする必要がある。ここではあなたの店舗の料理 は関係ない。まず客を店舗に入れないと食べてもらえないからだ。店舗の外観と いうのは大変需要になる。繁盛店の店舗外観を参考にしてみよう。

3)損益分岐点と可能投資額を算出する。

店舗の売り上げを予測したら、別表の損益分岐点の算出方法に従い、損益分岐点を計算し、採算が合うか検討する。もし、採算が合わなければ投資額を見直し、再計算する。多くの飲食店は最初の損益の予想が甘いので倒産するのだ。売り上げは控え目にして、投資額、経費は余裕を見て考える、さもないと後で思わぬ経費がでて驚くのだ。

4)店舗設計家との打ち合わせチェックリスト

1)2)3)は店舗設計者に依頼する前に経営者が明確にしなければならない。特に店舗設計を依頼し、設計が進んでから大きな変更をしてはならない。設計変更により店舗の設計は中途半端になり、予算をオーバーしやすいからだ。もちろん途中で多少の使い勝手を変更するのはかまわない。

また、普段から優秀な設計者と知り合いになっておくことが重要だ。繁盛店を見学しそれが気に入ったら、誰が設計したかを聞いておき、同じ設計者の店舗を普段から見たり、話を聞いておくべきだ。よくあることだが、有利な物件情報というのは急に持ち上がり大抵時間が十分にないのだ。準備がないまま店舗を作ると後で後悔することになる。普段から設計者とコンタクトをとり、いざという時にすぐに設計にかかれるようにするべきだ。

設計者に伝えるのは、業種、店舗面積、場所、予算、売り上げ予測、希望する店舗設計、参考にしたい具体的な店舗名、などだ。なにをしたいか具体的に明確に伝えることが重要だ。

設計者は店舗施工業者や厨房施工業者とは別に選定する方がよい、設計料が別途かかるが、後で満足できる店舗ができあがるはずだ。設計ができたら、店舗施工業者と、厨房施工業者を入札で選定するか、複数の業者と交渉する。店舗の施工は設計者に施工管理をしてもらうことで手抜き工事はなくなるのだ。

新規ビルなどでゼネコンが全体の工事を受け持つ場合には、厨房の設計、施工になれて以内場合が多いので慎重に売り合わせる必要がある。厨房の設計施工を厨房業者に任せてしまう場合が多いが、知識不足や予算などで制約が受ける場合が多いので注意する必要がある。

5)店舗のサイズを決める

売り上げ予測ができたら、設計者と打ち合わせながら必要な厨房のサイズ、必要な客席のサイズを決定する。といっても既に店舗を所有していたり、借りる予定になっているはずだ。そうすると全体のサイズをどうするかを決めることはできないが、厨房と客席のサイズの振り分けをする必要がある。よくあることだが、シェフ出身の経営者は厨房の働き易さばかり考えて、客席の数を十分にとらないことが多いようだ。いくら厨房の効率が良くてもそれだけの能力に見合った客席を十分にとれないと売り上げは上がらないのだ。

いくら固定客の多い店舗だからといっても表通りに面していれば家賃は高額になる。その高い家賃のところに厨房を大きく作るのは無駄である。厨房でも、食材の下拵えをするのは離れた家賃の安い場所ですむはずだ。同様に倉庫、事務室、休憩室の設備も離れた家賃の安い場所で十分なはずだ。まず予想売り上げを確保できるだけの客席サイズを考え、それに見合った厨房にするというバランス感覚が重要だ。

なお、設計の際には、食材を十分に整理して保管できるの倉庫、冷蔵庫、冷凍庫、従業員がくつろげる休憩室の設定を忘れないようにする。

6)厨房と設備の設計

<厨房レイアウト>

厨房レイアウトは売り上げと調理機器の配置に見合ったレイアウトにする。レイアウトを考えるときにまず必要な機器を自分でリストアップする。そして各機器のサイズを明確にする。その機器リストを元に食材の搬入、保管、下拵え、保管、調理、盛りつけ、と無駄無くレイアウトする。

レイアウトの際に忘れてはならないのは人の導線だ。人が働きやすくなくてはならない。人の横幅は500mm必要だ。半歩動いて調理するとする場合、調理範囲は1000mmとなる。複数の人間が同時に調理する際には一人の作業スペースとして考慮しなければならない。通路は頻繁に通行する場合はぶつからないことを前提とすると、1200mm必要だ。最低でも700mmはとっておきたい。あまり通路を狭くすると、将来調理機器を入れ替えするときに出来なくなるし、修理も難しい。修理のスペースも考えて機械を並べる必要がある。また、最新型の調理機器はコントロール関係を電子機器を使用しており、熱に弱い。調理機器を並べるときには、コントロールパネルなどに横に燃焼機器がこないように留意する必要がある。また、水にも弱いのでシンクの横に置かないようにする。

作業テーブルの高さだが、あまり低いと腰を痛めるので慎重に設定する。低い作業テーブルより高い方が問題がないようだ。最低でも850、出来たら900の高さが望ましい。シンクの高さも縁でなく作業面の高さで考慮する必要がある。上の棚を使用する場合届く範囲を考えて1900mm前後にする。テーブルの奥行きも手の届く範囲は750〜800mmである。

作業テーブルなど板金ものはつなぎ目のない一体型の方が見た目も良くきれいなのだが、一体で作成すると後で、レイアウトを変更したり、機械を入れ替えると全部やり直す必要があるので注意されたい。

