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最新厨房活用ガイド

品質・効率アップのための一工夫


日経レストラン 1994年9月増刊号 最新厨房活用ガイド

品質・効率アップのための一工夫

本原稿は編集前であり、掲載後の原稿と内容、レイアウトが異なります。

  1. 最新の先端厨房事情

    800店以上のチェーンが一夜にして崩壊してしまった。

    従来日本最大の飲食チェーンというと(ファーストフードを除いて)すかいらーくであり一時は800店近くのチェーン店数を誇っていた。 しかし、あっという間に400店以上が低価格路線のガストに転換してしまった。残りのすかいらーくも2年間でSKYLARK GARDENSに転換するのだ。

    日本に外食産業という言葉が誕生したのは、25年前の大阪万博である。25年間で1000店舗もチェーン展開している会社は数社もある。その中で、すかいらーくはファミリーレストランとしてトップ企業の位置を、ここ数年安定して維持していた。しかし、あっという間にすかいらーくが消滅してしまうのだ。勿論、企業としてのすかいらーくグループは健在であるが、800店もチェーン展開した業態が消滅するというのは衝撃的な出来事である。

    円高による価格の破壊で低価格戦争に突入した今は中小にとって躍進する大チャンスなのだ。いや大企業のすかいらーくグループだからそんな低価格でやっていけるのだと思われるかも知れないが、ガストの手法は大企業でなくても可能なのだ。

    ガストはどうやって低価格を達成したのだろうか

    まずメニューを35品目に絞り込み、調理を自動化した。また、客席のサービスを見直し、客席への案内の廃止、テーブルセッティングの廃止、水やドリンクのセルフサービスにする、お客様が呼ぶまでオーダーをとらない、などの合理化で人件費を大幅に下げることに成功したのだ。現場作業の合理化で管理する社員の負担も減り、社員の人件費の削減にも成功した。ではその作業合理化の結果を数字でみてみよう。

    すかいらーくの94年6月中間期決算の内容

    94年6月のすかいらーくが発表した中間期決算は、経常利益が前年同期比24%増加、94年12月期予測は43%増加になる。

    すかいらーくからガストに転換した店舗では

    売上高28%増加
    客単価25%減 (790円)
    客数60‾70%増加

    となり、すかいらーくが来店客数、客単価とも減少し売上は10%減となっているのを補い、この不況の中で全体の売上を前期比で6.8%もあげている。94年12月の通期の売上は前期比9%増の1450億円となる勢いなのだ。94年6月現在のガストの店舗数は426店舗、スカイラークは359店である。

    原材料のコストは上昇するが、人件比などの販売管理比が下がるので営業利益が34%も増加している。 ある店舗のデーターから分析すると、値段を下げたので原材料コストは31%から35%に上昇するが、従来28%であった人件費を22%まで削減できたので、合計の販売管理費が下がったようだ。そして、売上の増加により固定経費の比率が下がり、営業利益が大幅に増加したわけだ。

    成功の秘訣はエアーインピンジメントのコンベアーオーブンの採用により調理を自動化したことである。人件費が下がっただけでなく、サービスのスピードが上昇した。従来のすかいらーくであると日曜日のピーク時に訪問すると、30分も待たされたが、ガストではどんなピークでも15分以内にでてくるようになった。さらに、主力商品のハンバーグ、ピザなどの品質も向上するといるメリットまででている。

    たった一台の調理機器が800店もあるすかいらーくチェーンを崩壊に追い込んだのである。これがすかいらーく自らによる変革であったから企業として生き残れるが、他社にこれをさきに実践されていたら、企業としての存在も危なかったであろう。

    最近急成長を遂げているチェーンがある。てんぷら専門店のてんやだ。てんやは遠赤外線のコンベアーフライヤーを使用している。てんぷらは180℃位の温度で、2分間あげるというのが一般的であるが、普通のフライヤーで揚げていると、ピーク時に作業が忙しすぎて、揚げすぎになるという問題を持っている。コンベアーフライヤーを使用すると、時間管理は一定であり、どんなピーク時にも同じ時間で安定してくるというメリットがある。この価格帯では最も優れた品質だ。和食のファミリーレストランより格段に品質がよい。

    てんやの調理方法の最大の特徴はコンベアーフライヤーにより、調理を自動化し店舗や従業員による品質の差を無くしたことだ。

    コンベアーフライヤーはシーズヒーターと遠赤外線を出す赤外線ランプを使用しており、2分間で自動的に揚げることができる。元々は市販のコンベアーフライヤーを元に、てんやで機械の見直しと調理の工夫をして、店舗数を急成長させている。

    他産業界からの挑戦・日本

    現在飲食チェーンのお客様の動向調査を実施すると、競合として大きく躍進しているのが、コンビニエンスストアーである。

    現在飲食業のトップであるマクドナルドの年商は2100億円位であるが、セブンイレブンの持ち帰り弁当やファーストフードの売上総金額は2500億円にも達していると見られている。日本最大の飲食チェーンはセブンイレブンであり、その差はさらに開きつつある状況だ。

    コンビニエンスストアーの販売戦略は500円玉ワンコインである。つまり、500円以下で弁当などを提供しようとする戦略である。これが飲食店チェーンを低価格路線に突入させた最大の理由だ。

    しかも、コンビニエンスストアーは単に安さだけでなく、焼き立てパンや、店舗で作る丼ぶり物の展開も計画しており、品質の向上という挑戦状をもたたきつけているのだ。飲食業ものんびりしてはいられない。

    調理機器の工夫により大手チェーンに打ち勝つには

    成功しているガストやてんやのコンベアータイプの自動化の調理機器は特別設計の調理機器ではなく、誰でも購入することができる一般市販品なのだ。つまり、中小のチェーンであってもこのこれらの機器を導入すれば大手と同じ省力化と自動調理が可能になるのだ。

    しかし、大手と同じことをやってもそれを越すことは出来ない。そこで、分野別にどんな調理機器を使えば大手チェーンに対抗できるか研究してみよう。 良い厨房機器を選ぶためには、まず調理の原理と調理機器の構造を理解することが必要だ。

    調理の原理と調理機器

    加熱調理とは熱を加えることにより、タンパク質、デンプンに化学的変化を与えることである。では、その加熱調理の原理から必要な調理機器の原理を考えてみよう。

    1. 焼く

      生の食品にガス、炭、電気ヒーター等の炎や輻射熱を直接当て焼く。加熱した鉄板で直接加熱し焼く。オーブンなどで熱した空気で間接的に焼く。等を総称して焼くという。

      焼くことにより、食品の水分が蒸発し、脂肪は溶けて流れ、表面の一部は焦げて炭化する。これにより食品の香りがよくなり食欲が増加し、内部も熱の作用により食べ易くなる。焼き魚、ステーキ、パン等の調理法である。

