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日経レストラン2000年9月号
「「飲食店での洗剤選び、取扱いのポイント
知っておくべき基礎知識、最低限揃えるべきラインナップ
使用、管理上の注意など」


飲食店で必要な最低限の洗剤は、食器類の汚れを落とす中性洗剤、食中毒菌を殺す殺菌剤、衛生対策の基本である手指用洗浄殺菌剤、そして飲食店判断のポイントのトイレ洗剤、その4つとなる。

1)中性洗剤

中性洗剤の基本成分は界面活性剤だ。界面活性剤の第一の役割は汚れに早く浸透することだ。そして汚れに吸着乳化して、水に汚れを溶かし、水とともに汚れを流し、きれいにする。普通手でごしごし洗うと汚れが落ちるがそのごしごしと洗う作業を助けるのが中性洗剤で、脂分を溶かしたりする化学的な作用がなく安全で、布巾から,食器、調理器具、床、壁、等幅広く清掃作業に使える万能洗剤である。

飲食店の厨房で最も使用される洗剤で、メーカーも多く存在する。メーカーによる性能に大きな差はないが、界面活性剤濃度はコストに影響するので使用時の希釈倍率をチェックし購入する。なお、メーカーによる差は手荒れにあらわれる。どのメーカーや製品が悪いというのではなく、店舗の汚れ、使用者の体質により手荒れが起きるので、実際に商品を使いながら選定する。

2)殺菌剤

中性洗剤で汚れは落ちても、見えない食中毒菌などは食器や調理機器に残存しているので殺菌剤が必要だ。厨房の殺菌剤として一般的に使用されるのは次亜塩素酸ナトリウム溶液だ。一般的には次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度が5〜6%のものを使用する。濃度の高い10〜12%の物は安定性が悪いので購入してはいけない。殺菌剤は効果がわかりにくいので信頼のおけるメーカーから購入するようにしよう。

殺菌剤は使用濃度をきちんと守らないと効果がないので説明書を良く読んで使用する。基本的には、水または湯で希釈し濃度が100ppmになるようにする。使用する場合には塩素濃度を計測する試薬があるので、チェックすると良いだろう。殺菌剤を入れた容器は使用しない際にはキャップをしっかり閉め、冷暗所で保管する。あまり古くなると殺菌能力が落ちるので、あまり大量に保存してはならない。

3)手指用洗浄殺菌剤

衛生対策の第一歩は手洗いからと言われるように手の洗浄殺菌は衛生上大変重要だ。手洗いは手を石鹸で洗ってから塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸で手を殺菌する方法が一般的であった。しかし、2回洗うのが面倒くさいと省略される危険もあり、一回で手指の洗浄殺菌をする専用洗剤をお薦めする。やはり塩化ベンザルコニウムを使用する物もあるが、手荒れを防ぐ化粧品などの殺菌剤に使用されるイルガサンDP300を使用し、洗浄と殺菌をかねるようにした洗剤が出回っている。現在では殆どの洗剤メーカーが塩化ベンザルコニウム入りか、イルガサンDP300入りの手洗い洗剤を販売しているので、比較使用して手指にあう物を採用しよう。

手の殺菌をアルコールで直接行う場合があるが、アルコールの種類や使用頻度によっては手荒れを引き起こすので、使用方法と頻度に注意が必要だ。手洗いは重要であるが、あまり洗いすぎると手が荒れるので、適度な手洗いにとどめるべきだろう。

4)トイレ用洗剤

きちんとした飲食店かどうかの判断はトイレを見ればよいと言われるようにトイレの清掃は大変重要だ。

トイレの臭いは便器に溜まった、尿石に汚れが入り込み臭いの原因となる。これを落とすには酸性洗剤を使用する。あまり溜まりすぎると落ちなくなるので定期的に洗浄するか、クレンザーなどの研磨剤を使用する。ただし、研磨剤などには次亜塩素酸ナトリウム等が入っている場合があるので、酸性のトイレクリーナーと混ぜて使うと塩素ガスが発生し危険なので注意しなければならない。

安全性のために中性タイプのトイレクリーナーが出ているので洗浄性に問題がなければ使用しても良いだろう。ただし、安全な洗剤は洗浄能力があまり高くないので、清掃の頻度はきちんと守ること。

5)厨房機器と洗剤

中性洗剤は安全で多用途に使えるのだが、化学的に汚れを分解洗浄するのではないので、ひどい脂汚れやカーボン状にこびりついた物は落ちにくい。アルカリ性の洗剤を使用し脂分を溶解する必要がある。汚れ落とし能力の強い洗剤はアルカリ度が強いので取り扱いに注意が必要になる。フライヤーやグリドルの汚れ、スチームコンベクションオーブンなどの汚れに対してはそれぞれ専用の洗剤が出ている。専用の洗剤は高価ではあるが清掃が簡単で時間が短縮できるメリットがあるので使用することをお薦めする。

