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キッチンの能力を高める最新機器の知識

キッチンスタディー第二回

フライヤーの種類と取り扱い


1月号ではガス燃焼の基本を説明したが、今月はガス器具で最も一般的に使われているフライヤーを説明しよう。フライヤーで使用する燃焼方式はかなり豊富にあるし、用途によって大きさ、能力が異なる。ガスフライヤーのみでなく、電気式の電磁誘導加熱方式や、シーズヒター加熱方式のフライヤー、マイクロウエーブ加熱方式のフライヤーなど多くあるので、筆者のユーザーとしての経験から説明する。

  1. フライヤーの種類と構造

    <1>ブンゼン式バーナー + 丸型鍋 タイプ

    天ぷら鍋で使用されているタイプで、家庭で使われる一般的な丸型のブンゼンバーナーを使用している。火災の発生が多い為、最近ではサーモスタット(温度調節機能)をつけ、更に、加熱防止器をつけたタイプがある。
    利点:丸型であり、油の量を少なくできるのでカウンターでてんぷらを揚げるなどに向い ている。丸ごと洗えるので清掃が楽である。
    欠点:熱効率は30%位と悪く、換気をきちんと取らないと厨房の環境が悪い。大量の調 理には向いていない。

    <2>ブンゼン式バーナー + 角型中間加熱式油槽(浸管式)

    図6、写真1のように油槽の内部にバーナーから出た燃焼空気が浸管を通り油槽を加熱する物である。バーナーは写真2のような形状をしており、熱効率を上げるため浸管の内部に、写真2の金属製などの乱流を起こすバッフル板を入れる。熱効率は一般的に30%〜55%位である。製造が簡単で、コールドゾーンを多くとれるために、もっとも多く使われているタイプのフライヤーである。バーナーは写真2の鋳物の他にステンレス製などがある。ステンレス製の方が量産に向いており、コストの安いフライヤーによく用いられる。熱効率を上げるためにはこのバッフル板の形状を工夫し、燃焼空気が浸管の中で乱流を起こし、ゆっくりと流れ熱を十分に伝えるようにする。ただし、あまり抵抗を増やしスピードを落とすとかえって燃焼効率が落ち、不完全燃焼しススが出る場合がある。また、バッフル板の材質も吟味しないと耐久力がないので注意されたい。

    筆者が以前大型のフライヤーをテストした際に、浸管の長さを普通の倍にした事がある。熱効率が50%位までは楽に上がったのであるが、それ以上効率を上げるために燃焼空気の流れを遅くしたところ、真っ黒なススがモクモクと出てきて、かえって熱効率が悪くなり驚いた事がある。

    なお、熱効率の計測方法であるが2種類ある。油槽の中に水を入れそれを加熱し、上昇した温度と、蒸発した水の重量から効率を計測するウオーターボイル法(水蒸発法)。油槽の中に水を入れ加熱し、更に水を通すチューブを入れ、その中に水を通し上昇した温度と水の量から効率を計測するウオーターコイル法がある。正確な実験の時にはウオーターコイル法が用いられる。一般的にはウオーターボイル法が用いられるが、この場合、ウオーターコイル法より熱効率の数字が10〜12%程高めに出る。機種の熱効率比較の時にはどの方法でのテストか確認されたい。

    コールドゾーンはフライ油の品質維持に大事である。揚げかすが油槽にたまり加熱されると炭化し、フライ油を傷めるので、浸管の下部の加熱しない部分(コールドゾーン)に揚げかすを溜め、ピーク後や閉店後に清掃する。コールドゾーンの大きさは調理物により変わる。コールドゾーンがあまり大きいと、油を大量に使用する事になり、温度の回復が遅くなる事もあるので用途による選定が大事である。

    このタイプのフライヤーは製造が簡単であるが、欠点は熱効率がやや低い。溶接の箇所が多いため油槽に亀裂が入りやすく、油漏れを発生する事がある。特にバーナーから燃焼した火炎が吹き付けるバーナーチューブ(浸管)の箇所に発生しやすいので、常時油漏れがないか注意する必要がある。油漏れを放置すると火事になるのですぐに修理する事。