    2. >煮る

      鍋にいれた水を沸騰させ食品を入れ加熱する。温度は水の沸点である100℃を越えないので、食品を焦がすことがない。食品は場合によっては水を吸収し柔らかくなる。また、味をつけて煮ることにより味が内部にしみ通り美味しくなる。炊飯、煮豆、シチュウなどが代表的な料理である。

    3. 揚げる

      水の代わりに油を用いて加熱する方法である。油は水の比熱の半分位なので短時間で温度が上がり効率よく調理ができる。また、水は沸点の100℃以上は上がらないが、油は200℃くらいまで上げることができ、調理時間が短く加熱の効果が大きい。天ぷらやトンカツのように衣をつけて揚げる場合は、短時間に衣が固まるので、食品の水分が失わずうまみを保つことができる。また、水分の代わりに油が食品に吸収され美味しさが増加する。

    4. 蒸す

      水に直接ふれないで蒸気で加熱する。蒸気潜熱が大きいので短時間に調理できる。水に直接ふれないため、水分を吸収せず、かつ乾かずに調理することができる。野菜や、お米、饅頭等の調理に使われる。

    5. 電磁波での直接加熱

      マイクロウエーブ波等の電磁波を食品に直接浴びせ、食品の細胞を振動させ、摩擦熱を起こし加熱する原理である。電子レンジが代表的な機器で、食品を焦がさず加熱できる。

  2. 具体的な調理機器の選び方とチェックポイント

    レストランの調理機器の種類

    1. グリドル(焼く機能)

      バーベキュースタイルのチャーブロイラーは炭火の上に網を置き、下からの炭火の輻射熱と、熱気の対流、遠赤外線効果などでじっくり火を通すものだ。時間がかかり煙もでるが、肉など内部が柔らかく仕上がり、煙による香りも独特の風味を引き出すので、ステーキ専門店などで使用されている。現在では熱源に、ガス、電気も使用されている。洋食のサラマンダーや、和食の焼き台も同じ原理であるが、対象食品の違いにより、形状が異なる。

      和食のガスの焼き台は従来は煙が出易いので電気タイプが増加していた。ガス式のヒーター部分にカバーがついているため、電気ヒーターより表面温度が低くそのため油がこびり着き、煙がでる。そこでガスの燃焼をブラスト方式に変更し、ヒーター部分の燃焼温度を電気と同じ位上昇させ、油のこびり着きを無くした物が新発売されている。

      グリドルは厚さ2cm位の平らな鉄板を下からガスバーナーで熱する。従来は鋳物のバーナーを使っていたが最近では効率の良い赤外線のバーナーを使用する。鋳物の熱効率は30%位であるが、赤外線だと50%以上の効率があり、経済的だ。サーモスタットがついて温度コントロールが自動的にできるのが一般的で調理の失敗もなくアルバイトでも調理ができる。

      調理時間を短縮する自動調理機としてグリドルの鉄板をサンドイッチ方式にして、上下から挟んで同時に焼くという、クラムシェルグリドルが開発された。時間が半分に短縮され作業も楽で人件費が減るメリットがある。

      伝統的なバーベキュータイプのチャーブロイラーにコンベアーを組み合わせて、上下から自動的に焼く自動調理機もある。コンベアーを使用するため作業スペースが少なくまた人件費も低いというメリットがある。

    2. オーブン(焼く)

      オーブン庫内の空気を加熱しその空気で食品を間接的に焼く。加熱した空気をファンでかき回し加熱するコンベクションオーブンが一般的に使用されている。

      厚いステーキなどグルドルで長時間焼くと肉が堅くなるのでグリドルで肉の表面に焦げ目をつけた後、オーブンでゆっくり火を通すと肉が柔らかく仕上がる。

      ローストビーフに使う肉の部位は、リブアイが柔らかくて美味しいが、同じ部位の肉をステーキにしてグリドルの上で短時間に焼くと堅くなってしまうのがその良い例である。

      比較的肉の厚いハンバーグミートを調理する場合、グリドルで焦げ目をつけた後オーブンで火を通していた。しかし時間がかかりすぎ、調理が勘に頼らざるをえないので、最近ではコンベアータイプのエアーインピンジメントオーブンを使用している。このオーブンの原理は、熱く熱した空気を食品の上下から高速で吹き付けることにより短時間で焼き上げる方法である。ガストやすかいらーくではこのオーブンでほとんどの焼く作業を済ませようとしている。作業が単純なので、専門のコックが不要で、かつ、5分間くらいで調理ができるので客席の回転が早くなり、売上が向上する。

      最近注目されているスチームコンベクションオーブンは、蒸す、焼く、高温の乾燥蒸気を利用した高速調理などの殆どの加熱調理を1台でできるので、中小の飲食店に向いており今後急速に普及するものと思われる。使用方法がやや難しいが、本誌日経レストランで、スチームコンベクションオーブンの使用方法をVTRにまとめたので参考にされたい。

    フライヤー

    アルバイトでも品質の良い揚げ物ができるように、サーモスタットをつけ温度を一定に保つようにしている。加熱しすぎて火災にならないように加熱防止器が付いているものが望ましい。

    コンピューターを内蔵し、入れる食材の量によって油の温度が下がるのを感知し自動的に調理時間を調節するようにしたり、自動的に食品を入れたバスケットを油から上げる、オートリフトの装置も使われるようになった。

    また、天丼チェーンやとんかつチェーンではは遠赤外線加熱のコンベアーフライヤーを使用して、品質の安定と、人件費削減を同時に実現している。

    売上が高く冷凍品を解凍しないで調理する場合には、小型のカウンタートップフライヤーでなく大型の床置きのフライヤーが良い。

    使用した油のろ過を頻繁にやると油が長持ちするので、フイルタリングマシン(油の自動ろ過機)の内蔵型を使うと便利だ。

    最近、火力が強い高級なフライヤーをあるコロッケチェーンが採用し100店舗のチェーン展開をもくろんでいるという例もあるので、目的別に選ぶと効果的だ。

    高精度加湿保温庫

    調理に時間がかかる肉や魚などを事前に焼いておき、それを正確な湿度コントロールが出来る保管庫に保管しておく。作業が分散化し商品の破棄も少なくなり、オーダー後の商品のサービングタイムが格段に早くなるというメリットがある。

    デリケートな食材を保温するには乾いてしまってはならないので湿度のコントロールを正確に高温域でできる高精度加湿保管庫が最近販売されるようになってきた。サービスのスピードを早くするにはたいへん有効な機器だ。

    電子レンジ

    単純な電子レンジだけでなく、高速調理をするために、エアーインピンジメント方式などを組み合わせたコンビネーションレンジを各社で開発中であり、今後の技術革新の目玉商品と思われる。

