第17回
インターネットの脅威
今、音楽コンパクトディスクの販売で大きな波が押し寄せている。インターネットや衛星デジタル放送を利用した音楽配信ビジネスだ。米国IBMと米国ソニー・ミユージックエンターテインメント(SME)など欧米の5大レコード会社が音楽CD並の品質でソフトを配信する実験を始めた。日本では著作権問題などが解決されていないため、配信ビジネスに取り組むことを表明している企業はない。
しかし、インターネットには国境がない。日本の企業が取り組まなくても米国の音楽配信会社から直接、購入することが可能になる。従来はCDをCD販売店から購入していたがそれが直接購入できる。つまり、販売店抜きのシステムを構築しているわけだ。もし、安価に提供されたら販売店の経営は行き詰まるのは明らかだろう。
同じ可能性があるのが、インディーズの世界だ。音楽を送れるのだから、映像も送ることは技術的に問題は全くない。勿論、画像のデーターは大きいので、現状のインターネット回線で送信するのには問題がある。しかし、安心してはいけない。現在の容量の少ない電話を利用したインターネット回線の欠点を補うために、光ファイバーという大容量の電送手段を持つ、ケーブルテレビ網や衛星から直接配信すると言う衛星配信システムが実用化に向かっているからだ。そうなると、もう、ビデオ販売会社はなくなるであろう。
しかし、そんな悲観的なことを行っていてもしょうがない。競合の長所、短所を研究し、それに対抗するすべはないかと検討しなくてはならない。どんな良いビジネスであっても必ず欠点はあり、それを攻略することは可能だからだ。しかし、競合の分析を怠るとあっという間に、斜陽産業となってしまう。
インターネットが脚光を浴びたのは1960年代に米国国防省が核戦争などの有事の際のコンピューターネットワークの保全という観点である。電話であれば、電話会社の幹線を破壊されたら使えなくなる。インターネットの場合には電話会社を経由しないで複数のコンピューターを蜘蛛の巣のように張り巡らせた経路で伝達する。一カ所が破壊されても迂回して情報を伝達できるわけだ。そのために有事の際に全体の情報がストップされることがないと言うメリットがある。
電話と異なり、インターネットに全体をコントロールする会社はない。政府研究機関と大学などの組織と、商業利用する組織に別れており、ボランティアによる非営利的な組織で運営されている。インターネットというのは、ネットワークに加入しているサーバー(コンピューター)間が専用回線で結ばれているのを利用して、多くのコンピューター経由で世界中をつないでいる。これまで、インターネットに接続されたコンピューターは、大学や公的研究機関、政府、企業の研究機関にしかなく、個人がインターネットにアクセスすることはできなかった。しかし、一般の人々にもインターネットを開放する目的で、コンピューターをインターネットに接続し、管理費用をとってインターネットへの接続サービスを提供する会社があらわれた。これで、個人でも専用回線をインターネットに接続せず、電話回線経由でインターネットにアクセスできるようになった。プロダイバーと呼ばれるこれらの会社の出現で、個人でも世界中のインターネとユーザーとのコミュニケーションが可能となったのだ。
電話とインターネットの違いを見てみよう。例えば日本からKDD経由で米国に国際電話をする事を考えてみよう。電話の場合、家の電話から先ず、001をダイヤルし、次に米国の国番号1をダイヤルする。次にカリフォルニアのサンフランシスコであれば市外番号の415をまわし、そして、相手の電話番号を回すことになる。電話は先ず、NTTの交換台につながり、そして、001でKDDにつながる。それから、国際電話会社所有の海底ケーブルを経由して1の米国につながり、現地の長距離電話会社を経由し、市内の電話会社の番号につながる。貴方へ電話代の請求書はKDDからだけだが、KDDはNTTや米国電話会社の接続料金を支払っている。これは、各電話会社の電話交換機から電話線経由でつながっているからだ。
インターネットの場合、電話会社の交換機や電話線を経由しない。コンピューター同士が専用線でつながっているので、数多くのコンピュータを経由して米国につながるのだ。特別な電話交換機や電話線を経由しなくても良いので、電話回線を使用する場合でも市内電話とインターネットのプロバイダーへの料金ですむのだ。このコンピューターとインターネットを利用すれば、市内電話料金で米国に電話できる。
この仕組みを利用して従来高価であった国際電話の料金を大幅に下げたのがAT&Tジェーンだ。この会社は米国最大の電話会社の子会社であるが、自社のインターネット回線を利用し、米国に電話をするコストを1分間に26円と低価格を実現した。筆者もこの回線を使用するようになり、月間数万円の費用がかかっていたのが、数千円で済むようになった。このようにインターネットは電話という音声情報だけでなく、コンピューターのデジタルデーター、画像、なども安価に送受信できるわけだ。例えば取材した人の写真を撮って新聞や雑誌に掲載することを考えてみよう。まず、写真をとり、現像焼き付けをする。最低でも数時間かかる。次にそれを郵送する。その写真をチェックし、製版部門に手渡し、印刷原稿にする。この手順は普通数日必要で、費用もたった一枚の写真でも一つのフイルムカートリッジが必要だし、郵送代もかかるので、千円近い費用がかかるだろう。