    使用する時はバーナーから吹き出した火炎が浸管の中にきれいに吸い込まれているか、点検する事を忘れてはならない。もし火炎が油槽の浸管部分の溶接箇所に直接触れていると、ひび割れを起こし油漏れを発生させる。またバッフル板を使用している場合、その状態を時々確認し消耗していたら交換する事。さもないと、熱効率が落ち商品の品質が悪くなるし、排気温度が高くなり厨房の温度が上昇したり、排気ダクト内で出火する恐れがある。

    利点:
    種類が多く、コスト的にも安い。サイズも色々あり、用途による選定が楽である。 構造が一般的なため修理やメンテナンスが容易である。
    欠点:
    熱効率は余り高くない。ファーストフード等のように大量に冷凍食品を調理するに は能力が不足する場合がある。油槽のひび割れが発生しやすく、日常のメンテナン スが欠かせない。

    <3>ブンゼン式 + セラミック加熱方式 + 角型V字底油槽

    写真3の形状の油槽の下部に写真4の形状のセラミック板を置き、そのセラミック板に燃焼ガスを下から噴射し、それを赤火し燃焼空気の熱と赤外線の輻射熱で加熱する方法。製造が比較的に簡単であり、油槽の溶接が多くないので油槽のひび割れが少ないという利点がある。熱効率は40〜50%位とあまり高くないが、コストが低いのとメンテナンスが容易なので米国で広く使われている。以前はCタイプの都市ガスでやや問題があったが、現在では改善され香港でも使用されている。

    使用する際には、バーナーから吹き出す火炎がセラミック板に直接当たるように調整する事。火炎が直接油槽の底に当たると、燃焼効率が落ちるだけでなく油槽のひび割れにつながる恐れがある。また、使用状況により異なるがセラミック板は消耗品であるので定期的に交換する事が必要である。

    利点:
    油槽の構造が簡単な為、清掃がし易い。油槽の溶接面に火が直接当たらないため、 油槽のひび割れが少ない。構造が簡単なためコストが安い。
    欠点:
    熱効率は余り高くない。その為にガス入力が比較的大きいので、都市ガスエリアの ガス圧が低いところでは調整に留意する必要がある。

    <4>セラッミック製赤外線バーナー + 角型V字底油槽

    写真5のV字型の油槽の横に写真6のセラミック製赤外線バーナーを写真7のように取り付けたものである。内部構造は図7のようになる。

    ブロワーファンによって送られた1次空気100%が、ガスと混合しセラミックバーナーに送られ燃焼する。燃焼温度そのものは低いが、セラミックの断熱性のおかげで安定して燃焼することが出来る。セラミック自体を加熱することで対流熱に加え輻射熱が発生し熱効率を上げることが出来る。油槽の周囲は遮断されているため断熱効果がある。また2次空気を必要としないため、余分な空気で冷やされることがない。そのため熱効率は65〜75%と大変高い。熱効率が高く、温度回復力が速いためファーストフード等のように大量に冷凍食品を調理するのに向いている。セラミックバーナーでサイドを均一に加熱するため油の加熱が均一であり商品の品質が良い。一般的にコンピューターコントロールを内蔵出来るようになっているので操作が容易である。

    利点:
    セラミックの耐久力が高く、バーナーの清掃はほとんど必要がないので、メインテ ナンスが楽である。ガスの消費量が少なくてすむ。油槽がV字型の為清掃が楽であ り、溶接部分を加熱しないため油槽のひび割れが少ない。米国の大手ファーストフ ードチェーンのほとんどがこのタイプのフライヤーを使用している。
    欠点:
    性能はよいがコストはやや高い。コールドゾーンが少ないため、てんぷら等を揚げ るときにはフライヤーの内部に網をいれておき、時々すくう必要がある。

    <4-2>セラミック製赤外線バーナー + 角型平底油槽

    てんぷらバッターの商品を揚げると揚げカスが多く発生する。商品によっては頻繁に揚げカスをすくうので、すくい易い形状が必要であり、写真8の形状の平底の油槽と効率の良いセラミック製バーナーを組み合わせたものである。てんぷらを大量に揚げるのに向いており、米国のフィッシュアンド チップスのチェーンで使用されている。

    利点:
    コールドゾーンがない為てんぷら等の揚げカスが多く出る場合、すくい易く作業が 容易である。またセラミック製赤外線バーナーを使用しているため熱効率が良い。 てんぷらを揚げるのに最適である。
    欠点:
    コールドゾーンがない為、頻繁に揚げカスをすくい取らないと油が劣化し易い。

