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建築設備と配管工事12月号()



FR、FFチェーンの調理機器の動向と特徴

ハンバーガーチェーン、ドーナツ、フライドチキン、牛丼、等のファスト・フードはメニューが少なく、調理済みの冷凍食品等を多用するために、シェフ等の調理の専門職は最初から必要としていない。その反面、厨房デザイン上での難しさがある。冷凍品を多用する場合には、冷凍負荷が高いので強い火力の厨房機器が必要であり、最大限の利益を出すためにはエネルギーコストの安い、熱効率の高い調理機器でなくてはならない。更に、アルバイトでも扱える人件費のかからない調理機器であり、ピークとアイドルの両方の場合で生産性が高くなけらばならない。そのため、多くのファスト・フードレストランではそのチェーン店独自の効率の良い調理機器を開発して使用している。業態別の調理機器の特徴と動向、注意点を見てみよう。

1)単品と持ち帰り比率
ファスト・フード業態の1つの特徴はメニューの絞り込みによる単品のビジネスだ。2つ目の特徴は店内の飲食だけでなく、持ち帰りもあると言うことだ。この2点が通常の外食店舗とファスト・フードの厨房設計上において大きな違いを生む。通常のレストランの売上を左右するのは客席数だ。ファミリー・レストランの場合、店内に平均60分は滞在する。客席が150席あったとしても80%ほどの客が座ると満席になる。と言うことは120人が1時間の最大客数であり、客単価が1000円としても12万円が限界の売上である。ファスト・フードは持ち帰りがある。ハンバーガーの場合50〜75%、フライドチキンは75%以上が持ち帰る。牛丼等の和風ファスト・フードは持ち帰り比率は低いが、客が注文してから食べて帰るまで15分ほどだ。そのため、ファスト・フード業態の場合で1時間で50万円の売上を上げる場合があり、店舗の規模に比べより強力な調理機器が必要になる。

3)ドライブ・スルーと宅配
 ハンバーガーやフライドチキンの洋風ファスト・フードは持ち帰り比率が高いだけでなく、車に乗ったまま買うことができるドライブ・スルーと言う仕組みがある。また、ピザの場合宅配と言う仕組みを考えた。持ち帰り比率の高さと相まって、より売上規模が大きくなる。

4)単品あたりの売上が高く、高火力の調理機器を使用する。
 筆者の経験ではハンバーガーだけで1時間1500個製造販売したことがある。単品と持ち帰り比率の高さが、単一の商品を大量に製造する必要を生むと言うことがわかるだろう。ファスト・フードは同じ飲食店のように見えて実は全く異なる概念の調理システムが必要なのだ。
 ファミリー・レストランもファスト・フードもハンバーグを焼くためにグリドルを使用するが、ファスト・フードはとてつもない量の冷凍ミートパティを焼き上げるために、高火力のグリドルを使用し、さらに高速化をするために両面焼き等の特殊グリドルを使用する。

5)フランチャイズチェーン展開にとって、他社に真似のされないノウハウが必要。
 ファスト・フードは自動化の調理機器とマニュアル化により素人でもすぐに熟練の従業員に育てることが可能だ。そこでフランチャイズ・システムという仕組みにより、開業したい人を募集し、短期間で大量のチェーン展開をする場合が多い。しかし、そのシステムを簡単に真似をされると困る。KFCなどは真似をされないように、特許を取った圧力釜と11種類の独特のスパイス、美味しい鳥の独占的供給、と言う仕組みを作り上げた。そのため、ハンバーガーチェーンの数は多いが、フライドチキンの分野においてはKFCはダントツの一位を守り抜いている。フランチャイズチェーン展開をするファスト・フードでは他人に真似のされない調理システムや調理機器の開発は必要不可欠なのだ。