    電磁調理機

    ガスストーブは排気熱で厨房を熱くするし、数多く設置すると排気ダクトの設計が複雑になるので、最近では電磁調理機器を使用し、鍋などを加熱する様になってきた。加熱原理はコンロ内部に埋め込まれたコイルに電気が流れると上に乗せた鍋の金属に誘導電磁波を発生させ金属を発熱させるのである。上に金属がない場合はコイルに電気が流れていても加熱しないので熱くなく、燃焼しないので排気も不要である。和食のレストランのシャブシャブコンロを客席におくときに安全であり、排気が不要なので多く普及している。 調理だけではなくステーキやハンバーグを乗せる鉄皿を加熱する場合も、加熱時間が早いので使用されている。

    冷蔵、冷凍庫

    小出しにする際に余り頻繁に扉を開け締めすると内部の温度が上昇し、食材の品質が悪くなるので、各加熱調理機器のそばにアンダーカウンタータイプのコールドテーブル(冷蔵、冷凍庫)をおき、食材を小出しに使用すると便利だ。

    また、最近では高湿度冷蔵庫も食材の乾燥を防ぐので、高級手打ち蕎店や、和食の店舗で使用されるようになってきている。

    炊飯機器

    家庭で使用している炊飯器の大型の物であるが、火力が強いのでガスタイプの方が電気タイプよりも多く使用されている。

    洗米の行程は重要なので、自動洗米機を使用すると便利だ。炊飯で重要なのは、米に対し一定量の水量があるかということと、一定時間侵漬するということである。一定時間水に漬けていないと炊いたとき十分に水分が吸収されず、固くボロボロの米になってしまう。特にタイ米は十分な浸漬が必要である。タイ米の炊飯用にプログラムを変更した自動洗米機と自動炊飯器があるので新規購入の際にはそれも検討されたい。

    製氷機

    氷を作る機械である。タイプによりキューブタイプ(家庭の冷蔵庫で作る氷のような四角い塊)と細かなキューブ、フレーク(かき氷状)、フレークを固めたセクターアイスなどに分かれる。品質がよいので一般的にキューブタイプが使用される。

    ファーストフードなどではコストから、細かなキューブタイプの氷が使用される。セクターアイスは氷が不透明で外観が良くないが、水の使用量が格段に少ないので、水道料金が高かったり、水不足の地域では有効である。また、空冷と水冷のタイプがあるが、水不足のエリアでは空冷を選ぶと良いだろう。

    ドリンクディスペンサー

    ホットコーヒーをつくる機械や、ジュースを冷却するディスペンサー、炭酸飲料を製造するディスペンサー、ビールディスペンサーがある。特に注意するのは、ディスペンサーのノズルなど毎日取り外して殺菌することが大事である。さもないと大腸菌などの細菌が繁殖し易いのである。また、ジュースディスペンサーなどは冷却機器なので毎朝十分に冷却できるか商品の温度を計測することが重要である。

    オレンジジュースが自由化されたので、濃縮のオレンジジュース用のディスペンサーがでてきている、冷蔵庫の場所をとらず味も良く、しかも食材コストが安くなる。

    最近はドリンクバーを設置する例が多いが、コーヒーやお湯をウオーマーの上に保管しておくと、冷めてしまい劣化が早い。コーヒーと湯の自動ディスペンサーの設置が望ましい。また、ジュースや炭酸飲料ディスペンサーも、製氷機と組み合わせたものが衛生的で、人件費を節約できる。

    自動食器洗浄機

    使用した皿を洗浄するのは大変重要な作業である。皿に汚れが残っていると細菌が繁殖し食中毒の原因となる。手で洗うと湯の温度を高くすることができず、十分な殺菌ができないが、洗浄機は温度を高温にし、洗浄能力を高め殺菌を完全にできるのだ。

    洗浄機で重要なのは、予備洗浄と事後の汚れのチェックである。また、洗浄のみでなくリンス(ゆすぎ)時に80℃以上の高温の湯で殺菌するが、その温度が規定を保っているか常時チェックが必要である。

    洗浄作業は従業員の最も嫌がる作業であり、洗浄機の導入により退職率が低下するので導入する例が増加している。また、洗浄機は高価であるが、水を流しっぱなしにしないので、水道代、電気代、洗剤代、人件費が節約できる。また、食器の破損率も大幅に減少するので、トータルで見ると経費が削減できるので積極的に導入するべきだ。

    ソフトクリームフリーザー

    ファーストフードの三大メニューはハンバーガー、フレンチフライ、ソフトクリーム(ミルクシェイク)である。

    また、ソフトクリームフリーザーは衛生対策が重要で朝晩分解清掃する必要があり、時間がかかる。また、タンクとフリージングチャンバー(冷却装置)内の残留ミックスは廃棄処分をしなければならない。しかし、油脂分が多いので下水道に直接廃棄することはできず、特に産業廃棄物のうるさい東京都では大きな問題となっている。そこで最近では残ったミックスの温度を上げ自動的に殺菌し再冷却する殺菌機能付きの機械が主流になってきている。この機械の場合、ミックスの廃棄が不要で、人件費もかからないので、2年間ほどで機械の投資コストをカバーしてしまうメリットもある。

    店舗別のお勧め調理機器

    洋食

    大手チェーンはコンベアーオーブンで調理の自動化をはかっている。この分野で大手チェーンに打ち勝つには、品質とサービスのスピードだ。コンベアーオーブンは確かに良い機械だが、セントラルキッチンによる品質の安定化や冷凍食品の使用が必要だ。しかもコンベアーオーブンを使うには温度と時間をその都度変えられないので、調理方法や原材料にかなりの工夫が必要だ。お惣菜の加工工場や、単品のメニューが多いところではよいが、メニュー数が多い場合にはかなりの勉強が必要だ。

    中小に向いた機器としてスチームコンベクションオーブン(以下SCO)がある。値段はかなり高いが、高温蒸気で短時間に焼き上げるので、コンベアーオーブンより味がよいのが特徴だ。また、コンベアーオーブンと異なり、、SCOは蒸しもの、煮物、真空調理、調理済みの再加熱、など一つの機械で幅広く調理できるので、狭い厨房でも活用できる。値段は高いがお進めの機械だ。

    サービスを早くするにはランチ時に事前に調理済みの食品を保温しておくのが効果的だ。高精度加湿保温庫を活用されたい。

    また、電子レンジの活用もサービスのスピードを早くする。電子レンジというと冷凍食品の解凍に使われると思われているが、色々な使い方がある。例えば、保温庫に保管した食品を数秒加熱して出すと出来立てのように熱い状態になる。また、料理でチーズを溶かしたり、チョコレートを溶かすときに、電子レンジで加熱すれば必要な分だけ、数秒で加熱できる。家庭用と業務用の違いは、加熱時間と温度ムラだ。家庭用で満足しなかった方は業務用の力の強い電子レンジをお勧めする。

