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月刊レジャー産業資料

米国レストランピリ辛情報 その11

月刊レジャー産業2002年7月号 NO.430

「シカゴ編その1 : 保守的なシカゴに活造り寿司屋」

筆者がマクドナルド社に勤務時代、米国人上司を魚が美味しい和食店に案内した時のことだ。豪華な伊勢エビの活造りを食べながら、米国人上司に「これは活け造りで生きているのを食べているのだ」よ、と説明したら、彼はぴくとも動かない伊勢エビを見ながら「冗談だろう。死んでいるよ」と答えていた。しかし、半分くらい食べた頃、まだ手足のついている伊勢エビの殻が30cmほども動きだした。それを見た、米国人上司は飛び上がって驚き、かんかんになって怒り出した。「日本人はなんて残酷なんだ。大体お前もこんな残酷な料理を食べにつれてくるとは神のお教えに背いている。」とか何とか大変な剣幕だった。米国人にとって、尾頭付きの生きた魚や伊勢エビを食べるというのは、異星人がトカゲや蛇のように生きた蛙や金魚を食べるのと同じくらい気持ち悪い、食文化、風習なのだ。

それから数ヶ月して、シカゴ本社に出張をした際に、上司は近所の高級フィッシュレストランに連れて行ってくれ、大きな水槽で泳ぐ活けメインロブスターのスチーム調理を希望した。ところが米国人上司が「まて、日本人は活け造りが大好きだろう。」チップをたっぷりはずまれたシェフは活け造りに挑戦。もちろん洋食のシェフだから活け造りができるはずはなく、大きな包丁で生きているメインロブスターを叩き切って、運んできた。

伊勢エビと同じ海老だろうと軽く考えた筆者は、醤油を持ってこさせ(米国で醤油を頼むときには、ソイソースと言うより、キッコーマンと言う方が通じる。)食べ出した。食べてびっくり、伊勢エビの活け造りはこりこりした食感が何ともいえないのだが、同種のはずのメインロブスターは、まるでナメクジのようにどろっとした歯触りで生臭い。これには「参った」と降参したら、米国人上司は「やった!ざまーみろ」と大喜び。江戸の敵をシカゴで討たれたのだった。そのシカゴに活造りの寿司屋が開店したという。

シカゴで大人気の日本料理屋のMiraiというお店で修行した30歳前の中国系米国人のChan 兄弟が2年ほど前に開業したHEATだ。伝統的な和風の寿司屋ではなく、ニューヨークのホットトレンドな店舗内装と、1トンほどの水槽をカウンターの下に備え、活け魚を造るというので保守的なシカゴで話題となっていると言う。あれだけファッショナブルな寿司屋が軒を連ねているニューヨークですら、活造りは出していないのにシカゴとはと思い早速訪問。

オールドタウンという落ち着いた地域にひっそりとたたずんで、寿司屋と知れるのは外にさりげなく置いた看板に熱と漢字で書いてあることだけだ。

http://www.heatsushi.com/ (しゃれた店内を一望できる)
1507 N. Sedgwick St.
312-397-9818

電話予約の際は日本語を話せる担当者がいたが、店舗従業員は英語だけ、スシ職人は日本人風の中国人(つい最近まで日本人スシ職人がいた)だ。

店舗はカウンターの下に魚が泳いでいる大きな水槽を下に備えたカウンター席とテーブル席で、60席ほどのこじんまりした造りだ。内装は寿司屋とは思えないしゃれたカフェ風仕立て。

メニューは、45ドルか60ドルの寿司お任せか、95ドル懐石風のコースだ。本日は60ドルコースと活造りを食べることにした。活造りの魚は鯛(レッドスナッパー)、平目、ミル貝、だ。平目はフロリダ産、暖かい海の平目って美味しいのだろうか?と思わず注文。値段は、1ポンド60ドル、一匹2ポンド。シカゴの高級ステーキ:モートンズで活けオマール海老を注文するとポンド20ドルだから、その3倍。おいてある日本酒はフランス産のワインよりも高価。4名でリーズナブルな値段のワインを1本飲んで、1人120ドルほどになった。

活造りは氷で骨の血の見える部分を完全に隠して、その上に大根のつまをのせ、平目の切り身を乗せている。包丁が研いでいないのか、きれいな切り身ではないが、少なくとも魚は動いており、米国人には衝撃を与えること請け合いだ。その他の料理も濃い目の味付けだが、見た目のすばらしさと、洗練されたサービスが売り物で、客は若い白人が多く、同伴している女性はファッションモデルのようにきれいな女性だった。ちょっと毛色の変わったフュージョンレストランと言うのりで食べているのだろう。

さて、肝心の「活造りはシカゴの保守的な米国人が食べるようになったか?」という疑問にはお店のまばらな客の入りは、まだ応えていないようだ。この店が今後どうなるのか、他の都市にも普及するのか、米国人の食生活が変わっていくのか注目される業態だろう。


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