5)高速調理やドライブ・スルーには調理機器だけでなく、POSなどのITの仕組みも必要だ。
 ファミリー・レストランは注文を受けてから15分で料理を提供するが、ファスト・フードは注文後1分以内に料理を提供する。そのためには、注文を素早く正確に調理場に伝えるシステムが必要であり、専用のPOSと連動したオーダー・ディスプレーを調理場の各セクションに設置し、素早い調理を可能にしなくてはいけない。
ファミリー・レストランの場合は1台で会計をするが、ファスト・フードの場合、カウンター上に複数のPOSを並べ注文から会計処理を行う。売上の高いファスト・フード店舗では12台以上のPOSを並べている場合もある。多数のPOSを使用するには専門のハードとソフトの開発が必要になる。
ドライブ・スルーの設計においては素早い調理システムだけでなく、注文受けから会計、品物の受け渡しまで総合的に管理できる専用のPOSシステムとワイヤレス無線システムを構築しなくてはならない。
 ピザの宅配の場合、注文時に客の電話番号を入力すると、家の地図と客のデーターが瞬時に出るようにし、さらに過去の購買動向を表示し、新メニューのお勧め売りをするシステムを構築する。そのためにパソコン連動の電話注文システムを構築しなくてはいけない。
 これらのPOSやワイヤレス無線システム、コンピューターシステムは厨房設計に含まれるので、厨房設計担当者には通常の外食店の設計とは時限の異なる能力が要求される。

6)生産性
 ファスト・フードは未熟練のアルバイトが調理を行うので、働きやすい生産性の高い厨房でなくてはいけない。そのために自動の調理機器を使うだけでなく、人の動きやすい調理器機のレイアウトが必要である。滞在時間の短い客席も、客が動きやすい、効率の良い客席配置でなくてはならない。
しかし、全ての調理機器が高性能の必要はなく、時間別の出数を分析し、最適な調理機器を選定しないと、投下コストが高くなりすぎるので注意が必要だ。

7)業態別の調理機器
<1>ハンバーガーチェーンの場合
A クラムシェルグリル
ミートパティの調理方法は2種類ある。鉄板タイプのグリドルを使用するのが、マクドナルド、ウエンディーズ、ハーディーズ等のハンバーガーチェーンである。グリドルは簡単であり、他の朝食メニューの卵料理などを調理でき、汎用性が高いので最も一般的に使用されている。また、厚さの異なるミートを焼く場合でも、時間を長くすれば良いのでメニューの多角化には向いている。ガス式と電気式のグリドルがあるが一般的にガスを使用する。ガスの燃焼方式は効率の良い赤外線バーナーが一般的に使用されている。
しかし、グリドルの場合は片側を焼いた後ひっくり返す必要があり、重労働で調理時間が長いという問題がある。マクドナルドでは調理速度を早くすることと、HACCPの衛生問題から、高精度なサンドイッチタイプの両面焼きグリドル(クラムシェルグリル)を開発し、タイマーで自動調理をするようにしている。上面の加熱版はヒーターを鋳込んだアルミ鋳造のものを使用し、下部の焼き面は赤外線バーナーと鉄板を組み合わせ、電気使用量を最小限に押さえる工夫を凝らしている。

B コンベアーブロイラー
 第2位のハンバーガーチェーンのバーガーキングや、カールスジュニア、等ではマクドナルドなどに差別化をするためにハンバーガーの伝統的な焼き方である炭火焼きにこだわり、上下からガスの炎で焼き上げるコンベアーブロイラーを使用している。上下からガスの炎で直接加熱するために、ガスの炎で炙られた肉汁の煙が肉に香りを付け、それが美味しいと評判である。

C フライヤー
ファスト・フードにとってフライ商品は簡単に調理でき品質がよいのでよく使われる。フレンチフライ、フィッシュポーション、チキンナゲット、フルーツパイ、お好み焼、コロッケなどをフライする。
ファスト・フードは時間あたりの調理量が多くかつ、冷凍品を解凍しないで調理するので火力強いフライヤーが必要である。FRではコールドテーブルの上に置いて使用するフライヤーであるが、ファーストフードでは大型の床置きのフライヤーを3台以上使用する。アルバイトが調理するのでコンピューターで温度、時間のコントロールをするようになっている。また、揚げる量が多いので油のろ過を頻繁にやる必要があり、フイルタリングマシン(油の自動ろ過機)の内蔵型が中心になっている。