    また、厨房が熱くて困るときにはガスレンジの変わりに電磁調理器を検討しても良いだろう。特にスープや、ソースを小量加熱するのには最適だ。

    宴会や日曜日の売上が高いが、家族経営で人が十分以内という向きには、真空調理やクックチルがお勧めだ。冷凍食品を使用しないでも3‾5日間保存が利くので品質で大手に対抗できる有効な手段だ。

    技術的にかなり勉強が必要だし、高価だが人件費を考えると採用する価値がある。小さい店舗でクックチルを使用するには小型で従来の調理機器をそのまま使えるブラストチラータイプが向いているだろう。真空調理は品質がよいので比較的高級なフランス料理や、和食で使うと良い。

    中華

    中華料理の場合、炒めものの作業は重労働だし、熱いという問題がある。

    厨房の熱さを減少するには、最近電磁タイプの中華レンジがでてきた、価格は高いがどうしても厨房の熱さを軽減したいと言うときは検討する価値があるだろう。

    しかし、品質を考えると火力の強いガスの中華レンジを手放せないが、それでも厨房の環境を良くしたいと言う場合は、厨房の蒸気の発生を減らすことを考えても良いだろう。 中華料理はラーメンスープを常にぐらぐら沸かしたり、麺ゆで釜や、蒸し器を常時つけっぱなしというのが多く、その為厨房の中は蒸気で蒸し風呂のようだ。夏になると50℃にもなる。

    中華レンジを使用する限り温度は下げられないが、蒸気量を減らすことにより、熱さ感覚はかなり低下する。蒸しものは、密閉型のスチーマーを使用すると蒸気がでないから効果的だ。ホテルなど大量の蒸しものがでる場合に、SCOを使っている例もある。

    麺ゆで釜は常時ぐらぐら沸かすのでなくサーモスタットをつけて沸騰点の手前で待機させている機種がある。これだとガス代も減るし、蒸気の発生量も減らせ厨房の環境が良くなる。ガス代を考えると、交換しても数年で元がとれるので検討する価値がある。また、面倒くさいが、使わないときには必ず蓋をする習慣をつければ蒸気の発生量が大幅に減るはずだ。

    また、最近は濃縮のスープの品質も向上したおり、自動のスープディスペンサーや湯の自動ディスペンサーも検討の価値がある。

    蒸した点心を蒸気保管庫で保管するとサービスのスピードが早くなる。また、胡麻揚げ団子の様に冷凍食材を使用する場合、電子レンジで短時間解凍しすぐ揚げると、サービスのスピードが早いし品質も良い。骨付きの鳥の空揚げは揚げるのに時間がかかるが、電子レンジで加熱した後揚げると短時間で上がり、骨まできれいに火が通るのだ。

    何でも店で作るのはもう無理な時代だ。品質に最も影響する中華レンジは離さないが、他の調理機器を合理化し、冷凍食材を積極的に活用するべきだ。すでにホテルでは冷凍の点心類を活用しているし、横浜の中華街でもスープストックを購入する時代なのだ。

    和食

    刺身を美味しく保存するためには、高湿度の冷蔵庫がある。そこで解凍したり、保管することにより刺身の品質を高く保つことが可能だ。また、手打ちの蕎を保管しておくのにも最適だ。

    てんぷら用のフライヤーは安全と品質を高く保つためにサーモスタットと、加熱防止機の付いたものを選ぼう。コンベアータイプの自動フライヤーは品質がよいが、高価であり、場所をとるため1時間で100食以上でるような繁盛店以外にはお勧めできない。そのかわり、てんぷら用の特殊なアダプターをつけて海老てんぷらや、かき揚げを誰でもできるようにしたフライヤーが良い。また、一般的なフライヤーを使う場合でも、工夫すれば品質の良いてんぷらを揚げることは可能なのだ。

    高級な和食店ではSCOや、真空調理の採用も良いだろう。

    焼き物では、ブラストバーナーのガスグリラーが煙がでないのでお勧めだ。また、売上の高い店舗ではコンベアータイプのインピンジメントオーブンを使っても良いだろう。

    だしをいれた液体の味噌汁を使う、味噌汁ディスペンサーを使うと、味が煮詰まるという問題がなく便利だ。そのほか、電子レンジ、電磁調理機、なども活用したい。

    ファーストフード

    フライドチキンはやや伸び悩みの傾向があるが今後注目されるのが、ローティサリーオーブンを使用した網焼きチキンである。焼きのにローティサリーオーブンを使用するが、電気の場合電気容量が必要だ。場合によってはSCOを使用すると他のメニューも調理できるので効果的だ。

    ハンバーガーチェーンは大手のチェーンに伸び悩みがみられるが、ショッピングセンターや、従来、出せなかった場所に積極的に出店するために、小型店舗の開発をしている。生産性を高めるために、調理済みのハンバーガーのミートパティーを高精度加湿保温庫に保管し、必要に応じて再加熱して出す、アッセンブル・ツー・オーダーシステムが主流になってくる。

    ドーナツやベーカリーショップでは従来は店舗で粉から作っていたが、深夜、早朝勤務の問題から、冷凍生地とドーコンディショナーが開発された。今後、発酵前冷凍生地、発酵後冷凍生地、焼成後冷凍生地の活用が多くなるだろう。生地のタイプにより、使用する機器が異なるので注意が必要だ。詳しくは、日経レストラン94年8月3日号を参照していただきたい。

    また、シェイク、ソフトクリームマシンは熱殺菌型の採用が当たり前になり、調理器具を洗浄殺菌するのに自動洗浄機を採用するようになってくるだろう。

    給食、病院給食

    本年の10月1日から病院給食は新しい費用体系になる。従来は1日の支給額は1900円であり、本人の負担額は10%(企業の健康保険組合に加入の本人の場合)だったが、今後患者は600円負担するというものである。

    そのかわり、夕食を午後6時以後、温かいものは温かいうちに出す、「適温、適時」給食をする場合、病院に支払われる健康保険の給付金を100円から200円に増加し、患者用の食堂を用意した場合、50円を加算する。また、患者が同意した場合本人負担で、特別メニューを提供することが可能になった。

    これにより、病院側の食事に対する負担は増加し、食事を外部の業者に任せることが増えることが予想される。また、将来は病院の外で調理したものを運ぶ、院外給食が可能になると思わる。病院のセントラルキッチン化である。病院の食事は糖尿病、高血圧、腎臓病等など病人により異なった食事を提供する必要があり、一般的な食事とは異なる調理方法が必要だ。また、食品添加物の使用の制限もあり、病院専門のセントラルキッチンを設置する必要がある。また、食品添加物を使用できないため、食品の保存方法がむずかしいので、冷凍しないでも保管期間が5日から45日と長い、クックチル方式の導入が必要になってくる。

    クックチルには空冷冷却のブラストチラー方式と、真空パックした食品を水冷で急速冷却するタンブルチラー方式とに分かれる。ブラストチラー方式の保存可能期間は5日間。タンブルチラー方式は45日間の保存可能期間である。