先月号で米国のアウトバックステーキハウスの紹介をした。その記者会見の記事が1月28日の日経流通新聞に出ており、そこに社長の顔写真が出ていたが、この写真は筆者がデジタルカメラで撮影し、当日にインターネット経由で新聞社に送付したものだ。当日の朝に取材をしたのだが担当記者が写真を撮り忘れ、夕方、社長達スタッフと酒を飲んでいる席に電話があり、その場で筆者のデジタルカメラで撮影し、携帯電話経由で送信したものだ。必要だったのは電話代数十円と数分の作業時間にすぎない。
このようにインターネットを活用すると、費用と時間を大幅に削減できる反面、仕事の能率と効果は大幅に高まるのだ。
各ホームページは電話番号と同じで番号がついている、コンピュータに組み込んだインターネット上のホームページにつなげてみることが出来るソフトウエアーに見たいホームページの番号を入れる。その番号をURLという。以下に紹介するホームページにはその番号を書いておくので後で参考にしたい場合はそれを入力することにより簡単に閲覧できる。
そこで有効なのが、電子メール(E-Mail)を利用し、低価格で情報を送信することだ。電子メールには住所と同じくアドレスが割り当てられている。筆者の場合はoh@saykonet.or.jpだ。筆者がどこに引っ越しをしてもプロバイダーとの契約を変更しなければ、何時も連絡できる。住所と異なり本人に会うことは出来ないし、本人のプライバシーを公開することもない。そういう意味で会員ナンバーをこの電子メールアドレスにして、会員の必要なビデオが入手したら連絡するというターゲットを絞った販売促進が可能だ。
現在電子メールを使っているのは930万人ほどだが、過去半年で27%もの伸びを示しており、この傾向はまだまだ続くものと思われ、最終的には成人の殆どが使用する用になるだろう。名刺に電話やFAXナンバーを書くのと同様に電子メールアドレスを書く時代がくるだろう。
筆者も外食の情報交換のためにメーリングリストを開催したが、半年で200人ほどのメンバーが集まり(全く宣伝活動を行わないで)、情報は1200通もに登っている。
しかし、その後急速に普及し、日本のインターネット利用者数は98年は1080万人で、95年に比べて大幅に増えている。世界全体の利用者数は1億1000万‾2000万人程度に拡大している。日本のインターネットに接続者を分析してみると、10代が60%、20代が55.7%と若い人が多いが、中高年年齢層でも30%が利用している。利用が少ないのは主婦と子供の層だけである。
95年度から97年度までのパソコンの国内出荷台数は約1974万7000台(日本電工業振興協会の調べによる)にも登っている。そしてインターネット利用の電子商取引は3年後に15兆円になる予想だ。日本全体の商取引の1%に匹敵する金額だ。勿論、企業が使うのが中心となろうが、企業対個人ユーザーの取引はそのうちの10%にもなる。米国などの先進国を見てもこの数字はさらに増加するものと思われ、今後、業種を問わず、インターネットにどう取り組むかが企業の業績を左右させるだろう。
筆者は面倒くさいからマニュアルなど一切読まない。サラリーマン時代にリストラで秘書がいなくなりやむなくパソコンを始めたのだが、部下に優秀なパソコン使いがいた。その彼が持っているのと全く同じ機械ソフトを購入して開始したのだ。毎日彼の助けを借りること数カ月でやっとマスターすることが出来た。
現在でもわが社には優秀なスタッフがおり私のパソコンのセッテイングを全てやってくれるし、毎日少なくとも10回は質問に答えてくれる。
周囲にそういう人がいない場合、自分で2週間ほどパソコンスクールに通い、さらに機械を全てセッティングしてから購入すること。そして購入する店舗は後で困ったときに相談できる親切な店にするべきだ。ここでケチっても使えなければコンピュータも只の箱だ。
筆者は此のお陰で20枚くらいの原稿であれば2時間で打つことが可能になった。勿論内容がまとまって入ればの話だが。
此の組み込みを自分で行うのは知識がないと永遠にかかるか、放棄するのが目に見えているから、購入先で実費で組み込んでもらう。パソコンを購入するときにハードウエアーが安くても此のソフト代と組み込み費用が高くてはダメだ。最初から全部組み込みでいくらになるか比較するべきだろう。勿論周囲に詳しい人がいれば一杯おごって経済的にやってもらうことが可能だが。その人は貴方の周囲の常時いるか、電話できる環境にないと後で困ったときに対処が出来ないので注意が必要だ。
当然の事ながら費用は多額になり、専門の人間も必要だ。一般的には初期投資額で数百万円と月々の通信料で十万円以上の経費がかかる。
最初はプロバイダーのホームページの間借りからスタートしても、本格的に商売として行うにはここまで真剣にやる必要があるだろう。勿論それだけの費用を一つの会社や個人で負担するのは難しいので、複数の会社や友人で共同運営すると言うことが考えられるだろう。
将来的にインターネットは情報手段としての中心になると思われ、なるべく自分で苦労して運営してノウハウを吸収する必要がある。ブームになってから(今はまだ本格的でない、立ち上がった段階だ。)では遅い、まず、勉強を開始しよう。
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