D 最新の動向
 ハンバーガーチェーンは当初はビーフ・ハンバーガー類2種類程度の限定メニューであったが、客の嗜好の変化や世界展開をする上で、魚フライ、大型ビーフ・ハンバーガー、ポークハンバーガー、ベジタブルハンバーガー、卵ベーコンを使った朝食メニュー、等の導入が進められ、厨房機器の種類が増加し、作業が複雑になった。注文後1分という提供時間を実現するためには、売上を予測してあらかじめハンバーガーを調理し、保温庫に入れておくが、10分経過するとバンズにケチャップなどが染み込み、廃棄しなければならない。種類が少ないうちは問題がなかったが、販売する商品の種類が増加するに従い、料理提供時間が長くなるという問題を抱えるようになった。
 その問題に最初に対応したのがバーガーキングでバンズやミーティパティを調理し、完成品にしない状態でそれぞれを加湿保温庫で保管し、客の注文に応じてサンドイッチを組み合わせるようにした。その仕組みをマクドナルド社が真似をして、高精度の加湿保温庫に保温し、注文後組み立て、電子レンジで短時間加熱するという仕組みを考案した。その仕組みをステージングという。
 しかし、そのステージングは調理したミートパティなどの品質の劣化や温度低下を防ぐことができないので、現在は加湿保温庫ではなく、遠赤外線を使用した保温庫と、高速トースターを組合せ、電子レンジを使用しないでも熱々のハンバーガーを提供できるようにした。そのシステムをメイド・フォー・ユーと言う。現在のハンバーガーチェーンはこの遠赤外線による保温システムを採用している場合が多い。

<2>フライドチキンチェーン
A 圧力釜
最大手のKFC社は骨付きのチキンを柔らかくかつ、内部によく火が通るように、圧力式フライヤーを使用している。 オープンフライヤーで調理した場合、肉温が70℃以上になっても、骨の内部の髄温は60℃位であり、骨から血の色をした髄液が流れ出して食欲を減少させる。180℃の油温でフライしても、常圧では水は100℃ で沸騰するので、水分がある限りは品温を80℃ 以上にすることは難しい。肉の温度を上げようとすると、肉は水分を失い固くなってしまう。
そこで、創業者のカーネル・サンダース氏は圧力をかけてフライを行う方法を開発した。圧力をかけると水の沸点が上昇するため、フライ材料を短時間で加熱することが出来る。1.85気圧〜2.0気圧でフライすると、水の沸騰温度は116℃〜121℃ になり、肉の内部温度は90℃ に容易に達する。その為に、骨からの肉離れがよく柔らかい。髄液の温度が80℃以上に上がり固まって、流れ出す事がなくなる。その為、肉の内部の黒ずみがなく髄液の臭いも出難い。圧力をかけて短時間で調理する為、肉の旨味を含んだ水分を失う事がなく、ジューシーなフライドチキンになるのである。この圧力フライの原理はカーネル・サンダース氏が特許を取得し、独特の11種類のスパイスとともにだれにも真似のできない味を作り上げ世界最大のチェーンになった。

B 最近の動向
 KFCは圧力釜を使用した美味しいフライドチキンに特化しているが、消費者の健康志向の高まりから健康的な炙り焼きチキンや、サンドイッチの販売を開始するようになり、新規の調理機器の必要に迫られている。
 また、ハンバーガーチェーンなどの競合はKFCスタイルの柔らかいチキンを販売するテストを行ったが、狭い厨房に大型の圧力釜を設置するスペースがない。そこで、工場で圧力釜を使用しないで柔らかいフライドチキンを製造し、冷凍後店舗に配送し、店舗では解凍加熱すると言う仕組みを作り上げてた。
 この仕組みは米国マクドナルド社などで開発され、東南アジアなどで販売されたり、日本の宅配ピザチェーンで採用されている。