    タンブルチラー方式のクックチルの原理はフランスの真空調理と同じ方式であり、真空調理を大規模にやる場合このタンブルチラーの活用が可能である。

    企業の給食でもクックチルの活用が増加してくるが、クックチルはやや大型の給食に適している。小型で食堂の設置ができない事業所では、冷凍の食材を保管し、電子レンジなどで解凍するシステムなどが普及してくるであろう。

  3. 調理機器の選び方、新店舗の場合と、既存店の場合、購入後のメインテナンスの重要性

    調理機器の選び方

    調理機器は金額が高いので簡単に買い代えることができないから、慎重に選ぶ必要がある。できたら実際に使用してみて、確認してから購入すると失敗がなくて良い。

    ショールームなどで、調理実演をしてくれる販売会社を選ぶと良い。調理機器を購入するときに単に安いからと入って購入すると、購入した後の販売会社のフォローアップが無くて困ることもある。ショールームなどで実演をしてもらい、そのときに質問をしても、親切に具体的に答えられる販売会社でなければならない。また、購入してからのアフターサービス、特に修理が迅速にできる会社でないと、お客様に迷惑をかけるのでよくチェックすることが必要だ。

    最近では東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなどのガス会社や、関西電力、中部電力、中国電力などの電力会社が業務用ショールームを設置し、無料で使用できる。積極的に利用しよう。調理機器だけでなく、資料や、本を十分に揃えているし、場合によっては改装の相談にも乗ってくれる。

    新店舗の調理機器の選び方

    以下に新しいお店を出すときの調理機器の選び方のチェックリストを乗せたのでご利用いただきたい。

    一番大事なのは経営者が調理機器を積極的に選択することだ。機械の知識がなくてもよいから、どんな形態のレストランで、何を出したいのか明確にすることが必要だ。絶対に人任せ、設計家任せではいけないのだ。

    1. 業種業態を決める

      当たり前のことだが、業種、業態を決めないと適正な規模の調理機器を選ぶことはできない。

    2. メニューを決める

      何を売るか具体的なメニューを決める。ガストもメニューを絞り込み、明確にしたから、生産性の高いコンベアーオーブンの導入ができたのだ。

    3. ロケーション別の売上算出。

      どこに出すのか出店の場所により売上は大きく異なるので、通行量、通行客質、入りやすさ、競合店、店舗のサイズによる売上可能金額、など具体的に計算する。これにより、厨房、客席の大きさが決まり、投資可能金額がでてくるのだ。

    4. メニュー別の売上数を算出し、必要機器を設定する。

      店舗の売上が予測できたら、今度はメニュー別の売上予測をする。次に、時間帯別の売上予測を具体的にすることにより、必要機器の能力、数量を決定する。

    5. 電気、ガス、水道の容量

      調理機器はガス、電気、水を使用するが、店舗に容量が十分にあるかチェックする必要がある。調理機器を入れ換えるときには、特に配慮が必要だ。電化厨房で電化調理機器を導入するときには、容量を越えると受電設備を交換する必要がある、場合によっては数百万円かかるので慎重な計算が必要だ。最も電気を必要とするのは空調設備であるから、GHP(ガスヒートポンプ)に入れ換えるのも検討してもよい。

      一般的なクーラーは電気モーターでコンプレッサーを動かし、冷却用のフレオンガスを圧縮する。圧縮という作業のために大量の電力が必要なのだ。GHPは乗用車などのエンジンをその動力源として電気モーターの代わりに使用する。車のエンジンはガソリンで作動するがGHPの場合には、ガスを燃焼し動力とするのだ。つまり、電気を使用しないでもコンプレッサーを作動させられるわけだ。ガストの最新型の店舗でも採用されている。

    6. 各機器の組み合わせをする。

      売上に応じた必要人員が働きやすい状態でレイアウトをする。幾ら機械の能力が高くても、人の配置ができなくては能力が発揮できないのだ。バランスが必要なのだ。

    7. 製造能力とバランスのとれた客席数の算出をする。特に最近は1組あたりの人数が減少しているので、4人がけのテーブルと2人がけのテーブルのバランスが重要になる。

    8. 倉庫、休憩室の設計

      売上、必要従業員に応じた設計をする。特に従業員がゆっくり休憩できることは、お客様へのサービス、笑顔につながることを忘れてはならない。

    9. 働きやすい厨房環境の設計

      排気ダクト、空調能力を正しく設定し、従業員が働き易くする。汗ダラダラの厨房では衛生に問題があるし、品質を向上しようとする、やる気がでてこないのだ。

    10. 損益計算をして採算性をチェックし、問題があれば見直す。

    既存店での入れ替えのタイミング

    単にまだ使えるから使おうと言うのではなく、投資してもそれ以上の利益がでるならば積極的に交換するべきだ。調理機器を入れ換えるには大きく分けて3つの理由がある。

    1. 品質の向上

      商品の製造速度や、品質が向上し、売上の増大が見込めるとき。ガストのようにサービス時間が短縮できて、ピーク時のサービスタイムを短くできる時。

    2. 老朽化

      機械の壊れ回数が増加し、修理代にお金をかけるより 交換した方が経済的になったとき。

      自動調理機器など高度な調理機器を使用するには、定期点検や、修理、部品交換、清掃を決められた通りにやらなくては行けない。機械の購入の時に定期点検項目と内容がマニュアルに明確に書いてあるかチェックする必要がある。筆者の経験では、メインテナンスをしっかりすることにより、調理機器の寿命は倍になり、水道光熱費は30%も下がり、さらに品質も大幅に向上した。

      図1は定期点検をした場合としない場合の、筆者の経験上の修理費用のグラフである。定期点検をしない場合の費用増大が急なのがおわかりだろう。しかし、定期点検をしていても消耗品であり、だんだん修理代がかさむようになる。新規の機械の減価償却より費用がかかるようになったら交換する方が経済的だ。修理費用の明細をつけておき、一定の金額になったら交換するようにすると、調理機器が壊れることによる営業停止が少なく、お客様へ迷惑をかけない。

    3. 経済効率

      まだ、機械は使える状態だが、交換した方が、人件費、電気、水道、ガスの使用量が下がり、経費削減になる場合。

      例えば、ソフトクリームマシンは、毎日機械の中のソフトクリームミックスを廃棄し、洗浄殺菌を朝晩しなければならない。しかし、最新型の機械は、夜、熱で自動殺菌し再度冷却するので、2週間に1回の洗浄殺菌と分解でよい。仮に機械に200万円の投資が必要でも。

    節約できるのは年間で

    • 人件費は1日の洗浄殺菌にかかる時間2時間、そのためだけに投入するわけでないので、さらに4時間は必要だ。つまり、1日で6時間、年339日で時給1000円とすると、年間で2、034、000円の節約になる。(最低限2時間としても67万円だ)