ただし、便利な分、使用上の注意を良く守らなくてはいけない。アルカリ系の洗剤はステンレス以外の金属類やガラス類を腐食させる等、使用する厨房機器により問題を生じるので、厨房機器メーカーの推薦の洗剤を使用するようにする。

乳製品、例えばアイスクリームとかソフトクリームを販売している場合には、乳製品用の洗剤が必要になる。洗浄と殺菌を行うだけでなく、機械に付着した乳製品のカルシウムやマグネシウムを溶解する酸性の洗剤が必要になるので、使用する機器の使用説明を良く読むこと。

この様に専用の特殊な調理機器を使用する場合には特殊な洗剤を使った方が衛生的だけでなく、人件費や水道代の節約になるので、是非積極的に採用しよう。

<<参考資料>>

以下は参考資料です。

(1)洗剤の働きの原理と配合成分の知識

1)洗剤の洗浄力と中性洗剤

水、洗剤、物理的作用(ブラッシング、撹拌、噴射、循環、振動、温度)の3つの作用が洗浄の3大要素だ。

例えば、厨房で使用するダスターの洗浄を考えてみよう。厨房で使用するダスターには種々の汚れが含まれる。油状の汚れ(動物、植物性の油)、蛋白質汚れ(卵、ミルク、肉、植物蛋白)、炭水化物汚れ(ご飯、でんぷん、糖分)、無機質汚れ(土砂、金属)、特殊な汚れ等だ。その汚れは、ダスターの表面に付着したり、染み込んだり、場合によっては変色するほどの汚れだろう。ダスターをきれいにするには、普通の水で洗浄する場合と、中性洗剤を溶いだ水で洗浄する場合があるだろう。では、水を入れたバケツと、中性洗剤を溶いだバケツを用意してみよう。

汚れが付着したまま乾燥したダスターを水中に入れても水がなかなか染み込んでいかないはずだ。そこで、ダスターを手で水の中に浸け、無理に水を染み込ませてみる。それだけでは汚れは落ちてこないはずだ。そこで、ダスターをごしごしこすったりもんだりすると、汚れが落ち、水が濁ってくるはずだ。水ではなく、湯を使用すると汚れ落ちはもっと良いはずだ。このごしごしこするのと、湯を使用するのを物理的な力という。

では中性洗剤を希釈した水で洗ってみよう。ダスターに直ぐに水が染み込むのが分かるだろう。これを浸透作用という。

次にダスターをごしごしもみ洗いしてみよう。中性洗剤を使用した方が水の汚れが多いはずだ。これは洗剤が汚れに吸着し、水に溶かすつまり乳化作用が働くからだ。

次にそれぞれのダスターを絞ってみよう。当然の事ながら、洗剤を使用したほうが汚れが落ちているはずだ。これは、洗剤を使った方が汚れがダスターに再び付く事がなくなるからで、洗剤の分散作用という。

水で洗うより中性洗剤で洗った方がきれいになっているだろう。この中性洗剤の主成分が界面活性剤であり、上記の浸透、吸着、乳化、分散の4つの作用をもつ。本来洗浄作業は水でも時間をかければ可能である。しかし、乾いたダスターに水が染み込むのに時間がかかるのは、汚れに水が届きにくいと言うことなのだ。水を乾いたダスターの上に一滴落としてみよう。水は玉のようになって、ダスターになかなか浸透していかないだろう。これは、水の表面張力が布への浸透を防ぐからだ。この表面張力を押さえれば水はダスターに容易に浸透するはずだ。この水の表面張力の力を減少させるのが界面活性剤なのだ。界面とは何かというと、表面のことだ。表面張力を落とすことにより、繊維の中の汚れまで水が達するのだ。これを浸透力という。(図3参照)

汚れまで到達した界面活性剤は親水基と親油基に分かれている。親油基が汚れに浸透して汚れの周囲をとりまいていく。この汚れに付着する作用を吸着という。次に汚れを取り去り、水に取り入れていく。この水に汚れを取り去る作用を乳化という。水が濁っている状態のことだ。