<3>ピザのチェーン
A ピザの調理には特殊なオーブンを使用する
ピザのマーケットを拡大したのが宅配ピザだ。このピザ宅配のコンセプトを成功させたのが、エアーインピンジメントオーブンである。
ピザを焼き上げる場合、コンベクションオーブンは焼く時間が速いが、焼けムラが発生するので、焼成時間の長いデッキオーブンを使用していた。そこで普通のコンベクションオーブンの風速は2〜4m/秒に対して6〜8m/秒の風速があるエアーインピジメントオーブンを開発した。高速の熱風が食品の表面に出来る熱境界層を吹き飛ばし、短時間に焼成が出来るのである。高速の熱風により、ピザの表面にスポットの焼けムラが出来るのを防ぐ為に、コンベアーでピザを動かしながら焼く事により、上下均等に焼けるのである。焼成時間をタイマーで自動コントロール出来るので、焼成の自動化が出来、アルバイトによる焼成でも品質が安定するようになったのである。

B 最新の動向
 宅配ピザ店の厨房には大型の多段式のエアーインピジメントオーブンが設置されている。当初はピザだけで良かったが、焼き菓子やフライドチキンをピザと一緒に食べたいという要望が出てくる。しかし、フライヤーや他の調理機器を設置するスペースがないので、上記のように工場で調理済みのフライドチキンや焼き菓子を冷凍で運び込み、解凍後、エアーインピンジメントオーブンで再加熱して提供するようになった。

<3>ドーナツチェーン
A 手作りのダンキンドーナツ
米国最大のドーナツチェーンはダンキンドーナツである。ドーナツはハンバーガーやフライドチキンと異なり、手作りが特徴だ。ドウの仕込から発酵、フライまで店舗で実施する。その為ドーナツマンという専門職の養成が必要になってくる。普通、パン屋の職人は一人前になるまでに何年もの徒弟奉公をし、先輩の仕事を見よう見真似で覚えるという、前近代的な人材育成方法である。それでは急速なチェーン展開はおぼつかないので、ドーナツマンの養成を効率よく短期間でおこなうべく、ドーナツ大学というトレーニングセンターを作り、30日で養成出来るようにした。また、粉を事前にプリミックスし、温度調節をした一定量の水を合わせれば自動的にドウが出来るようなっている。
ドーナツ大学というと、何か学問を教えるように思うが製造の実務が中心であり、ただひたすらにドーナツを作るのである。従来のパン職人の養成と異なるのは、原材料がもったいないからと言って店舗で作り方を教えるのと違い、トレーニング中の完成したドーナツは惜しげもなく捨ててしまう事である。これにより、普通3ー4年かかる発酵技術の難しいイースト菌のドーナツの製造を、1カ月で教えてしまうのである。卒業試験が変わっている。8時間以内に2、000個のドーナツを完成しなければならない。どんなに良い形のドーナツを作っても、数が2、000個に満たないと卒業出来ないのである。

B 最新の動向
米国でもドーナツマンの仕事は過酷なので、今では海外からの米国移住者の人がフランチャイジーになっている状況が多く見られる。米国では、人手不足と言っても、3Kと言われる作業環境の悪い職場でも、収入が良ければ働くのである。しかし、日本のように労働者に階級がない国では、夜間のドーナツマンの成り手が少なくなってきている。そこで、工場で冷凍の生地を作り上げ、店舗で解凍後発酵しフライするというシステムが開発された。原理的にはインストアーベーカリーと同じであり、冷凍生地をドーコンディショナーで解凍後、発酵するわけである。
 また、米国ではクリスピークリームというチェーンが急成長を遂げた。このチェーンはドーナツシアターという大型店舗で、ドーナツのミキシングから、発酵、フライ、シュガーコーティング、まで全自動の大型ドーナツマシンで製造する。そして、その厨房をガラス張りにして訪問する顧客に全て見せて、出来たてを提供するのだという仕組みを考案して大人気だ。今後はこのような自動調理機器をダンキンドーナツなども開発するのでは無いかと思われる。