    • ソフトクリームミックスを廃棄する必要がないので、1回の廃棄分が5kg、単価が250円で、年間423、750円の節約になる。

    • 水道代は、ゆすぎ、洗浄、ゆすぎ、殺菌、ゆすぎ、の洗浄殺菌行程にに5回、朝晩で10回かかる。一回の水量が10リットルとして、年間で役40トン、そのほかパーツ洗浄に60トン合計100トン使用する。東京都で上下水道代1トンは750円するとして、75000円の節約となる。

    • 洗剤代1日に200円節約できるとして、年間67、800円合計で年間最大、260万円の節約になり、1年以内で元を取り戻すことが可能なのだ。

      この様に新型の機械を入れることにより2年以内に経費が削減できるのなら積極的に投資をするべきだ。

    調理機器の定期点検とメインテナンス

    しかしながら中小の飲食店ではそんなにしょっちゅう調理機器を交換できないからなるべく大事に長く使う必要がある。大事な調理機器の状態をベストに保つにはは、まず機器の状態を把握すると良い。

    もし売上が昨年と同じでも水道光熱費が増加していたら、なにか調理機器の調子が悪いのかも知れないということがわかるのだ。月末にメーターを読み込んで使用量を計算すれば良い。それに単価をかけると金額になる。

    また最低限の調理機器の作動原理を知らなくてはならない。といっても、厨房にあるような機械には、難しいものは何もない。機械の説明書を読めば理解できるものだ。ただし、電気の基本的な原理、ガスの原理、エアコンディションの冷却原理は理解しておく必要がある。そして厨房機器定期点検チェックリストで常時点検し、調理機械の寿命を長くしながら、省エネルギーと能力アップを図ることができる。

    冷蔵冷凍庫のメインテナンス

    冷蔵庫の冷却原理をみてみよう。まずコンプレーサーでフレオンガスを圧縮する。圧縮されるとガスは高温高圧になり、コンデンサーに送られる。コンデンサーで冷却されると低温で高圧の液体になる。次にドライヤーで水分などの不純物がろ過され、エキスパンションバルブ(蒸発弁)に送られる。ここで、液体は気化し、低温低圧のガスになる。

    そのガスがエバポレーターを通り、そこに存在する熱を奪い、中温低圧のガスになる。それから再びコンプレーサーで圧縮され次のサイクルが始まるのである。

    フレオンガスの低圧の圧力は蒸発圧力と言い、温度に影響する。高圧はコンプレッサーで圧縮されたガスの圧力であり、設定以上の負荷をかけた時とか、コンデンサーが目詰まりを起こし、冷却が十分にされていない場合に圧力が高くなり、場合によってはコンプレッサーが焼ききれる事がある。

    例えば筆者の経験では、コンデンサーが清掃され、目ずまりのないとき、1・5坪のウオークイン冷凍庫がー10℃のとき約10分でー20℃になる。ところがコンデンサーが50%の目ずまりを起こしていると、同じ温度を下げるのに倍の20分間もかかった。コンデンサーの汚れのため10分間余分な電力を消耗するわけである。冷凍庫の規定温度を保つため30分ごとに冷却システムが作動するとすると1日24回動くわけであるから、ウオークイン冷凍庫の定格電力が2Kw/hrとすれば単価が28円/Kwなので10分÷60分×2Kw×24回×28円×365日=81、760円年間に無駄に使用する。従業員が無造作にドアーを開け放すと、10℃位すぐ温度上昇をおこし、作動回数は増加し、さらに電気代を浪費する。

    エバポレーターに霜がついていないよう定期的に霜取りを行う必要がある。エバポレーターについた霜は断熱材と同じで庫内が十分に冷却しない原因なり、フレオンガスは熱交換されないので、気化せず液体のままコンプレッサーに戻り、コンプレッサーを壊す原因になる。

    加熱調理機器のメインテナンス

    フライヤーを毎日使用していると、半年くらいで油槽内部にカーボンがたまり、熱効率を40%も低下させことがあるる。だから定期的にフライヤーを専用洗剤で清掃する必要 がある。

    1台で熱カロリーが20000kcalの能力で、1日5時間使って、1時間のうち50%の時間が点火しているとする。熱効率が50%から、30%に下がったばあい。天然ガスが1立方メートル110円とする。(13Aの天然ガスのカロリーは1立方メートルあたり、11000kcal)

      20000kcl×50%×5h÷11000kcal=4.5立方メートル
      4.5立方メートル×1.4(熱効率の低下)=6.3立方メートル
      6.3ー4.5=1.8立方メートル(1日の増加ガス使用量)
      1.8×365日×110円=72、270円

    きれいなフライヤーだとガスの消費量は1日で4.5立方メートルだが、カーボンがついて能力が40%下がるわけだから6.3立方メートル必要であり、年間で657立方メートル多く消費し、金額に直すと72、270円にもなる。しかも温度の回復が悪いので調理時間もかかるし、商品の品質も悪くなる。

    厨房機器定期点検表作成は、各厨房機器メーカーの指定の点検方法、頻度を基にする。上記の点検項目、頻度はあくまで参考例であり、あなたの店舗の状況によりもっと項目、頻度を増やしたり、減らしたりする。基本的に店舗での作業は清掃とネジ締めである。定期点検の基本は厨房機器の状態を保つことであり、最低限度の部品交換は自分でやるとベストコンディションをいつも保てるし、修理代も安く済む。

    店舗点検作業指示書は人間でいうと体力測定である。各厨房機器により基準が異なる。これもメーカーのマニュアルに基づき、店舗の状況に基づいて作成する。この点検表は特に忙しい店舗で大量のお客様を捌く必要のある店舗は必ず作成しないと、忙しいときの商品の品質が低下するので注意されたい。また、これを定期的に行うことにより機械の性能が落ちてきたことがわかる。清掃、部品交換しても問題があればそろそろ交換時期ではないかということが判断できる。

    上記のやり方は各厨房機器製造メーカー、販売代理店に聞けば教えてくれる。基本的には、車の定期点検と同じであり、そんなに難しいものではないので是非実行していただきたい。

    現金かリースか

    調理機器を購入するときリースを使うことができる。リースのメリットは銀行の融資と同じであるが担保が不要だということだ。現金で購入すると調理機器はふつう7年間の定率償却になり、固定資産税も発生する。リースを使用すると5年なら5年の期間で支払期間を定められ、全額損金で処理できるし、毎年定額なので収支計算がしやすいし、固定資産税の処理も不要だ。ただ、担保が不要と言っても当然リース会社のOKが必要であり、収益のハッキリしない事業には無理である。

    リースと言っても調理機器の保証期間や、サービスに変わりがあるわけではないし、期間途中で解約すれば解約金をとられるのだ。基本的にファイナンスリースであることを承知する必要がある。