水にとけ込んだ汚れが、また、ダスターに吸い込まれては困るので、ダスター表面にとりついた界面活性剤は汚れが再度付着しないようにする。この作用を分散作用という。

以上の4つの作用が、界面活性剤の働きである。

2)界面活性剤の種類とそれ以外の成分

<界面活性剤は4種類ある>

  1. アニオン(陰イオン)界面活性剤 
    コストは低いが洗浄力が高いので最も一般的に使用される。
  2. カチオン(陽イオン)界面活性剤
    洗浄力はないが、殺菌剤や繊維の柔軟仕上げ剤として使用されている。
  3. 非イオン界面活性剤 
    コストが高いが水の硬度に影響されないので、洗浄力を高める必要のある難しい条件で使用される。
  4. 両性界面活性剤 
    水溶液のPHによって、アルカリ側で陰イオン系、酸性側で陽イオン系に変わる界面活性剤である。洗浄力、殺菌力、柔軟効果を持っているが価格が高いため特殊な用途で使用されている。
    洗剤に使用する界面活性剤は、一般的にアニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤だ。アニオン界面活性剤が最も多く使用されるが、汚れの対象、条件によっては非イオン界面活性剤も使用される。殆どの場合は数種類の界面活性剤を組み合わせて使用する。

<ビルダー、添加剤>

中性洗剤は界面活性剤の組み合わせだけでない。水はカルシウムとかマグネシウム等の金属分を含有している。例えば温泉で石鹸を使用してもあまり泡立たないが、それらの水中の成分が邪魔しているからだ。そこで、添加剤のキレート剤を含有させ、洗浄力が落ちないようにする。

添加剤の効果は、洗剤の効果向上、金属腐食防止、軟水効果、溶解度の向上、粘度調整、泡安定、肌荒れ防止等いろいろあり、用途により配合を変える。

中性洗剤を購入する際には単に値段だけで比較しないで配合成分、濃度が使用用途に適合しているかを考慮して、購入する必要がある。

3)化学洗剤

洗剤は中性洗剤だけではない。アルカリと酸性の洗剤が存在し、用途により使い分ける。

  1. アルカリ洗剤
    洗剤は全て中性洗剤で良いわけではない。厨房で使用したダスターは油でまみれているはずだ。いくら中性洗剤の濃度を高くしても油の汚れを完全に落とすことは難しいのだ。油の汚れを落とすには、アルカリ系の化学洗剤を使用する。アルカリ度を表すにはPHを使用する。PH7が中性だ。数字は1から14までだ。7より数字が大きくなると、アルカリ度が強くなる。数字が7より小さくなると酸性になる。8位までは弱アルカリであるが、12前後になると強アルカリになり、目に入ると失明の恐れがあるし皮膚を侵す。メーカーによりアルカリ度は異なるので使用説明書を良く読み、取り扱いを十分注意する必要がある。調理現場には最低限、目を保護するゴーグルと、手袋が必要だろう。また、アルカリ、酸性の洗剤は保管場所を限定し、誤って使用しないように容器の色を目立つようにする。
  2. 酸性洗剤
    髪の毛を洗浄した後、リンス剤を使用する。これはシャンプーの成分と水中の金属分(カルシウム、マグネシウム)が作用し、金属石鹸が出来、それが髪の毛に付着し、ざらざらするためだ。昔は、レモンなどでリンスをしたが、レモンは弱酸性であり、付着した金属石鹸分を取り去る働きがあるからだ。つまり、中性洗剤、アルカリ洗剤の他に、酸性の洗剤が必要になる。お風呂を清掃する場合に使用するのは酸性の洗剤が多い。
    食器洗浄機でリンス剤を使用するがこれもリンス水の中にカルシウム、マグネシウムが入っており、そのまま高温でリンスすると金属成分がグラスなどに付着し白くなるし、水切れが悪くなるからだ。その為に酸性の洗剤でリンスする。酸性の洗剤もアルカリと同様に取り扱いに注意が必要になる。

(2)洗剤の種類

家庭で使用する洗剤だけを見ても、中性洗剤、ブリーチ、研磨剤、台所用強力洗剤、風呂場洗剤、トイレクリーナー、洗濯石鹸、柔軟剤、シャンプー、リンス、と数多くある。飲食業のように厨房から、客席、建物等、幅広く洗浄するにはもっと数多くの種類の洗剤が必要であり、その特性や使用上の注意点を理解しなければならない。

1)中性洗剤

水、洗剤、物理的作用(ブラッシング、撹拌、噴射、循環、振動、温度)の3つの作用が洗浄の3大要素だ。

例えば、厨房で使用するダスターの洗浄を考えてみよう。厨房で使用するダスターには種々の汚れが含まれる。油状の汚れ(動物、植物性の油)、蛋白質汚れ(卵、ミルク、肉、植物蛋白)、炭水化物汚れ(ご飯、でんぷん、糖分)、無機質汚れ(土砂、金属)、特殊な汚れ等だ。その汚れは、ダスターの表面に付着したり、染み込んだり、場合によっては変色するほどの汚れだろう。ダスターをきれいにするには、普通の水で洗浄する場合と、中性洗剤を溶いだ水で洗浄する場合があるだろう。では、水を入れたバケツと、中性洗剤を溶いだバケツを用意してみよう。