<5>和風丼、麺類チェーン
A 牛丼
 牛丼チェーンは洋風ファスト・フードよりも単品で効率がよいのが特徴であり、調理機器は牛丼の味付けをする鍋と炊飯器で良かった。しかし、業界トップの吉野家に対抗するために、松屋やすき家(ゼンショー)はカレーやハンバーグ、その他の定食を開発し、差別化を図る努力をしてきた。
従来は牛丼単品で良かった吉野家は2003年末の米国におけるBSE発生により、牛丼に必要不可欠な米国産ショートプレートが入手できず、牛丼代替えのカレーや麻婆豆腐、牛鍋、ソースカツ丼、等のメニュー開発を迫られた。その結果、フライヤー、湯煎器、電磁調理器、等の調理機器の追加を行った。ハンバーグ等を発売している松屋は調理機器の開発に熱心であり、グリドルなどの大型設備や、保温再加熱システムの採用を行っている。
 2005年半ばには米国産ショートプレートの輸入が再開されると思われるが、安全性の規制のために充分な量の輸入が見込めず、牛丼業界はさらに新商品の開発に迫られ、それに伴い効率の良い、自動調理機器の開発を行うようになると予測される。

B 天丼
 てんやは難しい天ぷらの調理を自動化しようとコンベアーフライヤーを使用し調理を自動化し店舗や従業員による品質の差を無くしたことである。コンベアーフライヤーは以下のようなメリットがあり、新しい和風ファスト・フードとしては素晴らしい仕組みを作り上げたと言える。
・調理温度、時間が一定であり、品質が安定している。
・作業が軽減され、調理時間が早い
・ 常にてんぷらは1分30秒、かきあげは3分間で揚がる。
・ 揚げる量が一定であり、そのために温度が常に一定に保たれ、投入するてんぷらの量によって温度が下がらず、油を吸収しにくくさっぱりした味になる。
・作業が自動化されているのでピークでも2名で調理でき、労働生産性が高く、人件比率が低くなる。
・ピーク次に作業が簡単なので導線が混乱せず、厨房のクレンリネスも維持しやすい。
・油カスも自動的にとれるので作業が軽減されるなど、従業員の労働が楽で定着性が高くなる。
・トレーニングが容易である。調理の経験が無くとも機械が温度時間管理をするので、トレーニングが簡単であり、トレーニング時間、食材が少なくてすみ経費の削減が出きる。また、フランチャイズチェーンの展開が容易である。
・フライヤーの表面積が大きいので大量に調理できる。

C 最新の動向
 和風ファスト・フードというと忘れてはならないのはラーメンだ。多くのラーメン屋は注文してから作り上げるので出来上がるまでに時間がかかる。夕飯にラーメン屋に行き、ラーメンを注文し出来上がるまでにつまみに餃子でビールをいっぱいやる人も多いが、焼き上げる餃子に時間がかかり、ビールを飲んで、ラーメンを食べた後に餃子が出て怒る人も多い。それはラーメンや餃子の調理が自動化されていないからだ。また、ラーメンや餃子を1人前づつ作ると効率が悪いので、何人か注文がまとまるまで待って一度に調理をする。そのために料理が一緒に出てこないと言う問題を抱えている。
そこで、九州長崎出身のチャンポン専門店のリンガーハットはチャンポンを1つずつ調理したり、チャンポンと餃子が同時に出来上がるようになるように小型の自動餃子焼器を開発し、リンガーハットエキスプレスという業態を作っており、今後、都心部の狭い店舗やショッピングセンターのフードコートでの展開を考えており注目される調理システムだ。
 ラーメンでは180円のラーメン店びっくりらーめんを展開する株式会社ラーメン一番本部の厨房施設が素晴らしい。ラーメン店の厨房施設の評価はラーメンと餃子、焼飯を頼んで同時に出るかどうかで判断できる。びっくりラーメンは、餃子焼器、オートリフトの麺茹器、回転式炒め器、等の自動化の調理機器を使用し、一人の調理人が7分でラーメンと餃子、焼飯を提供できる仕組みを構築している。