  4. 効果的に調理機器を使いこなすには、一品豪華主義が有効だ

    新しい調理機器を使いこなすのには一工夫が必要だ。また、色々な調理機器があっても高価だし、厨房が狭すぎて入れられないという問題がある。中小の飲食店では色々な機器を入れ換えるのでなく、もっとも効果的な調理機器を入れ換えて品質を上げ、他店と差別化をする1品豪華主義がよいだろう。ではその実例を紹介しよう。

    京都の懐石割烹で菊乃井という店がある。京都の伝統的な和食の店舗でありながら、スチームコンベクションオーブン(以下SCO)という最新型の機器を使いこなしている。その理由は伝統的な和食の店であっても、質の高い従業員を短期で教育することが必要になったということだ。そのために調理のマニュアル化を容易にできるSCOを導入した。 SCOは温度と時間を正確に調整できるのでマニュアル化にはぴったりだったのだ。

    味の面でも常に現代人にとって受け入れられるような工夫が必要だ。菊乃井では、伝統的な和食は守りながら、対象を若い女性、主婦におき、ポケットマネーで食べて、十分満足できる量を出そう、つまりバリューを出すというものだ。そこでSCOを戦略的に使用している。

    料理の順番はふつうは、お造りの後、椀をだすが、菊乃井では椀の変わりに蒸し物を出している。この蒸し物に一番手をかけている。そのために、SCOを使用しており、戦略上欠かせない機器となっている。蒸し物をやる場合のSCOのメリットは、温度の回復力が早いという事である。お客様のペースで調理するので頻繁にドアーを開け閉めしなければならず、温度の回復力の良い物が必要だったのだ。

    ふつう京都の懐石料理を食べてもお腹がいっぱいにならないが、昼の定食、4000円であってもボリュームたっぷりで、かつ本格的なのだ。

    もう一つの例は、肉の松坂屋というお肉や屋さんでのSCOの使用例だ。

    肉屋であるからとんかつとかコロッケを揚げて出すが、それだけだと他の店との差別化が出来ないということで、当時流行だしたSCOでローストビーフなどの高級惣菜を売ることを考えだした。しかし、ローストビーフだけではもったいないので、色々と料理の種類を増やし、差別化をしようとしたのだ。従来、ポテトサラダなどの調理サラダを業者から仕入れて販売していたが、それでは荒利を稼げないので、全部自分で作ることにした。そこでSCOの出番だ。

    まず朝のうちはサラダ、コロッケに使用するポテト、人参などをSCOの蒸気モードで蒸す。SCOを使うと、スペースをとらずに場所の節約になる。じゃが芋はゆですぎるとグラグラした時に、芋が割れて崩れてしまうが、SCOで蒸すと崩れる事がなくきれいに仕上がり、ホクホクして品質がよい。その他にニラ、もやし、ブロッコリー等、色が変わらずきれいに仕上がる。人参はサラダなど用途に応じてカットの大きさと堅さが異なるがカットした後時間をうまく調節して蒸すと、簡単に堅さの調整ができて便利である。鍋でゆでると、湯を沸かす時間がかかるし、熱い湯を捨てるので危険であったが、SCOだとすぐにスチームがでてくるので簡単で早く安全だ。

    昼からはローストビーフやチャーシューをコンビモードでどんどん焼く。夕方になると、鳥のももや焼き鳥を焼く、そして常に焼き立ての温かいものを売るようにして、お客様の圧倒的な指示をえているのだ。

    その結果当時約200万円と高価であったSCOであるが、半年で回収した。SCOを購入することにより、惣菜のメニュー数が40%増え、利益率の高い商品を販売することが出来たのである。現在、食肉の販売ではほとんど利益がでていないが、惣菜で利益を稼ぎだしている。主力商品は、鳥の手羽先の香味焼きである。鳥の生の手羽先は一本の販売価格は33円位にしかならないが、これを香味焼きに加工することにより、一本80円で売ることが出来る。調理にSCOを使うことにより、商品に高い付加価値を付けることが出来、利益率が高く、かつ競争にも強くなるのである。

    この様に、伝統的な和食の店も、お惣菜も真剣に利益の上がるるように、調理機器を使いこなしているのだ。1つの調理機器でもうまく使いこなすことにより店舗の売上と利益は大きく変わってくるのだ。皆さんも是非この本を参考にして売上を上げ、利益を出せる調理機器を見いだしていただきたい。

調理機器の定期点検とメインテナンス

調理機器の状態をベストに保つにはは、まず水道光熱費の使用量を把握すると良い。もし売上が昨年と同じでも水道光熱費が増加していたら、なにか調理機器の調子が悪いのかも知れないということがわかるのだ。月末にメーターを読み込んで使用量を計算すれば良い。それに単価をかけると金額になる。また最低限の調理機器の作動原理を知らなくてはならない。といっても、厨房にあるような機械には、難しいものは何もない。機械の説明書を読めば理解できるものだ。ただし、電気の基本的な原理、ガスの原理、エアコンディションの冷却原理は理解しておく必要がある。そして厨房機器定期点検チェックリストで常時点検し、調理機械の寿命を長くしながら、省エネルギーと能力アップを図ることができる。

冷蔵冷凍庫のメインテナンス

冷蔵庫の冷却原理をみてみよう。まずコンプレーサーでフレオンガスを圧縮する。圧縮されるとガスは高温高圧になり、コンデンサーに送られる。コンデンサーで冷却されると低温で高圧の液体になる。次にドライヤーで水分などの不純物がろ過され、エキスパンションバルブ(蒸発弁)に送られる。ここで、液体は気化し、低温低圧のガスになる。そのガスがエバポレーターを通り、そこに存在する熱を奪い、中温低圧のガスになる。それから再びコンプレーサーで圧縮され次のサイクルが始まるのである。

フレオンガスの低圧の圧力は蒸発圧力と言い、温度に影響する。高圧はコンプレッサーで圧縮されたガスの圧力であり、設定以上の負荷をかけた時とか、コンデンサーが目詰まりを起こし、冷却が十分にされていない場合に圧力が高くなり、場合によってはコンプレッサーが焼ききれる事がある。

例えば筆者の経験では、コンデンサーが清掃され、目ずまりのないとき、1・5坪のウオークイン冷凍庫がー10℃のとき約10分でー20℃になる。ところがコンデンサーが50%の目ずまりを起こしていると、同じ温度を下げるのに倍の20分間もかかった。コンデンサーの汚れのため10分間余分な電力を消耗するわけである。冷凍庫の規定温度を保つため30分ごとに冷却システムが作動するとすると1日24回動くわけであるから、ウオークイン冷凍庫の定格電力が2Kw/hrとすれば単価が28円/Kwなので