板金を注文するときには、板の厚さとステンレスの材質を指定する必要がある。ステンレスには大きく分けると304と430の2種類がある。米国ではNSFという衛生基準がありる、使用する部分により指定がある。304は錆びない高級なステンレスであり、磁石がつかない。430は条件が悪いと錆が出る。磁石がつくので見分けがつく。304はシンク等の水を使用する場所と食品が直接あたる場所に使用する。430はそれ以外の場所で使用する。

ある米国チェーンでは以前、厨房のステンレスは全て304を使用していた。理由は304と430では色が違うからだと言うことであった。430は青みがかった色で厨房が冷たくなるからだということであった。高級なオープンキッチンを考える場合留意する価値があるだろう。ただ。304は効果なので必要な個所だけ使用するのが現実的だ。

ステンレスの厚さは作業台など強度が必要な個所には1.6mmの厚さを使用する。日本の場合比較的薄いステンレス板を補強して使用するが、430の裏を異なった金属で補強すると錆びやすい。長く使用する作業台は良い材質をすると良い。

<設備設計、働きやすい環境>

厨房は働きやすい環境を考えて設計しよう。

<1>ドライキッチン

厨房の床は良い材料を使用しよう。床を後でやり直すのは大変金額がかかるのだ。防水層まで変更する必要がある。ノンスリップの厚いタイルがベストだ。厨房はドライキッチンにすると作業環境が大幅に改善される。厨房の作業環境が悪いのは、空調が十分に効かず、夏場の冷却が不十分なだけでなく、常時床に水がこぼれていることにより湿度が高く、そのため不快指数が高くなるのだ。ドライキッチンにして床を何時も乾いた状態にして、湿度を落とすことにより厨房の作業環境は大幅に向上する。ドライキッチンというと、水を流してはいけないように思われるが、場合によっては水を流しても良いのだ。ただし、排水溝をもうけないのが基本だから、流した水はふき取る必要がある。

なぜ排水溝を設けない方がよいかというと、排水溝からネズミやゴキブリが進入し、不衛生だからだ。 臭いが逆流してくるという問題もある。また、排水を良くするために床に傾斜をつけるため、作業性が悪く、調理機器の設置の際水平にできなかったりする問題もある。 どうしても排水溝を必要な場合は、穴あきでない蓋を使用し、ごみが落ちたり、ネズミの進入を防ぐようにする。

各機械の下の清掃性に注意する。下部から15〜20cm離しモップが入ることが重要だ。また、ドライキッチンにすると清掃がうまくいかない場合があるが、厨房用の効果的な床洗剤の使用と、プロ用のモップ、モップバケツ、バキュームクリーナーを使用すると楽に清掃できる。店舗設計の際から清掃方法まで考えておく必要がある。

<2>空調設計

厨房には多くのガス燃焼機器を設置している。ガスが燃焼するとそれを排気する必要がある。排気するとその排気分だけの新鮮な空気を導入しないといけない。厨房の空調機には排気分の新鮮空気を導入する。しかし、排気分の新鮮空気を空調機器に導入すると、空調機器の能力が発揮でき無いという問題点がある。そのため、排気用の新鮮空気をダクトを2重にし、外から直接入れて排気するフレッシュエアーメイクアップ方式ある。 そのほか排気ダクトは年に最低1回は清掃が必要だがメインテナンスできるようになっているか注意しなければならない。

厨房の空調機の設計も大事だ。空調機の面積当たりの負荷(面積当たりの冷却力だ)と、清掃方法をきちんとしないと後で効かないでひどい目に遭うのだ。

もし空調機で悩んでいればある程度の原理を自分で学ばなければいけない。 必要な空調特に冷房負荷の計算方法を見てみよう。冷房負荷とは冷却と減湿する為に、必要な熱量のことを言い、各種に分かれる。

  1. 太陽輻射熱

    窓ガラスを通して入ってくる日射による熱で、全て顕熱として計算する。ガラス窓には必ずブラインドを使用して熱を遮る必要がある。

  2. 伝導熱

    窓ガラスや、壁、天井、床から、内部の温度差により侵入してくる熱で全て顕熱として計算する。

  3. 照明熱

    照明器具より発生する熱量。

  4. 人体熱

    人から発生する体の熱量。

  5. 換気負荷

    厨房器具の燃焼にともない排気をしなければならない。排気をすることにより厨房に新鮮な空気を導入しそれを冷却する熱量が必要になる。なお、客席の換気とトイレの換気も忘れてはならない。

  6. 調理器具の輻射熱と燃焼空気熱

    グリル、フライヤー、レンジ等を加熱する際にガスの燃焼空気が厨房の空気中に混入し温度を上昇する。また、加熱部分の熱が輻射熱となり空気や作業者を直接加熱する。 機器毎の燃焼効率により発熱量は異なる。各機器の燃焼効率が良い物の方が熱負荷が少なくなる。また、なるべくオーブン等やスチーマー等の密閉加熱方式の調理機器を使用し輻射熱や、燃焼空気が直接作業者に当たらない工夫が必要である。また蒸気の発生する機器は必要なときだけ使用する等の工夫をする。

設備業者に以上の計算方法で設計しているかきちんと確認すると手抜きをしない。計算が面倒であるので、一般的な厨房の場合、1平方メートル当たり600〜800kcalを考える。客席は300ー400kcal位である。これは店舗の厨房機器の数と排気風量により大きく異なるので設備業者に確認すると良い。

<空調機の種類設置上の注意>

空冷式の室外機の設置に気をつけないと冷却が充分に効かない事があるので注意されたい。特に複数の室外機を置く時には冷却が十分なようスペースをとる。 室内機は、床置き型室内機、天井隠ぺい型室内機、天井カセット型室内機の3種類ある。厨房では油汚れが多いので清掃の楽な床置き型室内機のタイプが望ましい。客席でもなるべく清掃の簡単な機種がよい。

