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AV店の経営手法

第11回

スーパーバイザーによる管理


チェーン店を増やしていくと段々本部の管理が必用なことが分かってくる。店舗数が5店舗位であれば経営者自ら管理できるのだが、10店舗越えてくると管理不能になってくる。管理とは本部の経営、利益管理と店舗の運営管理の2つだ。チェーン展開の初期の段階ではそんなに本部で多くの人員を抱えることは出来ないし、一つの仕事だけしかできないというのでは生産性が低くて困る。5ー10店舗の段階で最も必用になるのが店舗を経営者の立場で考えるスーパーバイザー(SV)だろう。ではSVの機能役割をわかりやすく考えて見よう。

(1)SVの機能と役割

  1. 店舗のQSCの最終責任者
  2. QSCのインスペクションと改善

    SVは店長の上司に当たる。SVの機能としては現場のQSCのチェックマンであるだけでなく、店舗現場におけるQSCの最終責任者でもある。SVは上司として部下の店長へ改善の指示を与える。指示を与えても改善ができなければ、指導、教育、訓練を行い、あるべき姿まで改善する責任を持っている。インスペクターとしてチェックするだけで、改善するのは他の人であるというのは、改善する人がもう一度店舗を見なければならないと言う無駄が生じるし、無責任な発言を生み出すことになる。

    店舗のQSCが基準に達するためには必要であれば、店長を降格させたり、閉店を命ずることもできる強大な権限を持たせなくてはならない。

  3. プロフィットセンター
  4. SVは担当店舗の売り上げと利益管理を行わなくてはならない。勿論店長やSVがいくら頑張っても競合店の出現や地域的な経済動向により、売り上げが低迷し利益が大幅に減少することがある。しかし、すべての店舗がそんな状況ではないから、自分の担当の他の店舗の売り上げ利益をしっかり管理する。場合によっては販売促進策を実行し、エリア全体の売り上げ目標と利益を確保しなくてはならない。1店舗の利益は落としてもエリア全体の利益を確保するというプロフィットセンターとしての機能が最も重要になる。そうすることによりチェーン全体の利益が予定通り確保することが可能になる。

    チェーン展開をするに従い経営者の目が行き届かなくなり利益が減少するという現象をよく見るが、これはSV単位の利益管理というしっかりとしたシステムを構築していないからだ。

  5. 人材教育
  6. SVの機能で忘れがちなのが人材教育としての機能だ。各チェーンは本部にトレーニング部などを持ったり、外部のトレーニング機関に依頼して、マネージャー、店長への教育を行っているので十分だと思いがちだ。店舗の社員教育でもっとも重要なのはオンザジョブトレーニング(OJT)だ。現場での実務に応じた適切なトレーニングこそ顧客に密着したQSCを提供できるのだ。本部のトレーニング部や外部のトレーニング機関は店長に対する人事権を持っていない。トレーニングが店舗の成果につながるのは、評価をする人間がそのトレーニングに当たる時だけだ。

    教育は現場でのOJTだけではなく、店長会議やアシスタントマネージャー会議を通じて物を考えさせ発表をさせるという、プレゼンテーション技術も含まれる。店長やアシスタントマネージャーは店内会議を開いて、店舗のアルバイト、パートタイマーに新しいメニュー、方針、などを発表したり、P/Aのアイディアを聞き出さなくてはならないからだ。

  7. 本部スタッフとしての機能
  8. 中小のチェーンの場合にはSVの機能は多彩でなくてはいけない。簡単に言うとSVは経営者の分身としての機能を受け持つ。経営者は店を管理する上で以下の機能を無意識に使い分けている。

    例えば新店舗を開店する場合を考えてみよう。

    1. 物件を見つける(店舗開発、調査、財務、総務)

      物件を見つけるには普段から不動産屋と頻繁なコミニュケーションをとり、物件がでたらいち早く交渉し、物件の調査にとりかかる。通行量や客層、競合店を調べる。そして、売り上げを予測し、その売り上げで家賃、保証金、設備投資をまかなえるか損益のシュミレーションを行い、問題なければ、契約書の内容をチェックし契約する。

    2. 店舗コンセプト(業態開発、商品開発)

      出店が決まったらどんなタイプの店にするか決める。チェーン店を目指していれば躊躇しなくても良いが、同一の地域に複数店舗を展開する場合には自社競合をさけコンセプトの異なる形態を考える。そして、その形態に合わせた独自のメニューコンセプトを作成する。

    3. 店舗の設計と発注(建設、機器開発、資材)