10分÷60分×2Kw×24回×28円×365日=81、760円

年間に無駄に使用する。従業員が無造作にドアーを開け放すと、10℃位すぐ温度上昇をおこし、作動回数は増加し、さらに電気代を浪費する。

エバポレーターに霜がついていないよう定期的に霜取りを行う必要がある。エバポレーターについた霜は断熱材と同じで庫内が十分に冷却しない原因なり、フレオンガスは熱交換されないので、気化せず液体のままコンプレッサーに戻り、コンプレッサーを壊す原因になる。

加熱調理機器のメインテナンス

フライヤーを毎日使用していると、半年くらいで油槽内部にカーボンがたまり、熱効率を40%も低下させことがあるる。だから定期的にフライヤーを専用洗剤で清掃する必要がある。

1台で熱カロリーが20000kcalの能力で、1日5時間使って、1時間のうち50%の時間が点火しているとする。熱効率が50%から、30%に下がったばあい。天然ガスが1立方メートル110円とする。(13Aの天然ガスのカロリーは1立方メートルあたり、11000kcal)

            20000kcl×50%×5h÷11000kcal=4.5立方メートル
            4.5立方メートル×1.4(熱効率の低下)=6.3立方メートル
            6.3ー4.5=1.8立方メートル(1日の増加ガス使用量)
            1.8×365日×110円=72、270円
            

きれいなフライヤーだとガスの消費量は1日で4.5立方メートルだが、カーボンがついて能力が40%下がるわけだから6.3立方メートル必要であり、年間で657立方メートル多く消費し、金額に直すと72、270円にもなる。しかも温度の回復が悪いので調理時間もかかるし、商品の品質も悪くなる。

厨房機器定期点検チェックリスト

1)毎日実施する項目
 冷蔵冷凍庫温度チェック(冷蔵庫1‾5℃、冷凍庫ー18‾ー22℃)
 グリドル、オーブン、ブロイラー、フライヤーなどの調理機器温度チェック
 保温庫の温度チェック
 コーヒー、茶、味噌汁、などのホット飲料ディスペンサーの温度チェック
 ジュース、炭酸飲料、ビール、などのコールド飲料ディスペンサー温度チェック
 ソフトクリーム、アイスクリームなどの温度チェック
 空調機温度チェック

 2)週1回チェックする項目
 冷蔵冷凍庫のコンデンサーのフィルター清掃
 グリドル、オーブン、ブロイラー、フライヤーなどの調理機器周囲清掃
 グリドル、オーブン、ブロイラー、フライヤーなどの調理機器温度回復速度のチェック
 コーヒー、茶、味噌汁、などのホット飲料ディスペンサーの味のチェック
 ジュース、炭酸飲料、ビール、などのコールド飲料ディスペンサー味チェック
 ソフトクリーム、アイスクリームマシンの保管庫温度と抽出温度の調整
 空調機のエバポレーターフィルターの清掃

 3)月1回チェックする項目
 冷凍冷蔵庫、保温庫の内部の清掃、洗浄殺菌
 調理機器の細部の清掃、ダクトの清掃、温度分布のチェック調整
 フライヤーなどの安全装置の作動確認と油槽のアルカリ洗剤によるカーボン落とし
 コーヒー、茶、味噌汁、などのホット飲料ディスペンサーの味、温度、量の調整
 ジュース、炭酸飲料、ビール、などのコールド飲料ディスペンサー味、温度、量の調整
 水冷機器の冷却水の点検、必要なら交換
 ソフト、アイスクリームマシンのベルトのチェック、ブレードの状態チェック
 空調機の外部コンデンサーの清掃(厨房内の空冷の冷却機器のコンデンサーも清掃)

 4)年1回チェックする項目
 冷凍冷蔵庫の冷却能力チェック、パッキンチェック
 全ての調理機器の分解清掃、特にガスバーナー、電気ヒーターや内部も清掃する
 コーヒー、茶、味噌汁、などのホット飲料ディスペンサーの水フィルターの交換
 ジュース、炭酸飲料、ビール、などのコールド飲料ディスペンサーラインの洗浄殺菌
 ソフト、アイスクリームマシンの節水弁(水冷の場合)、ガス圧チェック、ベルト交換
 空調機のコンデンサー、エバポレーターのスチーム洗浄、ベルト交換、電気点検



 店舗  点検作業  指示書  例      機械種類    フライヤー

 1)フライヤー温度チェックの方法
 *必要な道具、工具
   応答速度の速い温度計、プラスドライバー、棒
 *手順
   フライヤーを点火し、設定温度にダイヤルをセットする
   油槽をかき回し温度を安定させる
   油の量を規定量入れる
   サーモスタットのON,OFFを数回繰り返す
   サーモスタットOFF時に温度を計測する
   計測温度にダイヤルを調整し直す

 2)フライヤーの温度回復速度のチェックとアルカリ洗剤による油槽のカーボン落とし
 *必要な道具、工具
   応答速度の速い温度計、ストップウオッチ
 *手順
   フライヤーを点火し、内部の油の温度を120℃になるようにする
   規定量の油が入っていなければならない
   サーモスタットダイヤルを最大にする
   170℃になるまでの時間を計測する
   時間が基準内であれば良い、遅ければ油槽内部のカーボンを洗剤で落とす

 3)フライヤーの安全装置の作動確認
 *必要な道具、工具
   応答速度の速い温度計、消火器
 *手順
   フライヤーを点火し、内部の油の温度を一定になるようにする
   安全装置確認スイッチを入れる。ダイヤルを目いっぱいに上げ、温度を計測する
   安全装置が作動する温度を計測する
   もし安全装置が基準の温度で作動しないときには計測を中止し、修理を依頼する

 4)フライヤーの分解清掃、バーナーや内部も清掃する。
 *手順
   電源をOFFにする
   各ネジを緩め、部品を外す
   カーボンをブラシでよく落とし、清掃する。組立直す。

厨房機器定期点検表作成は、各厨房機器メーカーの指定の点検方法、頻度を基にする。上記の点検項目、頻度はあくまで参考例であり、あなたの店舗の状況によりもっと項目、頻度を増やしたり、減らしたりする。基本的に店舗での作業は清掃とネジ締めである。定期点検の基本は厨房機器の状態を保つことであり、最低限度の部品交換は自分でやるとベストコンディションをいつも保てるし、修理代も安く済む。

店舗点検作業指示書は人間でいうと体力測定である。各厨房機器により基準が異なる。これもメーカーのマニュアルに基づき、店舗の状況に基づいて作成する。この点検表は特に忙しい店舗で大量のお客様を捌く必要のある店舗は必ず作成しないと、忙しいときの商品の品質が低下するので注意されたい。また、これを定期的に行うことにより機械の性能が落ちてきたことがわかる。清掃、部品交換しても問題があればそろそろ交換時期ではないかということが判断できる。

上記のやり方は各厨房機器製造メーカー、販売代理店に聞けば教えてくれる。基本的には、車の定期点検と同じであり、そんなに難しいものではないので是非実行していただきたい。


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