どんなに設計や設備の良い空調機であっても、メインテナンスを怠れば、冷却しなくなり、ひどいと故障し修理代も多くかかる。従業員ばかりでなくお客様にも不快な思いをさせ売上に大きな影響を与える。

メインテナンスというと業者に任せると思うようであるが、店舗でも簡単に出来るのである。業者のメインテナンスは年に1回位であり、簡単な清掃、点検は店舗でやらないとならない。床置き型や、屋上置き型の空調機は清掃し易いが、天井隠ぺい型や天井カセット型は清掃し難く、業者に依頼する事をお勧めする。 自分達で清掃するときには、電装関係に水をかけないように充分注意して行う事。室内機は、エバポレーターを通過する風量が多いので、一般的にモーターから、ファンベルトを経由して回転させる。ファンベルトが緩んだり、切れると回転は伝わらないので、年に1回点検し、必要なら交換する。一般的に最低2年毎は交換するべきである。

<電気、ガス、水道の容量>

調理機器はガス、電気、水を使用するが、店舗に容量が十分にあるかチェックする必要がある。調理機器を入れ換えるときには、特に配慮が必要だ。電化厨房で電化調理機器を導入するときには、容量を越えると受電設備を交換する必要がある、場合によっては数百万円かかるので慎重な計算が必要だ。最も電気を必要とするのは空調設備であるから、GHP(ガスヒートポンプ)に入れ換えるのも検討してもよい。

一般的なクーラーは電気モーターでコンプレッサーを動かし、冷却用のフレオンガスを圧縮する。圧縮という作業のために大量の電力が必要なのだ。GHPは乗用車などのエンジンをその動力源として電気モーターの代わりに使用する。車のエンジンはガソリンで作動するがGHPの場合には、ガスを燃焼し動力とするのだ。つまり、電気を使用しないでもコンプレッサーを作動させられるわけだ。ガストの最新型の店舗でも採用されている。

<その他>

壁も水をかけてもよいようにタイル張りにする。目地は汚れが目立たないように色を付ける。天井もペイントなどではなく水拭きができる材質にする。厨房の照明は明るくした方が作業性が上がり、クレンリネスも維持しやすい。最低300ルックス、できたら500ルックスほしい。

< 電気厨房>

電化厨房にすると、レンジなどのガス燃焼が厨房無いの出ないし、燃焼時の輻射熱が体に当たらないので厨房の環境は大幅に改善される。ただし全てのものを電化するとランニングコストが高くなるし、設備コストも高くなる。本当に必要な物のみ電化する方が効果的である。全電化厨房にすると30%ほどランニングコストが高くなるのだ。特に湯沸かし器など、大きな電力を必要とするので注意されたい。

また、既存のビルでは電気容量が不足するために電化厨房にしにくいが、どうしてもしたい場合は、電気をもっとも食う空調機をガスヒートポンプ式にすると電気容量に余裕がでる。

<衛生上の注意>

排水マスから、ネズミが入ってこないか、虫が入ってこないか十分注意する。食器は完全に戸の閉まる戸棚に保管できるようにする。独立したごみ箱のも完備することを忘れない。

6)検討するとよい新型の機械

  1. グリドル(焼く機能)

    和食のガスの焼き台は従来は煙が出易いので電気タイプが増加していた。ガス式のヒーター部分にカバーがついているため、電気ヒーターより表面温度が低くそのため油がこびり着き、煙がでる。そこでガスの燃焼をブラスト方式に変更し、ヒーター部分の燃焼温度を電気と同じ位上昇させ、油のこびり着きを無くした物が新発売されている。

    グリドルは厚さ2cm位の平らな鉄板を下からガスバーナーで熱する。従来は鋳物のバーナーを使っていたが最近では効率の良い赤外線のバーナーを使用する。鋳物の熱効率は30%位であるが、赤外線だと50%以上の効率があり、経済的だ。サーモスタットがついて温度コントロールが自動的にできるのが一般的で調理の失敗もなくアルバイトでも調理ができる。

    調理時間を短縮する自動調理機としてグリドルの鉄板をサンドイッチ方式にして、上下から挟んで同時に焼くという、クラムシェルグリドルが開発された。時間が半分に短縮され作業も楽で人件費が減るメリットがある。

    伝統的なバーベキュータイプのチャーブロイラーにコンベアーを組み合わせて、上下から自動的に焼く自動調理機もある。コンベアーを使用するため作業スペースが少なくまた人件費も低いというメリットがある。

  2. オーブン(焼く)

    比較的肉の厚いハンバーグミートを調理する場合、グリドルで焦げ目をつけた後オーブンで火を通していた。しかし時間がかかりすぎ、調理が勘に頼らざるをえないので、最近ではコンベアータイプのエアーインピンジメントオーブンを使用している。このオーブンの原理は、熱く熱した空気を食品の上下から高速で吹き付けることにより短時間で焼き上げる方法である。ガストやすかいらーくではこのオーブンでほとんどの焼く作業を済ませようとしている。作業が単純なので、専門のコックが不要で、かつ、5分間くらいで調理ができるので客席の回転が早くなり、売上が向上する。

    最近注目されているスチームコンベクションオーブンは、蒸す、焼く、高温の乾燥蒸気を利用した高速調理などの殆どの加熱調理を1台でできるので、中小の飲食店に向いており今後急速に普及するものと思われる。

  3. フライヤー

    アルバイトでも品質の良い揚げ物ができるように、サーモスタットをつけ温度を一定に保つようにしている。加熱しすぎて火災にならないように加熱防止器が付いているものが望ましい。