    <5>メッシュ型赤外線バーナー + 角型中間加熱式油槽(浸管式)

    最近米国のメーカー2社が発表したメッシュ型の赤外線バーナーである。これは特殊な金属または耐熱繊維をメッシュ状に編み、そこにブロワーファンで1次空気100%と混合したガスを送り燃焼させる。このバーナーを角型中間加熱式油槽と組み合わせたものである。また燃焼空気を途中でUターンさせ、熱交換の効率を上げている。

    利点:
    コールドゾーンを多く取れる。従来の角型中間加熱式油槽の製造技術を利用出来、 製造が簡単である。正確なデーターはないが熱効率は60〜70%位と思われる。
    欠点:
    実績はまだないが、メッシュ型バーナーの耐久力が問題あるといわれている。また 、空気中のごみがメッシュ部分に詰まるのではないかと思われるが、まだ実績がな いので充分検討する必要がある。

    <6>触媒燃焼バーナー + 角型中間加熱式油槽(浸管式)

    触媒燃焼とは、可燃性ガスと酸素の反応を促進させる高活性触媒を使用し、炎を発生させる事なく燃焼させ、遠赤外線に富む赤外線を高効率で発生させる物である。バーナーを繊維状のものにしそこで混合ガスを燃焼させるものである。フライヤーとしては余り一般的でなく、一部のメーカーが製造しているだけである。

    利点:
    燃焼音が静かである。水分の多い食品に吸収され易い遠赤外線を多く発生するため 熱効率がよい。熱効率はセラッミック製赤外線バーナーとほぼ同じである。
    欠点:
    触媒のメッシュが細かいので空気や燃焼ガス中の細かい異物が詰まり易い。空気取 り入れ口にフィルターが必要であり、清掃や交換が必要である。

    <7>パルス燃焼バーナー + 角型マフラー状熱交換式油槽

    ドイツが第1次世界対戦時にV1ロケットを開発し英国を悩ませたが、この燃焼方式はそのV1ロケットの燃焼方式が原型といわれている。簡単にいうと、ガスと空気の混合気体に着火し爆発燃焼させる。ロケットの場合その燃焼ガスの爆発の勢いを推進力にしたが、フライヤーは燃焼したガスの勢いを利用し熱伝達の効率を高めたものである。

    図8のようになっており、給気ファン、フラッパーバルブ、燃焼室、プラグ、テールパイプ、排気マフラー の組み合わせである。ピストンとクランクがないだけの2ストロークのガソリンエンジンにも似ている。

    図 9:給気ファンから送られた空気とガスがフラッパーバルブを通して燃焼室にはいる 。そこで点火プラグで点火され爆発燃焼するのである。

    図10:燃焼により燃焼室内に高い圧力が生じ、その圧力でフラッパーバルブが閉じられ 、燃焼ガスはテールパイプ(油槽の中にあり熱交換器となる)と排気マフラーを 通って排出される。

    図11:排気時の慣性(流れ)により負圧になった燃焼室に、新しい空気とガスが吸入さ れる。同時に排気口の燃焼ガスの流れが逆転し、高温の燃焼ガスの一部が燃焼室 に引き戻され、電気スパーク無しで次の着火が行われる。この後、燃焼→排気→ 給気→燃焼の行程が連続的に続く。

    <2>のブンゼン式バーナー + 角型中間加熱式油槽(浸管式)のところで説明したが従来の燃焼方式で熱効率を上げようとすると、燃焼したガスが熱交換器の中に長く滞留するように工夫しなければならない。そうするとある時点で燃焼が悪くなり、熱効率が落ちる。燃焼ガスの流れが遅くなるとかえって熱伝達が悪くなるのである。
    熱い風呂に我慢してゆっくり入り、しばらく動かないでじっとしていると熱さを感じなくなる。しかしそこで体を動かすと急に熱さを感じるようになる。
    これは動かないでいると体の表面に熱境界層が出来、断熱材になり熱を伝えなくなるのである。水を動かして熱境界層を取り除くと熱が伝わってくるのである。ジャクジやワールプール等の泡や水流を発生する風呂にはいると温度が低くても体が良く温まるのはこの原理を応用している。空気の泡が体にふれると熱境界層を弾けとばし、水流が熱を効果的に伝えるのである。
    パルスフライヤーは爆発燃焼を1分間に80回繰り返すことにより、燃焼ガスのスピードを上げ熱境界層を取り去り熱効率を上げているのである。
    また、油槽中の熱交換器も爆発燃焼のためかなり振動しているが、これが油に接触する面の熱境界層を取り除く働きもしている。ガスフライヤーでは現時点で最も熱効率が高い。熱効率は65〜80%位である。