汚れが付着したまま乾燥したダスターを水中に入れても水がなかなか染み込んでいかないはずだ。そこで、ダスターを手で水の中に浸け、無理に水を染み込ませてみる。それだけでは汚れは落ちてこないはずだ。そこで、ダスターをごしごしこすったりもんだりすると、汚れが落ち、水が濁ってくるはずだ。水ではなく、湯を使用すると汚れ落ちはもっと良いはずだ。このごしごしこするのと、湯を使用するのを物理的な力という。

では中性洗剤を希釈した水で洗ってみよう。ダスターに直ぐに水が染み込むのが分かるだろう。これを浸透作用という。

次にダスターをごしごしもみ洗いしてみよう。中性洗剤を使用した方が水の汚れが多いはずだ。これは洗剤が汚れに吸着し、水に溶かすつまり乳化作用が働くからだ。

次にそれぞれのダスターを絞ってみよう。当然の事ながら、洗剤を使用したほうが汚れが落ちているはずだ。これは、洗剤を使った方が汚れがダスターに再び付く事がなくなるからで、洗剤の分散作用という。

水で洗うより中性洗剤で洗った方がきれいになっているだろう。この中性洗剤の主成分が界面活性剤であり、上記の浸透、吸着、乳化、分散の4つの作用をもつ。本来洗浄作業は水でも時間をかければ可能である。しかし、乾いたダスターに水が染み込むのに時間がかかるのは、汚れに水が届きにくいと言うことなのだ。水を乾いたダスターの上に一滴落としてみよう。水は玉のようになって、ダスターになかなか浸透していかないだろう。これは、水の表面張力が布への浸透を防ぐからだ。この表面張力を押さえれば水はダスターに容易に浸透するはずだ。この水の表面張力の力を減少させるのが界面活性剤なのだ。界面とは何かというと、表面のことだ。表面張力を落とすことにより、繊維の中の汚れまで水が達するのだ。これを浸透力という。(図3参照)

汚れまで到達した界面活性剤は親水基と親油基に分かれている。親油基が汚れに浸透して汚れの周囲をとりまいていく。この汚れに付着する作用を吸着という。次に汚れを取り去り、水に取り入れていく。この水に汚れを取り去る作用を乳化という。水が濁っている状態のことだ。

水にとけ込んだ汚れが、また、ダスターに吸い込まれては困るので、ダスター表面にとりついた界面活性剤は汚れが再度付着しないようにする。この作用を分散作用という。

以上の4つの作用が、界面活性剤の働きである。

2)殺菌剤

1.シェイク、アイスクリームマシンの洗浄殺菌

調理機器の洗浄は大変重要だ。単に洗浄するだけでなく殺菌をすることが必要である。 保健所による乳製品の検査は大変厳しく、夏になると頭を悩ませる。従来は、機械を水でリンスしてから、中性洗剤を溶いだぬるま湯で洗い、それから水でリンスし、今度は次亜塩素酸ナトリウム100ppmの溶液で5分間殺菌する。それから再度水でリンスするという複雑な作業が必要であった。しかし、ミックスの配合成分は、油脂分と、蛋白質、カルシウム、マグネシウム等であり、中性洗剤では完全に洗浄できないことが判明した。シェイクやソフトクリームミックスを製造している乳製品の工場ではラインの洗浄に中性洗剤を使用していない。それは、中性洗剤では乳脂肪、蛋白、カルシウム、マグネシウムを除去できず、金属分がラインにたまり、乳石となり、細菌の巣になってしまうためだ。ライン洗浄では殺菌よりもまず汚れを落とすことを重視する。汚れが落ちないとその内部の細菌に洗剤が到達しないため、殺菌効果を発揮することができないからだ。

そのために、特殊なアルカリ系の粉末洗剤を使用する。殺菌効果を出すために次亜塩素酸ナトリウム溶液ではなく、ジクロルイソシアヌール酸ソーダを使用する。ある温度に溶いだジクロルイソシアヌール酸は殺菌効果を出すだけでなく、油脂分と蛋白質を分解する能力が高いのだ。その他に洗浄能力を高めるために界面活性剤を混ぜて洗浄効果を最大限にだす。洗剤を最大限に生かす湯の温度も重要である。熱い方が油脂の汚れ落ちがよいが、殺菌剤の安定性が悪くなる。洗剤に最も適した温度に設定する必要がある。

更に、カルシウム、マグネシウムが洗浄効果を落とさないように、キレート剤を配合する。泡が立ちすぎると、リンスが大変なのであわ立ちを少なくする配合もする。

また、機械を洗浄するわけであるから、金属、プラスチック、ゴム部分の腐食がないかが重要だ。その為に腐食防止剤を配合するが、更に腐食度の経時変化を調べ部品の交換時期を明確にする。