      店舗のコンセプトが決まったら店舗の内外装デザインの会社と打ち合わせだ。店舗の外観は大事なので看板のデザイン、大きさ、入り口のデザインを慎重に打ち合わせる。内装は雰囲気も大事だが周囲の客層を分析し設計する。

      設計が決まったら施工業者の選定を行う。いつも決まった業者でなく、その時々の能力条件により最適な施工業者を採用する。

    4. 人の募集(人事部)

      開店の日時が決まったらそれに併せて社員、P/Aを募集する。募集の条件を考え媒体を選定し掲出する。面接場所を決め、面接を行い採用する。採用した社員、P/Aは既存店などを利用してトレーニングを開始する。

    5. 店舗の備品、ユニフォームなどの発注(資材)

      店舗の規模、人数、コンセプトが決まったら、備品やユニフォームなどの必要数を算出し、注文する。

    6. 商品の発注(資材)

      新店舗の開店にあわせて商品などの資材を発注する。新コンセプトの業態であれば供給メーカーなどを吟味して選定する。

    7. 宣伝活動(広告宣伝)

      新店舗の開店にあわせて売り上げを上げる販売促進や広告宣伝の手配をする。新聞にチラシを織り込むのであれば、店舗の商圏を把握し媒体の新聞を選び、いつ折り込むか、何枚折り込むかを決める。また、店舗の看板はいつ出すか、捨て看板を使用するのか、通行人にチラシを配布するのか、新規開店の景品などはどうするのか、などの手配もしなくてはならない。

    8. 店舗開店(店舗運営部、SV、店長)

      店舗が開店後も最高のQSCを保てるように店舗の指導が欠かせないし、店内会議などを通じてのコミュニケーションも必要になる。また、人材がしっかり育成できるように個人別に仕事を観察し、適切なトレーニングを行うと同時に、正しい仕事上の評価を与える。売上金の不正がないように伝票のチェックや販売商品分析、監査を定期的に行う。

      経営者は無意識のうちに上記の複雑な仕事をやり遂げている。これが年に1店舗の開店であれば問題がないが、年に数店舗開店しようとするとうまく行かなくなる。経営者は一所懸命チェーン化、チェーン化とお題目を並べても仕事に追われ、店舗を探すことができないからなかなか出店ができないと言う例をよく見受ける。

      自分の仕事を分析し、何が最も自分の時間を浪費しているかを考え、できるところから人に任せるという権限移譲が必要になる。その権限を移譲する人がSVなのだ。

  9. SVは将来の幹部候補生
  10. SVという職種は経営者の代行としての一歩であり、将来の幹部候補生としての位置づけになる。筆者が米国マクドナルドに駐在時代、日本から来る幹部候補生に対するハンバーガー大学の各種の研修を引率をしていたことがある。店長教育用のAOCの上にはスーパーバイザートレーニングコース、フィールドコンサルタントトレーニングコース(フランチャイズ向けのスーパーバイジング業務)、トレーニングマネージャーコース(地区のトレーニングを担当する)、デパートメントヘッドコース(各部門長用の管理者養成講座)、マーケティングHU(広告宣伝広報のトレーニングコースで、SV以上は受講する)、などの数々のコースがあった。スーパーバイザートレーニングコースは米国における経営幹部の登竜門であり、そこに参加したSVはリーダーシップと見識をしっかりと判断される。そして選別を受けた後、担当の地域に帰り店舗運営に当たる。この段階で成果を出したSVはフィールドコンサルタントとなり、フィールドコンサルタントトレーニングコースに参加する。

    そのコースに参加して驚いたのは会社の待遇の違いだ。SVコースまでは食事は大した物でないし詰め込み教育だった。ところがフィールドコンサルタントコースになると毎日の食事がとたんに豪華になるし、授業には会社のトップが出席し各参加者の能力を判断する。SVコースでは夜になっても部屋に閉じこもって勉強をするガリ勉ばかりだったが、フィールドコンサルタントコースでは朝まで酒を飲み、ディスコで踊り狂うという毎日だった。そんな生活の中でリーダーシップがあるか将来経営幹部としてやっていけるかをしっかりと観察されていたわけだ。余談だが、米国の会社で酒をおごってくれるというのは酒の飲み方を見ているというテストだ。日本では酒席は無礼講で飲んでくだを巻いて暴れても許されるが、米国の場合、酒の上の失態は許されない。酒を飲んで人が変わる奴はもう昇進の資格がなくなってしまうし、部下に馬鹿にされてしまうという厳しさだ。

    教育だけでなく色々な面で経営者の代行を経験させ、問題解決能力を学ばせ、将来の幹部候補生となれるか見て行かなくてはならない。

(2)店長とSVの違い

(3)SVの教育の重要性

(4)いつSVが必要か


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