    爆発燃焼の為、点火する際にパージといって最初に空気を燃焼室に送り込み、急に爆発しないようにする安全機能がある。朝の点火時には30秒くらいかかるが、使用中は5〜 10秒に短くしている。それでもタイムラグが生じるので冷凍食品を入れた時に温度が下がりすぎる事がある。後半の温度回復が早いので連続して使用していると問題ないが、時間を置いて時々揚げ物をする条件ではやや問題がある。また後半の温度回復が早すぎるので、温度が設定温度に対して高く上がりすぎる場合があり、温度調整機能の良い物を取り付ける必要がある。

    利点:
    熱効率が最も高くガス消費が少ない。ファーストフードチェーン等の冷凍食品を大 量に連続して揚げるのに良い。店舗でのメインテナンスはほとんど必要ない。
    欠点:
    構造が複雑なため高い。爆発燃焼のためうるさい。壊れたとき修理代が高い。 そば屋など蒸気と粉を多く使うところでは、フラッパーバルブに詰まり作動しなく なる事がある。厨房の空気はきれいでなければならないので、業種、厨房条件によ り、向かない場合がある。(ある地下街に設置したとき、人間は何でもないのに、 空気の酸素濃度が低くすぎるという事で作動しなかったことがある。)

    <8>ブンゼン式バーナー + 圧力式フライヤー(角型V字底油槽)

    加熱方式は<3>のバーナーと同様の形状であるが、セラミックは使用していない。特にフライドチキンの調理に用いられる。カットし衣を着けた鳥を入れフライする。高温の油で衣に色を着けた時点で温度を落とす。鳥自体から出た蒸気が内部にこもり圧力を大気圧より上げる。それにより水の沸点が100℃ から115℃ くらいに上がるので内部まで火が良く通り、且つジューシーに出来上がる。

    利点:
    骨付きのフライドチキンには最適の調理方法である。加圧して調理するため、余り 効率の良くない燃焼方式でもエネルギーコストは低くてすむ。
    欠点:
    圧力を使用するため構造が複雑でコストが高い。 骨付きのフライドチキン以外の調理にはあまり向いていないので専門店以外では使 用していない。圧力を使用するので取扱いに注意する必要がある。

    <9>マイクロウエーブ + シーズヒーター + 角型平底油槽

    これは電気式のフライヤーである。電気ヒーターで油を加熱し、食品を調理するときにはヒーターと同時にマイクロウエーブで食品の内部から加熱する。マイクロウエーブが食品の内部から加熱するのと同時に、電気ヒーターによって熱せられた油が外側から加熱する。そのため加熱時間が早く形状の大きな物を調理するのに向いている。特にフライドチキンの調理に向いている。普通のオープンフライヤーで骨付きの鳥を揚げると、骨が充分に加熱出来ないため骨から出血することがある。骨から出血しないように充分加熱するには時間が長くかかるし、鳥肉の水分が失われてしまう。その為に一般的に骨抜きで揚げるか、骨付きの場合には圧力式のフライヤーで揚げるのである。

    このマイクロウエーブフライヤーを使用すると、特に骨の内部からも加熱するため、骨から出血することがなく、フライ時間も短くてすむため肉の水分も余り失われずにジューシーに出来上がる。

    利点:
    調理時間が早い。骨付きのフライドチキンに向いている。
    欠点:
    マイクロウエーブの電波漏れの問題があるため、調理中は圧力フライヤーと同様に 密閉するので、こまめに調理するのに向いていない。コスト的に高いので現在は製 造されていない。

    <10>ロボットフライヤー

    人手不足に対処して現在米国のファーストフードチェーンで赤外線フライヤーとロボット、冷凍庫を組み合わせて、複数の商品をPOSでオーダーが入った時点で調理する機構をテスト中である。すぐに一般的になるとは思えないが将来の人手不足の解決策になると思われる。