シェイク、アイスクリームマシンの取り出し口にはプラスチック部品を多用するが、プラスチック部品は傷つきやすくそこに細菌が繁殖しやすいという問題がある。従来の中性洗剤では浸透力が弱いが、ジクロルイソシアヌール酸ソーダを使用すると汚れに対する分解度と浸透度が強く、プラスチック部品が真っ白に綺麗になるために衛生度は格段に向上した。

殺菌効果を持続させるために一回分づつに洗剤を分け、完全密封した状態にパックし殺菌効果が落ちないように加工する必要がある。また、粉末洗剤であるので、水への溶解性が良くないと、有効でないので粉末粒子の大きさと溶解性の設定をきちんとする。

この洗浄殺菌剤は高価であるが、清掃時間が短縮出来るので人件費が低く、使用水量も少ないので、トータルコストはかえって低くなるというメリットがある。洗剤の選定に当たっては単にコストだけでなく、人件費、水道光熱費等、総合的に考慮するべきだろう。

なお、大腸菌を0にするにはこの洗浄殺菌剤だけでは力不足である。シェイクやアイスクリームを作るには、冷媒を通したシリンダー内部にミックスを入れて冷却し、凍り始めたミックスをスクレーパーブレードで掻き取り、撹拌して粘度の高い飲み物やソフトクリームを製造する。そのスクレーパーブレードはモーターからチャンバーを貫通したドライブシャフトを通して回転される。このドライブシャフトからミックスが漏れないようにゴムのOリングと可食性潤滑剤のグリースを使用する。この部分のグリース内部に混じったミックス内部に大腸菌などが繁殖しやすい。また洗浄ブラシにもグリースが付着するがその内部に細菌が繁殖する。洗浄ブラシとシャフトに付着した潤滑剤グリースを分解する洗剤の使用が必要になる。可食性潤滑剤のグリースに最も適した界面活性剤の配合をした特殊洗剤が必要になる。

2.次亜塩素酸ナトリウム溶液(ブリーチ)

厨房の殺菌剤として一般的に使用されているのは次亜塩素酸ナトリウム溶液だ。一般的には次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度が5〜6%のものが多い。購入時に価格で購入を決定する場合が多いが、性能に大きな違いがあるので注意されたい。

使用する場合には、水または湯で希釈し濃度が100ppmになるようにする。使用する場合には塩素濃度を計測する試薬があるので、チェックすると良いだろう。殺菌剤を入れた容器は使用しない際にはキャップをしっかり閉め、冷暗所で保管する。あまり古くなると殺菌能力が落ちるので、あまり大量に保存してはならない。

3.手洗い洗浄殺菌洗剤

衛生的にするというとまず大事なのが殺菌剤による殺菌だ。例えば手洗いだが、どうやって洗っているかが重要だ。完璧な殺菌が必要な病院などでは、石鹸で手を良く洗ってからクレゾール液に手を浸し殺菌する。洗浄工程は最も重要だ。洗浄で手の汚れが落ちていれば、汚れの内部に存在する細菌も洗い流されてほんの少ししか残留していないはずだ。手洗いはまず洗浄効果が最も重要なのだ。次にだれでも間違いなく殺菌をすることが出来るという事が基本だ。特にパートタイマーやアルバイトを採用する場合には注意が必要になる。

手を石鹸で洗ってから塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸で手を殺菌する方法が一般的である。塩化ベンザルコニウムは陽イオン界面活性剤の殺菌効果を利用したものだ。しかし、普通の洗剤は陰イオン界面活性剤なので、両方を同時に使用すると殺菌効果がなくなってしまうという重大な欠点がある。石鹸をよく洗い流してから、逆性石鹸を使用しないと、殺菌効果が打ち消されてしまうのだ。正しく使用すれば逆性石鹸の殺菌力は高く効果的なのだが、 パートタイマーやアルバイトが多いとトレーニングをしても、手洗いを正しくやらない危険がある。

その対策としては洗浄と殺菌を同時に出来る、化粧品などの殺菌剤に使用されるイルガサンDP300を使用し、洗浄と殺菌をかねるようにした洗剤を使用する。化粧品などに使用する殺菌剤を採用しているのは手荒れを防ぐためだ。手荒れをおこすと、ブドウ球菌が発生し食中毒の元になるからだ。採用する際には殺菌剤の濃度と、手あれ防止剤が配合されているかをチェックする必要があり、実際の使用テストが望ましいだろう。現在では殆どの洗剤メーカーがイルガサンDP300入りの手洗い洗剤を販売しているようだ。