    コンピューターを内蔵し、入れる食材の量によって油の温度が下がるのを感知し自動的に調理時間を調節するようにしたり、自動的に食品を入れたバスケットを油から上げる、オートリフトの装置も使われるようになった。

    また、天丼チェーンやとんかつチェーンではは遠赤外線加熱のコンベアーフライヤーを使用して、品質の安定と、人件費削減を同時に実現している。

    売上が高く冷凍品を解凍しないで調理する場合には、小型のカウンタートップフライヤーでなく大型の床置きのフライヤーが良い。

    使用した油のろ過を頻繁にやると油が長持ちするので、フイルタリングマシン(油の自動ろ過機)の内蔵型を使うと便利だ。

    最近、火力が強い高級なフライヤーをあるコロッケチェーンが採用し100店舗のチェーン展開をもくろんでいるという例もあるので、目的別に選ぶと効果的だ。

  4. 高精度加湿保温庫

    調理に時間がかかる肉や魚などを事前に焼いておき、それを正確な湿度コントロールが出来る保管庫に保管しておく。作業が分散化し商品の破棄も少なくなり、オーダー後の商品のサービングタイムが格段に早くなるというメリットがある。

    デリケートな食材を保温するには乾いてしまってはならないので湿度のコントロールを正確に高温域でできる高精度加湿保管庫が最近販売されるようになってきた。サービスのスピードを早くするにはたいへん有効な機器だ。

  5. 電子レンジ

    単純な電子レンジだけでなく、高速調理をするために、エアーインピンジメント方式などを組み合わせたコンビネーションレンジを各社で開発中であり、今後の技術革新の目玉商品と思われる。

  6. 電磁調理機

    ガスストーブは排気熱で厨房を熱くするし、数多く設置すると排気ダクトの設計が複雑になるので、最近では電磁調理機器を使用し、鍋などを加熱する様になってきた。加熱原理はコンロ内部に埋め込まれたコイルに電気が流れると上に乗せた鍋の金属に誘導電磁波を発生させ金属を発熱させるのである。上に金属がない場合はコイルに電気が流れていても加熱しないので熱くなく、燃焼しないので排気も不要である。和食のレストランのシャブシャブコンロを客席におくときに安全であり、排気が不要なので多く普及している。 調理だけではなくステーキやハンバーグを乗せる鉄皿を加熱する場合も、加熱時間が早いので使用されている。

  7. 冷蔵、冷凍庫

    小出しにする際に余り頻繁に扉を開け締めすると内部の温度が上昇し、食材の品質が悪くなるので、各加熱調理機器のそばにアンダーカウンタータイプのコールドテーブル(冷蔵、冷凍庫)をおき、食材を小出しに使用すると便利だ。

    また、最近では高湿度冷蔵庫も食材の乾燥を防ぐので、高級手打ち蕎店や、和食の店舗で使用されるようになってきている。

  8. 炊飯機器

    家庭で使用している炊飯器の大型の物であるが、火力が強いのでガスタイプの方が電気タイプよりも多く使用されている。

    洗米の行程は重要なので、自動洗米機を使用すると便利だ。炊飯で重要なのは、米に対し一定量の水量があるかということと、一定時間侵漬するということである。一定時間水に漬けていないと炊いたとき十分に水分が吸収されず、固くボロボロの米になってしまう。特にタイ米は十分な浸漬が必要である。タイ米の炊飯用にプログラムを変更した自動洗米機と自動炊飯器があるので新規購入の際にはそれも検討されたい。

  9. 製氷機

    氷を作る機械である。タイプによりキューブタイプ(家庭の冷蔵庫で作る氷のような四角い塊)と細かなキューブ、フレーク(かき氷状)、フレークを固めたセクターアイスなどに分かれる。品質がよいので一般的にキューブタイプが使用される。空冷と水冷のタイプがあるが、水不足のエリアでは空冷を選ぶと良いだろう。

  10. ドリンクディスペンサー

    ホットコーヒーをつくる機械や、ジュースを冷却するディスペンサー、炭酸飲料を製造するディスペンサー、ビールディスペンサーがある。特に注意するのは、ディスペンサーのノズルなど毎日取り外して殺菌することが大事である。さもないと大腸菌などの細菌が繁殖し易いのである。また、ジュースディスペンサーなどは冷却機器なので毎朝十分に冷却できるか商品の温度を計測することが重要である。

    オレンジジュースが自由化されたので、濃縮のオレンジジュース用のディスペンサーがでてきている、冷蔵庫の場所をとらず味も良く、しかも食材コストが安くなる。

    最近はドリンクバーを設置する例が多いが、コーヒーやお湯をウオーマーの上に保管しておくと、冷めてしまい劣化が早い。コーヒーと湯の自動ディスペンサーの設置が望ましい。また、ジュースや炭酸飲料ディスペンサーも、製氷機と組み合わせたものが衛生的で、人件費を節約できる。

  11. 自動食器洗浄機

    使用した皿を洗浄するのは大変重要な作業である。皿に汚れが残っていると細菌が繁殖し食中毒の原因となる。手で洗うと湯の温度を高くすることができず、十分な殺菌ができないが、洗浄機は温度を高温にし、洗浄能力を高め殺菌を完全にできるのだ。

    洗浄機で重要なのは、予備洗浄と事後の汚れのチェックである。また、洗浄のみでなくリンス(ゆすぎ)時に80℃以上の高温の湯で殺菌するが、その温度が規定を保っているか常時チェックが必要である。

    洗浄作業は従業員の最も嫌がる作業であり、洗浄機の導入により退職率が低下するので導入する例が増加している。また、洗浄機は高価であるが、水を流しっぱなしにしないので、水道代、電気代、洗剤代、人件費が節約できる。また、食器の破損率も大幅に減少するので、トータルで見ると経費が削減できるので積極的に導入するべきだ。