    <11>電気フライヤー

    最近電磁誘導加熱のフライヤーが、熱効率95%位で大変効率がよいということで、厨房の労働環境改善のために採用されてきている。私の経験では、シーズヒーターを使用した電気フライヤーと電磁誘導加熱のフライヤーでは熱効率に差がなかった。またガスフライヤーよりも能力が高いという事もなかった。
    ファーストフードで使うガスフライヤーの入力は一般的に20000kcal〜24000kcalで熱効率70%位であるが、それと同等の能力を得るためには電気入力は14kw〜17kw必要であった。もしそのフライヤーを3台導入するとしたら42kw〜51kwもの電気能力が必要になるわけであり、受電設備のトランスの交換が必要でありコスト的に大変高い物となる。
    勿論ガスフライヤーは熱効率の良いパルスフライヤーでも80%位であり、電気の95%の方が良いというの正しい。しかし、日本での発電の34%は天然ガス、21%は石油である。そして発電所段階での熱効率は38%であり、送電ロスは2%あるといわれている。つまり電気のガスからの熱効率は36%にすぎず、効率の悪いガスフライヤーよりも悪いのである。
    これは、当然コストに反映し、水道光熱費は高くなるのである。厨房の作業環境の改善という意味では、ガスの熱効率の良いフライヤーと適切な排気設備の設計で対処できるのではないかと思われる。

    勿論、地下街や高層ビルなどの消防規制される所では、電磁誘導加熱や電気シーズヒーターのフライヤーは必要不可欠である。またお客様のテーブルで調理するようなケースでは大変良い機器であると思う。特にテーブルのしゃぶしゃぶの調理には、排気ダクトが不要であり、使い方によっては大変良い加熱方法である。

    加熱部分の温度が低いので油が痛まないというのは電磁調理加熱の利点であるが、実際に調理をするとそれ以外に油を痛める要素が多く、あまり差が出ないのが実態である。電気シーズヒターの焼損切断が多いということであるが、これはヒーターの熱密度の計算がしっかりしていれば問題はない。なお注意していただきたいのは、安全性において電気フライヤーはガスフライヤーと同等であるという事である。
    ガスフライヤーはガス漏れの危険があるが、電気フライヤーは電気容量が大きいため、温度制御のマグネットが溶着しやすく、それを防ぐためのマグネットが別にないと加熱による火事の危険があるし、実際に発生しているようである。使用されるときは、加熱防止装置の構造と、マグネットの品質に充分注意されたい。

    電気フライヤーの最大のメリットはメインテナンスが不要だという事である。ガスフライヤーは熱交換部分に断熱材となるカーボンが溜まり熱効率が下がるので、定期的にアルカリ洗剤と水を入れ沸騰させ清掃する。電気シーズヒーターの場合バーンアウトといい、ヒーターを油面から出し、加熱しカーボンを焼き切る事が出来て簡単である。電磁調理加熱の場合ガスフライヤーと同等の中間加熱の浸管方式を使用するので、浸管部分にカーボンが溜まった時には、ガスフライヤーと同様な清掃が必要である。

    最近はヒーズヒターも写真9のようなリボン状のものが出来、丸型のシーズヒターより3%位熱効率が良く、熱効率は98%まで達している。これはヒーターの熱伝達面積が大きく、スムーズな形状により油槽の内部での油の対流がスムーズに行くためである。もし電磁調理フライヤーの採用を考えるのなら、リボン型のシーズヒーターを採用したフライヤーと比較検討しても良いと思われる。

    厨房の電気化を検討する際に大事なのは、電気化してランニングコストが下がるか?下がったランニングコストで初期投資額は何年で償却できるか?を十分に検討してから導入するべきである。電気化の厨房の投資と償却の計算を見ていると、ガスの熱効率を低く見すぎている例が多い反面、電気のランニングコストの高さを検討している例が少ないので充分注意されたい。

    <12>フライヤーを応用した蕎うどんのゆで釜

    フライヤーを応用したそば、うどんのゆで釜が出てきている。フライヤーと違い注意しなければならないのは、厨房の環境が悪いので(電気厨房化しても、蒸気と粉が舞うのは避けられない)機械によっては向かない機種があるので注意されたい。

