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米国レストランピリ辛情報 その33

月刊レジャー産業2004年5月号 NO.451

マクドナルドの世界戦略


日米マクドナルドは長らく低迷をしていたが、両国とも経営トップが入れ替わり社内の大リストラを実行した。その結果、米国マクドナルドはいち早く回復傾向にある。それに対して、低価格戦略の中止、昨年暮れのBSE騒動、創業社の藤田氏退任、150名の本部社員の大リストラ、など日本マクドナルドは未だに動揺している。しかし、傷ついたマクドナルドのイメージを回復するべく、日本マクドナルドはアップル日本法人トップの原田氏をCEOにスカウトしてあっと言わせた。その派手な人事の陰で、密かに取締役を退任した米国人女性B氏がいる。

米国本社から米国人が派遣されるのは日米合弁会社の常だが、日本語が分からない米国人が来ても社内の把握を殆どできないのが通常だ。しかし、日本語の分からない、B氏は日本人幹部社員を把握し、日本マクドナルド本社の大リストラを指揮したと思われる。社員のリストラを行うには社員の仕事や考え方を十分に把握しなくてはならない。日本語の分からないB氏が日本人幹部社員を把握できたのは、米国マクドナルド社の綿密に組まれた世界戦略による。

マクドナルドの世界戦略は東南アジアなどの後進国(勿論日本も含まれる)に進出する際には現地を熟知した人と合弁で会社を設立し、現地法人の会社の運営は全面的に任せる。食材や機器設備の調達から、店舗展開、広告宣伝、財務戦略に至るまで全て現地法人の経営者に委任する。しかし、一つだけ委任しない項目がある。それは教育だ。世界各国に現地の店舗店長までの教育機関は設置するが、店長以上の管理者や、専門職の中間マネージメントへの教育はシカゴ本社に隣接した、通称ハンバーガー大学で実施する。ハンバーガー大学というと名前だけのように思われるが、世界各国から集まった生徒に同時通訳をしながら授業を行える国際会議場クラスの設備を完備している。筆者は日本の大学で授業をしているが、ハンバーガー大学よりも良い設備にお目にかかったことはない。シカゴ郊外のオーク・ブルックという高級住宅街からちょっと離れた鬱蒼と繁る自然の森に囲まれて、本社とハンバーガー大学がある。ハンバーガー大学の目の前にある人工湖の対岸にはハイアットホテルの運営するハンバーガー大学用の300室ほどのホテル(ロッジという)を作り、1〜2週間、教授と生徒は寝食を共にして学んでいく。

米国マクドナルド本社は世界各国の現地法人に命令することはない、ただし、現地法人の業務に問題がある場合は、中間管理職をハンバーガー大学に呼び、必要な知識が身に付くように教育を行う。教育はマネージメントだけでなく、技術的、実務的な仕事までカバーする。
マクドナルドの80%の店舗はフランチャイズ店舗であり、その管理をするビジネス・コンサルタントの仕事は会社の利益を大きく左右するため、オペレーション・コンサルタントまでの授業はクラス形式の一方通行であるが、ビジネス・コンサルタント・クラスからは10数名の少人数で学んでいく。課題に対してどの様に考えどの様に解決していくかディスカッションを交えて進めていく。教壇に立つ人は店舗で十分な経験を積み、ビジネス・コンサルタントを管理する部長や地区本部長の経験者を任命する。

ビジネス・コンサルタント・クラスは毎晩、豪華なレストランの会食で生徒をもてなす。会食には本社の副社長クラスが出席し質疑応答にあたる。会食では、食事のマナー、会話の質、物の考え方を観察される。日本では酒の上の失敗で済まされるが、清教徒が立国した米国では酒の飲み方に厳しい。酒に酔って暴言を吐いたり、泥酔したら経営幹部としての将来はなくなる。
ハンバーガー大学という異なった環境にいると、参加した生徒は日頃の不満、考え方、人生観を素直に話すようになる。授業のディスカッションや会食時にフランクな雰囲気で、教授陣や経営トップと論争をさせる。そして、人生観や仕事に対する考え方、能力、リーダーシップを正確に把握するのだ。

その教授陣の中に背の高い冷静な女性がいた。それがB氏であった。氏は数年間にわたり、世界各国の中間マネージメントの教育に当たっていた。そのため、日本からの数多くの生徒を教えており、ディスカッションや授業を通じて、生徒の考え方、知識レベルを完璧までに把握していたのだ。

マクドナルドと現地法人との契約は20年間だ(日本だけ例外)。そして、20年後の契約更改はない。20年後には米国の100%子会社となるのだ。その時に備えて、教育を通じて現地の経営幹部の能力を把握すると言う気の長い戦略がマクドナルドの真の世界戦略なのだ。


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