header Food104 Food104 FSPRO-ML 会社案内 コンサルタント実績 王の経歴 過去の仕事 著作一覧

高速調理器 Biturbo



2002年10月17日 東京ガス LIVE ENERGY Vol. 7
       
外食がチェーン化を可能にした調理技術はセントラルキッチンと自動調理機器で、その技術を武器にファミリーレストランやファーストフードは急成長し、外食マーケットは28兆円という巨大な産業となった。しかし、成熟した現代社会では金銭的には豊かであるが、時間がない、忙しいという問題が出てきた。フランス料理屋や懐石料理はコースで2〜3時間も必要であるし、ファミリーレストランでも注文後15分も調理時間がかかるのでは忙しい現代人に対応できなくなってきたのである。

 そこで、ピザ宅配チェーンは上下から高温の温風とコンベアー技術を組み合わせたエアーインピンジメントオーブンと言う高速調理機器を開発した。その自動調理と調理時間の短縮の技術をファミリーレストランに取り入れ、低価格業態を生み出して大成功したのはファミリーレストランのガストやサイゼリアである。

コンベアータイプのエアーインピンジメントは自動調理を可能にしたが、それでも調理に5分以上必要である。従来の加熱調理方式は外部から加熱する方式であり、エアーインピンジネントオーブンなどは熱境界層を壊し高速に加熱する大変優れた方式であるが、それでも食品を外部から加熱して内部まで熱が浸透するのには時間がかかるという宿命がある。

そこで、食品の内部と外部から同時に加熱調理することにより、より高速の調理が出来るコンビネーション調理方式が開発された。コンビネーション調理とはマイクロウエーブと温風を組み合わせたものである。マイクロウエーブは電磁波であり、食品内部の水の分子を振動させ、その際に発生する摩擦熱を利用し食品の内部から加熱する。食品の外部からは高速の温風をあて、同時に加熱をして調理時間を短縮する。

コンビネーションオーブンの設計と製造において、マイクロ波を発生するマグネトロンの精度は大変重要である。従来のコンベクション/エアーインピンジメントオーブンでは、板金の精度が低く、庫内の寸法が微妙に異なっている。そうすると庫内に放射される電波が均等に食品に当たらず、機械により温度のばらつきを生じてしまう。また、マイクロ波を強くした方が良いと出力の高いマグネトロンを使用し、それが食品の温度ムラをさらに増大してしまうと言う問題を抱えていた。

家庭用の電子レンジメーカーも業務用のコンビネーションオーブンに取り組んだが、コンベクション機能(熱風加熱)が弱いという欠陥があった。熱風加熱とマイクロ波加熱の複合機の場合、まず、熱風加熱による調理が完璧に出来ないといけない。それは、調理開発を行う場合、複合機の加熱条件を設定するのが大変難しいからだ。熱風加熱だけで調理温度と時間を設定し、その条件に対して少しずつマイクロ波を加えていくことにより時間短縮と美味しい商品を実現することが出来るからだ。

日米の厨房業者は25年以上前からコンビネーションオーブンに取り組んでいるのにも関わらず上記の課題により、商品化に成功していなかった。

それらの問題点を解決したのが(株)東京ガスと厨房機器メーカー(株)タニコーが共同開発した高速調理器 Biturboだ。

マイクロウエーブによる食品内部温度のムラを解決のために、出力を最大で700wと低出力に押さえた。コンビネーションオーブンの場合は大量調理能力ではなく、少量の食品を短時間で調理するという特性から、出力を内部温度上昇に必要な最低限度に押さえ、その分、外部からの加熱速度を上げ、温度ムラを少なくする事に成功した。

外部からの加熱速度においては特殊なガス加熱方式を考案した。ガス加熱のオーブンは電気よりも高温に設定できるが、従来は300度Cが限界であり、その温度まで余熱が必要であった。また、食材によって要求される調理温度が異なるので、温度の上下に時間がかかり、色々な食材に対応しにくいと言う欠陥もあった。そこで、高温のガス燃焼空気をオーブン内部に直接入れて高速加熱をするようにした。従来のガスオーブンは内部の熱をなるべく逃がさないようにするために排気口が小さく、それが燃焼ガス量を制限するという問題を抱えていたが、Biturboは従来の常識とは異なり、排気を積極的に行わせ、400度Cの高温のガス燃焼空気が庫内を高速で通過することにより、食品の外部からより高速で加熱出来るようにした。その高速加熱のメリットは余熱を不要するというメリットを生み出した。Biturboは常温の状態からスイッチを入れて数秒で400度Cに達するのである。さらに常に常温の状態から加熱をすることが可能なため、異なる調理温度が必要な食材でも、余熱や温度の上下する時間を不要にした。

また、ガス燃焼を採用することにより温風加熱とマイクロウエーブの両方で電気を使用する際に、店舗の電気容量が足りなくなると言う問題をも解決し、従来の店舗にも容易に採用することが出来るというメリットも生み出した。

W650×D600×H480mmというコンパクトなサイズのBiturboは2段重ねをすることが可能である。Biturboの用途は洋風ファーストフード、コーヒーショップ、ファミリーレストラン、居酒屋、ホテルのパントリー等、少量の食品を高速で調理する業態に適する。それらの業態ではパートアルバイトを使用するので、調理時間と調理温度を30種類プログラムできるにしている。また、マイクロウエーブの特性上、食材の数量が変化すると調理時間が変わるので、それぞれに1〜3までの増量モードを備えた。調理モードは高速のコンビネーションモードだけでなく、オーブン、マイクロウエーブだけと3種類使い分けられる。マイクロウエーブはあまり強すぎると食品によっては堅くなり過ぎるので、強中弱と3種類の出力に切り替えることが可能であり、最初のコンビネーション加熱1分後に、温風加熱のオーブンモードで肉質を柔らかく仕上げといる緻密な調理プログラムも可能になっている。一つの設定メニューで、マイクロウエーブ、オーブン、コンビネーションのモードで、異なる温度や出力を3ステップ設定できるので食材の仕上がりを微妙に変化させることが可能である。

肉、魚、野菜、パン類、パイ生地、等色々調理実験を行ってみたが殆どの食材が2〜3分で調理できる。鯖等の青魚に焦げ目をつけるのは大変時間がかかるが、Biturboを使用すると3分ほどで綺麗な焦げ目をつけることが可能であった。テストの中で大変気に入ったのは豚肉のアスパラ巻とサーモンパイであった。

アスパラ巻の場合、アスパラガスを事前に茹でておかないと短時間で柔らかくならないのだが、Biturboを使用すると生のアスパラを巻いてそのまま加熱調理が可能であった。また、サーモンパイはパイ生地にサーモンなどの食材を入れて短時間に調理できるだけでなく、パイ生地のさくさく感が大変良かった。

Biturboは従来の食材を高速に調理することはもちろんであるが、調理特性を把握して全く新しい料理を考案できるのではないかと思われる。特にグルメコーヒーチェーンやファーストフードの業態では全く新しいビジネスを誕生するのではないかと期待させる高速調理機器である。Biturboは田町の東京ガスショールームTASKやタニコーのショールームで実際に使うことが可能であるので、まず、自ら調理をする事をお勧めする。


Index Home
           
           

王利彰への、ご意見ご要望はこちらへご連絡下さい。
その他ご質問・お問い合わせはこちらからお願いします。
Copyright(C) Sayko Corporation. All Right Reserved.