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月刊厨房
今、ユーザーが求めるファーストフードの厨房設計

シリーズ第12回

販売システムと客席


販売システムと客席

ファーストフード店舗の大量販売システム

前回まで、厨房のシステムを説明してきたが、売上をあげるためには厨房のみでなく、スムーズに大量販売できるシステムが重要になってくる。

  1. カウンターでの販売方法

    ファーストフードではセルフサービスであり、店内に入ってきたお客様はまず、カウンターで商品を購入する。お客様が注文してから商品を調理するのでは時間がかかるので、前もって商品を調理しておき、紙などの容器にいれ、ウオーマーなどで10分間保温しておく。カウンターの販売員はお客様の注文を受け、飲物、サンドイッチ、フレンチフライなどを取り揃えていく。

    商品は紙容器などで包装されているので、そのまま持ち帰ることができる。中で食べる人は、客席に座って食べる。衛生的な紙容器で包まれているため、お皿が綺麗かどうかという心配がなく食べられる。最近、AIDSの問題からお客様は衛生対策に神経質であり、ファーストフードのような使い捨て容器の方が安心できるという人が増加している。

  2. どうやって大量販売を実現するか

    持ち帰り比率

    ファーストフードのテイクアウト比率は、町中の店舗で50%が持ち帰り、ドライブスルーの店舗で75%が持ち帰りである。

    そのため、大量のお客様を短時間にさばく必要がでてくる。いくら厨房の調理能力が高くても、カウンターでのさばきが遅いと、売上は見込めない。

  3. 平行処理方式レジスター

    1台あたりのレジスターの処理能力

    カウンターにいったお客様はまず注文をする。平均的に1分間が注文の時間だ。その注文に基づいての商品取り揃えに1分かかる。合計2分が平均のサービングタイムである。1人の販売員は1時間に30組の客数をさばける。客単価を750円とすると、22500円を1時間に販売することができる。

    1時間に売上が25万円であると、客単価750円で、333組のお客様をさばく必要がある。販売員1人で30組さばけるのであるから、333÷30=11。つまり、11人の販売員とレジスターが必要になる。

    販売員の販売効率の上げかた

    レジスター1台につきレジスターの幅500mm+作業スペース500mmが必要である。そのため、11台であると11mもの幅が必要になり、スペースの確保が難しくなる。

    そこで、1組のお客様に対して2名の販売員が応対する。一人が注文を受けている間に、もう一人は注文品の取り揃えと、袋詰をする。注文を受け終わったら直ちに販売代金を伝え、代金の授受をする。釣り銭を渡し終わった頃までに、商品のとり揃えを終了させ、お客様にすぐに手渡す。これにより、レジスターの数は半分になり、店舗も小型ですむ。

    更に、オーダー受けをレジの前でもう一人の人間が受けることにより(アウトサイドオーダーテイク)サービングタイムが1/3になり、同じレジの数で3倍の売上に対処できる。

    このように、販売カウンターの設計の際に作業の組立方を理解しておかないと、無駄な投資を行いがちなので十分な現場作業の知識を身につける必要がある。

    カウンターのレジスターの数と幅の決定

    25万円を売り上げるためには、6台のレジスターは必要である。つまり、カウンターの幅は最低6mは必要になってくる。

  4. 流れ作業方式レジスター

    システム

    カウンターに数多くのレジスターを並べ、入ってきたお客様は別々にレジスターで、別別の販売員が応対する平行処理方式は、販売員による技術の差により、レジスターごとの販売時間が異なり、お客様に不公平がでるし、数多くのレジスターが必要になる。

    そこで、流れ作業方式のレジスター処理が考案された。

    店内に入ったお客様は、カウンターに平行に一列に並ぶ。カウンターではレジスターを2台並べ2人のお客様の注文を同時に取り、代金を受け取る。支払の終わったお客様は、次の受け渡し窓口にいき、商品を受け取る。受け渡し窓口には、もう一台のレジスターをおいておき、商品を手渡したら、そのオーダーを処理済みにしていく。1台のレジスターに3人かかり、商品を取り揃えていく。チームワークが大事であり、お互いに競争するために、適当に仕事をさぼることができず、スピードは早くなる。これにより、お客様を公平に早くさばけるようになる。

    この方式は、米国ではハンバーガーチェーンのB社、W社で取り入れている。大手のM社や、K社では、一般的なカウンター方式を使用する。どちらも一長一短があるが、一般的なカウンター方式は売上が大きい店舗に向き、流れ作業方式のカウンターは中規模の売上の店舗に向いているようである。

