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月刊レジャー産業資料

米国レストランピリ辛情報 その4

「ニューヨークの寿司」

米国逆輸入のロール寿司(太巻き寿司)が大ブームだ。米国ではロール寿司は白人も食べる普通の食事となっており、殆どの食品スーパーでもロール寿司を置いているほどだ。サンフランシスコの高級オーガニック食品スーパーでは、玄米を使ったロール寿司を売っているし、郊外の高級イタリアンスーパーでは白人の女性が枝豆とロール寿司をコーラで食べている。

1980年代の日本経済の急拡大と米国におけるプレゼンスの増大により、日本が経済大国としての評価を確立し、ニューヨークでは日本人のビジネスマンを対象にした寿司屋や和食店が増えだした。日本と取引のあるビジネスマンや、日本の経済大国ぶりをファッションとしてとらえた人たちに、高級寿司屋は格好の良いレストランとして取り上げられるようになった。当時の高級な寿司屋はフレンチよりも高価であり、カウンターに座り、日本酒と魚、寿司をつまむのは最高に格好がよいと評価された。しかし、その反面、魚と醤油、日本酒の単調な味が嫌われたり、日本企業の米国進出ぶりに反感を持つ人も多いのは事実で、日本経済のバブル崩壊後と同時に高級寿司屋は衰退していった。
その寿司を活性化させたのが東京にも開店しているnobuだ。

http://www.myriadrestaurantgroup.com/Restaurants/nobu/Nobu%20Main.htm
http://gnavi.joy.ne.jp/gn/JP/G062712S.HTM
http://www.soho-s.co.jp/frameset.html

nobuのオーナーシェフ松久信幸氏がロスアンゼルスビハリーヒルにmatsuhisaと言う寿司を中心とした料理店を87年に開き、93年に映画俳優のロバート・デニーロと共同でニューヨークにnobuを開店し、米国のミシュランと言われるzagatで一躍、トップ評価を得た。
松久氏は寿司が、コース仕立てでない、味が醤油で単調、生魚が気持ち悪い、美味しいワインがない、デザートがない、と言う欠点を改善した。欧米人の好む、フレンチのプレゼンテーションを寿司に持ち込み、彩り綺麗な思わず見とれる料理を造り、生ものや醤油の嫌いな欧米人に、ペルー仕込みのお酢やピリ辛ソースを使った味付けや、熱いオイルで軽く火を通した刺身などを提供するようにした。お酒も豊富なワインリストから、和食に最適のワインを選定できるようにした。極め付きがデザートでフレンチのパティシェが和風に見立てた美味しいデザートを提供し、女性のファンを獲得するのに成功した。さらに日本人の不得意なサービスを向上させ、客の要望があれば客席で料理の説明をしたりして客を満足させる努力をしたのが大成功の秘訣だ。今ではニューヨークで最も予約の取りにくいお店となっている。

99年にはそのnobuにヒントを得た超繁盛店のRuby Foo's が誕生した。
http://www.brguestrestaurants.com (映像で店舗内装を紹介、メニューも掲載している)

内装は「nobu」「Vong」「Planet Hollywood」などを設計した、デイビッド・ロックウェル氏がデザイン。視覚効果をかなり考慮した店舗だ。寿司職人が立ち働くカウンターの背後は障子の後ろから白い照明があたり、寿司職人は歌舞伎の黒子のように動く。2階客席から1階を眺めおろすと、異なるテーブルの形や色が、まるで上から見ることを想定してデザインしたかのように浮かび上がり、壁には毛沢東のポスターが客を睥睨、何ともいえない異空間を味わうことが出来る。客は東洋人ではなく、米国人の30代の一番アクティブな客を対象としている。寿司がテーマだが、ディムサム(シュウマイ。タレが変わっている)、レタスで巻いて食べる挽肉炒め物(中華料理の鳩胸肉の代わり)、ダックと野菜の炒め物、むつのグリル炒め野菜添え(タイ料理風)、焼きそば、など、何でもありだ。勿論店内から日本語など一言も聞こえない。

寿司パーティセットは醤油だけでなく、香草風味のアボガドペーストや、サルサソース、サウザンアイランドドレッシング等、一風変わったソースをつけて食べさせる。日本のコンビニ世代に受けそうな味付けだ。

極めつけがデザートだ。漆塗り風幕の内弁当の箱にお菓子を寿司の形で作り上げている。チョコレート細工の寿司、醤油の代わりにチョコレートソース、バナナの周りにチョコレートの小さな粒で覆いカットして巻き寿司に見せる。ココナツをシャリに見せ、果物を芯にして廻りに胡麻をあしらい巻き寿司にする。わさびもマジパンに色付けするなど、遊び心一杯の演出だ。このお店が大盛況しているのを見ると和食や寿司がもうアメリカ国籍を取得したと言って良いだろう。NobuやRuby Foo's、の成功の秘訣は、日本的な和食にこだわるのではなく、現地の客の好みに合わせるように、料理の味付、内装、サービスを変化させたことだ。

もう一つの流行の原因は社会的な感情の変化だ。90年代の終わりには日本経済の衰退と米国経済の復活により、なんだ日本は大した国じゃないじゃないか、でも、和食は健康に良いし、格好良いんじゃないかと言う意見が出てきた。今までは和食を食べたくても、経済大国に対する反発から毛嫌いしていた人も、経済大国でなくなった日本の良い食文化を冷静に評価するようになり、寿司文化が米国国籍を獲得できたのだ。


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