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米国レストランピリ辛情報 その34

月刊レジャー産業2004年5月号 NO.452

日本マクドナルド創業者藤田田氏を偲んで


2004年4月21日、日本マクドナルド創業者の藤田田氏が死去された。創業2年目のマクドナルドに入社し、約20年間厳しい指導を受けてきた経験から氏のエピソードを幾つか紹介しよう。
 

藤田氏がマクドナルドを成功に導いたのは氏のたぐいまれなマーケティングと立地判断能力だと言える。マーケティング面では一切米国の会社であると連想させないことが大成功につながっている。その一つが名称で、米国流に発音すると「マクダーナル」を日本的に「マクドナルド」とした。また、子供向けのピエロのキャラクターは米国では「ロナルド」と呼ばれるが、R発音のできない日本人向けに「ドナルド」とするなど言葉の使い方にはものすごく慎重だった。そして、店舗には一切アメリカを連想させる物を置かせなかった、特に米国国旗など厳禁であった。これが、マクドナルドの日本化に大いに貢献したのだと言える。

米国国旗を出さないのは、藤田氏の複雑な思いが隠されていたのだった。藤田氏はマクドナルドやトイザラス、ブロックバスターズと提携した経緯から、米国流の洗練された人に思われている。しかし、マクドナルド創業時の新橋にあった社長室には、日章旗と零戦の写真が掲げられており、まるで右翼の事務所のような趣だった。零戦の写真は藤田氏の同級生の何人かが特攻隊で帰らぬ人となったことを記憶にとどめるために掲げていたのだった。藤田氏は自分のように複雑な思いを米国に抱いている日本人が多いとして、米国カラーを全面に打ち出さない慎重な配慮を怠らなかったのだ。

しかし、ビジネスの進め方は米国式のドライなスタイルであった。藤田氏の出席する会議では一方通行ではなく、各担当者が積極的に発言することを求めた。一言も言わないと「自分の考えがないなら無駄だから、出席するな」と厳しく指導していた。また自分の言葉で、データーや、実績をふまえて発言させた。「業界ではこれが一般的です。コンサルタントや学者、専門家が、このように述べています」と発言すると「自分で確認したのか?実証テストを行ったのか?自分の言葉で話せ」と激怒したものだった。積極的に仕事をする部下の失敗は一回限りであれば怒らない、しかし、何もしないと激怒した。

米国本社はマーケティングには大変神経質であり、常に米国からマーケティング担当者を派遣し、日本マクドナルド担当者との打ち合わせをしていた。70年代の後半、60店舗の頃からテレビコマーシャルを開始し、売上を大幅に伸ばしていったときの事だった。米国流の論理では一つのキャンペーンを訴求する場合、一定レベルの総視聴率を確保すれば良いとしていた。しかし、氏はそれに納得しないで、もっとコマーシャルを投入しろと命令したのだった。結果、米国的な論理的な総視聴率の正しさがわかるとあっさり、自分の意見を反省し広告宣伝マニュアルに従うのだった。どんなに論理的な内容であってもとにかく自分の目で確かめないと納得しない現実主義者であった。その厳しい追求が日本マクドナルドを外食業界でトップの企業の押し上げたのだ。

 マクドナルド1号店は銀座ではなく、実は茅ヶ崎の米国流のドライブインの予定であった。しかし、店舗開発担当者の失態から、店舗が営業できない地域に立地をしてしまい、結局建物を建てたが開店できなかった。その結果、歩行者天国が始まった銀座三越店が1号店となり大成功したのだった。藤田社長は大変強運の持ち主であったと言える。その後、氏は全ての立地判断を行っていった。立地判断をする上では失敗もあるのだが、その失敗を徹底的に追求し、とうとう地図情報と重回帰分析を組合せ、正解率95%以上という科学的な立地診断システムを作り上げてしまった。

 さて、藤田氏は饂飩が好きでハンバーガーは食べないと言われているが、実はよく食べていたし、味もよくわかっていた。氏の実家は牛乳屋を経営していたために藤田社長のミルクやチーズ、に対する味覚は大変優れていたのだった。

それが、ミルクシェイク・ミキサーのセールスマンをしてマクドナルド兄弟と知り合い、世界最大のハンバーガーチェーンに仕立てた創業者のレイ・クロック氏と意気投合した理由の一つでもあるのだ。氏は日曜日などの休みは奥さんの車を運転させ、新店舗を必ず視察し、試食を怠らなかった。饂飩が好きだと公言しているが、実は好きな饂飩よりも多くのハンバーガーを食べる仕事人間だったのだ。

藤田田氏の冥福を心からお祈り申し上げます。

 


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