    両方の方式とも売上が高いときには、お客様がレジでオーダーをする前に、注文を取り注文表に記入しておき、カウンターではすぐに取り揃えられるようにする、アウトサイドオーダーテイク方式をとる。大手チェーンではこのアウトサイドオーダーテークをリモートのPOSの端末を使用する実験をしているのである。

  5. カウンターの前のスペース

    上記の両方のレジスターシステムもカウンター前に、お客様が並ぶスペースが必要である。1時間に25万円の売上といっても、ある10分間の売り上を見ると、1時間で50万円位のペースで売上げ、その後は20万円位のペースに下がるなど、売上には波がある。売上が瞬間に高まるとお客様は並ぶわけだが、入り口からカウンターまでの距離が短く、2人並んだら道路にはみでるようであると、ものすごく混んでいるように見え、買わないで帰ってしまう。

    そこである程度の波を吸収するだけのスペースをカウンター前に取る必要がある。一般的には2mから3m位であるが、これは店舗の形態、売上により左右される。

  6. 客席数

    ファーストフードも客席が必要だ

    25年前にM社が日本にオープンしたときに、米国と異なり、銀座の1号店のような町中の立ち食いの店舗からスタートし大成功したため、、ファーストフードの店舗はテイクアウトのみであり、客席がいらないので効率がよいとのイメージが定着した。しかしながら、M社の店舗の平均客席数は100席までになり、客席のない立ち食いの店舗は、駅構内などのほんの一握りにすぎない。現在ではファーストフードの立ち食いファッションの時代は過ぎ去り、短時間でも座って食べられる座席を要求されている。

    満席率

    持ち帰りの比率が50%であれば、333組の半分167組の客数である。1組あたり2人の客数であれば、333人が1時間に滞在する。1回の食事にかかる時間は平均で20分間くらいであるから1時間に3回転する。333÷3=111、つまり111席が必要なのである。

    客席を112席あると仮定してみよう。そして全ての客席が4人がけであるとすると、28テーブルになる。お客様の1組あたりの人数が全て3人であると仮定すると、84人のお客様が座ったら、全ての客席は相席をしない限り満席である。(テーブル=客席) 84人÷112人=75%となる。この店舗は84人で満席になり、満席率は75%であるという。111人のお客様を座らせるためには、148席の客席が必要になるのである。

    お客様の70%が2人で、20%が3人、10%が4人の組み合わせであるとすると、 64人でテーブルは一杯になる。つまり、満席率は57%にすぎないのである。全員を座らせるためには195席もの客席が必要になる。

    そこで全体のテーブルのうち70%を2人がけ、30%を4人がけにしてみよう。そうすると47テーブルができるのである。同じ組み合わせのお客様でも、106人のお客様が座って満席になるのである。この場合の満席率は95%にもなるのである。

    このように1テーブルあたりの座席数の組み合わせを、来店客1組あたりの人数と合わせておくと客席の効率が大きく変わってくるのである。

    以前は、全部固定の椅子で満席率が低かったが、最近では移動式の椅子、テーブルを用意し、2人がけのテーブルを2つ組み合わせれば4人がけになるようにフレキシブルにして、満席率を向上させている。ただし、あまり移動式の椅子、テーブルが多いと乱雑になり、清掃も大変になるのでそのバランスに気をつけなければならない。

    出店する前に必ず出店候補地の客層を想定し、1組あたりの人数を算出し、客席の構成を効率よく設定する必要がある。出店後も定期的にお客様調査をし、客席の利用度を調査し必要なら客席のレイアウトの変更をしなければならない。

    客席の大きさ

    2人がけの標準テーブルは横幅50mm、奥行き60mmである。トレイのサイズとテーブルのサイズは関連がある。2人がけのテーブルであれば、トレイは2枚乗せられなければならない。

    4人がけは横幅100mmとなる。テーブルのサイズはこれより小さくしても人間のサイズがあるので無理である。客席の背と背の間は1600mmから1800mm必要である。

    テーブルとテーブルの間は400〜600mmないと人が入ることができない。 通路は通行量が多くないところで、600〜700mm,行き違うメインの通路で1200〜1400mm必要になる。