<店舗別のお勧め調理機器>

<洋食>

大手チェーンはコンベアーオーブンで調理の自動化をはかっている。この分野で大手チェーンに打ち勝つには、品質とサービスのスピードだ。コンベアーオーブンは確かに良い機械だが、セントラルキッチンによる品質の安定化や冷凍食品の使用が必要だ。しかもコンベアーオーブンを使うには温度と時間をその都度変えられないので、調理方法や原材料にかなりの工夫が必要だ。お惣菜の加工工場や、単品のメニューが多いところではよいが、メニュー数が多い場合にはかなりの勉強が必要だ。

中小に向いた機器としてスチームコンベクションオーブン(以下SCO)がある。値段はかなり高いが、高温蒸気で短時間に焼き上げるので、コンベアーオーブンより味がよいのが特徴だ。また、コンベアーオーブンと異なり、、SCOは蒸しもの、煮物、真空調理、調理済みの再加熱、など一つの機械で幅広く調理できるので、狭い厨房でも活用できる。値段は高いがお進めの機械だ。

サービスを早くするにはランチ時に事前に調理済みの食品を保温しておくのが効果的だ。高精度加湿保温庫を活用されたい。

また、電子レンジの活用もサービスのスピードを早くする。電子レンジというと冷凍食品の解凍に使われると思われているが、色々な使い方がある。例えば、保温庫に保管した食品を数秒加熱して出すと出来立てのように熱い状態になる。また、料理でチーズを溶かしたり、チョコレートを溶かすときに、電子レンジで加熱すれば必要な分だけ、数秒で加熱できる。家庭用と業務用の違いは、加熱時間と温度ムラだ。家庭用で満足しなかった方は業務用の力の強い電子レンジをお勧めする。

また、厨房が熱くて困るときにはガスレンジの変わりに電磁調理器を検討しても良いだろう。特にスープや、ソースを小量加熱するのには最適だ。

宴会や日曜日の売上が高いが、家族経営で人が十分以内という向きには、真空調理やクックチルがお勧めだ。冷凍食品を使用しないでも3〜5日間保存が利くので品質で大手に対抗できる有効な手段だ。

技術的にかなり勉強が必要だし、高価だが人件費を考えると採用する価値がある。小さい店舗でクックチルを使用するには小型で従来の調理機器をそのまま使えるブラストチラータイプが向いているだろう。真空調理は品質がよいので比較的高級なフランス料理や、和食で使うと良い。

<中華>

中華料理の場合、炒めものの作業は重労働だし、熱いという問題がある。 厨房の熱さを減少するには、最近電磁タイプの中華レンジがでてきた、価格は高いがどうしても厨房の熱さを軽減したいと言うときは検討する価値があるだろう。

しかし、品質を考えると火力の強いガスの中華レンジを手放せないが、それでも厨房の環境を良くしたいと言う場合は、厨房の蒸気の発生を減らすことを考えても良いだろう。 中華料理はラーメンスープを常にぐらぐら沸かしたり、麺ゆで釜や、蒸し器を常時つけっぱなしというのが多く、その為厨房の中は蒸気で蒸し風呂のようだ。夏になると50℃にもなる。

中華レンジを使用する限り温度は下げられないが、蒸気量を減らすことにより、熱さ感覚はかなり低下する。蒸しものは、密閉型のスチーマーを使用すると蒸気がでないから効果的だ。ホテルなど大量の蒸しものがでる場合に、SCOを使っている例もある。

麺ゆで釜は常時ぐらぐら沸かすのでなくサーモスタットをつけて沸騰点の手前で待機させている機種がある。これだとガス代も減るし、蒸気の発生量も減らせ厨房の環境が良くなる。ガス代を考えると、交換しても数年で元がとれるので検討する価値がある。また、面倒くさいが、使わないときには必ず蓋をする習慣をつければ蒸気の発生量が大幅に減るはずだ。

また、最近は濃縮のスープの品質も向上したおり、自動のスープディスペンサーや湯の自動ディスペンサーも検討の価値がある。

蒸した点心を蒸気保管庫で保管するとサービスのスピードが早くなる。また、胡麻揚げ団子の様に冷凍食材を使用する場合、電子レンジで短時間解凍しすぐ揚げると、サービスのスピードが早いし品質も良い。骨付きの鳥の空揚げは揚げるのに時間がかかるが、電子レンジで加熱した後揚げると短時間で上がり、骨まできれいに火が通るのだ。

何でも店で作るのはもう無理な時代だ。品質に最も影響する中華レンジは離さないが、他の調理機器を合理化し、冷凍食材を積極的に活用するべきだ。すでにホテルでは冷凍の点心類を活用しているし、横浜の中華街でもスープストックを購入する時代なのだ。

<和食>

刺身を美味しく保存するためには、高湿度の冷蔵庫がある。そこで解凍したり、保管することにより刺身の品質を高く保つことが可能だ。また、手打ちの蕎を保管しておくのにも最適だ。

てんぷら用のフライヤーは安全と品質を高く保つためにサーモスタットと、加熱防止機の付いたものを選ぼう。コンベアータイプの自動フライヤーは品質がよいが、高価であり、場所をとるため1時間で100食以上でるような繁盛店以外にはお勧めできない。そのかわり、てんぷら用の特殊なアダプターをつけて海老てんぷらや、かき揚げを誰でもできるようにしたフライヤーが良い。また、一般的なフライヤーを使う場合でも、工夫すれば品質の良いてんぷらを揚げることは可能なのだ。