    また、油の場合には油槽の金属の腐食の問題がないが、水を沸騰させると金属の腐食の問題が発生する。水道水には殺菌のため塩素を入れている。その水道水を沸騰させるとその塩素濃度が濃縮される。金属にかかる熱とその塩素が作用し金属を侵すのである。特にフライヤーで一般的に使用されている、304のステンレススチールは問題が多い。また溶接部分の線材の品質、溶接方法、溶接の熱の影響のでる範囲、等も腐食に大きく影響するので注意する必要がある。

  2. フライヤーの選定

    以上各種のフライヤーについて説明したがその選定方法について少し述べよう。

    <1>投資金額とランニングコストのバランス

    フライヤーというと高効率のフライヤーが良いように思いがちであるが、用途によって使い分けるべきである。ファーストフードの忙しい店舗であれば効率の良いパルスフライヤーや、赤外線フライヤーを使用する方が能力が高いにもかかわらず、ガス代のランニングコストが低く数年で償却できる。しかし1日数時間しか使用せず、売上も余り高くない店舗ではごく一般的なフライヤーで良いのではないかと思われる。要は用途に応じて投資金額とランニングコストがうまくバランスがとれるかということである。

    <2>安全性

    余り効率が高くないタイプのフライヤーであっても、信頼性が高く、壊れ難い物でなければならない。店舗での出火の大きな原因の一つにフライヤーがあげられている。1月号のガス機器の安全装置で述べたが、その安全対策を良く確認することが必要である。特に温度調節機能の信頼性は高いか?。加熱防止器がついており、その作動は温度調節機能のバルブとは別になされるか?等を必ず確認する事。フライヤーの場合、油槽から油が漏れて出火する危険があるので、油漏れがしにくいタイプの油槽でなければならない。

    <3>設定温度の安定性

    アイドル状態の温度の精度が高い、食品を投入したときのサーモスタットの感知が速い、温度回復時に温度が上がりすぎない事、等は完成品の品質に大きく影響する。温度の精度とサーモスタットの感知速度は、センサーの種類、取付位置、フライコンピューターの設計、により変わってくる。機械式の液膨張式のセンサーの精度は±4℃くらいである。サーミスターセンサーの場合精度が高く比較的安価であるが、交換時の精度のバラツキがある。熱電対はセンサー交換時の安定性が高いが精度は±2℃位である。もっとも精度が高く安定しているのは、高価ではあるが白金抵抗対のセンサーである。

    油槽に食品を投入したときのフライヤーの反応も大事である。油の温度が下がらない内に点火される必要がある。食品を投入してから何秒で点火し、どの位で温度が下がるのが止まるかが大事である。これは、燃焼方法、熱交換効率、センサーの種類、センサーの位置、ホットゾーンとコールドゾーンの油量、等によって変わる。

    ファーストフードでは調理するのにフライコンピューターを使用しているが、最近フライコンピューターをフライヤーに組み込み、時間の制御のみでなく、温度の制御や、メニューにより温度時間を自動設定する物もある。フライコンピューターはメーカーによって異なるが、フライヤーメーカーによって作成され、フライヤーに組み込まれたタイプの方がフライヤーとのマッチングが良いようである。

    <4>温度の回復の速さ

    フライヤーの熱効率が高い方がよいのは、省エネルギーの観点もあるが、温度の回復の速さに関係してくる。フライ油の温度は食品を入れると下がり、フライの仕上がりの時には回復しているのが望ましい。品質も良くなるし、連続の調理が可能になるのである。これは、熱効率が良い事、充分なガス電気の入力、温度センサーの感知が速い、温度の立ち上がりが速い、等の条件に左右される。熱効率で大事なのは、フライヤー自体の熱効率が良い事と、それを維持する事が必要である。フライヤーの加熱部分は温度が高くなるので、使っている内にカーボンが付着する。カーボンは断熱材であるので、熱の伝達を妨げる。

    それを取り去るためには、ガスの場合アルカリの洗剤と水を入れ30分間位沸騰させカーボンを落とす。電気の場合、ヒーターのみを空炊きし、ヒーターを高温にしカーボンを焼き切る(フライヤーのメーカーによって異なるので注意されたい)。定期的に一定の温度の間の温度の回復の時間(リカバリータイム)を計測し、問題があれば清掃や、電気ガス入力のチェックをする事が能力を保つ上で大切である。


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