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HACCPとは?第13回
「殺菌する その3 加熱調理 基本編」


「殺す=殺菌=加熱殺菌」

HACCPという考え方は食材は食中毒菌に汚染されていることを前提に、どんな食材が危険かという予測をして、どの時点で菌を除菌(安全なレベルまで菌数を減少させる)、滅菌(菌を完全に死滅させる)するかを計画を立てて実施するという考え方です。米国の宇宙計画のNASAの宇宙飛行計画で開発されたと言われると、随分高度な手法でコストが高いと勘違いしやすいのですが、HACCPは本来、いかに経済的に効果的に細菌をコントロールするかを考える手法です。そのために重要点管理といって最も重要な管理ポイントを指定して管理をします。これをCCP(クリティカル・コントロール・ポイント)と言います。CCPで一番重要なのは菌を死滅させるか、安全なレベルまで減少させる殺菌工程です。殺菌には洗浄や殺菌剤の使用が考えられますが、食材を殺菌することにより化学性の汚染を招く危険があります。そのため、加熱調理という行程で殺菌を行うわけです。  

刺身や野菜サラダなどの一部の例外を除いて生の食材は加熱調理をして食べるのが一番おいしく感じます。動物などは火を使えないので加熱調理をしませんが、人間は火を使って調理することを覚えました。もちろん人類の中には火を使わない方がおいしいと感じた人もいたのでしょうが、生の食材をおいしく感じる人は食中毒などの事故に遭い淘汰され、加熱調理をした食材をおいしく感じる人が、生き延びるようになったのでしょう。これが人間が加熱調理をおいしいと感じる理由だと思われています。  

加熱調理がおいしく感じる理由は種の保全の本能だけではありません。加熱調理により食材が美味しくなるのです。調理の目的をみてみましょう。

  1. 加熱することにより、蛋白質を凝固させたり、野菜などのセルロースを柔らかくして食べやすくします。
  2. 加熱することにより、食品の水分を少なくなり旨み成分が凝縮され美味しくなる。また 、肉などは焦がされることにより、香や美味しさがでてきます。
  3. 野菜などに含まれている、生だと有害な物質が無害化されます。
  4. 加熱することにより食品中の酵素が不活性化され、食品の保存性が増します。
  5. 加熱することにより食品中の有害な細菌を殺したり、減少させたりし、安全に食べられ る様にします。ある程度保存できるようになります。

以上の働きがあり、大きく分けると食品の味を美味しくすることと、細菌を殺すことにより安全に食べられることになります。  

従来は加熱調理はおいしさを引き立てる手段として用いられていましたが、HACCPでは加熱調理を食材を安心して食べられるようにする最も重要な安全管理のポイントとしてとらえているのです。  

皆さんもご存じのように堺市の学校給食を原因とした大規模な食中毒事故を契機に食材の調理温度を明確にしなければならなくなりました。厚生省が中心となり「大規模食中毒等対策について食品衛生調査会食中毒部会」が設置され、平成9年3月17日に「大規模食中毒等対策についての食品衛生調査会食中毒部会検討結果等について」が発表されその中で

「本日、食品衛生調査会食中毒部会が開催され、大規模食中毒等対策としての大量調理施設の衛生管理マニュアル、食中毒処理要領の一部改正及び食中毒調査マニュアル並びに食品由来のウイルスによる健康被害対策についての検討結果がとりまとめられた。

集団給食施設等においては、衛生管理体制を確立し、これらの重要管理事項について、点検・記録を行うとともに、必要な改善措置を講じる必要がある。また、これを遵守するため、更なる衛生知識の普及啓発に努める必要がある。なお、本マニュアルは同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用する。

加熱調理食品の加熱温度管理 加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと。」  

以上のように1回300食以上又は1日750食以上を提供する給食調理施設では調理温度を明確に定められました。読者の皆さんの職場でこの基準に当てはまる場合には遵守しなくてはならないのです。  

この基準を一般の飲食店には適用されないのですが、それに準じた温度で安全に調理することは心がけなくてはいけないでしょう。ただ問題は一般の飲食店は安全と同時においしさということも同時に実現しなくてはいけないと言うことです。お客様が選択の余地のない集団給食でしたら味よりも安全を優先しても問題はないでしょうが、一般の飲食店ではまず美味しくないとお客様はきてくれません。  

食品を加熱調理する目的は、肉などの蛋白質を凝固させ食べやすくするわけですが、蛋白質の凝固点は肉の種類や魚により異なるし、野菜のセルロースを柔らかくする温度は肉よりも高いというように、食材により適正な加熱温度が異なるということなのです。一律に75℃まで加熱調理する事は安全ですが、食材により美味しくなると言う、安全と美味しさの矛盾を生じるのです。

以上


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