5)トレンドの大きな変化、ファスト・フードからファスト・カジュアルへ
米国でファスト・カジュアルと言う業態が注目され、厨房の大きな影響を与えた。

A ファスト・カジュアルが注目される理由は

<1>成長率が高い
外食売上の2%を占めている業態にすぎないが、外食全体の平均成長率が4.5%に対して、今後5年間で年間15〜20%伸びると予想されており成長率が高い。

<2>トレンドに敏感な顧客
18才から34才の年齢層の流行に敏感の年代の支持率が圧倒的に高い。顧客の平均的な年収も75000ドルと米国人平均年収の倍近い。

<3>メニューと店舗コンセプト
大人向けのメニューで、客単価は6ドルから9ドルの間である。内外装デザインは落ち着いた洒落たデザインを採用している。サービスはセミセルフサービスで、注文してお金を払ってから客席につき、料理は後から運ばれる。料理はオープンキッチンで注文後作りだし、出来たて感をアッピールする。ファスト・フードとの決定的な違いはワインやビールなどの軽いアルコールを提供していると言うことである。この業態は、ベーカリーカフェ、ハンバーガー、スープサラダ、イタリアン、アジアン、メキシカン、ベーカリー、HMRまでも含んでいる。

B ファスト・カジュアルの起源
この業態の創始者は1982にレストランコンセプト作りの天才フィル・ロマーノ氏Phil Romanoが開業した、ファドラッカースFuddruckersだと言われている。マクドナルドやバーガーキングなどのハンバーガーチェーンは冷凍の食材を使って、調理工程を見せていないため、消費者は冷凍食品を電子レンジで温めているだけではないかという不信感を抱いている。そこで、店内にはオープンキッチンの肉処理工程や野菜加工、ベーカリーまで設置し、素材感の訴求と、調理工程を見せるようにして大人気を得た。
調理工程を見せるオープンキッチンというと通常はカウンターからキッチンが見えるだけなのだが、ロマーノ氏のコンセプトは360度の角度から見えるようにしようと言うものだ。黄色い看板がかかっている入り口を入ると、左側にブッチャーがある。肉を塊から挽肉にする工程を見せ、出来上がった巨大なハンバーガーパティをトレイに並べている。ブッチャーの横には畑から取れたてのように新鮮なレタスやトマトが並べられている。入り口右側にはハンバーガー用のバンズをスクラッチで粉から焼いて、焼き立ての香りの良いバンズを並べている。入り口正面にはハンバーガーを焼くキッチンが広がっている。キッチン左手のレジで自分の好きなハンバーガーを注文する。ファドラッカースは肉のサイズは1/3ポンド(148g)から1ポンド(453g)までの大きさを選べる。1ポンドのハンバーガーは約7ドルもする。マクドナルドのように作り置きをしないので注文後、5〜10分ほどかかる。ハンバーガーの渡し口からはキッチンでハンバーガーを焼いているのが丸見えなので、どんな風に焼き上げているのかを見ていると飽きが来ない。
出来上がると名前を呼んでくれる。出来上がったハンバーガーにはケチャップや野菜は付いていない。ケチャップ、マスタード、マヨネーズ、野菜などのコンディメントは、コンディメントバーで好きなだけ選べるのだ。つまり自分好みのハンバーガーを作り上げることができるのだ。

C ファスト・カジュアルは健康志向にも対応
ファスト・カジュアルのメニューコンセプトの特徴を大きく物語っているのが、メキシカン料理のバハ・フレッシュだ。メキシカン料理のお店はおいしいのだが店舗の内装があか抜けなかったり、薄汚かったりする。そこで、Baja Freshは白と黒、グリーンをテーマカラーにした明るい内装にし、清潔さを全面的に打ち出した。店内の中央にあるカウンターの後ろは厨房だが、カウンターに並ぶ客からは調理行程が全部見えるようにしている。カウンターの下がり壁には、

