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月刊レジャー産業資料

米国レストランピリ辛情報 その1


月刊レジャー産業資料2001年9月号 NO.420

日本に影響を与える米国の最新レストラントレンド

日本の外食産業は米国を参考にして成長してきた。フランス、イタリヤ、ドイツ、等のヨーロッパを参考にしないのかと言う意見があるだろう。日本のシェフも数多くフランスに渡り料理の修業をしている。帰国後それぞれシェフとしてレストランを切り盛りしているのだが、その中でもキハチ・アンド・エスというレストランチェーンを築き上げた、熊谷喜八氏は最も成功したシェフの一人だ。しかし、熊谷氏はフレンチのシェフでありながらヨーロッパの外食産業を日本に持ってこようとはしない、それだけでなく、フレンチの名声店を築き上げながら現在のキハチは無国籍料理(フュージョン)であり、その他、チャイナ、イタリアン、カフェ、等、フレンチから離れた業態で成功している。

熊谷さんは「アメリカはシステムからしてフランスより進んでいる。フランスのアプランティは日本の徒弟(見習い)と同じだから、アプランティの時は給料が出ない。それは今でもそうだ。しかし、アメリカは全然違う。覚えたら時給を上げろと言ってくる。だからシェフは今の時給の中で何をさせるか明確に指示を与えていかなければならない。極端になってくると、シェフの下は全員単純労働者だ。それでいて、あるレベルの料理を作り経費管理もできないとまず繁盛は無理。アメリカにはそんなシビアさがある。アメリカから学ばない限り、日本のフードビジネス、特に私達のような洋食業態は明日がないと思っているぐらいだ。」つまり、外食産業をビジネスとして成功させるためには米国風のマネージメントが必要不可欠というわけだ。これが外食産業が米国に注目する大きな理由だろう。

ちなみにキハチ・アンド・エスの親会社であるアパレル販売会社のサザビーは、アパレルではヨーロッパの商品を扱うが、外食では米国のスターバックスと合弁会社を設立し、4年で200店舗を開店しているのもそれを裏書きするだろう。

さて、これから米国の外食産業の動向を紹介していくのだが、読者の中には米国料理はまずくてとおっしゃる方もいるだろう。そこで、最初に米国と日本の味の違いを論じておこう。

米国で料理を食べると「おいしい」という人と「まずい」という人と、必ず二通りに分かれる。「まあまあ」という人はほとんどいない。全般的にいえば、まずいという人の方が多い。人間の舌というのはもともと保守的なものだから、今まで食べたことのないものを口にすれば、おいしく感じられないのだ。ではその味の違いがなんなのかを考えてみよう。

  1. 飼料による味への影響

    日本人と米国人の味覚で大きく違うのは、肉や乳製品である。アメリカ人は肉を食べれば、その牛が何を食べて育ったのかがわかる。グラスフェッド(牧草飼育)かグレインフェッド(穀物飼育)か、牛肉を食べればその違いを指摘できる。肉屋さんなど一部の人間を除けば、日本人にはこの違いはわからない。更に、醤油で味付けしたら違いは全くわからなくなる。鳥も同じだ。 筆者がマクドナルド時代フライドチキンを米国と共同開発をしたのだが、米国技術者が来日した際に日本の鳥を一切口にしない。なぜかと尋ねたら、「日本の鳥は魚の味がする」と言う。日本や東南アジアでは鳥に与える餌はフィッシュミール(タンパク質を与えるための魚粉)を使用しておりそのために骨の中の随液の匂いを嗅ぐと魚がする。普段から魚を食べなれている日本人は気がつかないが魚の嫌いな欧米人はすぐに気がつく。

    では、アメリカ人が味覚に優れているのかというと、彼らには魚の味の善し悪しを判別することはできない。魚の匂いが嫌いな彼らの魚調理は新鮮な魚でもスパイシーなバッターをたっぷりつけショートニングで揚げてしまう。

  2. 塩分と糖分

    アメリカの料理は塩分がきつすぎるという人もいる。しかし、日本人の方が塩分の摂取量が多くそれが脳溢血などの原因になっていると言われる。日本人は味噌汁や漬物でかなりの塩分をとっているため、料理は薄味になっているが、それらをとらない米国人は食事にしっかり塩味をつけるのだ。 アメリカのデザートが思いっきり甘いのも理由がある。日本では料理に砂糖を使用しているので、デザートの糖分は控えめにしているが、アメリカの料理はほとんど砂糖を使わないため、糖分はデザートで補う必要があるからだ。実際に筆者がダンキンドーナツの立ち上げに参加した際の最大の課題は甘さであった。日本人には甘すぎ、米国の1/2の砂糖量に落として発売した。現在ではその甘さは米国の1/3になっていると思われる。マクドナルドのホットアップルパイも同様で、日本人の甘さレベルを分からない米国の商品担当者はそれを理解できず、甘さの変更を許してくれなかった。それでやむなく販売したのがベーコンポテトパイという変わった商品だ。

    米国では冷凍ケーキのマーケットは大きくその最大の会社はサラ・リー社だ。日本に何回も提携して進出をしたが、日本人の嗜好に対応する甘さやクリームの質(米国人はバタークリームが好きだが、日本人はよりクリーミーな生クリームを好む)を実現することができず、再度提携相手を変えチャレンジをしているが難しいだろう。

<最後に>

異なる文化、異なる生活によって生じる味覚の違いを理解した上で、海外の外食を導入するべきである。日本人とアメリカ人は味覚の基準が違う。それを理解せずにアメリカの料理はまずいと決めつけること、あるいはアメリカで人気の料理だから日本でもいけると判断することは早計にすぎるわけだ。


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