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月刊レジャー産業資料

米国レストランピリ辛情報 その3


月刊レジャー産業資料2001年11月号 NO.422

米国の味のトレンドを正確に分析してできあがったチェーン

人口の老齢化と新興産業の勃興により、人口の南下が始まり、南部のカリビアン料理とテックスメックス料理の人気が高くなった。その南部の味への嗜好を正確につかんで大成功したのがアウトバックステーキハウスだ。現在日本でも南町田、品川、渋谷に3店舗を開店している。

http://www.outback.com/

アウトバックステーキハウスは約12年前にフロリダのタンパというリゾートの町で誕生した。現在は世界で約650店のレストランを経営するまでに成長している。このチェーンはサリバン氏を筆頭とした3名の外食のプロがトレンドを正確に読んで作ったレストランだ。

創業当時、米国では健康問題から牛肉離れを起こし、より脂肪の少ない鳥やターキー料理の人気が出始めたので、新規事業の場合、鳥などの料理を扱うレストランを考えるのが普通だろう。しかし、実際のレストランの現場と消費実体を分析してみると、スーパーや小売店などで購入して家で調理する場合は牛肉を購入しないで,鳥やターキーなどを購入するが、外食の場合,美味しいステーキを食べたいというのが消費者の希望であることが分かった。また、NRA(米国レストラン協会)の分析でもステーキを扱うレストランは客単価が高いというデーターも出ていた。そこで周囲の反対を押し切ってステーキチェーンを展開することにしたわけだ。

レストランが成功するためには味が良くなければいけないので、3つの味の特徴を出すようにした。肉質、店舗調理、南部のスパイス、の3つだ。

  1. 肉質

    一般のステーキレストランとの競争にうち勝つために、独特の個性的な味を出すことにした。牛肉の味のポイントはグレードの高い肉を熟成して旨味を最大限に出すことであり、そのために独自の飼育プログラムを作成し,飼育業者に委託して飼育から熟成に至るまで独自の管理基準で品質管理を行うようにした。

    大手のIBP、カーギルにアウトバック仕様の育成をさせ、世界中で同一品質の肉の調達を可能に仕上げた。

  2. 店舗調理

    従来のチェーンレストランは調理済み食品や冷凍食品を使うために、単調な、香りの少ない味となってしまう。そこで差別化のために店舗で全て生の食材から加工するようにした。冷凍は海老などのごく一部であり、ベークドポテトやフライドポテトなども生のポテトから店舗で加工する。ソースやドレッシングも全て店舗でマヨネーズ,バター、スパイス、等のフレッシュな素材をミキシングして作り上げる。デザートなどもアイスクリームを除いて全て店舗で調理する。

    スープやサラダで使うクルトンもお店で作る。食パンをスライサーで1インチ平方ほどの大きさに切り分け、それをオーブンの低温で1時間ほどカリカリになるまで焼き上げる。その間にバターとガーリック、スパイス、をミキシングしてソースを作る、焼き上がったパンにソースを塗り、再度オーブンの低温で焼き上げる。たかがクルトンでもこのくらい手をかけなくてはいけないから、仕込みは5〜6名で、朝の9時から夕方の4時までフル稼働だ。

    飲食店の経営を考えるとランチ、ディナーの長い時間帯を運営するのが一般的だが、アウトバックステーキハウスは店舗での長時間の仕込みを完璧に行うために昼の営業を捨てて、4時半から夜間だけ営業するという徹底ぶりだ。

  3. 味付け

    最後の味付けだが、南部の独自のスパイスを売り物にすることにした。南部料理の中でも日本の京都のように観光客に人気のある、ニューオリンズの味付けを使うことにした。ニューオリンズは米国合衆国になる前にはフランスの植民地だったので、フランス料理と、植民地運営に使った黒人奴隷の料理がミックスした独特の味の料理を、ケイジャンとかクレオールと呼び、アメリカを訪れる国賓にもてなすこともあるくらい人気のある高級料理となっている。

    ニューオリンズではポパイというスパイシーなフランドチキンチェーンがあるが、その創業者が経営しているニューオリンズ料理店のCOPELANDで、商品開発を担当した創業者の1人が経験を生かし、その味をステーキやソースに取り入れた。

    ステーキの焼き方には炭の上に網を置いて焼くチャーブロイラーと、上から赤外線で焼き上げる上火ブロイラー、そして、一般的な鉄板で焼くやり方がある。米国のトップステーキレストランである、ニューヨークのピータールーガーやシカゴのモートンズは厚い肉を柔らかく焼き上げるために上火焼きのブロイラーで焼くが、通常のステーキ専門店は肉汁の香りが出る下火チャーブロイラーを使う。ブロイラーは香りが出て美味しいのだが、アウトバックステーキハウスではケイジャンのスパイスを10種以上組み合わせてステーキに振りかけてから焼くのでチャーブロイラーでは焼いている間に流れてしまう。

    そこでグリドルでスパイスを振りかけた面を先に焼き上げ、スパイスを肉にしっかり染みこむように工夫を凝らし、たっぷりとしたケイジャンのスパイスを楽しめるようにした。

<終わりに>

アウトバックステーキハウスが人気あると言って、そのメニューを真似をして失敗している日本のチェーンは多い。それはアウトバックが米国の食トレンドを基に、どの様に商品コンセプトを作っているかを理解していないからだ。米国のトレンドをしっかり理解してからレストランを見学しないといけないと言う実例の1つだろう。


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