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月刊厨房
今、ユーザーが求めるファーストフードの厨房設計

シリーズ第8回

売上設定


売上設定

ファーストフードのキッチンデザインでは単に厨房のデザインの知識だけではなく、空調設備設計、建物構造設計、内装客席設計、駐車場設計、看板設計、商品製造手順設定、調理用食材配合組成設定、機械設計、売上予測手法、損益分岐点算出手法、などの総合的な知識が必要になってくるのである。

ファーストフードのキッチンデザインを最初に実施するには

  1. 業種を決める。
  2. メニューを決める。
  3. 設定売上規模を決める。

の3つのステップである。

一般的なレストランやファミリーレストランはどんな商品でも販売できるように一般的な厨房をつくるが、ファーストフードの場合レストランの売れ筋商品に絞り、それを効率よく大量に製造販売できるようにする。また、商品を絞るために業種による売上規模が異なってくる。そのため厨房機器の能力やレイアウトも大きく影響されるのである。

ハンバーガー、フライドチキン、ドーナツ、ピザなど販売品目が変わると、売上高が異なるのである。(財)外食産業総合調査研究センター発行の1994年版外食産業統計資料集による92年の1店舗当たり平均売上高は以下の表のようになる

(単位万円)
日本マクドナルド 2億2,183
モスバーガー 8,379
ロッテリア 1億1,000
ドムドム,ウエンディーズ 5,968
ファーストキッチン 1億2,766
明治サンテオレ 5,404
KFC(推測) 1億2,000
ピザ.カリフォルニア 7,200
ピザーラ 7,500
ミスタードーナツ 1億2,852

ハンバーガーは月間平均で450〜1800万円の売上。デリバリーピザの場合は月商600〜700万円、フライドチキンで1000〜1200万円、ドーナツで1000万円となる。

ハンバーガーはチェーンにより売上が大きく異なる。これは、チェーンによる出店戦略と、店舗の規模がチェーンにより異なるためである。

ロケーション別の売上を算出する。

業種別の売上規模の平均値はわかったが、出店する場所により売上は大きく変わるのである。そこで店舗を設計する前にロケーション別の売上予測をするのである。そしてそれに基づいて適正なキッチンデザインにはいるのである。

売上予測の方法

  1. 通行量調査

    まず、通行人の総人数を計測し、次に通行人の質を計測する。通行人の質とは、男女別、職業別、通行目的別、歩行速度、服装、時間帯別の通行量、などである。

    一日の通行量が多くても朝の通勤客のみであると、同じ駅前立地でも住宅街にある場合とオフィス街にある場合では売上への貢献度が異なる。朝はたいてい食事をしているし、急いでいるので電車にそそくさと乗るが、オフィス街の駅につくとホットして一息つくために食事をしたり、コーヒーを飲んだりするのである。そのため、乗る駅では朝の通行量が多くても来店客にはつながらないので注意しなくてはならない。来街目的が買い回りなどの場合は、買い物の後、休憩するために飲食店に立ち止まることが多いが、日用品や食品などを買いにいく町の場合は飲食店に立ち止まることが少ない。また、ファーストフードの顧客は女性が圧倒的に多いので男女別の通行量の把握が重要である。

    一般的にファーストフードでの通行人に対する入店率は1%〜3%位である。(店舗が1階にある場合で)商圏の開発をし固定客をつくり目的来店が増加すると7%まで向上する。ただし、かなり知名度の高いチェーンの場合であり、一般的には3%が上限である。店舗の知名度がない場合は一般的に1%位で売上設定をすることが望ましい。もし、1%で設定し売上が大幅に少なければ出店はあきらめなければならない。

  2. 商圏調査

    商圏のサイズは重要である。一般的に半径1〜2Kmの人口を見るが、商圏の質によりその大きさは異なる。例えば駅前立地でバスなどがある場合にはその商圏は円形ではなく、バス路線に沿った複雑な商圏となる。また、大きな道路や、電車の線路、川などの商圏を分断するものがある場合は、商圏が小さくなる。駅前立地の場合、駅勢圏といい定期券の発行住所などで判断できる。また、商店街などでは、広域商業診断等で商圏の分析と通行量調査を実施しているので地元の商工会議所に問い合わせるとよい。広域商業診断を実施していなくとも、商店街の通行量調査を実施している場合が多いのでそれを利用すれば便利である。

    また、大型百貨店とか、公官庁、劇場、野球場などの大型の人が多く集まる施設の動員力は売上に大きく影響を与えるので、その売上規模や、動員力を調べる必要がある。通行人を発生する源となるので、トラフィックジェネレーターという。

    売上に貢献する要因ばかりでなくマイナスになる要因を見ておく必要がある。それは、いかに商圏がよく、通行量が多くても、同業の競争相手が多い場合には売上が思ったより上がらないので、必ず競合店の数と予想売上を計算し、当店の売上予測をする必要がある。

  3. 店舗の規模と形状

    店舗の間口、入りやすさ、大きさは重要である。店舗面積は、厨房の大きさ、客席の大きさを決定するので重要であるが、店舗の間口の大きさは入りやすさに影響するのでさらに重要である。同じ店舗面積でも、間口が狭いと奥のカウンターまで歩く必要があり入りにくくなるのである。また、間口が狭いと店舗の正面に掲げる看板が小さく告知効果が少ないので、通行する人が店舗の存在に気がつかず、通り過ぎてしまう。

  4. 郊外型の店舗の規模と形状

    郊外型の店舗では、道路に対する店舗の位置は大変重要である。特に、道路のカーブに店舗がある場合は、カーブの外側にあれば見やすいが、内側の場合は気がつかず通り過ぎてしまうのである。