手の殺菌をアルコールで直接行う場合があるが、アルコールの種類や使用頻度によっては手荒れを引き起こすので、使用方法と頻度に注意が必要だ。手洗いは重要であるが、あまり洗いすぎると手が荒れるので、適度な手洗いにとどめるべきだろう。おにぎり、寿司、サラダ等の生ものを作るときには使い捨てのプラスチック手袋を使用し、その外側をときどきアルコールスプレーなどで殺菌するのが望ましい。プラスチック手袋を使用する場合でも必ず手を洗浄殺菌してから装着する。

3)酸性洗剤

シェイク、アイスクリームマシンは乳製品を使用するのでいくら完璧に洗浄しても長い間にはカルシウム、マグネシウム等が溜まって乳石となり、細菌の巣になりやすい。定期的に酸性の洗剤で乳石を除去する必要がある。

また、スチームコンベクションオーブンのスチームジェネレターや加湿保温庫等は水分中のカルシウム、マグネシウムが沈殿する。やかんを長い間使用していると、内部に白い軽石状の付着物ができるのと同じだ。これは水中のカルシウム、マグネシウムの堆積物だ。これを除去するには酸性の洗剤で溶かし流す。あまり堆積物が厚くなるとなかなか溶けず作業時間がかかるので、定期的に作業をする方が効率がよい。金属によっては酸性の洗剤で腐食が発生するから、用途、金属等機械別にきめ細かく選定する必要がある。

4)強力油落とし洗剤

厨房では多くの油を使用しているのでそれぞれの用途に応じた効果的な油落とし専用強力洗剤が必要だ。

1.グリドルクリーナー

従来はグリドルの表面のカーボン落としには金だわしなどを使用していたが、ステンレスの破片が食材に混入するという問題からグリドルクリーナーが開発された。グリドルクリーナーの条件はグリドルが高温のまま100℃前後で清掃できるように、耐熱の溶剤と、浸透性が必要になる。

洗浄作業が完璧に行われず、洗剤成分が残留する恐れがあるので、配合成分は食品添加剤などを使った安全なものがよいだろう。一般的には苛性ソーダーが20%前後含まれるのが一般的であり、その他にキレート剤、界面活性剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤が配合される。

また、温度を100℃以下に下げるのに時間がかかるということで、最近では高温150〜200℃という高い温度帯でも使用できる高温タイプのグリドルクリーナーが出ており便利になっている。但し高温で効果が出るようになっているのでグリドルが冷めない内に使用しないと汚れが落ちにくいという注意が必要だ。

2.フライヤーボイルアウト

フライヤーの熱交換部分は高熱になり油分が焦げ付きカーボンとなる。カーボンは断熱材であり、熱伝達を妨げ、油の温度回復を遅くする。その為に3カ月に一度は洗浄しカーボンを落とす必要がある。堆積したカーボンはグリドルより固いのでより浸透性の高い界面活性剤と、強いアルカリ成分が必要だ。油槽に水を張りそこに洗剤を入れ30分間ほど煮沸するのだが、フライヤー内の残存油分と、苛性ソーダーが反応し石鹸になるので泡が多く立ち、ふきこぼれ、コントロールパネルをいためる危険性がある。消泡剤の配合と、金属腐食防止剤の配合が必要になる。温度は沸点100℃より低い95℃前後で煮沸する。その為にフライヤーが温度コントロールが出来る仕様が必要になる。さもないと油槽から泡が吹き出る危険がある。このフライヤーボイルアウト洗剤もアルカリ度の弱い物が開発されている。しかし、完全に中性というわけではないので取り扱い、特にゴーグルの使用は必要だ。

3.オーブンクリーナー

コンベクションオーブンの汚れの清掃は大変であり、グリドルクリーナーのような強力なアルカリ洗剤をスプレーし、しばらくしてからふき取る。内部を洗うことが出来ないので、グリドルクリーナーのように食品添加物で作った安全な物が望ましい。

最近では、スチームコンベクションオーブンが増加している。熱交換器の内部やファンの内側まで付着したカーボンを溶解する必要があり、グリドルクリーナーのタイプを使用する。吹きかける際に洗剤の濃度が高すぎるとうまく噴霧が出来ないので、水で薄め粘度を下げて使用する。スプレーには色々な種類があるが、粘度の高い溶液を噴霧出来る特殊なポンプ式のスプレーを使用するのが望ましい。ポンプ内部の部品は耐アルカリ性でなければならない。オーブンクリーナーの基本成分はグリドルクリーナーとほぼ同様であり、最近では低アルカリの安全性の高い物が出ている。

4.安全性の問題と取り扱いの注意

上記の洗剤は基本的に強アルカリの苛性ソーダーを20%〜40%含有しており取り扱いには十分な注意が必要である。目に入れば失明する危険があるので取り扱う際には必ず目を保護するゴーグルや耐アルカリ性のネオプレーンゴム手袋を使用する必要がある。低アルカリであっても皮膚に直接触れたり、目に入ったりすると危険であるので注意が必要である。誤って飲み込んだ場合には、すぐに水やミルクを大量に飲んで洗剤分を吐き出し、直ちに医者にいく必要がある。また、目にはいった場合には、直ちに水で洗浄し医者にいく必要がある。いずれにせよ洗剤の種類により、毒性と対応方法が異なるので、使用説明書を普段から良く読み、適切な対処を可能にするべきだろう。