高級な和食店ではSCOや、真空調理の採用も良いだろう。 焼き物では、ブラストバーナーのガスグリラーが煙がでないのでお勧めだ。また、売上の高い店舗ではコンベアータイプのインピンジメントオーブンを使っても良いだろう。

だしをいれた液体の味噌汁を使う、味噌汁ディスペンサーを使うと、味が煮詰まるという問題がなく便利だ。そのほか、電子レンジ、電磁調理機、なども活用したい。

<ファーストフード>

フライドチキンはやや伸び悩みの傾向があるが今後注目されるのが、ローティサリーオーブンを使用した網焼きチキンである。焼きのにローティサリーオーブンを使用するが、電気の場合電気容量が必要だ。場合によってはSCOを使用すると他のメニューも調理できるので効果的だ。

ハンバーガーチェーンは大手のチェーンに伸び悩みがみられるが、ショッピングセンターや、従来、出せなかった場所に積極的に出店するために、小型店舗の開発をしている。生産性を高めるために、調理済みのハンバーガーのミートパティーを高精度加湿保温庫に保管し、必要に応じて再加熱して出す、アッセンブル・ツー・オーダーシステムが主流になってくる。

ドーナツやベーカリーショップでは従来は店舗で粉から作っていたが、深夜、早朝勤務の問題から、冷凍生地とドーコンディショナーが開発された。今後、発酵前冷凍生地、発酵後冷凍生地、焼成後冷凍生地の活用が多くなるだろう。生地のタイプにより、使用する機器が異なるので注意が必要だ。

また、シェイク、ソフトクリームマシンは熱殺菌型の採用が当たり前になり、調理器具を洗浄殺菌するのに自動洗浄機を採用するようになってくるだろう。

<給食、病院給食>

94年の10月1日から病院給食は新しい費用体系になっている。従来は1日の支給額は1900円であり、本人の負担額は10%(企業の健康保険組合に加入の本人の場合)だったが、今後患者は600円負担するというものである。

そのかわり、夕食を午後6時以後、温かいものは温かいうちに出す、「適温、適時」給食をする場合、病院に支払われる健康保険の給付金を100円から200円に増加し、患者用の食堂を用意した場合、50円を加算する。また、患者が同意した場合本人負担で、特別メニューを提供することが可能になった。

これにより、病院側の食事に対する負担は増加し、食事を外部の業者に任せることが増えることが予想される。また、将来は病院の外で調理したものを運ぶ、院外給食が可能になると思わる。病院のセントラルキッチン化である。病院の食事は糖尿病、高血圧、腎臓病等など病人により異なった食事を提供する必要があり、一般的な食事とは異なる調理方法が必要だ。また、食品添加物の使用の制限もあり、病院専門のセントラルキッチンを設置する必要がある。また、食品添加物を使用できないため、食品の保存方法がむずかしいので、冷凍しないでも保管期間が5日から45日と長い、クックチル方式の導入が必要になってくる。

クックチルには空冷冷却のブラストチラー方式と、真空パックした食品を水冷で急速冷却するタンブルチラー方式とに分かれる。ブラストチラー方式の保存可能期間は5日間。タンブルチラー方式は45日間の保存可能期間である。

タンブルチラー方式のクックチルの原理はフランスの真空調理と同じ方式であり、真空調理を大規模にやる場合このタンブルチラーの活用が可能である。

企業の給食でもクックチルの活用が増加してくるが、クックチルはやや大型の給食に適している。小型で食堂の設置ができない事業所では、冷凍の食材を保管し、電子レンジなどで解凍するシステムなどが普及してくるであろう。

7)調理機器の選び方

効果的に調理機器を使いこなすには、一品豪華主義が有効だ。色々な機器を入れ換えるのでなく、もっとも効果的な調理機器を入れ換えて品質を上げ、他店と差別化をする1品豪華主義がよいだろう。ではその実例を紹介しよう。

専門料理の筆者でもある、料理研鑽会の村田氏の経営している京都の懐石割烹菊乃井では、京都の伝統的な和食の店舗でありながら、スチームコンベクションオーブン(以下SCO)という最新型の機器を使いこなしている。その理由は伝統的な和食の店であっても、質の高い従業員を短期で教育することが必要になったということだ。そのために調理のマニュアル化を容易にできるSCOを導入した。SCOは温度と時間を正確に調整できるのでマニュアル化にはぴったりだったのだ。

味の面でも常に現代人にとって受け入れられるような工夫が必要だということで、伝統的な和食は守りながら、対象を若い女性、主婦におき、ポケットマネーで食べて、十分満足できる量を出そう、つまりバリューを出すというものだ。そこでSCOを戦略的に使用している。

料理の順番はふつうは、お造りの後、椀をだすが、菊乃井では椀の変わりに蒸し物を出している。この蒸し物に一番手をかけている。そのために、SCOを使用しており、戦略上欠かせない機器となっている。蒸し物をやる場合のSCOのメリットは、温度の回復力が早いという事である。お客様のペースで調理するので頻繁にドアーを開け閉めしなければならず、温度の回復力の良い物が必要だったのだ。

ふつう京都の懐石料理を食べてもお腹がいっぱいにならないが、昼の定食、4000円であってもボリュームたっぷりで、かつ本格的なのだ。

このように、自分の店に最も必要な機械に投資すると効果的だ、全てに新型の機械を入れると使いこなせないし、採算も合わないのだ。

新型の機械は効果なので、購入する前に自分で実際に使用し確認するべきだろう。もし親しい店舗が新型の機械を使っていればよいがそうでなければ、販売会社のショールームでテストさせてもらったりするとよい。最近ではガス会社、電気会社が営業向けのショールームを持ち、飲食食店用の調理機器を使える状態にしているので積極的に活用するとよいだろう。