FOOD CANNOT BE MADE AT MICROWAVE SPEED
 当店は注文後、生の材料から丁寧に造り上げるので、少々時間がかかります。調理済みの食材を電子レンジで温めるだけのファスト・フードとは違いますよ。
NO CAN OPENER
 当店の食材は缶詰などの保存食料品を使わず、すべて生の素材です。ソースもすべて店内で生の素材から造り上げます。
NO FREEZERS
 ファスト・フードのように冷凍食材は使わず、生の食材から調理します。
NO LARD
 動物性油脂を使わないので、健康的です。
NO MSG
 うまみ調味料などのごまかしを使わず、自然のうまみを組み合わせておいしい味を実現します。(米国ではうまみ調味料を摂取すると赤面や、動悸が高くなったり、発汗する、等のアレルギー症状を訴える人がおり、うまみ調味料をいやがる傾向がある。)

と言う標語を誇らしげに掲げている。カウンターに並び、厨房を見たら、奥のグリルでトマトとピーマンを焼いている。何の料理かと聞いたら、メキシコ料理に欠かせないサルサソースを生の素材から作っているところだという。大変説得力のある標語と、デモンストレーションだ。
これらの標語は実はチェーン展開を成し遂げたファスト・フード業界が抱えている消費者からの批判である。ファスト・カジュアル業態は一見ファスト・フードと同じようなセルフサービスであるが、食材を生の状態から健康や安全に留意して丁寧に造り上げていると言うことを全面に打ち出す、差別化作戦なのだ。

D 大手の対応 買収
 売上が低迷しているファスト・フード業界大手はこの動きに注目し、具体的な対策を打ち出した。ファスト・カジュアルは資金も人材もノウハウも不足しており、成長に必要な投資先や提携相手が必要である。そこで、大手ファスト・フード・チェーンはその成長ノウハウを自社のチェーンに取り入れるために、資本提携や買収を仕掛けた。その結果多くのファスト・カジュアル・チェーン店は大手外食チェーンの傘下に入っている。


E 消費者の健康志向と大手の対応
 また、大手チェーンのマクドナルド、バーガーキング、KFCなどの大手ファスト・フードチェーンは、マーケティング活動を強化する際に、ファスト・カジュアル対応のメニュー開発に取り組んでいる。

 ハンバーガーチェーンのハーディーズ社は2003年12月15日に、新商品のレタス巻きロー・カーブ・サンドイッチを発表した。肉のサイズは1/3ポンド、1/2 ポンド、 2/3 ポンドの3種類でバンズの代わりにレタスで巻いているものだ。これはロー・カーブと呼ばれるダイエットなのだ。別名、アトキンス・ダイエットと呼ばれる。
アトキンズ・ダイエットとは、米国生まれでコーネル大学で医学博士号を取ったアトキンスAtkins博士(1930 - 2003)が考案した。博士は心臓病を専攻しており、6500人の患者を取り扱った経験から、効果的なダイエット方法が心臓病を防げる思い独自のダイエット方法を編み出した。
博士は「人間のエネルギーは炭水化物から作られるグルコースと脂肪 (fat)の2つのエネルギー源から作られる。一方のエネルギー源をなくしてしまえば、もう一方のエネルギー源が完全燃焼する効率が高くなり、肥満の元である使われないエネルギーがなくなるはずだ」と考え、「炭水化物の摂取をできるだけ削除する」というダイエット方法を編み出した。この方式では、従来のダイエット方法では摂取が制限されていた肉や魚、チーズや卵などの高タンパク、高脂肪のものを中心に食べて、メインのエネルギー源とする。従来のダイエット方法で摂取が推奨されている、ごはんやじゃがいも、パン、パスタなどの炭水化物は制限する。このため、このダイエット方式は、低炭水化物ダイエットと呼ばれるようになった。

