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プロがチェックするこの店の「強さ」


土風炉に探る新しい居酒屋業態の可能性

およそ居酒屋ほど、新旧の交代が激しい業態もないだろう。これまで大衆居酒屋チェーンの代表格であった天狗が急速に勢いを失い、代わって和民など新しい勢力が台頭しているのは、その好例だ。また、こうした客単価2,000〜2,500円の居酒屋業態の上に、3,000〜4,000円の上位業態も生まれており、ここでも新旧の勢力が入り乱れてしのぎを削っている。

その中で、今最も注目すべき存在は、居酒屋の「にほんばし亭」などを展開してきた(株)ラムラの新業態「土風炉」であろう。1号店は東京・高田馬場駅前のビル4階にあるが、店づくりから演出のうまさ、商品力を含めて、居酒屋の上位業態のなかでは確実に頭ひとつ抜け出たレベルを実現している。

この店は元映画館だった物件だが、その天井の高さを生かして、実に変化に富んだ空間を作りだしている。500席はある巨大店だが、カウンター席から2人掛け、4人掛けのテーブル席や、大小さまざまな広さの座敷数まで、多様な利用動機に対応できる客席を備えている。

とりわけ、居酒屋業態にとって儲けの源泉である宴会需要を、きめ細かく取り込める客席配置になっている点は、まず注目に値しよう。にほんばし亭ももともと個室の作り方が非常にうまいチェーンであったが、土風炉ではそこにさらに研究を重ねたあとが見られる。

ここで貫かれているのは「地域一番店をめざす」という思想である。高田馬場には大小さまざまな居酒屋が軒を並べているが、規模、店づくりのグレードでは、土風炉が断トツの存在だろう。居酒屋というのはチェーンのブランド力があまり通用しない業態で、それが勢力交替が激しい要因のひとつでもある。あくまでその地域で選ばれる存在になることが重要なのであるが、土風炉はそのことがよくわかっている。

価格設定が実に巧み

そして最大のポイントは、やはりメニューである。一品一品の品質も非常に高いものがあるが、何より注目すべきは価格設定のうまさだ。

フードメニューのうちで、メニューブックの最初に出てくるのが刺身であるが、別掲のメニュー表を見てもわかる通り、550円と580円の二つのプライスポイントを設けている。そして、品質については、<魚一丁など、いわゆる刺身居酒屋のレベルを超えるものを提供している。

それに続く一品料理にしても同様だ。一品料理は280円から680円まで21品を揃えるが、ここでも300円台を戦略価格に据えていることが明確だ。350円の大根そぼろあんかけなどは、味、仕上がり状態ともに割烹レベルである。

その他、土風炉のメニューには中華やイタリアンなどもあり、ジャンルの幅はきわめて広いが、食事メニューなどを除いては戦略価格が非常に明確になっている。その結果として何が実現できるかといえば、それは「グレージングの楽しさ」である。こういう価格設定で客単価3,500円前後を確保できているのは、お客一人当たりの注文品目数が多いからに他ならない。

とりわけ、低価格の一品料理が充実していることは、少人数で来店してもグレージングを楽しめることにつながる。これは同様の客単価の刺身居酒屋とは大きく異なる店だ。たとえば、<魚一丁の刺身は、ボリュームからすれば確かに安いが、ある程度の人数のグループで来店しなければ複数のアイテムを楽しめない。その点、土風炉は2人で来店しても十分に満足度がある。これは客層、来店動機の幅を広げ、来店頻度を高めることにつながる。

アルコールについても生ビールが中ジョッキで390円。これは和民の420円よりも安い。店に入ったときに受ける高級感からすれば、メニューブックを見たとたん「これは安い」と思わせるものがある。それがこの客単価のなかで、高い値頃感を生み出している。

また、価格設定で巧みさを感じるのは、品揃えのなかで原価にメリハリをつけていることだ。刺身などはしっかり原価をかける一方で、中華メニューやスパゲティ、ピザなど比較的低原価のものを揃え、トータルの原価のバランスをとっている。

同レベルの客単価をとる居酒屋に北海道があるが、北海道のメニューは原価率を平準化しすぎ、結果として「どれもそこそこのお値打ちだが目玉がない」ものになっている観がある。それと比べると土風炉のメニューの原価コントロールの手法ははるかに優れているといえる。

素材だけでは勝てない

こうした原価コントロールの部分も含めて、トータルなお値打ちの提供を可能にしているのは、やはり店舗にしっかりとした調理人を抱えていることが大きいだろう。カウンター席の内側では焼き物などの作業を行う調理人の姿が見え、これが高いライブ感を生み出しているが、それが単なる演出に終わっていないという点に強みがある。

調理人の技術が商品力に確実に結びついていることは、先述した一品料理の煮ものの完成度の高さからも明白だ。刺身の切り方ひとつをとっても、調理人ならではの仕事がしてあるし、中華メニューの火の通しかたなども絶妙である。

すしやそばなど、いまの外食のなかでトレンドとなっているアイテムもきっちり抑える一方で、ここの品質については手抜きがない。これはグレージングの楽しさを提供する上で不可欠のポイントであろう。

細かいことを言えば、器の選び方にも調理人の存在を感じる。商品だけでなく、器や盛りつけ方などを含めて高い価値を提供できているのである。これによって周辺の大衆居酒屋と明確に差別化し、軽い接待需要なども取り組むことに成功している点は見逃せない。

高田馬場の土風炉の近くには、チェーン一番の売上を誇る和民もあるが、和民は学生客、土風炉は40歳前後と、その客層は見事なまでに違っている。和民の客層には、価格の絶対的な安さ、商品そのもののお値打ちが要求されるが、土風炉の客層には商品及び提供方法、店づくりやサービスも含めた総合的なお値打ち度が重要なのである。