最近は安全性の面からアルカリの弱い洗剤が使われるようになっている。アルカリの弱い洗剤の必要性は、調理機器にステンレス以外のアルミを使用する傾向からも必要になっている。クラムシェルグリドルの上側のグリドルは重量の関係からアルミにメッキをしたものを使用しているが、アルカリの強い成分の洗剤であると腐食し、表面が凸凹になる危険性があるので、アルカリ分の弱い洗剤の必要性がある。また、スチームコンベクションオーブンの清掃の際、アルカリ系のクリーナーを噴霧すると発生する蒸気と臭いがきつく作業が危険でありアルカリ分の弱い洗剤の必要性が出てきている。

各種金属にはアルカリに対するPH限界値がある。鉄鋼は無いがアルミ、亜鉛は10、黄銅は11.5、と金属により異なるので、洗剤使用時のPHを計測し、設定する。

アルバイトの多い職場等や、ステンレス以外の金属を使用する場合にはできるだけアルカリ分の弱い洗剤の採用を是非検討すると良いだろう。ただし、強アルカリ洗剤より溶解性が落ちるので、ブラシ掛けをするとか、清掃の頻度の向上や、洗剤の適正量など使用上の注意が必要である。また、安全性が高いといっても洗剤を直接皮膚に触れたり、目に入れることは危険なので、手袋とゴーグルは必ず着用が必要だ。

5)床用洗剤、コンクリートのコーティング

厨房の床は油分が多く、清掃するときにアルカリ度の高い洗剤で清掃することがあるが、アルカリ分が多いと、コンクリートの目地や、タイルを傷めることがあるので、床専用の洗剤の仕様が望ましい。アルカリ度の強い調理機器用の洗剤で床を洗浄すると、油は落ちるが、リンス性が悪くかえって滑る恐れもある。油落としの能力だけでなく、滑りにくい成分でなくてはならない。また、床の清掃が不十分であると悪臭の元になるので、殺菌剤を含んだ床用洗剤を使用するとよい。

釉薬のかかったタイル、ガラス、アルミ材をアルカリ度の高い洗剤で洗浄すると、腐食し、ガラスなどは曇り、タイルは艶がなくなり、アルミはざらざらになってしまう。洗剤の特性に留意して使用する必要がある。

厨房や倉庫に床をコンクリートむき出しで使用すると、強い洗剤で腐食されるし、ひび割れが出てくる。出来たら、コンクリート専用のコーティング剤を使用するべきだろう。

6)窓ガラスクリーナー

窓ガラスクリーナーの主成分は、界面活性剤とつや出しのシリコン、グリコール、アルコールなどだ。界面活性剤は汚れ落としをする。シリコンは撥水やつや出しの効果があり、仕上がりが綺麗になるので使用される。車の洗車機のワックスは油性のワックスではなく、シリコンを使用する。シリコンを使用すると艶が出て、水がかかっても水滴になり、きれいに流れ落ちる。ただし、日持ちがしないので毎日使用する必要がある。グリコールは車の不凍液と同じ成分だ。粘度があってガラスに付着し清掃性が向上し、寒冷地でも清掃中に凍ることがないからだ。

つや出しが必要なかったり、寒冷地でなければ普通の中性洗剤でも汚れが落ちるので、十分だろう。特にガラスに輝きがほしい場合にはガラスクリーナーを使用するなど、使い分けると経済的だ。ガラスの清掃の秘訣はダスターなどで拭かずにゴムのスクイジーを使用することだ。やや慣れが必要だが、スピードが速くなるし仕上がりがきれいなので検討する価値があるだろう。スクイジーの使用方法は、パチンコ屋などのガラスを多く使用するビルの清掃業者のやり方を見ると良い。秘訣は、一回ごとにスクイジーの汚れをダスターでふき取り、直線ではなく∞字型にスクイジーを動かすことだ。また、スクイジーのゴムのエッジがきちんとしていないと汚れが落ちないから日頃の交換頻度をきちんと守ることがこつだ。

7)研磨剤

長く清掃していない、鍋などのカーボンがぎっしりついたりした物は、強アルカリ洗剤を使用しても落ちるものではない。金ダワシなどでこする必要がある。そんなときにはクレンザーなどの研磨剤が必要になる。研磨剤の主成分は、ガラスの原材料になる珪砂と界面活性剤、アルカリ剤等が主である。研磨自体の能力は珪砂の粒子の大きさに左右される。