    郊外型の店舗の場合通行人数を数える他に通行車の計測が必要である。通行車の質も重要であり、計測するときに乗用車とトラックを分けて計測する。ファーストフード店舗の場合一般的に乗用車比率が高い方が売上に貢献するのである。しかし、余り車の通行台数が多くても、店舗に入りにくくなるので注意する必要がある。特に車のスピードは重要であり、比較的ゆっくりしたスピードの方が入店率が高い。また、中央分離帯がある場合は反対側の車線の通行量は店舗の売上には寄与しない。ただし、すぐ先にUターンできる場所がある場合は売上に寄与する。

    一般的に交差点に位置する方が売上がよいが、その場合、面する両方の道路の交通量が多すぎる場合は、交差点での信号待ちの車が多すぎ入りにくくなる。

    車の場合の商圏は単なる距離ではない。車で走行して5〜10分間で行ける距離が商圏となる。この時間感覚は都市により異なり、地方の過疎地域ではその時間はもっと長くなる。この調査は実際に車を走行させ、他車の行動パターンを実測する必要がある。出店候補地のそばにある、車でいくショッピングセンターや、事業所、公官庁などのトラフィックジェネレーターの存在も重要である。また、郊外型の場合は車でいく遊園地や、行楽地などへの通行道路になっているかどうかということは日曜祭日の売上を左右するので、年間を通した通行量を調べる必要がある。国道の場合は建設省等で資料があるので参考にされたい。

    また、車で来店するので客席数に対してバランスのとれた駐車場面積が必要である。ファーストフードは持ち帰りが多いので駐車場は不要であると誤解されることが多いが、客席が満席の時、駐車場の車の中で食べることがあるので、客席数よりやや多めの駐車場が必要である。

    ドライブインタイプの店舗で重要なのは店舗の間口であり、広い方が車が入りやすい。また、遠くから店舗の告知をする看板の高さと見やすさは大変重要である。看板を認知すれば、車の走行速度を落とし店舗に入ることが可能なのである。地区により看板の高さ規制があるので注意が必要である。筆者の経験では、看板の高さにより売上は30%程変わるのである。

    最近はドライブスルーの店舗が増加してきたが、ドライブスルーで売上の50%をあげる店舗があるので、その設計には十分配慮しなければならない。

  5. 持ち帰り比率の売上に対する影響

    ファミリーレストランの最大売上は、厨房の能力よりも客席の数、回転数、満席時の客席着席人数、客単価で決まるが、ファーストフードの場合は持ち帰りがあるので、同じ売上に対しての必要客席数は少なくてすむ。しかし、ある程度の客席数がないと売上に影響するし、また、ロケーション、業種により持ち帰り比率が異なるので注意されたい。参考までにハンバーガーの持ち帰り比率を見てみよう。

    ロケーション別の持ち帰り比率
    持ち帰り 店内飲食
    駅前や商店街立地 5 : 5
    郊外型 6 : 4
    ドライブスルー 7 : 3

    ドライブスルーの店舗のドライブスルー売上の比率は50%であるが、店内のカウンターで購入した内の20%が持ち帰るので、合計の持ち帰り比率が高くなるのである。

    この店内飲食の割合は客席のサイズを決めるのに重要である。ややもすると、ファーストフードは持ち帰りが多いので客席が不要であるとの誤解があるようである。25年前にマクドナルドなどが日本に出店した当時は客席は少なかった。それは、まだ知名度が少ないので、銀座、新宿等の一等地に出店するために限られたスペースしかなかったため、当時、流行しだした歩行者天国での立ち食いがファッションとして定着したからである。

    しかし、ファーストフードが単独のチェーンとして1000店を越えるようになると、お客様の客席に対する要望が高くなり、今ではハンバーガーチェーンのほとんどは、客席を持つようになっているのである。最近オープンするマクドナルドの平均客席数は80席にもなるのである。持ち帰りの場合は客単価が高く、売上に対する寄与率は大きいが、客席に人が座っていないと、店舗がみすぼらしく感じ、入りにくいのである。店内の飲食の人が多いと入りやすいし、また、飲物やデザートなどの利益率の高い商品を召し上がるので、売上に対する原価率が低いというメリットもある。

  6. 平日、土曜、日曜、の売上と、季節変動

    売上は季節により変動する。ファーストフードの場合顧客層は学生などの若い層が多いので、学校が休みの月の売上が高くなる。8月、1月、3月、5月、7月の順であり、売上が最も悪いのは、2月で次に6月がくる。 この、季節変動は業種により異なる。ハンバーガーの場合夏になると食欲がなくなり、サンドイッチ類の売上が落ちるが、その反面シェイクやドリンク類の売上が伸びるので、夏の売上が最も高い。しかし、揚げ物を売って、飲物の売上比率の低い業種では夏の売上が余り高くない場合がある。

    持ち帰り比率と同様に、平日と日祭日の売上の比率はロケーションにより大きく異なる。この比率の差はキッチンの調理機器の能力に大きな影響を与えるので大変重要である。オフィス街などでは土日は休みであり、周囲に大きな商店街などがない場合はかえって売上が低い場合がある。しかし、郊外のショッピングセンターなどに店舗があると、平日は閑古鳥が鳴いているが日曜になると平日の5倍の売上を上げる場合がある。当然、昼時は忙しく同じ月間売上高であっても、瞬間的な厨房の調理能力は高くなくてはならないのである。これをピーク係数といい厨房の機器の数量を左右する。

以上のように、出店調査を具体的にし、売上を決めることにより、店舗の投資規模、大きさ、客席数、厨房機器能力が決まってくるのである。次回はメニュー別の売上数の算出と、必要機器の設定を見てみる。


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