 そのような健康志向が高まった米国ではマクドナルド社に対して、「ティーンエイジャーが肥満になったのはマクドナルドの食事のせいだ」という訴訟が起こされた。これがきっかけとなり、ハンバーガーやフライドポテト等のファスト・フードと肥満の結びつきに対しての懸念が消費者の間で高まり出し、マクドナルド社の対応が必要になった。
 レタスを使ったハンバーガーは、マクドナルドのように米国内で2万店を越えるチェーンになると、レタスの消費量は半端ではなく不可能だ。年間を通して販売するためには米国内だけでなく、南米やオーストラリアから調達をしなくてはいけない状況だ。その貴重なレタスをロスなく使うためにビッグマックなどのレタスは細切りにしている。リーフレタスをふんだんに使うハンバーガーなどの販売は不可能なのだ。
そこで、マクドナルド・カナダ社は、2004年3月までにカナダ国内1,300店舗で、サラダやグリル・チキン、そして幼児向けにグリル・チーズ・サンドイッチ、キャラメル・ソース付きのリンゴのスライス等をメニューに加えると発表した。その他、1,300店舗で2種類の以上のサラダとグリル・チキン・メニューを販売する予定だ。またお客様がより健康的な食事の選択できるように、ポスターやトレイライナーの裏面に、全てのメニューについてケチャップからダブルチーズバーガーまで細かくカロリーの表示を行うようにした。フレンチフライを注文すると付いてくるパッケージ入りのケッチャップだったら、2.4gの炭水化物を含有、ベーコン・ダブルチーズバーガーであれば25gの脂肪分と36gの炭水化物を含有している、等と表示をする。
米国内ではニューヨーク近郊で低炭水化物ダイエット用にメニューを特別オーダーできるキャンペーンテストを開始した。その内容は、クオーター・パウンダー(113gのミートパティの大型ハンバーガー)は38gの炭水化物を含んでいるが、バンズとケチャップを除くと7gになると告知し、客がバンズとケチャップを除いたクオーター・パウンダーを注文できるようにした。
ダイエット対策はメニューだけではない、イメージも重要なのだ。そこで大人向けヘルシー・ハッピー・ミール発売することにした。サラダにボトルウオーター又はミーディアムサイズのソフトドリンクの組合せ、玩具の代わりに、有名人御用達のフィットネス・トレーナー、ボブ・グリーンのフィットネス・ガイドと万歩計が付け、$4.99で販売した。全国販売に先駆けてインディアナ州200店舗でテスト販売した。また、地方自治体と提携した健康キャンペーンも開始している。 米国外では、オーストラリアでピタ・サンドイッチとベジタブルバーガーを、ヨーロッパ全体には既に英国で成功を収めているミールサイズサラダ展開をする予定だ。

ダイエットメニューが出てくると言うことは米国外食業界が低価格戦争から、品質の競争に入ってきたということで品質を訴え価格を上げる時期に来ていると言える。

F ファスト・カジュアルと健康志向がファスト・フードの調理システムに与える影響

<1>調理場を見せるようにする
従来のファスト・フードの厨房は閉鎖的であり、厨房内で誰がどの様な食材をどの手法で調理しているか見えず不信感をかった。そこで、中華のファスト・カジュアルのペイ・ウエイでは、会計を終えてから数名の調理人が中華鍋で調理するキッチンの前を通り客席に案内する。キッチンを見せて、「あなたの料理をこれからここで作りますよ」と調理しているのをアッピールする仕組みを考案した。
ドーナツのクリスピークリームは「ドーナツシアター」と呼ぶ工場で、作っている様子をガラス張りにして見せて、出来立てのフレッシュ感をアピール、徹底的に鮮度と味と清潔感にこだわった。工場は清潔でゴミ一つ落ちていない。ドーナツをこねる工程から、品質チェック、発酵、揚げる、グレージング(ハニーディップをかける)、冷却工程、全てをガラス張りで公開している。ガラス張りの部分には高い段をつけて、幼稚園くらいの小さな子供でも見学できるようにしている。
 このようなファスト・カジュアルの店作りを見習い、ハンバーガーチェーン、フライドチキンチェーン、ドーナツチェーン、等のファスト・フードの厨房も、従来のように製造能力や生産性が高いだけでなく、客に見て楽しめるオープンな厨房に代わっていくだろう。
 そうすると従来とは異なる厨房レイアウトや見て格好の良い厨房機器や調理法が開発される物と予測される。
 日本でもシュークリームのビアードパパのように調理工程を全て見せて大人気になっている業態もあり、牛丼チェーン等の丼チェーンやラーメン業界、ファミリー・レストランの新業態で見せる厨房への転換が進むだろう。

 


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