  7. 客席の照明

    ファーストフード店舗の照明は明るくなければならない。ファミリーレストランでは、スポットライトやコードペンダント照明を多用し、光に陰影をつけ、雰囲気を出している。ファーストフードでは誘蛾灯の用にお客様を引き込むだけの明るさが必要である。店内の照明は十分に明るくて、座席の清潔感が必要である。ファミリーレストランのように、余り雰囲気が出ていると長居をされて回転が悪くなり売上が上がらず困るのだ。 店内の照度は25年前と比較すると倍になっている。コンビニエンスストアーも同様であり、改装時には店内の照明を倍増している。また、外部の照明も明るく安心してはいれることが重要であり、郊外型の店舗は店舗の外部照明、駐車場の照明も十分に取らなければならない。

  8. 客席の材質

    天井

    余り高い天井は空調の効率が悪くなるので望ましくない。基本的にファーストフードの店舗の内装は余りかけないのであるが、天井は吸音材を使用しないと、忙しいため音が反響してうるさい。天井には蛍光灯などの照明器具を埋め込んでいるため、加熱して火災が発生しないように、蛍光灯器具などの取付は不燃材を使用しなければならない。

    ファミリーレストランでは豪華さを出すためにカーペットを使用するが、ファーストフード店舗は客数の出入りが多いため、タイルを使用する。特に、セルフサービスで、子供が多いため、飲物を床にこぼすことが多いので、すぐにモップで簡単に清掃できるタイルが望ましい。

    ただし、うわ薬をのせていない滑りにくいタイルにしないと、水がこぼれているときに滑り易い。最近ではタイル模様のビニール長尺シートなどを使用することがあるが、2年くらいで剥がれるし、ワックスがけが必要であり望ましくない。 一般的にモップでの拭き掃除が中心であるのでコーナーは丸くなった特殊タイルを使用し塵がたまらないようにする。

    テーブル、椅子

    テーブルは目の生地を使用すると手入れが大変であり、木目模様のラミネート合板を使用する。どうしても木を使用したいときには、ウレタン塗装などを厚めに塗った丈夫なものを使用する必要がある。木目の塗装が剥がれ、汚れが中に染み込んでいるのは見苦しい。

    椅子は、FRPが丈夫でよく使用されている。木の椅子を使用するときは、テーブルと同様に塗装に注意しなければならない。背もたれや、座席のクッションは痛むので簡単に交換できるようになっていなければいけない。形状も余り複雑であると清掃が大変で、汚れが残るので、すっきりした形状にする。

    壁紙、装飾

    壁は塗装してはならない、子供が多いので手でさわって、汚れてしまうからである。壁紙を使用する場合にはなるべくビニール製の拭き掃除ができる材質にする。部分的に破れたり、剥がれたりしたときのために、一般的に手に入りやすい種類にしないと後でメインテナンスに困る。

    装飾も同様でなるべく簡単で掃除のしやすいのを選ぶ。店舗の内装イメージは装飾で簡単に変更できるので、どんな装飾も合う壁紙にしておいた方が後のイメージチェンジの際、楽である。

    空調

    ファーストフードのお客様の過半数が若い女性であるが、最近の女性の喫煙率が高いので、新鮮空気を十分に入れ、子供に影響がないようにしなければならない。また、夏場で、24〜25℃、冬場で20〜23℃まで温度をコントロールできる能力が必要である。 客席に直接太陽光線が当たると空調効果が低下するので、必ずブラインドを設置する。

    安全性

    ファーストフードの店舗はお客様の出入りが多く、お年寄りから、子供まで年齢層が広い。そのため安全製には十分注意する必要がある。先ほど述べたが床はが滑り易いと危険なのでなるべく段差をつけず、滑りにくい材質が必要である。また、階段の幅も十分に取り、手すりをつけ、子供も使いやすい位置、サイズにする。 店舗でもっとも事故の多いのはドアーやガラスである。自動ドアーは子供が立っていると感知しないで閉まってしまう危険があるので、子供の位置で赤外線ビーム式の安全装置をつけること。自動ドアーのセンサーの感知と範囲も十分に検討する必要がある。また、ドアーの戸袋がない場合、後ろに子供が挟まれないようにガードの取付をする。 店舗の正面などを全面ガラスにすると、子供や慌てた人が飛び込み大怪我をすることがあるので、ステッカーやシールなどでガラスがあることをわかりやすくする。 また、郊外型の駐車場のある店舗では、車の流れと人の流れをよく検討し、危険の少ないようにしなければならない。


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