無理して新しい機械を入れる必要はないが、将来余裕ができたり、新メニュー導入のために設置できる準備をしておくとよい。スペースと、電気、ガス、水、排気の拡張ができるようにしておくのだ。将来とは5年先まで考えておく、10年後は考えすぎだ。スペースに余裕をもち、設備を考えておけば、低コストで新型の調理機器を導入できるのだ。

同じことは客席の設計でもいえる。最初は売り上げが低いから倉庫とか、従業員の休憩室を同じ店内に設けていて、売り上げが上がれば改装し客席にできるようにする。しかし、休憩室と、客席の間に丈夫な間仕切り、電気配管、配電盤、トイレなどを置いてしまうと改装にお金がかかるのだ。最初から拡張を前提に設計することが後でコストをかけない秘訣だ。


< 損益分岐点の算出方法>

損益分岐点の算出は、損益計算書の各経費を、毎月売上に関係なく固定的に発生する 固定費●と、売上に比例して発生する変動費★に分ける。

次に固定費の総額と、変動 費の総比率を計算する。100から変動費総比率を差し引くと固定費総比率が出る。

固定費総額を固定総比率で割った物が、損益分岐点である。

損益分岐点が低い方が売上が延びたときの利益高が高く、低くなっても赤字額が少なくなるのである。

図にある●の合計が固定費の総額

★の合計が変動費の合計である。

利益のところに固定費(●)、変動費(★)としてあるのは、損益分岐点の計算でな く利益を固定額で想定したり、変動費で比率で計算することがあるからである。

                    100-変動費総比率=固定費総比率
                   
                    固定費総額÷固定費総比率=損益分岐点

計算する場合以下の項目に注意してて損益分岐点を計算する

  1. 人件費、P/A
    店舗の大きさ業種により変わってくる
  2. 人件費、社員
  3. 水道光熱費
    過去の経験から算出する
  4. 修理費
    過去の経験から算出する
  5. 消耗備品費
    過去の経験から算出する
  6. 雑費
    過去の経験から算出する
  7. 家賃
    条件を入れる
  8. 減価償却費
    店舗建設の建物、内装費、厨房機器、設備費はそれぞれ償却年が異なるので注意し て計算する。償却は低率と定額法があるが、損益分岐点の計算時には定額法で算出 する。
  9. 金利
    金利の計算は保証金、内外装費、厨房機器、設備工事、等の投資金額を足し、金利 をかける。

損益分岐点試算表
.固定費 円変動費 %
売上高.
食品原価.
紙製品原価.
人件費P/A.
人件費社員.
広宣販促費.
水道光熱費.
修理費.
消耗備品費.
雑費.
家賃.
減価償却費.
金利.
その他費用.
利益 (● )( ★ )

    設計チェックリスト
  1. 店舗住所
  2. 面積
  3. 家主
  4. 開店希望日
  5. 施設図面
  6. 施設全体の見取り図。レイアウト
  7. 家主負担工事の範囲
  8. 当社の工事範囲
  9. 負担の度合い
  10. 電気容量
  11. ガス容量
  12. 防水区画
  13. 厨房区画
  14. 施設上の規制
  15. 業種
  16. 売り上げ予測
  17. 1日予想客数
  18. 客単価
  19. 調理の量
  20. 調理形態
  21. サービスの形態
  22. 特別な調理機器の希望または指定
  23. 店舗デザイン
  24. 希望する類似店舗の希望
  25. 希望調理場デザインコンセプト
  26. 希望客席数
  27. 倉庫のサイズ
  28. 休憩室のサイズ
  29. 事務室のサイズ
  30. 予算

<正しい空調機の設定>

もし空調機で悩んでいればある程度の原理を自分で学ばなければいけない。

(1)必要な空調冷房負荷の計算

空調負荷は顕熱負荷と潜熱負荷に区分される。顕熱は空気の温度の上昇や下降に関わる熱で、潜熱は空気中の水分が水蒸気に、水蒸気が凝縮水へ、それぞれの状態の変化にともなって必要になる熱をいう。簡単にいうと室内の空気の湿度を上下する熱量が潜熱である。

人が室内にいると体温が直接室温を上げる働きをする。これが顕熱である。次に人は汗をかき、その汗が蒸発し室内の空気に含まれる。そうすると室内の湿度が上がり、暑さを感じる。これが潜熱である。つまり、一つの熱源で二つの熱の計算が必要になる場合があるのである。特に調理器具の換気により発生する外気の導入の際、顕熱と潜熱を考える必要がある。

空調負荷の計算は以下の要素を考えなければいけない。飲食業の場合、その形態から暖房時より冷房時の問題の方が多いので、冷房についてのみ考える。

<冷房負荷>

冷房負荷とは冷却と減湿する為に、必要な熱量のことを言い、各種に分かれる。以下にその種類を述べる。

  1. 太陽輻射熱

    窓ガラスを通して入ってくる日射による熱で、全て顕熱として計算する。ガラス窓には必ずブラインドを使用して熱を遮る必要がある。

  2. 伝導熱

    窓ガラスや、壁、天井、床から、内部の温度差により侵入してくる熱で全て顕熱として計算する。

  3. 照明熱

    照明器具より発生する熱量。

  4. 人体熱

    人から発生する体の熱量。

  5. 換気負荷

    厨房器具の燃焼にともない排気をしなければならない。排気をすることにより厨房に新鮮な空気を導入しそれを冷却する熱量が必要になる。なお、客席の換気とトイレの換気も忘れてはならない。