フライヤーなどの油槽についた汚れを毎日清掃する際に、研磨剤を使用するが、油に混入するので、珪砂などの食品に混じっても良い物だけを使用する場合がある。

金属を研磨する際には珪砂の粒子の大きさにより、傷つき方が異なるので、清掃対象の金属にあった大きさの粒子を選定すると良い。厨房では他の洗剤と混ぜて使用されることが多いのでなるべく、珪砂だけの方が汎用性があって良いようだ。

8)真鍮磨き

真鍮は金属が柔らかく傷つきやすいので、専用の磨き剤を使用する。この場合も清掃頻度をきちんと守らないと汚れが落ちなくなるので、日頃の注意がいる。最近では真鍮色のメッキがある。メッキは真鍮の様に色が変色しなくて便利だが、間違って磨き剤などをかけてこするとメッキが剥げてしまうので、金属の素材に注意すると良い。

9)家具クリーナー

日本の清掃方法は何でも水拭きするという基本的な欠陥がある。テーブルとか椅子などの家具を水拭きするのは最も良くないのだ。木で出来た家具はニス塗りしてあるが、ニスが水溶性であり、水で剥離し、汚れが染み込んでしまうのだ。なるべくカラ拭きが望ましいのだ。しかし手指で触れることが多く、手垢が付いて汚くなる。ニスを落とさないで手垢を落とすには専用の家具クリーナーが必要だ。ワックスをかけても良いのだが、客席では臭いが出てあまり向いていないし、作業性が良くない。水溶性のスプレータイプの家具クリーナーが作業性がよい。ただし、一般に市販しているものは香料が入っているので、営業時間外のみに使用する注意が必要だ。

木の家具を使用するにはかなりの手入れが必要だが、どうしても水拭きで済ませたい場合には、家具の塗装をしっかりしたものにする。ニスではなくウレタン塗装などをすると耐水性があり良いだろう。市販の家具はウレタン塗装が多いが厚めにかけた方が持ちがよい。

いくら持ちがよいウレタン塗装でも2年位すると部分的に剥がれれてきて、そこから汚れが染み込むので、定期的な塗装をすると長持ちするようになる。

木部だけでなく、レザーや、プラスチックも家具クリーナーで清掃すると艶が出て汚れがつきにくくなる。一度きれいに清掃した後は、家具クリーナーを含ませたダスターで軽く空拭きすれば簡単にきれいになる。

10)ステンレスクリーナー

厨房で使うステンレスは汚れが目立たないようにヘアーライン加工してある。ステンレスを水拭きで使用すると、水分のカルシウム、マグネシウムがステンレス表面に付着して白っぽくなり輝きが出ない。ステンレスの汚れは、油性のステンレスクリーナーで落とし、同時につや出しをする。ステンレスクリーナーの油性の成分がヘアーラインの細かいところに入り、それが艶を出すのだ。油の付いた指などで触っても跡がつきにくいのはそのためだ。ステンレスクリーナーの欠点は油性の成分のため食品にかかってはいけないという点であり、厨房で使用するには注意が必要だ。また、同じつや出しでも家具用とは使い分けするという手間がかかるので、最近は水溶性の家具用クリーナーの溶剤を工夫し、ステンレスには原液、家具には水で薄めたものを使用するようにしたものもでている。いずれにせよ、日本的な水で拭き掃除をするという習慣は止めるべきだろう。

11)外部の金属、プラスチックの汚れ落とし

外部の金属、塗装部分、プラスチック部分は、車の排気ガスや、雨水のカルシウムマグネシウムの水垢がついている。普通の洗剤では落ちにくいのだ。この場合には車用の水垢クリーナーが有効だ。水垢クリーナーで汚れを落とした後ワックスを掛けると効果的だ。最近ではワックスに水垢を落とす成分を混合してあるのが一般的なのでそれを使用すると良いだろう。ただし、ワックス成分中に研磨剤が入っているとプラスチックや塗装部分にダメージを与えるので注意が必要だ。

12)トイレクリーナー

便器に溜まった、尿石を落とすには酸性洗剤を使用するものが多い。あまり溜まりすぎると落ちなくなるので定期的に洗浄するか、クレンザーなどの研磨剤を使用する必要がある。ただし、研磨剤などには次亜塩素酸ナトリウム等が入っている場合があるので、酸性のトイレクリーナーと混ぜて使うと塩素ガスが発生し危険なので注意しなければならない。

安全性のために中性タイプのトイレクリーナーが出ているので洗浄性に問題がなければ使用しても良いだろう。アルカリ系の洗剤のところでも述べたが、安全な洗剤は洗浄能力は決して高くないので、清掃の頻度はきちんと守る必要があるという事を理解して使用しなければならない。

以上


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