土風炉はすでに、高田馬場の他に六本木、巣鴨に出店している。これから多店化を進めていく上での課題は、いかに調理人を確保し育成していくかという点に集約されようが、首都圏のターミナル立地はほとんど抑えられるだけのフォーマットの潜在力は秘めていると見る。そして、客単価3,000円を超える居酒屋業態の確立のためには、どのような要素が必要なのかを教えてくれる格好の事例だといえるだろう。

こうした居酒屋上位業態の市場は接待のダウンサイジング化などにとまなって注目を集めているが、マーケットのボリューム自体は決して大きいものではない。和民のような大衆居酒屋チェーンと比べると多店化は容易ではないし、そこでの競争も当然シビアなものになる。

特に注意すべきは「素材だけでの差別化は難しい」と言うことであろう。素材特化型の代表格が刺身店酒屋だが、素材だけに頼るとどうしても同質間競争に巻き込まれてしまう。これだけ流通の精度が上がっている現在は、なおさらである。

そうなると、やはり最大のポイントは「いかに店舗段階で、しっかりとした技術を持つか」ということになる。そのうえで、想定している客単価のなかで利用頻度を高められる価格戦略を打ち出すか。土風炉のヒットは、そのことの重要性を雄弁に物語っている。

フードメニュー一覧
刺身550円
まぐろのほほ身550円
じゃぽねねぎとろ550円
びんちょうとろ580円
上まぐろ赤身580円
上まぐろ中とろ980円
北海活ほたて貝380円
北海ポッチ400円
北海ぼたんえび(3尾)480円
朝獲り生イカソーメン580円
北海生うに780円
から付き生がき(1個)230円
ほっき貝480円
釜上げ地だこ550円
活だこ550円
かつお580円
かつお香菜たたき 680円
●一品料理
本もずく酢280円
酢の物盛り合わせ580円
セロリ漬300円
カクテキ300円
上新香350円
いかおいしいな漬280円
かに味噌300円
青菜の煮びたし350円
里いものそぼろ煮350円
大根のそぼろあんかけ350円
手造りざる豆腐380円
穴子の厚焼玉子380円
梅たたききゅうり400円
地鶏の大根ステーキ400円
焼きもちの揚げ出し450円
手造り豆腐の揚げ出し450円
香菜と地鶏のたたき530円
手造りおでん盛り合わせ580円
網焼カマンベールチーズ 550円
じゃぽね生春巻550円
オムソバ680円
●小鍋
寄せ湯豆腐450円
鴨鍋450円
ちゃんこ鍋520円
蟹団子と鶏団子のみぞれ鍋600円
●揚げ物
ポテトフライ300円
北海道かぼちゃ団子の揚げ磯辺300円
チーズとまぐろのロールサンド揚380円
北海道玉ねぎコロッケ400円
揚げなすのスタミナ風450円
若鶏の唐揚げ480円
地鶏の箕揚げ500円
カキフライ580円
大さつま揚げ500円
まぐろほほ身の立田揚げ500円
キムチ入り手羽餃子500円
● 炒めと蒸し料理
蒸し餃子(3個)280円
かに焼売(5個)300円
焼餃子(4個)380円
空心菜炒め500円
ポテトとベーコンの炒め500円
ニラとベーコンの玉子炒め500円
棒々鶏/TD>580円<
地鶏のチリソース580円
豆腐となすの麻婆620円
カキと黒豆の炒め620円
● 串焼き・炭火焼き
串焼き各種 1本120〜260円
子持ちししゃも350円
北海活ほたて貝バター焼き430円
いかの姿焼480円
むつ西京焼500円
活はまぐり(3個)500円
まぐろの上かま焼530円
いかの漁師焼550円
● サラダ
トマトサラダ350円
大根サラダ430円
ヘルシーサラダ550円
土風炉サラダ580円
豆腐とザーサイのサラダ580円
香菜と牛肉のサラダ580円
ピータン豆腐サラダ580円
● 食事メニュー
お好み鮨 1個50円〜
上鮨盛り合わせ1300円
まぐろにぎり鮨盛り合わせ1380円
ペペロンチーネ520円
明太子と青じそのスパゲッティ700円
シーフードとなすのトマトスパゲッティ820円
ガーリックピザ520円
ミックスピザ550円
明太子ピザ博多風550円
じゃぽねピザ550円
ざる茶そば380円
冷やしとろろ茶そば600円
お茶漬け320円
梅入り茶漬け380円
鉄火三色丼750円
ねぎとろ丼750円
いくらと鮭の親子丼850円
いくら丼850円
ドリンクメニュー抜粋
● ビール・サワー
びんビール中390円
生ビール中390円・大580円
赤富士地ビール中450円
銀河高原ビール中500円
酎ハイサワー大330円
レモンサワー大330円
生レモンサワー大350円
生すだちサワー大400円
● 特選銘酒
あさ開 超辛口(岩手)380円
黒松高砂(北海道)400円
国土無双(北海道)420円
越の雪椿(新潟)450円
雪の松島(宮城)480円
上善如水(新潟)550円
● カクテル
黒ぐすりの実のカクテル350円
ジンライム400円
ジントニック450円
カルーアミルク450円
モスコミュール450円
ピーチダイキリ480円
ストロベリーダイキリ480円
● ソフトドリンク
ウーロン茶250円
オレンジ100%ジュース280円
グレープフルーツ100%ジュース280円
ジンジャーエール280円
スムージートロピカル330円


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