  6. 調理器具の輻射熱と燃焼空気熱

    グリル、フライヤー、レンジ等を加熱する際にガスの燃焼空気が厨房の空気中に混入し温度を上昇する。また、加熱部分の熱が輻射熱となり空気や作業者を直接加熱する。

    機器毎の燃焼効率により発熱量は異なる。各機器の燃焼効率が良い物の方が熱負荷が少なくなる。また、なるべくオーブン等やスチーマー等の密閉加熱方式の調理機器を使用し輻射熱や、燃焼空気が直接作業者に当たらない工夫が必要である。次に厨房で負荷が高いのは空気中に蒸気を発散させる機器である。セイロで蒸したり、鍋で湯を沸かし放したり、作業中に床に水を出し放しにして置くと、空気中の蒸気量が多くなり潜熱の負担が多くなる。厨房はドライキッチンにし、蒸気の発生する機器は必要なときだけ使用する等の工夫で、厨房の作業は大幅に改善出来る。

以上のように要素で計算する。設備業者に以上の計算方法で設計しているかきちんと確認すると手抜きをしないのだ。計算が面倒であるので、一般的な厨房の場合、1平方メートル当たり600〜800kcalを考える。客席は300ー400kcal位である。これは店舗の厨房機器の数と排気風量により大きく異なるが、少なくとも事務所の基準の150kcalではとても暑くてたまらないのである。

<空調機の種類>

空冷式の室外機の設置に気をつけないと冷却が充分に効かない事があるので注意されたい。特に複数の室外機を置く時には、室外機から出た温風が他の室外機のコンデンサーに吸い込まれないように充分距離を空ける必要がある。さもないと、吸い込みの温度がどんどん上昇し、機械に負担をかけ、電気代が高いのに、冷えないという問題が発生し、機械の寿命も短くなる。

コンデンサーの冷却風を横に排気するタイプと、下から吸い込み上に排気するタイプがある。上に排気するタイプの方が他のコンデンサーに与える影響は少ない。室外機の周囲は遮蔽物がなく風通りが良くなくてはならない。また、上に屋根等があるとそこで排気がUターンし再度吸い込まれるショートサーキットを起こし易いので注意されたい。

<室内機>

室内機は以下に述べるように3種類ある。機種による構造を図を元に説明する。

  1. 床置き型室内機

    従来最も一般的に使用されていたタイプである。図1 コンプレッサーが内蔵であり、水冷のクーリングタワーの場合はコンデンサーに冷水が来て、フレオンガスを冷却し凝縮する。空冷の場合はフレオンガスを室外機に送り空冷のコンデンサーで冷却する。このタイプの室内機は信頼性が高くメインテナンスがし易い。特にサイドのパネルを取れば殆どのメインテナンスが可能である。室内機で重要なのは、フィルター、エバポレーターの清掃と、ファンベルトの交換である。床面積を取ると言う問題があるが、厨房で使用する室内機はこのタイプを使用するべきである。厨房の場合は排気に伴い新鮮空気の供給が必要であるが、このタイプは充分に供給できるので良い。

  2. 天井隠ぺい型室内機 図2

    限られたスペースを有効に使いたいと言うユーザーの要望により、近年室内機を天井内に釣り下げる天井隠ぺい型が使用され出した。床置き型と異なり、コンプレッサーは室外機に置かれる。室内機はファンとエバポレーターのみの構造であり、冷却されたフレオンガスは室外機より送られてくる。

    スペースを節約出来るので良いように思われるが、メインテナンス性は最悪である。特にファンベルトの交換は悪夢のようである。また、大きな室内機と、新鮮空気と供給空気のダクトが天井内で交錯し、エバポレーターの清掃は難易である。設計の際注意しないと、エバポレーターの清掃用の作業穴を開けていなかったり、天井の点検穴を開けていないばあいがあり、清掃作業が出来ない事がある。このタイプはなるべく厨房で使用しない方が望ましい。

  3. 天井カセット型室内機 図3

    現在かなり普及しているタイプである。天井隠ぺい型と似ているが、違いは室内機の下部のリターンエアーの吸い込み口が露出している事である。この図で分かるように一般的に新鮮空気の供給は行われない。新鮮空気を供給する場合でも、風量を充分にとる事は出来ない。新鮮空気を導入するときには一般的に新鮮空気を別に取り入れる場合が多い。

    このタイプの室内機は元々事務所用に設計された物であり、その為フィルターは簡単な塵を取るような目の荒い物であり、厨房の調理の時に発生する

    オイルミストを除去する事が出来ず、エバポレーターに汚れが付着する事が多い。その為厨房で使用する事はかなり問題が発生するので注意されたい。オイルミストを良く取れるタイプのフィルターに代える事は、機械自体のファンの静圧が不足し、かえって風量が減少し、機械に負担をかける事になるのでしてはならない

    エバポレーターの清掃性はかなり悪く、場合によってはファンモーターを外さないと、清掃できない機種もある。一般的に店舗で清掃する事は余りお勧めできない。従来、業者も清掃方法が分からず苦労したが、最近は清掃を請け負う大手業者が出てきた。清掃代は1台当たり、3万円から5万円の間であり、年に1回の清掃は必要である。

    なお、エバポレーターの部分で空気中の余分な水分は露結し、水となり排水される。このタイプの場合、拡大図の様に、水の傾斜が取れないため、一回水をタンクに貯め、一定量の水が貯まったら排水ポンプを作動させ、水を汲み上げ、勾配を作り出し排水する。 このポンプに水垢が詰まり、室内機の作動がしなくなるトラブルが多い。

    このタイプの室内機はメーカーによる清掃性の差がかなりあり、また、モデルチェンジが激しい為、購入する際には清掃性を充分確認しなければならない。


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